OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ド真ん中のハードバップ

2007-12-30 16:29:38 | Weblog

今日は大荒れの天候です。風も強くて風雪模様!

巷ではお正月の準備であれこれ賑やかとはいえ、私は仕事のあれこれに追われています。

そして朝一番に聴いたのが――

High Pressure / Red Garland (Prestige)

ブレスティッジが十八番とする一気録音、所謂マラソンセッションから作り出されたアルバムで、リアルタイムでのハードバップの熱気が存分に楽しめる1枚です。

録音は1957年11月15日、メンバーはドナルド・バード(tp)、ジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(p)、ジョージ・ジョイナー=現ジャミール・ナッサー(b)、アート・テイラー(ds) という文句無しの顔ぶれです――

A-1 Soft Winds
 ベニー・グッドマン作曲のブルースというよりも、ハードバップのファンにとってはジャズメッセンジャーズの「カフェ・ボエミア(Blue Note)」でのグルーヴィな熱演が印象深いところでしょう。もちろんここでも、その再現を期待してしまうのですが、愕いたことに、バンドは最初っから猛烈な勢いでブッ飛ばします。
 レッド・ガーランドの止まらないアドリブは、やがて「お約束」のブロックコード弾きで山場を作るのですが、何時も以上に華麗なフレーズ、手数の多いところが新機軸でしょう。
 そしてこのテンポならば、俺に任せろのジョン・コルトレーンが、完成間近のシーツ・オブ・サウンドで大奮闘! ウネウネクネクネとスケール練習みたいなフレーズばっかりですが、やっぱり快感なんですねぇ~~♪ レッド・ガーランドも途中で伴奏を止め、次の瞬間に烈しく煽っていくところはスリル満点です。
 またドナルド・バードが些か手癖っぽいフレーズとはいえ、流麗なスタイルを聞かせてくれますし、リズム隊の息の合ったリフ攻撃とか、あるいは唯我独尊のジョージ・ジョイナーも、これがハードバップという安心印の快演なのでした。
 爽快っ!!!
 
A-2 Solitude
 続いてはデューク・エリントンが書いた有名曲が和みの快演ですから、このプログラムは良く出来ています。もちろんペースを作るのはレッド・ガーランドの甘さを含んだブロックコード弾きによるジンワリとしたテーマメロディですからねぇ~~♪
 そしてアドリブパートに入って輝くのが、ドナルド・バードの素直なトランペットです。とても分かり易くテーマを変奏しつつ、流麗なフレーズ展開はこの人の持ち味全開でしょう。
 しかしジョン・コルトレーンは厳しいですねぇ。こういう歌物になると発揮するハードボイルドな魅力が、ここでは少しばかり空回りとはいえ、それだからこそ演奏全体に緊張感が付加されたと思います。
 またジョージ・ジョイナーの無骨なベースソロも良いアクセントになっていますから、レッド・ガーランドの甘さが嫌味になっていないのでした。
 
B-1 Undecided
 これもベニー・グッドマン楽団やスイング時代のバンドでは定番演目になっていた調子の良い曲なんですが、ハードバップ時代にも、このバージョンやジャズテットの演奏が人気を集めています。
 特にここではアップテンポで疾走するバンドの勢いが素晴らしく、ジョン・コルトレーンは本領発揮! さらにドナルド・バードが絶好調の全力疾走ですから、たまりません。リズム隊を置き去りするような感じさえあるのでした。

B-2 What Is There To Say ?
 個人的にはビル・エバンスの演奏で好きになったスタンダード曲ですから、レッド・ガーランドがどのように料理しているか、このアルバムの中では聴く前から、一番興味のあったトラックでした。
 まずレッド・ガーランドが十八番のブロックコードで和みのテーマメロディを弾いてくれますが、ややテンポが速いかなぁ……。本当はビル・エバンスのようにスローで演じて欲しかったのですが、そう思っていると、絶妙の雰囲気で入ってくるジョン・コルトレーンが素晴らしい! テーマメロディをとても上手く変奏し、さらにドナルド・バードが、これまた最高に輝かしい吹奏です。
 短めの演奏なんですが、魅惑の原曲を活かしきった名演だと思います。しかし聞き終わった時には、ビル・エバンスの演奏が聴きたくなるのも、また本音なのでした。

B-3 Two Bass Hit
 これはレッド・ガーランドやジョン・コルトレーン、あるいはアート・テイラーまでもが在籍していたマイルス・デイビスのバンドではライブの定番演目でしたから、ここでの手慣れて熱い演奏は素晴らしい限り!
 まずリズム隊のテンションの高さは特筆物ですし、熱血のドナルド・バードに突進するジョン・コルトレーン! このあたりは天国と地獄のゴッタ煮状態です。

ということで、豪華なメンバーで良く知られた演目という安心感がありますから、この程度の出来栄えは当たり前のアルバムかもしれません。

しかし、こういう安定感とか当たり前の凄さみたいなものは、いろいろな条件が揃って初めて可能なものだと思います。それは時代にリアルタイムな勢いとか、メンバーのヤル気とか、プロデュースの匙加減とか!

当たり前過ぎて名盤になれない作品の最右翼かもしれませんね。このタバコのジャケットも好きです。

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