OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ジャズ一家

2007-01-18 19:25:30 | Weblog

仕事とはいえ、やっぱり人を奈落の底に突き落とすようなことはしたくない……!

と思いつつ、やはりシビアな場面では決断するより仕方が無い……!

鬼と呼ばれようとも、守るべきものは守るのが、仕事だなぁ……!

とハードボイルドを気取ってみても、虚しさを感じることが、最近多いです。

ということで、本日はこれを――

Soul Trombone / Curtis Fuller (Impulse)

一応カーティス・フラーのリーダー盤となっていますが、The Jazz Clan というバンド名がジャケットに入っています。訳して「ジャズ一家」!?

その構成は、フレディ・ハバード(tp)、カーティス・フラー(tb)、ジミー・ヒース(ts)、シダー・ウォルトン(p)、ジミー・メリット(b)、ジミー・コブ(ds) という強力なメンバーであり、1曲だけ G.T.ホーガン(ds) が、ジミー・コブと交代参加していますが、実際にライブ活動していたんでしょうか? だとすれば、なかなか烈しいバンドだったと思います。

ちなみに録音は、1961年11月15~17日という、つまり主力メンバーがジャズ・メッセンジャーズやマイルス・デイビスのバンドでバリバリやっていた時期と重なりますから、それだけで満足してしまう演目も、なかなか美味しいものが揃っています――

A-1 The Clan
 カーティス・フラーのオリジナル曲で、これってジャズ・メッセンジャーズの定番曲「A La Mode」と、ほとんど同じですねぇ~♪ ちなみにその曲は、約半年前に同じインパルスレーベルに吹き込まれていますから、まあ、いいか……、なんでしょう。
 で、ここでの演奏は、もちろんモード手法に基づいたもので、先発のカーティス・フラーはツボを押えた快演ですし、続くフレディ・ハバードも熱血でブッ飛ばしますので、これは前述のジャズ・メッセンジャーズ・バージョンに参加していたリー・モーガンと聴き比べる楽しみもありますですね。
 個人的は圧倒的に、こっちのバージョンが好きなんですが、それはジミー・コブのメリハリの効いたドラムスとフレディ・ハバードの相性がバッチリ! という理由です。
 またシダー・ウォルトンもスピード感満点♪ 呻きながらの熱演です。、

A-2 In The Wee Small Hours Of The Mornig
 フランク・シナトラの十八番として有名なスタンダード曲を、カーティス・フラーがハスキーな音色で優しく吹いてくれます。バックを彩るトランペット&テナーサックスのハーモニーアンサンブルも暖かくて、良いですねぇ♪
 またシダー・ウォルトンの伴奏が、けっこう厳しい音使いというか、クールに熱くて好感が持てます。もちろんアドリブソロもシブイ!

A-3 Newdles
 これもカーティス・フラーのオリジナル曲で、変則的なファンキー・ブルースというよりも、ゴスペル・ハードバップですねっ♪ う~ん、テーマ吹奏からして、もう、たまりません!
 アドリブパートでも、まず先発のフレディ・ハバードが大ハッスル♪ バリバリと吹きまくれば、続くジミー・ヒースは王道を行くスタイルでテナーサックスの醍醐味を聴かせてくれます。
 そしてカーティス・フラーは、特有のハスキーな音色を活かしてオトボケ&ファンキーなフレーズを連発! それは一緒に口ずさめる楽しいものです♪
 もちろんリズム隊の好演は言わずもがなで、歯切れ良くヘヴィなビートを敲き出してくるジミー・コブ、ブンブンブリブリにドライブしているジミー・メリット、そして意外に冷静なシダー・ウォルトンが、それぞれに存在感をアピールしているのでした。

B-1 The Breeze And I / そよ風と私
 あぁ、こんなにカーティス・フラーに合っている選曲があるでしょうか!?
 とジャケットで演目を確認した瞬間から楽しみにしていたラテンの名曲ですが、なんとアレンジには厳しさがあって、単なるホンワカバージョンになっていません!
 それはハードなジミー・コブのドラムスと彩り豊かなシダー・ウォルトンのピアノがキモになっているようですし、カーティス・フラーのアドリブソロも緊張感がある好ましさです。
 しかし一番良いのは、テーマ部分のフレディ・ハバードじゃなかろうか……? 肩透かし、ごめんなさい……。

