■雨のプラネタリウム / 原田知世 (CBSソニー)
アイドルが新しい展開を求めてロックに挑戦するという企画の狙いは理解出来ますが、成功したのは例えば本田美奈子とか、極めて少なく、しかし今となってはキワモノも含めて、相当に面白いレコードが残されたのは、ある意味で僥倖かもしれません。
本日掲載した原田知世のシングル盤も、そ~した中の1枚で、特にA面に収録された「雨のプラネタリウム」は作詞:秋元康&作編曲:後藤次利が企図した洋楽最先端の所謂シンセポップであり、サイケおやじにしても、彼女自らが、それまでのロリマニア御用達みたいなイメージから、大人の世界への挑戦を試みている様に感じられましたですねぇ~~♪
実際、アップテンポでマイナーな曲調は、失礼ながら出来の良くないユーミン風でありながら、基本的に歌唱力が優れているとは言い難い原田知世の個性を活かした中音域主体のメロディ展開から、サビでは思いっきり高い音域で力んだ節回しという構成が実に印象的ですし、それが可能だったのはキーボード類を大量投入した中にギターを鮮やかに仕込んだ後藤次利のアレンジの上手さがあるからと思います。
もちろん、こ~ゆ~サウンドは同時期にイギリスや欧州で流行っていた、例えば a-ha (アーハ) あたりからのモロパクリではありますが、それはそれとして、イメチェンした原田知世にはジャストミートしており、当時をご存知ない皆様には、ぜひともテレビ等々で「雨のプラネタリウム」を演じている彼女の映像をご覧くださいませ。
ヘタウマ!?
と言われれば、全くそのとおりなんですが、デビュー当時からの彼女の個性であった「希薄な実在感」とか「程好い透明感」みたいなキャラが存分に活かせたのは、こ~したシンセポップの世界であったんじゃ~ないでしょうか。
告白すれば、サイケおやじは決してシンセポップなんてものは好きではありませんが、この原田知世の「雨のプラネタリウム」は例外のひとつであります。
ということで、しかし、このレコードに大きな弱点があるとすれば、ジャケ写ポートレートの無機質な不気味さでありましょう。
能面の様でもあり、デスマスクの様でもあり、妙に日本人離れした面立ちに写っている原田知世は、別の世界の人でせうか?
イメチェンも、ここまでやられると親しみも和みも失せてしまうと思ってしまうだけに、入っている楽曲そのものが妙に愛おしくなるということは、狙っていたのかなぁ~~~。
未だ答えは見いだせておりませんが、救いがあるとすれば、ジャケ写スリーブに刷り込まれている、これまた不粋なバーコードに違和感を覚えないってことだけなのでした。