■グッド・バイ・マイ・ラブ / アン・ルイス (日本ビクター)
後年は歌謡ロックの女王になったアン・ルイスも、デビュー当時は堂々のアイドル路線で、しかもハーフ特有の西洋顔にアカ抜けたイメージは、日本男児の弱点を刺激しつつ、スタアであるに相応しい雰囲気を自然体で滲ませていました。
ですから所謂歌謡ポップスを演じても、それは決して下世話なフィーリングとは無縁で、それが当初は大きなヒットを出せなかった要因かと思えば、昭和49(1974)年に発売された本日掲載のシングル盤A面曲「グッド・バイ・マイ・ラブ」が一気にアメリカンオールディズのムードも色濃い、刹那のポップスパラードに仕上げられ、永遠の和製スタンダード歌謡になったメガヒットも必然でありましょう。
なにしろアン・ルイスの歌い回しが、本音で洋楽っぽくて、「グッド・バイ・マイ・ラブ」と書くのも恥ずかしいほど!?
これは「Good bye My Love」、あるいは「グッバイ・マイ・ラヴ」が正解なんでしょうねぇ~♪
それほどアン・ルイスによって歌われた「グッド・バイ・マイ・ラブ」は、そのビリー・ヴォーン風味のアレンジも効果的な名曲であり、今日までに夥しいカバーバージョンが残されているのも、その証明です。
実は告白すると、これは作詞:なかにし礼&作曲:平尾昌晃が書いた、立派な純国産の逸品でありながら、リアルタイムのサイケおやじは、日本語詞を附した洋楽カバーかと思っていたんですねぇ~。
だって、これほどキマッた歌謡曲なんて、ありえないほどのお洒落な下世話感が秀逸過ぎますから、竜崎孝路のアレンジも貢献が大きいのでしょう。
あぁ、間奏部分での英語の語りが胸キュンですよ、本当に♪♪~♪
ということで、冒頭に述べたとおり、アン・ルイスは歌謡ロックの女王であり、突き詰めれば洋楽歌謡のスタアシンガーでもあったわけです。
ご存じのとおり、今となっては「グッド・バイ・マイ・ラブ」もテレサ・テンの代表曲のひとつになって、いよいよ亜細亜から世界に流行し、また往年の新人アイドルがステージライブの定番演目にしていた頃もありましたから、本家本元のアン・ルイスの初演バージョンも当たり前に感じられるかもしれませんが、しかし発表当時の新鮮さは、リアルタイムで接した皆様であれば、なかなか忘れられないのでは?
だからこそ、歌謡曲の汎用性と雑食性は不滅の楽しみと思うばかりです。