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サイケおやじの生活と音楽

エレキ歌謡だぜっ、ゴールデン・カップス!

2009-09-26 11:37:28 | 歌謡曲

長い髪の少女 / ザ・ゴールデン・カップス (東芝)

ゴールデン・カップスは日本のロック史でも飛び抜けたグループでしたが、しかし、彼らの代表的なヒット曲を「日本のロック」と呼ぶ気にはなれません。

なにしろGS時代に登場した多くのバンドの中にあって、ゴールデン・カップスほど本格的なロックの雰囲気を漂わせていた存在は無く、しかも演奏が最先端のニューロック! つまり逸早く欧米で流行っていたヒット曲をカバーし、それはもちろん既にLP単位で聴く他はなかった長尺のサイケデリックやアドリブがグチャグチャの世界でした。

今日では、それをブルースロックやR&Bのロック的な展開として楽しむことも出来ますが、少なくとも当時の日本人には、あまりにもディープで本格的なスタイルだったのです。

しかし我国の業界でやっていく以上、シングルヒットは必須でしたし、それがなければ、いくらGS全盛期とはいっても、テレビに出演することは叶いませんでしたから、歌謡曲を吹きこむとは避けられません。このあたりはバンド側も十分に納得していたと思います。

そしてゴールデン・カップスと言えば、ライプの現場では歌謡ヒットを演奏しないことが、今や伝説になっているようですが、実は公開放送のステージでは、ちゃ~んとやっていたましたですね。

実際、サイケおやじは、この「長い髪の少女」が発売された当初の昭和43(1968)年春に生演奏に接していますが、初っ端に放送用として「銀色のグラス」と「長い髪の少女」をやった後は、ほとんど曲名も知らない、ギンギンのニューロック大会! R&Bのようでもあり、デタラメなフリージャズのようでもあった印象が、今でも鮮烈に残っています。

しかし私は、決して「長い髪の少女」を否定する気は、毛頭ありません。

当時のゴールデン・カップスのメンバーはデイヴ平尾(vo)、エディ藩(g,vo)、ケネス伊東(g,vo)、ルイズルイス加部(b)、マモル・マヌー(ds,vo) という5人組でしたが、当時のウリだった「全員がハーフ」というのは完全な詐術でした。

一説によると、ゴールデン・カップスを東芝に紹介したのは黛ジュンだという噂も根強いのですが、当時は別のバンド名だったグループを、あえて「混血児」の集まりとして売り出した戦略は、現在ではいろいろと問題視する向きもあろうかと思いますが、当時としては結果オーライでした。

とにかく全員がカッコ良かったし、演奏そのものが他の日本人バンドよりも、リズムやビートの面で決定的に異なるノリになっていたのです。これはおそらく、ケネス伊東のリズムギターとルイズルイス加部の驚異的なリードベースによるところが大きいと思われますし、当然、そのふたりは日系と本物のハーフだったのです。

で、肝心の「長い髪の少女」ですが、この曲のせつない歌詞と哀愁のメロディラインを歌うのが、甘い声質のマモル・マヌーというプロデュースも絶品でした。もちろんストリングも大きく入っていますが、イントロからキメまくりのエレキギターや演奏全体の強いビート感は、やはりゴールデン・カップスならではの味わいが否定出来ません。

つまり、これはエレキ歌謡の傑作!

ちなみにB面の「ジス・バッド・ガール」はメンバーが作ったアップテンポでビシバシにブッ飛ばした英詞のニューロックで、ブリブリのエレキベースや歪んだエレキギターが猛烈なロック魂を放出すれば、ボーカルとコーラスは力強くてサイケデリック風味も強いという、まさに最先端ロックのど真ん中!

こういうアンバランスなネタの大公開を、たった1枚のシングル盤でやってしまったゴールデン・カップスは、やっぱり凄いバンドですねぇ~♪

ただし正直に言うと、今も昔も、私は「長い髪の少女」が大好きなのでした。

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4 コメント

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こんにちは (bob)
2009-09-26 13:54:50
このあたりが登場するともうたまりませんねぇ~(笑)。
男もシビれる甘いヴォーカルなんですね。ドラムを叩くイケメンがまさかこんなヴォーカルを聴かせるなんて、と初めて聴いたときは驚きました。
もっともこの曲の大ブレイクにより女の子たちが騒ぎ出したのは当然とはいえ、少し複雑な気持ちにもなりましたね。いや、この曲は数多いGSナンバーの中でも燦然と輝く名曲であることには変わりありませんし、この後の「愛する君に」も最高ですね。
グループ発祥の地、本牧の「ゴールデンカップ」はたしかまだ営業しているんですよね。
返信する
カップスは、いつも最高♪ (サイケおやじ)
2009-09-27 09:04:54
☆bob様
コメント、ありがとうございます。

やはり、たまらないでしょ~~♪
当時は男が、このあたりを好きといか言うと、正統派のカップスファンからは白眼視だったと思いますよ。
でも、本物志向のカップスが、あえてエレキ歌謡を演じてこその仕上がりだったと思うんですよ。

それと4~5前に公開されたドキュメント映画「ゴールデン・カップス・ワン・モア・タイム」では、メンバーはもちろん、所縁の人物達から懐かしくも貴重なお話がテンコ盛りに楽しめました。
演奏場面も今と昔の映像が、それぞれに素晴らしかったですよ。本牧の「ゴールデンカップ」も映っていましたから、営業はやっているみたいですね。
DVDもしっかり、買ってしまいました♪
もしも未見でありましたら、ぜひ、どうぞ♪
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音について (まさ)
2009-09-30 19:55:11
はじめまして。素晴らしいプログですね。
リアルタイムとは羨ましい限りです。
東芝のグループのレコードの音とフィリプス系のグループの音は今聴くと雲泥の差 会社のカラーが音に反映されていますが当時から
音は違いましたか?スパイダース ジャガーズ カーナビーツの初期のレコードは今聴くと
レンジ狭く スカスカに聞こえます。
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当時の音質 (サイケおやじ)
2009-10-01 10:26:42
☆まさ様
はじめまして♪
コメントありがとうございます。

さて東芝の音作りは黛ジュンあたりの歌謡曲でも顕著なんですが、低音域が当時としては画期的にヘヴィでした。
それもLPよりは45回転のシングル盤で聴く方が迫力を感じます。ゴールデンカップスのシングル盤にも、それが表れているんじゃないでしょうか。
しかし同じ東芝系列でもランチャーズの音源は、もう少し軽い感じですよね。きっと音楽性や持ち味でプロデュースを変えていたのかもしれません。

フィリップス系列のGS音源は、仰るとおり、東芝やコロムビア等々と比較して、スッキリしていると思います。しかしカーナビーツとか演奏そのものがラフ&シンプルなバンドには、それで良かったようにも感じますね。

このあたりはアナログ盤しか聴いていませんから、現行CDと音質の比較が出来ないので断定はしませんが、かなり興味深いご指摘だと思います。

あぁ、CDが欲しくなりましたですよ♪
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