あまり言いたくないけど、亀田親子の潔くない態度は美しくないです。ああいうのを見せられると不愉快だし、もう謝罪はないのかと思いきや、突然、相手方に謝りにいってみたり……。
ということで、本日は潔いこれを――
■Hi-Nology / 日野晧正 (Takt / 日本コロムビア)
日野晧正が一番カッコ良かった時代のアルバムですが、それにしても「日野学説」とは大きく出た作品タイトルですねぇ。
しかしこれが発売された当時、つまり昭和44(1969)年頃の日野晧正は、若者向けの雑誌とか放送メディアでは絶大な存在感でした。それは音楽面だけでなくファッションとかライフスタイルにまで影響を及ぼしていたのです。当に人気絶頂!
そして肝心の音楽性は、その頃の新しい流れであったジャズロックやエレクトリックサイケを躊躇する事無く取り込んだ斬新なモダンジャズ!
まあ、正直に言えば、当時のマイルス・デイビスを後追いしたものですが、それを自ら率いた新編成のクインテットで追及したところに潔さが感じられます。なにしろアルバム初っ端の曲タイトルが「Like Miles」ですからねぇ~♪
録音は1969年7月31日、メンバーは日野晧正(tp)、村岡建(ts)、鈴木宏昌(key)、稲葉国光(el-b)、日野元彦(ds) という伝説的な5人組! 演目も全てオリジナルで固めています。
A-1 Like Miles
いきなりタイトルどおり、マイルス・デイビスの問題作「マイルス・イン・ザ・スカイ(Columbia)」のド頭に入っていた「Stuff」をパクッたような演奏ですが、曲タイトル故に憎めません。
ここでも淡々とした8ビートとエレピの響きが心地良く、もちろんテーマメロディはモロにマイルスしています。
ところが日野元彦のドラムスが我慢出来ない雰囲気で激していくんですねぇ~。若さ溢れるというか、ちょっと録音の按配で音が軽い感じなんですが、黙々とリフ中心にグルーヴを作りだす稲葉国光のエレキベースや鈴木宏昌の味なエレピとは、相性がバッチリです。
そして日野晧正のトランペットが、どーしてもマイルス・デイビスしてしまいますが、続く村岡建のテナーサックスが電気的なエコーも感じられる好演です。もちろんそこにはウェイン・ショーターやジョー・ヘンダーソンの影響が大きいわけですが、それでも充分に個性的で熱くさせられるのでした。
それと実は主役という鈴木宏昌のエレピが、本当に最高です♪
A-2 Electric Zoo
いきなり日野元彦のドカドカ煩いドラミング! そして痛快なテーマが出てくるところで、参っちゃいますねっ、私は!
一応、擬似4ビートのロック的な展開もあって、アドリブパート先発は村岡建の熱いテナーサックスです。さり気なくフリーな部分も聞かせていくあたりもニクイです。
そして日野晧正は、そのフリーなところから絡んできて、これまた熱いバンド間のインタープレイ! 渾身の吹きまくりは、真似っこだなんて言えないところが、確かにあります。
また鈴木宏昌以下のリズム隊が真摯な演奏です。フリー主体とはいえ、けっこう幻想的で分かり易いところは好感が持てますし、自然体で4ビートに持っていくあたりのイナタイ良さには、シビレます。
クライマックスで炸裂する日野元彦のドラムソロもシャープ!
B-1 Hi-Nology
アルバムタイトル曲は、新主流派にどっぷりという雰囲気モードです。ミディアムテンポの勿体ぶったところから激烈な8ビートに突っ込んでいくテーマ合奏のカッコ良さ!
そしてアドリブパートはアフロロックみたいなビートに彩られ、日野晧正が慎重に歩みを進めていきます。あぁ、ここは当に1960年代末の雰囲気が存分に味わえますねぇ。ビリビリと蠢くエレキベースに浮遊感のあるエレピの響き……♪ 日野晧正のアドリブも素晴らしく、とても冷静には聞いていられず、グッと惹き込まれてしまいます。
さらに村岡建のテナーサックスがズブズブのモード節に加えて、巧みなファンキーフィーリングを入れていますから、たまりません。高音域のヒステリックなフレーズが、猛烈な快感を呼び覚まします。ちなみに背後で叩かれるタンバリン(?)は日野晧正でしょうか? あぁ、熱くなります!
