■ニースのポストカード / 水島ゆみ (Elektra / ワーナーパイオニア)
逃げの一手で続けております「この人」シリーズの大台百人目は、おそらくはアイドルシンガーであったと思われる水島ゆみです。
彼女に関しては、掲載盤を含めて中古ゲットした2枚のシングル盤を所有しているのですが、ジャケットスリーブ裏にもプロフィールが記載してありませんし、レコードそのものも白抜きレーベルの「見本盤」ですから、それらが発売された昭和55(1980) ~ 同56(1981)年当時の彼女が、どのような活動を行っていたのかは、少なくともサイケおやじの記憶には全くありません。
しかし、レコード制作方針は完全にポップス系アイドル歌謡の王道路線を狙っていた様で、この掲載盤A面曲「ニースのポストカード」にしても、なんとっ!
聴いて吃驚というか、イギリスのポップスバンドとして、1970年前後に我が国でも人気があったヴァニティ・フェアのヒット曲「しあわせの朝 / Early in the Morning」の日本語リメイクカバーだったんですねぇ~~!?!
尤も、我が国では、この「しあわせの朝 / Early in the Morning」はクリフ・リチャードのカバーバージョンが1969年末頃から大ヒットしており、ヴァニティ・フェアのオリジナルバージョンは本家でありながら、後追い的にヒットしたという経緯も懐かしいところなんですが、それはそれとして、こ~ゆ~懐メロ洋楽路線でアイドルを売っていこうとする企画は、もしかしたら、その時点をリアルタイムで過ごし、オンタイムでは既に二十代後半のプレおやじ連中をもターゲットにしていた戦略だったとしたら、失礼ながら、彼女の歌唱力では…… (^^;
そこで制作クレジットを記載しておけば、原曲はイギリスを中心に活動していたソングライターコンビのマイク・リーンダー&エディ・シーゴが書いたソフトロックなポップロックで、日本語歌詞を附したのは川野珠音、そしてアレンジは後藤次利とされています。
しかし、聞かれるサウンドがELO風味とはいえ、サイケおやじには、どこかしら煮え切っていない印象で、シンプル過ぎるリズムアレンジと中途半端なエスニック調の彩りも、水島ゆみの声質や節回しには荷が重いというか……。
ということで、なんとも、実に勿体無いばかりの水島ゆみではありますが、このシングル盤が世に出たとされる昭和56(1981)年5月と云えば、所謂「80年代アイドル」大ブームの勃興期であり、大ヒットを放って芸能界に生き残ったスタアと空振りを繰り返してバラドルに転身したり、あるいは圧倒的に多かったのが泡沫組という熾烈な状況が、その頃に制作発売されていたレコードに刻まれ、今も様々に我々を楽しませてくれている、その至福には感謝するしかないと思っております。
最後になりましたが、前述したヴァニティ・フェアについては、何かしら書こうと思いつつも幾年月……。
この機会に、ちょいとレコードを取り出してみようかなぁ~~ (^^)