■Smile / The Beach Boys (Capitol)
夢と現実のギャップは常に人生の裏表であり、悲喜こもごも……。
例えばビーチボーイズが1960年代半ばに制作しながら、結局は完成出来なかった「スマイル」というアルバムも、大衆芸能史を飛び越えた様々な「お騒がせ」の象徴として、決して忘れられることはないでしょう。
なにしろ「スマイル」専門の研究家は世界中に数多存在していますし、ビーチボーイズ本人達にしても、未完成のマテリアルを困った時の「打出の小槌」の如く使い回し、しかも黙っていられずに内幕や秘密をリークする関係者、あるいは強欲なブート業者の跳梁跋扈もありましたから、マニアばかりか、一般的なファンまでもが、これまで散々「スマイル」には幻惑されて来ましたが……。
なんとっ! その渦中のど真ん中で騒動の張本人とも言うべきブライアン・ウィルソンが、2004年にソロアルハムではありますが、完成させてしまったのですから、穏やかではありません。
それはサイケおやじにしても大きな衝撃で、問題の「スマイル」が世に出る事になった時には拙サイト「サイケおやじ館」で経緯特集までも進行させたのですが、正直なところ、ブライアン・ウィルソンのバージョンには納得出来ず、それゆえに拙稿も中断せざるをえませんでした。
その一番の問題点は、なによりもビーチボーイズで作られてないことに尽き、それを補う様に同時期のブート業界が決定的なブツを何種類も出したのですから、たまりません。
例えば2008年に出た「Smile Deluxe Edition (DTCD2680)」というCD2枚組は、前述したブライアン・ウィルソンのバージョンを参考に、これまでにビーチホーイズが残した公式&ブート音源を駆使して纏め上げた「DISC-1 / SMILE purple chick version」、そしてスマイル研究家集団が長年調査して纏めたという「DISC-2 / SMILE millennium edition」のカップリングセットとして音質も最高に良かったことから、局地的にバカ売れの隠れベストセラー!?!
既に述べたように、ブライアン・ウィルソンのバージョンには不条理を感じていたサイケおやじも、これには満足させられましたですねぇ~♪
DISC-1:SMILE purple chick version
01 Our Prayer / Gee
02 Heroes And Villains
03 Roll Plymouth Rock
04 Barnyard
05 Old Master Painter / You Are My Sunshine
06 Cabin Essence
07 Wonderful
08 Song For Children
09 Child Is Father Of The Man
10 Surf's Up
11 I'm In Great Shape / I Wanna Be Around / Workshop
12 Vega-Tables
13 On A Holiday
14 Wind Chimes
15 Mrs. O'Leary's Cow
16 In Blue Hawaii
17 Good Vibrations
※BONUS TRACKS
18 Vega-Tables (vocals only)
19 Our Prayer / Gee (mono)
20 Heroes And Villains (mono)
21 Roll Plymouth Rock (mono)
22 Child Is Father Of The Man (mono)
23 Surf's Up (alternate)
DISC-2:SMILE millennium edition
01 Our Prayer
02 Heroes And Villains
03 Child Is Father Of The Man
04 Wonderful
05 With Me Tonight
06 Do You Like Worms ?
07 Old Master Painter
08 Cabin Essence
09 Good Vibrations
10 Vega-Tables
11 Wind Chimes
12 THE ELEMENTS: Look / Holidays / Mrs. O'Leary's Cow /
/ Cool Cool Water / riday Night / Good Vibrations (Reprise)
13 Vega-Tables (Reprise)
14 Surf's Up
※BONUS TRACKS
15 I'm In Great Shape / I Wanna Be Around / Workshop (mono)
16 Vega-Tables (mono)
17 In Blue Hawaii (with mono sections)
18 Good Vibrations (original lyrics)
ただし、正直に言えば、そうやって姿を現した「スマイル」は、なぁ~んてつまらないアルバムだろう……??? そう思う他は無いほど、音楽を聴くという基本的な快楽がサイケおやじには感じられませんでした。
つまり「満足」と思ったのは、あくまでも演じているのがビーチボーイズという部分に負っているのです。
こうして月日が流れました。
そして驚くべきは近々、ついにビーチボーイズ自らが監修したという「スマイルの音源集」が登場!!
