■口笛天国 / 口笛ジャック (Deram / キングレコード)
曲名は知らずとも、何時しか刷り込まれているメロディが多い中にあって、本日掲載のシングル盤A面曲「口笛天国 / I Was Kaiser Bill's Batman」は文化放送の人気深夜番組「走れ!歌謡曲」のテーマソングとして、殊更多くの日本人には聞き覚えがあろうかと思います。
それは附された邦題どおり、口笛をメインにした、妙に人懐こいインスト曲なんですが、演じている「口笛ジャック / Whistling Jack Smith」は実在の人物ではなく、当時の業界の定番企画であった実態の無いタレントを標榜した製作レコードのひとつだった事が今日では明らかになっています。
それはイギリスのデラムレコードのプロデューサーだったノエル・ウォーカーがロジャー・クック&ロジャー・グリーナウェイという優れたヒットメーカーコンビと共に作り上げたもので、口笛を担当したのはトランペットが本職のスタジオセッションプレイヤーだったジョン・オニールと云われています。
そして首尾良く、イギリスでは1967年に大ヒットしていますが、原題が「I Was Kaiser Bill's Batman」、訳せばここでの「バットマン」はアメリカンコミックのヒーローじゃ~なくて、付き人ですから、「私はヴィルヘルム皇帝陛下の侍従だった」という事からでしょうか、ドイツでもウケていたらしく、また冒頭に述べたとおり、軽快でそこはかとない哀愁が滲み出るメロディ故に、我が国ではラジオの深夜放送のテーマ曲としてジャストミートしたのでしょう。
で、その「走れ!歌謡曲」なんですが、確か昭和43(1968)年晩秋頃から放送が始まり、内容はそのまんま歌謡曲メインの番組でしたから、平日深夜~早朝の3~5時に殊更仕事に勤しむ日本人にとっては親しみ深くなるのもムベなるかな、サイケおやじ場合は母が営んでいた洋裁店がその頃、つまり昭和40年代が忙しさの極みだった事から、母は連日その時間帯から早起きして仕事をやり始め、しかし不肖の息子だったサイケおやじは、ようやく深夜放送を聴き終え、勉強に身も入らぬままに朝の7時まで寝るという生活だったもんですから、タイミング的には件の「走れ!歌謡曲」のテーマ曲「口笛天国」が自然に刷り込まれてしまうのも、自然の摂理でしょうか。
今となっては母の頑張りには頭が下がりますし、穿って気になるのは、その頃は若かった両親の夫婦生活は、ど~なっていたのか? なぁ~んていう余計なお世話まで不遜にも考えてしまうわけですが、それはそれとして、この「口笛天国」こそは高度成長期の日本を象徴する名曲名演のひとつかもしれまれんねぇ~~~♪
また、その親しみ故のことでしょう、なんとっ!
カーナビーツが漣健二の訳詩を用いて日本語バージョンをレコーディングしておりまして、それはデビューシングル「好きさ好きさ好きさ」のB面に収録されているんですが、当時も今も、あまりにもホノボノフィーリングが前面に出過ぎた感があって、サイケおやじとしては、あまりカーナビーツらしくないなぁ~~、と思うばかり……。
でも、そ~したアイドル的要素(?)も、GSスタアには求められていた証と思えば、ねっ♪♪~♪
ということで、話は変わりますが、週末には台風が襲来しそうな気配なんで、またまた予定が狂いそうです。
でも、それも時の運?
このメロディ、口笛吹いて、気楽に行こうかぁ~~~♪