B-2 Dear Old Stockholm
 これもジャケットで演目を確認した瞬間から、楽しみになっていたトラックです。
 もちろん、スタン・ゲッツの名演があまりにも有名な、あの哀愁のスウェーデン民謡ですから!
 で、ここでの演奏は、まず定石どおり、最初はスローテンポの展開で、カーティス・フラーが思わせぶりにテーマを吹いてくれます。
 そして一瞬の静寂から力強いテンポへと移行し、モード系のノリも交えつつ、カーティス・フラーが歌心優先のアドリブソロですから、たまりません♪ 続くジミー・ヒースは、やや調子が出ていない雰囲気ですが、フレディ・ハバードは本領発揮のクールな情熱で、その場を熱くしてくれます。
 もちろんリズム隊は、ここでも好調です、ドラマーがG.T.ホーガンに交代していることも気になりません。特にジミー・メリットは大波の如きウネリのあるベースソロで健闘しています。
 ラストテーマの部分は、もちろんスローテンポに戻して余韻を残す手法も、常套手段ですが、憎めません。

B-3 Ladies' Night
 最後は再びカーティス・フラーのオリジナル曲ですが、ほとんどスタンダード曲「Speak Low」の焼き直しみたいな雰囲気です。しかし中間部にファンキーなリフを入れたりして楽しさは保証付き♪ 本当に上手いですねぇ~♪
 快適なテンポでアドリブするカーティス・フラーもノッていますし、ジミー・ヒースは1950年代のジョン・コルトレーンみたいです。またフレディ・ハバードは珍しくもオトボケ路線、シダー・ウォルトンは手堅い歌心という、つまりは楽しさ満載という仕上がりになっています。
 まあ、こうゆう曲調とか演奏が当たり前に出来たのが、この当時のジャズだったというオチが付いているように思います。良い時代でした。

ということで、気軽な雰囲気が横溢した作品です。けっして名盤ではありませんが、気になるアルバムというところでしょうか。

仕上がり具合は良く纏まっており、それはリズム隊の素晴らしさゆえだと思います。特にジミー・コブのビシッとタイトなドラムスとシダー・ウォルトンの相性は良く、またジミー・メリットの太いグルーヴも流石です。

あぁ、このトリオでアルバムを作っていたら名盤になったろうなぁ……。

と、このアルバムを聴く度に何時も思うのが、個人的な結論でした。

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6 コメント

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Curtis Fuller (KOJI)
2007-01-18 20:57:29
今晩は!
つい最近、上記についてコメントしていたんですけど、このアルバムはまだ未聴です。因みに、Epic レーベルからThe Magnificent Trombone of Curtis Fuller" がありますが、これはなかなかの内容です。
Straight Jazzナンバーもあれば、バラード曲もあり、充実しています。
では!
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フラー (67camper)
2007-01-18 23:08:11
サイケおやじさん、こんばんわ。このアルバム、約30年前に入手しました。当時,国内盤はフラーのリーダー盤はどれも廃盤で新潟のレコード屋にはブルースエットとこれしかなかったのです。
最初に,ブルースエットを手に入れたのは言うまでもありません。じゃあこれもって感じで,サイケおやじさんと同じく"Dear Old Stockolm"に期待して購入したのですが、ちょいガッカリした記憶があります。良かったのは御指摘のように"Breeze And I"
でしたね。それから,フラーもどんどん再発されましたね。
 やっぱり"South American Cookin'”が思い入れ多いですよね!http://blog.goo.ne.jp/67camper/e/7557676683945d41c495e0cdd374d072
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マグニフィセント♪ (サイケおやじ)
2007-01-19 17:44:10
☆KOJI様
コメント感謝です。
「The Magnificent Trombone of Curtis Fuller」も素敵ですねっ♪
私の好きなレス・スパンが入っていますし、演目も本当に充実でした。
私のアナログ盤は、かなり痛んでいますので、CD再発を熱望しているんですが……。
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美味しい南米料理 (サイケおやじ)
2007-01-19 17:48:27
☆67camper様
コメントありがとうございます。
演目に素直に騙されるというのも、ジャズ者の宿命かもしれませんね(苦笑)。
「South American Cookin'」は、その点、メンツも演目も大正解というか、ハズレ無しの合格名盤でしょう♪

ところでカーティス・フラーって1960年代中頃にはリーダー盤作っていませんが、何故でしょう?
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Fuller record (KOJI)
2007-01-19 18:40:17
まだ、アナログで聴けますよ。この間、Disk Union で1,480円 (輸入盤)で買えましたよ。お買い得だと思います、こんな名盤!
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気分や中古屋へ (サイケおやじ)
2007-01-21 18:06:57
☆KOJI様
情報ありがとうございます♪
来週末は、ちょっと暇が取れそうなんで、久々に中古屋巡りを計画しています。
ワクワクするなぁ~♪
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