OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

普通に凄いpart-2

2007-03-15 17:45:04 | Weblog

昨日は鈴木ヒロミツの訃報で取り乱してしまいました。

まあ、私だって何時かは死んでしまうわけですけど、覚悟が全く出来ていないのが情けないというか、当たり前なのか……。

つまり現世に未練と煩悩が多すぎるわけです。

悔いない1日を送ることに心がけてはいるのですが……。

ということで、本日は熱き血潮の、これを――

J.J.Inc. / J.J.Johnson (Columbia / Sony)

モダンジャズのトロンボーンでは第一人者だったJ.J.ジョンソンは、当たり前に過ごすぎて、その真価がイマイチ分かりづらい人だったように思います。なんか、何時も冷静というか、本音を出さないような感じかなぁ……。

しかし、それでいて残された演奏には独自の熱気が確かにあって、特に共演者がバリバリだったりすると、自分もつられて熱血を発揮するという奇特な人なのです。

このアルバムも、そうした1枚でしょうか。

録音は1960年8月1&3日、メンバーはフレディ・ハバード(tp)、J.J.ジョンソン(tb,arr)、クリフ・ジョーダン(ts)、シダー・ウォルトン(p)、アーサー・ハーパー(b)、アルバート・ヒース(ds) という、これは当時のレギュラーバンドだったようですし、演目は全て、J.J.ジョンソンのオリジナル曲という意欲作になっています――

A-1 Mohawk
 変拍子(6/4)で演奏されるゴスペルファンキー曲♪ リズム隊の躍動感、ホーンアンサンブルのゴスペル感がたまりませんねっ!
 アドリブパートでは J.J.ジョンソンが正統派ながらトリッキーなフレーズを入れてテクニシャンの真髄を披露すれば、クリフ・ジョーダンはイブシ銀の音色でジックリと勝負しています。バックで煽るアルバート・ヒースが物凄く良いですねぇ~♪
 そしてお待ちかねのフレディ・ハバードが溌剌としたハイノート、ウネリの低音域と縦横無尽、千変万化に大暴れです! するとシダー・ウォルトンが意外にも落ち着いたファンキー節で場を収めていくのでした。
 あぁ、ハードバップ万歳です♪

A-2 Minor Mist
 ここでも初っ端からアルバート・ヒースのブラシがシャープに躍動して、最高です。そしてディープな心情と力強さを感じさせる J.J.ジョンソンのトロンボーンが全体をリードして素晴らしいアドリブに入っていくのですから、グッときます。
 このあたりはモード系の演奏になっていますが、歌心が蔑ろにされていませんし、アレンジの妙とアドリブの充実度が、他のメンバーにも充分に理解されているようです。特にクリフ・ジョーダンは地味ながら好演です。 

A-3 In Walked Horace
 これぞハードバップ! タイトルどおりホレス・シルバーに捧げられたという雰囲気が濃厚なゴルスペル味のテーマ! ズバリ痛快です。
 もちろんフレディ・ハバードは初っ端からヤル気全開の炸裂ぶりですし、クリフ・ジョーダンも必死の追走! すると J.J.ジョンソンはアルバート・ヒースとグルになってソロチェンジから盛り上げていくという禁じ手を出してしまいます。うひぇ~、こんな烈しいフレーズをラクラクと演じてしまうなんてっ!

B-1 Fatback
 シダー・ウォルトンのイントロからグルーヴィなアドリブ、マーチテンポのテーマ、そしてバンド全体の強烈なノリが素晴らしい演奏です。ホーンアンサンブルのキメはカッコ良さの極みですし、アドリブ先発の J.J.ジョンソンは完全余裕の体勢から烈しいフレーズの乱れ吹きです。
 もちろんリズム隊の纏まりは最高で、特にアルバート・ヒースが大技・小技の連発で大熱演! アーサー・ハーパーのベースも力演だと思います。

B-2 Aquarius
 J.J.ジョンソンの緻密なアレンジが冴え渡る幻想的な演奏ですが、黒人ジャズの力感が失われていないのは流石です。
 もちろんアドリブの充実度も大変なもので、そこに絡むリズム隊の活躍も聞き逃せません! このあたりは、明らかに当時の主流になっていた3管編成~モード系の演奏の代表的なところでしょう。シダー・ウォルトンがディープです♪

B-3 Shutterbug
 オーラスはアルバート・ヒースの軽快なリムショットが楽しいモード曲♪ しかもハードバップ魂が失われていませんので、ちょっとクセになる痛快さがあります。
 アドリブは全員熱いんですが、特に J.J.ジョンソンが日頃の冷静さを振り払ったかのように過熱気味! それとシダー・ウォルトンが小気味良いピアノタッチで好演です。

ということで、なかなかの熱血アルバムなんですが、今、私が聴いているのは数年前に発売された紙ジャケット仕様の日本盤CDで、リマスターがとても良好です。尤も比較したのが、やはり日本プレスのアナログ盤なんで、大きなことも言えないのですが……。一応、同じ会社なので、使用マスターも同一かと思いますので、要注意です。

それと、このCDには3曲のボーナストラックがあって、いずれも素晴らしい出来なんです♪ 多分、時間的な制約ゆえにオクラ入りしていたのでしょう。

まず「Blue' Boogie」がアップテンポの大快演! ほとんど全篇が J.J.ジョンソンとアルバート・ヒースの対決で展開されていますが、興奮度は最高です! また「Turnpike」もアップテンポの大ハードバップ大会で、13分超の演奏ながら、メンバー全員の熱演でダレ場が感じられない物凄さ! そして「Fatback」の別テイクは単なるロングバージョンという以上に、より熱い心情吐露に撤した演奏になっています♪

以上、掛け値なしに凄い演奏集です。特にアルバート・ヒースが熱演・好演の連続なんで、ちょっと見直したのが私の本音なのでした。

コメント
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