つまりは1966夏~1967年初頭に行われたとする「スマイル」のセッションから、可能な限りのオリジナル企画を再現し、併せて没テイクや未完成デモ等々を編集構成した内容なのでしょうか?
しかも、これには通常の1枚物CD、所謂デラックスエディションの2枚組CD、さらにはアナログ盤2LP&7吋シングル2枚が付属した5枚組CDボックスという、それぞれにマニア泣かせの仕様が出されるというのですから、いやはやなんとも!?!
これは、暴挙じゃ~ねぇ~のかぁぁぁぁぁぁ~!♪!?
と思いつつも、既に予約は輸入盤&日本盤でスタートしていて、日本盤が2万円ほどですから、輸入盤はもっと安くゲット出来るのですが、実は詳細なプックレットや諸々のオマケの事を思えば、サイケおやじは勢いで日本盤を予約してしまいました。
ただし、恥ずかしながら、これが到着しても、きっと自分は開封することが出来ないバチアタリを、今から分かっているんですねぇ……。
でも、持っていないと不安なんですよ、これがっ!
そんな邪道な蒐集魂は最悪だと、本音で自己嫌悪するほどです。
しかし、どうにも出来ない自分が情けない……。
ちなみに意地悪な5枚組のCDには、最初期のデモ音源、別テイク、カラオケのインスト、ヴォーカルオンリーの新ミックストラック、さらにはスタジオでの談笑までもが纏められているという情報が入っていますから、目眩がしてきます。
とすれば、1CDの通常盤こそが、ようやく完成された「ビーチボーイズのスマイル」ということになるのでしょうか???
いずれにせよ、もうゲットする事に決めてしまったサイケおやじは心静かに、その日を待ちたいと願うだけなのでした。
ビーチボーイズって重くなく気持ちいいんです。
SMILEですか、金取り主義の典型ですね。
大物にはこうしたことがよくあるそうです。
私はいっさいのりませんが
音に関してはハイレゾが出てきました。
かなり良い音だそうです。
SACDなどもありますねえ。
私はレコードが一番だと思いますが。
SMILEはCDとレコードが一緒だとか…何か気にはなりますが。
あれブックマークに私のブログ名が。
ここに比べたら幼稚園程度なのに。
ビックリしました。
コメントありがとうございます。
なんだかんだ言っても、ビーチボーイズは「ペットサウンズ」以前が最高ですよっ! これはどんなマニアだって認めているところでしょう。まあ、そんなことはマニアなればこそ、口に出さない、あるいは出せないのかもしれませんが。
普通にビーチボーイズが好きならば、マイク・ラブを軽視すると、バチアタリじゃないでしょうかねぇ~。
その意味でベスト盤で楽しむビーチボーイズが最高なのは、全く正しい感性だと思います。
ハイレゾではストーンズのデッカ音源をゲットしましたが、流石に音が鋭くなっています。ただし、それゆえに物足りないというか、アナログ盤の針音や潰れてエグ味の強い音圧の楽しみが、ちょいと薄れてしまった感じが……。
ブックマークはご挨拶が遅れました(__)
これからも、よろしくお願い致します。
このような特別なパッケージでリリースされるとは、
夢にも思ってなかっただけに嬉しくもあり
また財布の中身を考えれば恨めしくもある企画で
複雑な思いしきりであります。
せめてアナログ盤のみのリリースって
やって欲しかったなぁ…。
きっとごっついブックレットが付くであろう
国内盤がやっぱり買いですよね。
コメントありがとうございます。
ファンにとっては長年の鬱積が解消される企画であり、アナログ盤が付属するのもニクイばかりですよ。
なにか、してやられたっ!
そんな気分も強いのですが、個人的には全てを投げ打つ覚悟というか(苦笑)。
これもビーチボーイズならではの贅沢かもしれませんね。