■拝啓トルーマン大統領 / Chicago (Columbia / CBSソニー)
滅茶苦茶をやり続けている北朝鮮の指導者は、我々からすれば全く蒙昧なキチガイ野郎に他なりませんが、しかし北朝鮮の国民や在日の北朝鮮人は果たして、どのように思っているでしょう。
もちろん、ちょっぴりですが報道される北朝鮮国内の人達の歓喜溢れる言動は、当然ながら、見せたがっているものしか見せていないのは言うまでもありませんし、日本国内の報道にしても、在日については、ほとんど触れていないのですから、いやはやなんとも……。
現状が既に戦争状態であれば、北朝鮮もアメリカも、それぞれが自分達こそ正義!
そ~ゆ~主張を訴えるはずで、それこそが人の世の悲しさと思うばかりです。
さて、そこで本日掲載したのはシカゴが全盛期だった1975年に出したアルバム「シカゴⅧ / 未だ見ぬアメリカ」からカットされたシングル盤で、A面収録の「拝啓トルーマン大統領 / Harry Truman」は、当時のアメリカでは大ウケのヒット曲!
なにしろ、その頃のアメリカは例のウォーターゲート事件によりニクソン大統領の人望が失墜し、政治不信も頂点に達していたもんですから、正直者で所謂竹を割ったような人物だったという第33代大統領のハリー・トルーマンのようなリーダーを望む声が高まっていたわけで、しかもデビュー当時から急進主義のグループとして政治や社会体制を厳しく糾弾してきたシカゴとすれば、そんなこんなを感じ取ってのハリー・トルーマン賛歌が、ズバッと当たったわけですが……。
しかし、日本人にとってのハリー・トルーマン大統領は、我が国への核攻撃を決断した極悪非道な人物ですから、特に広島や長崎のシカゴファンからは忽ち猛烈な抗議があった事は至極当然!
そしてシカゴ側も、それを受け入れ、以降はプロモーション活動も自粛し、ステージでの演奏も控えられたというのですから、やっぱり聞く耳は大切です。
北朝鮮の約束を守ろうとしない姿勢は今に始まった事ではありませんが、アメリカと話し合いというのならば、取引可能な資本の整備や信義を重んじる態度を表明しないかぎり、何をやってもバカにされるだけでしょう。
そして日本はもちろん、周辺各国も迷惑千万、憤りと軽蔑が入り混じった気持ちばかりが高まるのですから、救いようがありません。
例えは勘違いかもしれませんが、ほとんど任侠映画の新興愚連隊組織が北朝鮮の役割だとすれば、劇中では鶴田浩二や高倉健がそれを懲らすという展開も、現実社会では身を捨てて苦しんでいる者を助けるような者は、いるんでしょうかねぇ……。
正義を遂行するためには、自分も傷つかなければならないという真理は、アンパンマンだって実践実証しているわけですが、現実は……。
あぁ、悲し……。