■ささやかなこの人生 / 風 (クラウン)
諸々があるにしろ、今や最も世間を騒がせているのは人気歌舞伎役者の市川猿之助の騒動じゃ~ないでしょうか。
サイケおやじが件の悲報を知ったのは、ゴッサムシティから帰朝する直前の現地であり、それは日本時間では5月18日だったんですが、もはやネットでは様々な憶測が入り乱れている状態で、本人や家族の容態安否も全く不明という……。
で、ようやく今日になって、各方面からの情報を自分なりに確認してみれば、猿之助は自殺未遂らしく、しかし両親は死亡というのでは、一家心中を図ったのか、それとも……???
―― 等々のところに事件性も極めて大きく介在しているわけですが、同時に猿之助の身辺に取り沙汰されている個人的性癖や変態性等々は、あまりにも一般マスコミでは報道し辛い部分が多く、それゆえに真相が捩じ曲げられて世間に膾炙されるのでは、何とも息苦しいばかり……。
この世で一番大切な「命」を無為に扱う事は決して許されるものではありませんし、また個人的嗜好や心持を一概に否定・揶揄するなんて事もあってはならないとはいえ、やはり人の世には保守性に基く道徳的概念が根強くあるもんですから、そこからズレた感性の持ち主は白眼視され、だからこそ、人は其々に秘密を持つのが当たり前の人生になるのでしょうか……。
今回の騒動における猿之助の動機なんてものは結局、本人にしか分かり得ないものでありましょう。
さて、そこで思い出してしまったのが、伊勢正三と大久保一久が組んでいた風と名乗るフォークデュオが昭和51(1976)年にヒットさせた本日掲載のシングル盤A面曲「ささやかなこの人生」でした。
説明不要とは思いますが、伊勢正三は昭和40年代後半の歌謡フォークの爆発的ブームの中でも人気が高かった南こうせつとかぐや姫のメンバーとして活躍し、リーダーとは味わいの異なる、ちょいとハイセンスなメロディラインの楽曲を多く作っていた事から、同グループ解散後に結成した風には当初からの安定したファン層に加えて、所謂ニューミュージックから興味を抱いたリスナーの注目もあった様に思っています。
そして前述したとおり、ヒットした「ささやかなこの人生」では、柔らかな視点の人生観を綴った歌詞にアメリカ西海岸ロック風味、平たく言えば初期のイーグルスっぽいメロディを附しての自作自演を披露し、さらには瀬尾一三が十八番の都会的なカントリーロックという、なかなかAORなアレンジもイイ感じの仕上り♪♪~♪
南こうせつは好きではなかったサイケおやじでさえも、伊勢正三には惹きつけられるものがあったという告白は面映ゆいばかりですが、ここでは詳しく記す事が叶わない歌詞の世界は、現在の猿之助にも聴いていただきたく思うほどです。
ちなみにサイケおやじが中古ながら、このシングル盤をゲットしたのは、この「ささやかなこの人生」に聴かれる初期イーグルスっぽいサウンドの妙に惹かれるところが多く、リズムアレンジやバンジョー&ストリングスの用い方、おまけに曲終わりで微かに鳴り続けるバンジョーなんて、もう感涙させられるわけですが、歌詞の世界のセツナチズムと申しましょうか、こ~ゆ~生き方って、ひとつの憧れの様な気分にさせられましたし、久々に聴いた今になっても、それは変わらぬものでした (^^;
ということで、他人の不幸を詮索するのは聊かの気後れはあるにしても、下種の勘繰りばかりとは云えないところが、今回の猿之助騒動なんでしょうか……。
十人十色の性癖なんか、それを認めるか否か、そこまで白黒をはっきりさせるべき問題じゃ~ないと思うんですよ。
だから……、猿之助が自殺を図ったというのは、それなりに追い詰められていたと思えば、おそらくは今後、更なる激しいトンデモ報道が予定されていたという推察も易いでしょう。
う~ん、基本的に変態性癖を持っているサイケおやじにしてみれば、落ちれば地獄に底もある!?
そ~、思いたいばかりです。