すると鈴木宏昌のエレピが、スウゥ~とクールダウンさせてくれるんですねぇ~♪ とはいえ、まだまだ熱い日野元彦のドラミングがっ! もう、ど~しようもねぇですだぁ~♪ 熱いっ!
実際、凄い名演だと思うのは、私だけでしょうか……!?
B-2 Dupe
オーラスは正調8ビートに被ってエレクリックなキーボードがジワジワと迫り、稲葉国光のエレキベースが地を這い回ります。
そしてグィッと始る威勢の良いテーマ! 如何にも1969年っぽい演奏になっていますねぇ~~~♪ 本当、カッコイイです!
もちろんというか、日野晧正はマイルス・デイビスを痛切に意識したアドリブの雰囲気に終始しますが、そのトランペットの響きは明らかに別物で、熱演だと思います。
そして途中からフリーフォームに絡んでくる村岡建のヤケッパチのテナーサックスが痛快です。当然演奏はフリーロックに発展♪ 日野元彦のドラミングが実に爽快ですし、稲葉国光のベースもエレキを感じさせない響きになっていきます。
ラストテーマへの疾走感には、もはや悶絶しかありません。
というこのアルバムは、当時のジャズマスコミでも賞を受けたりしたようですが、反面、ジャズ喫茶に集うようなファンからは忌み嫌われたと言われています。
そこにはマスコミに持ち上げられ、普段はジャズを聞かないような女の子のファンも多かった人気スタアに対するヤッカミもあったかもしれません。そして自身のトレードマークだったレイバンのサングラスを上手くデザイン化したレコードジャケットも、カッコ良過ぎましたねぇ。
そんなところもあってか、日野晧正は翌年になるとバンドを解散して海外に行ってしまい、そこからしばらくは、単純にカッコ良いジャズを止めてしまいましたから、このアルバムの輝きが一層、眩しいのです。
ちなみにオリジナル盤は、当時としては音が良いとされていましたが、個人的には??? キーボードが引っ込んで部分的にはエレキベースと渾然一体になったような煮え切らなさを感じていました。
で、今、聴いているのは2年ほど前に出た紙ジャケット仕様の復刻CDで、リマスターが私の好みにジャストミート! 気になっていた楽器の混濁性も改善され、よりダイナミックな演奏が楽しめています。
そして嬉しいボーナストラックとして東宝映画「白昼の襲撃」からのサントラ音源が2曲入っています。
まず「Snake Hip」がストレートな8ビートのジャズロックで、アップテンポで疾走するバンドのノリが最高! 日野元彦のドラムスも弾けまくっていますし、日野晧正&村岡建のアドリブも分かり易い凄さに満ちています。
さらに「白昼の襲撃のテーマ」が、これまたカッコ良いです。衝動的なテーマメロディの素晴らしさ、日野元彦を要にしたリズム隊の躍動感がたまりませんねっ♪ メンバー各々のアドリブパートも凝っているようで実は素直なところがありますから、これも聞き易いです。
告白すれば、私はこの2曲が欲しくて、このCDを買ったのです。リアルタイムでは「ヤング720」とかのテレビ出演も多かったバンドですから、この曲も聞いていましたが、今更ながらにカッコイイ! と思うのでした。
あ~懐かしや。リアルタイムでLP買いました。高校生でした。
内容はもうほとんど忘れていましたが、サイケおやじさんのレビュー読んで、少し蘇ってきました。
テレビ出まくってましたね。ジャズって格好いいじゃんって感じでした。
コメント感謝です。
当時の日野晧正のテレビ出演映像の復刻が望まれますね。あのカッコ良いファッション、身を捩って吹きまくるトランペット!
最初に見た時はGSより凄いと確実に分かりました。「サマータイム」とか「ワークソング」を演じていたのです。