■Ms. / 南沙織 (CBSソニー)
ある事情から昔のメモを読み返していたら、昭和53(1978)年の今日、つまり9月8日、若き日のサイケおやじは掲載した南沙織のシングル盤を買っていました。
もちろん皆様ご存じのとおり、これは同年10月に歌手を引退した彼女の実質的な最後の新曲ですから、デビュー期から作品を提供していた有馬三恵子の綴った歌詞には集大成的な意味合いを強く感じてしまいますが、同じ立場の筒美京平の作編曲には、それほど感傷的なフィーリングは滲んでいない雰囲気で、むしろ既に新種の歌謡曲になっていたニューミュージックが色濃い仕上がりになっているのは、失礼ながら些か煮え切りません。
以下はあくまでもサイケおやじの独断と偏見による当て推量になりますが、この「Ms.」は所謂「詞先」だったような気がするんですねぇ……。
とすれば、流石の筒美京平の書いたメロディラインにイマイチ、フックが感じられないのも納得するしかないんですが、逆に考えれば、あえて起承転結をはっきり着けないところに過剰な感傷を避け、余韻を漂わせつつ、南沙織という素晴らしいスタアシンガーがフェードアウトしていくという演出を狙ったのでしょうか?
いやいや、そんな意見はやっぱり不遜と反省すべきと自戒しています。
なにしろ彼女の意想外とも思えるソウルフルな節回しを彩る女性コーラスは爽やかな印象ですし、これまた如何にものバック演奏がライトタッチのAOR風味とあっては、ここは素直に彼女を祝福するのがファンの務めであったはずです。
恥ずかしながら、今頃になって、その胸キュン性感度の強さに泣きそうになっている自分に気がつくサイケおやじは……。
ですから、う~ん、今日は書くのを、このあたりでフェードアウトさせていただきます。
失礼致しました。