OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

モブレー&ジョーダン

2007-02-03 19:29:04 | Jazz

邦画が好調らしくて、嬉しいです。

今日は映画館へ行きましたが、確かにお客さんが増えているような気がしましたですね♪ 問題は上映作品に、この勢いが反映されるか否かなんですが……。

ということで、本日はこれです――

Julius Watkins Sextet Volume Two (Blue Note)

ジュリアス・ワトキンスはフレンチホーンでモダンジャズを演奏する黒人プレイヤーです。

フレンチホーンという楽器そのものがジャズでは馴染みがありませんから、はて、どんなんかなぁ~、と思いつつも、きっとソフトな音色が出てきそうな予感がしていました。

それはギル・エバンスあたりの幻想的なアレンジでは、よく使用される楽器でしたし、「フレンチ」っていうのが、お洒落なフィーリング♪ しかし楽器そのものは、グロテスクなほどにグニャグニャとカタツムリの内臓を連想させますからねぇ……。

で、このアルバムは10吋盤ですが、特に私が気にしていたのは、もちろんハンク・モブレーが参加しているからです。なにせジャケットにもサブリーダーのように、しっかりと写っていますからねぇ~♪

録音は1955年3月20日、メンバーはジュリアス・ワトキンス(frh)、ハンク・モブレー(ts)、デューク・ジョーダン(p)、ペリー・ロペス(g)、オスカー・ペティフォード(b)、アート・ブレイキー(ds) という凄い面々です――

A-1 Garden Delights
 いきなり長閑な牧場の夜明けみたいな雰囲気です。
 もちろんそこはフレンチホーンで奏でられますが、続くパートではオスカー・ペティフォードの力強いベースがリードして、快適なテンポで魅惑のテーマが演奏されていきます。アート・ブレイキーのブラシも良い感じですねぇ♪
 アドリブパート先発はペリー・ロペスのギターで、私はこの人を良く知らないのですが、なかなかの正当派です。そしてハンク・モブレーは十八番のタメとモタレで実力発揮! いよいよ登場するジュリアス・ワトキンスは、なんかトロンボーンのような音色とアドリブフレーズで勝負しています。
 演奏全体としては、けっこう緻密なアレンジとキメが用意されていて、西海岸派のようなスマートさがあります。

A-2 Julie Ann
 3分に満たない短い演奏ですが、ペリー・ロペスのギターが抜群のスパイスになった緩やかな曲です。フレンチホーン特有の柔らかな音色が活かされた曲調が素晴らしく和みますねぇ♪ 唯一アドリブをとるハンク・モブレーも、そのあたりは百も承知というか、自分の特質にあったようで、サブトーンを駆使しての快演を聞かせてくれるのでした。

A-3 Sparkling Burgundy
 アップテンポのソフトバップです♪ あぁ、曲が良いんだなぁ~♪
 アドリブ先発のジュリアス・ワトキンスは言わずもがな、ペリー・ロペスもデューク・ジョーダンも、テーマメロディに仕込まれた一抹の「泣き」を大切にした美メロの展開には、グッときます。
 しかし一座の花形というハンク・モブレーはハードバップ魂優先のようですねぇ。短いながらも本領発揮の黒さがあります。もちろんアート・ブレイキー&オスカー・ペティフォードのリズムコンピの存在も光っています。

B-1 B And B
 昔、同じ名前の漫才コンビがいましたが、これは快適なソフトバップです♪
 アドリブ先発のハンク・モブレーが淀みなく十八番のフレーズを連発すれば、デューク・ジョーダンは哀切の美メロを含ませた名演を聞かせてくれます。しかも直後からはハンク・モブレーとアート・ブレイキーの対決があって、オスカー・ペティフォードのブリブリいうベースソロに繋がるんですからっ!
 あれっ、ジュリアス・ワトキンスは? と思った次の瞬間、素晴らしいアドリブを聞かせてくれるあたりがニクイです。ただしラストテーマ前にテープ編集疑惑があるのは、如何にも残念……!

B-2 Jor-Du
 おぉ~! デューク・ジョーダン畢生の名曲が大団円ですよっ!
 これしかないのイントロは、もちろん作者が担当し、そのままお馴染みのテーマが鳴り出せば、あたりはすっかり哀愁のハードバップモードです♪ あぁ、ジャズを聴いていて良かったと、シミジミ思いますねぇ~♪
 快適なビートを送り出すドラムスとベースが最高ですから、アドリブも自然と白熱するというか、柔らかな日差しのようなジュリアス・ワトキンス、ビンビンブリブリのオスカー・ペティフォード、薬籠中の名演に終始するデューク・ジョーダン、自分の節に拘りまくるハンク・モブレーと絶対的な快演が続くのでした。
 なによりもテーマ合奏時のバンド全体の響きが素晴らしいですねぇ~♪

ということで、短めの演奏ばかりなのが勿体無いという名演集です。

時代的にはハードバッブとかファンキー色の強いものが求められていたのかもしれませんから、こういうソフト感覚がある演奏はイマイチ、ウケなかったのでしょうか。ジュリアス・ワトキンスその人は、ジャズ喫茶でも無視されがちで、一部のマニアに愛好される存在になっていますが、それでもこのアルバムは参加メンバーに魅力がありますから、要注意だと思います。

特にハンク・モブレーとデューク・ジョーダンの組み合せは、ファンならば絶対気になるはずですし、もちろん相性も素晴らしいかぎりです! こちらが求めるウェットな感覚は言わずもがな、それがベタベタになっていなのは、アート・ブレイキーの力強い煽りの所為かと思います。

ちなみにブルーノートに残された、これ以前の「Volume One」ではフランク・フォスター(ts) が参加しており、当然、捨てがたい魅力の演奏になっていますので、機会があれば、両盤ともに鑑賞をオススメ致します。

コメント
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