OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

モダンディキシー

2007-06-03 18:13:51 | Weblog

仕事が煮詰まってきたんで、久々にバイクでブッ飛ばしてきました。

もちろん休日で初夏の快晴だったんで、バイクで楽しむ者を大勢見かけましたが、女の子を乗せているのなら、服装に気を使って欲しいなぁ……。

つまり半袖とかホットパンツ姿は、事故った時に危ないよ~。好きな女の子に大きな傷跡を残さない配慮が、ねぇ。

と思っていたら、けっこう大きなバイク事故に遭遇! 命あってのモノダネです。

ということで、本日は――

Mainstream Of JAZZ / Gerry Mulligan (EmArcy)

ジェリー・マリガンはジャズ界バリトンサックスの王様として、人気実力ともに最高の白人プレイヤーですが、それにしても、この大上段に構えたアルバムタイトルは、凄いですねぇ~!

まあ、レコード会社側の命名かもしれませんが、よっぽど自信があったんでしょう。

と、そんな心配はご無用の素晴らしい演奏が、実際、たっぷり入っています。

録音は1956年1月&9月、メンバーは両セッションで多少異なりますが、ジェリー・マリガン(bs,p)、ボブ・ブルックマイヤー(v-tb)、ズート・シムズ(ts)、デイヴ・ベイリー(ds) が不動です。

そして1月のセッションにはジョン・アドレー(tp) とビル・クロウ(b) が、9月のセッションにはドン・フェララ(tp) とペック・モリソン(b) が参加していますが、いずれも実力者ですから、その演奏は保証付き――

A-1 Elevation (1956年9月26日録音)
 ジェリー・マリガンが十代の頃に書いたとされるブルースですが、このソフトでウキウキする曲調には黒っぽさが皆無です。
 しかしテーマ部分から快適なビートに乗って絡み合う管楽器の気持ち良さは、ジャズ以外の何物でもありません。
 それはアドリブパートでも、例えば先発で歌心とドライブ感の両立を聞かせるジェリー・マリガン♪ そしてその背後からジワジワと迫ってくるホーンアンサンブルが、たまりません。というか、あくまでもアドリブ奏者がメインなんですが、私は聴いているうちに、早くホーン・アンサンブルが絡んでこないかなぁ~♪ と期待してしまうほどの快感が、演奏を通して続きます。
 もちろんアドリブパートの充実は言わずもがなで、特に軽くドライブするズート・シムズは流石だと思います。
 それとドラムスとベースが終始、安定したビートを送り出しているあたりも要注意! それがあればこそのアンサンブル、特にラストテーマでのホーン陣の自在な絡みの部分には、ワクワクさせられます♪

A-2 Mainstream (1956年1月25日録音)
 心地良い倦怠感が楽しいジェリー・マリガンのオリジナル曲ですが、やはりキモはホーンアンサンブル♪ ちょっと古き良き時代風のテーマから、ジェリー・マリガンとズート・シムズの絡みアドリブが、ウラになりオモテになって、最高に聴かせます。ディキシーのモダン化!
 すると続くジョン・アドレーは、いささか芝居がかった黒っぽさをやってしまいますが、その基本を大切にした姿勢は好感が持てますし、背後を彩るアンサンブルも流石です。
 またボブ・ブルックマイヤーにとっては、こういう雰囲気は十八番とあって、これも名演でしょう。緩いビートが心地良いグルーヴになっているリズム隊とのコンビネーションも最高潮♪ 最終パートの絡み合いなんか、ずっしり重いビル・クロウのベースがあればこそだと思います。

A-3 Ain't It The Truth (1956年1月25日録音)
 これはカウント・ベイシー楽団の演目だったでしょうか? とにかくカンサスシティ風の楽しい中間派ジャズが楽しめます。
 しかしアドリブの中身はモダンジャズ色が強く、絶妙なノリと歌心を披露するジェリー・マリガンやスイング感満点のズート・シムズは、流石です。
 それと日本では人気薄のボブ・ブルックマイヤーの歌心! 私は大好きなんですがねぇ~♪ ジョン・アドレーの張り切ったトランペットも、なかなかです。
 そして演奏は、またまたラストに向けて集団即興演奏とアレンジされたパートの融合が、本当に、お見事! これがジェリー・マリガンのバンドでは、ウリです。

B-1 Igloo (1956年9月26日録音)
 ビバップの名残が感じられる曲ですが、相変わらずホーンセクションの絡みとシンプルなリズム隊のコンビネーションで聞かせる構成が、快感です。
 アドリブパートは、いずれの奏者も好演ですが、特にボブ・ブルックマイヤーが素晴らしいですねぇ~~~♪ それとアンサンブルの中から、スゥ~と飛び出してくるズート・シムズ! 全く上手いですし、後半では、もうひとつ出番があるんですよっ♪
 またデイブ・ベイリーのブラシも良い感じ♪ ベースのウォーキングからラストテーマに流れるあたりも、痛快です。
 
B-2 Blue At The Roots (1956年9月26日録音)
 ジェリー・マリガンのピアノがイントロというか、前フリのアドリブになっています。そしてボブ・ブルックマイヤーがノンシャランに入って軽く雰囲気を作っているあたりが、最高です!
 続くズート・シムズも適度に黒く、ドン・フェララはクールにキメまくりですからねぇ~♪ これぞジャズの楽しさだと思います。
 なによりも、力んでいないところが素敵です。あぁ、こういうブルースも、有り!? ですねぇ♪

B-3 Lollypop (1956年9月26日録音)
 オーラスはチコ・ハミルトン楽団の演目ですから、デイヴ・ベイリーも気合が入ったブラシを聞かせてくれます。
 そしてアップテンポで豪快にドライブしまくるジェリー・マリガンが痛快! 背後を彩るホーンアンサンブルも味わい深いところです。
 またドン・フェララとズート・シムズは、かなりハードバップに傾斜していますが、逆にボブ・ブルックマイヤーが正体不明のモゴモゴスタイルで、私は大好きです。この人の演奏には、何時だって不思議な歌心があるんですよっ♪

ということで、アルバムを通して同じようなコンセプトの演奏ばかりなんで、やや飽きるかもしれませんが、一端その魅力にとりつかれると、抜け出せません。ホーンアンサンブルはアレンジされた部分と即興での絡みの2本立てですが、どこまでが譜面なのか!? そういうスリルが満点なんですねぇ~♪

実は、この時期のジェリー・マリガンは、ここで聞かれるような中編成のバンドで、似たような演奏を沢山吹き込んでおり、その中から3枚のアルバムが編纂されましたが、出来としては、これが一番じゃないでしょうか?

ソフトなようでいて、実はジャズのハードコアな部分にも接近した傑作だと思います。


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2 コメント

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また来ました (ふゆこ)
2007-06-03 19:52:18
 あっちこっちで支離滅裂な書き込みをしてご迷惑おかけしてますが・・・バイクで風切るって爽快なのでしょうね
 趣味が沢山おありで羨ましいです、ジャズは好きという
だけで「人に語れる知識」などありませんが 今日の作品は私が生まれた頃のものが殆どのようで ふと目にとまりました。
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バイクとジャズ (サイケおやじ)
2007-06-03 20:35:49
ふゆこ様
コメントありがとうございます。

バイク好きは、父の遺伝です、多分(苦笑)。
風を切る感覚も良いですが、今は独りになれる瞬間が貴重というか……。

ジャズは気持ちですよ。
聴いて気持ち良ければ、それていいと思います。
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