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サイケおやじの生活と音楽

「エール」にエールを!

2020-05-15 20:45:54 | 歌謡曲

若鷲の歌 / 西郷輝彦 (クラウン)

やっぱり……、というか、NHKの朝ドラ「エール」が、ついに放送中断に追い込まれました。

もちろん、理由は新型コロナ禍というのは言わずもがな……。

サイケおやじとしては、久々に楽しみにしていたテレビドラマだっただけに、残念でなりません。

それは急逝した志村けんの出演が、今回の流行り病以前から話題になっていた事もありますが、個人的には我が国の偉大な作曲である古関裕而をモデルにした歴史作品(?)という部分に興味を惹かれ、当然ながら山田耕筰や古賀政男、西條八十、さらには團伊玖磨や萩原哲晶あたりも登場するのではなかろうか……!?

という期待もありましたし、何よりも当時の音楽業界のあれやこれやが描かれるのならば、ますます興味津々だったんですが……。

ただし、もちろん連日録画での鑑賞ではありましたが、ここまでのドラマの出来は、決して芳しいとは言い難く、時代考証はメチャメチャだし、女優陣もイモ芝居の連続、おまけに演出全体がシリアスとオチャラケのバランスが悪いという、所謂ご都合主義の典型とあっては、せっかくの好企画が勿体ないばかり……。

さらに古関裕而本人が、こんなにオドオドした人物であったのか……!?

と思わざるを得ない印象ではねぇ……。

そこには様々な内部事情がある事は重々承知してはいるんですが、サイケおやじにとっての古関裕而は、応援歌や軍歌、そして洋楽に負けないスタンダードな大衆音楽を書けるメロディメーカーであり、そこには常に微妙な哀感やセンチメンタルな情感が滲んでいるところに魅力を感じていたわけですし、なによりも東宝特撮の大傑作「モスラ」の劇伴、殊更ザ・ピーナッツが歌った永遠の名曲「モスラの歌」がありますからねぇ~~♪

いやはやなんとも、ようやく物語も軌道修正が見えそうなところではありますが、前述した様な目障りな部分はどうなるんでしょうかねぇ……。

特に軍歌を作るところでの兼ね合いというか、懸念されるのは、古関裕而が嫌々それらを書いていた云々なぁ~んていう話だけは、絶対に避けて欲しいと願っています。

何故ならば、戦争という時代の奔流が世相を暗く、混乱させていたとしても、古関裕而には決して闇雲に戦意を煽る意図よりは、国を愛する気持ちが強かったと思うはず、いや……、サイケおやじは、そう思いたいのです。

さて、そこで本日は古関裕而が作曲した軍歌の代表作「若鷲の歌」、通称「予科練の歌」です。

ご存知のとおり、この歌は昭和18(1943)年に作られた国策映画「決戦の大空」にの主題歌として、西條八十の作詞を得て作られた名曲として、当時を知らない我々でさえも知っているのは、様々な問題を含んでいるのかもしれませんし、それが避けられるとは思いません。

歌詞の内容にしても、純粋な愛国心を抱いた若者を海軍飛行予科練習生への憧れに導き、加えて燃え滾る情熱を煽り立てるメロディ展開、そこに潜まされた微妙な哀愁が切迫感へ結びつくが如き仕上がりは、今も秀逸でしょう。

そのオリジナルバージョンは仁木他喜雄のアレンジで、霧島昇が歌ったとされていますが、カバーバージョンも幾つか残されているはずです。

そのひとつが掲載した西郷輝彦のバージョンで、これは昭和43(1968)年に作られた東映の戦記映画「あゝ予科練(村山新治監督)」の主題歌としてのリメイク版で、当然ながら西郷輝彦もメインキャストとして出演しているんですが、肝心の映画は評論家の先生方からはボロクソに叩かれたとはいえ、サイケおやじとしては、そんないい加減な作品とは思っていません。

決まり切った筋立てと演出が確かにありますが、だからこその緊張感や切迫した雰囲気、悲壮感は映画の本質を大切にしているはずです。

そのあたりは最近作られる戦争映画のユルフン的な制作姿勢とは決定的に異なるものです。

と、本日はちょいと熱くなってしまいましたが、例え戦意高揚は悪いと断じられても、リアルタイムでは、それが愛国心、または家族を守るという、その一心が必ずやあったはずで、結果的に戦争に負けたからとか、愚かな戦争犯罪の犠牲だとか、それはそのとおりなんですが、だからといって散華された人達までもが蔑ろにされて良いはずはありません。

軍歌は、決して国民を欺く道具では無いはずと思うんですねぇ……。

そのあたりの事を朝ドラ「エール」で、どの程度描かれるかは悲観的な予測しか浮かびませんが、それは現時点での話であって、願わくば、この放送中断を機会に物語や演出を立て直して欲しいものです。

こんな時こそ、頑張れっ、エール!

コメント (2)
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