■恋はシャララで c/w あなたのことだけ / 岸ユキ (テイチク)
昭和40年代前半、殊更昭和43(1968)年前後の我が国は高度成長期も爛熟した所謂「昭和元禄」真っ盛りで、陰惨・悲惨な現実も多々ありながら、それに相反するが如き大衆の浮かれ具合は、後の「バブル期」に通ずるものが確かにありましたですねぇ~~ (^^)
ですから、当時制作発売されていた歌謡曲にしても、無責任な「お気楽」と湿っぽい「人懐っこさ」に偏向した作品が、これまた多々あり、それがGS歌謡やポップス歌謡という洋楽志向と相まって、今日までレコードという形態で残っている事は誠に喜ばしというのが、サイケおやじの偽りの無い心情です。
う~ん、ど~も……、何時もながらの回りくどい書き出しで申し訳ございません <(_ _)>
そこで手っ取り早い(?)証拠物件として取り出したのが昭和43(1968)年10月に発売された本日掲載のシングル盤でして、主役たる岸ユキは説明不要、西野バレエ団に所属した溌剌イメージのスタアでしたから、ある意味……、どんな企画でも似合ってしまう存在(?)ではありましたが……。
まずは作詞:落合武司&作曲:島豊、そして 編曲:上野正雄とクレジットされたA面曲「恋はシャララで」がミディアムアップで疑似ブーガルーな曲調に、お気楽極まりない無責任な歌詞が乗っけられた、これもひとつのGS歌謡のジャズロック的展開とでも言いたくなるほど調子のイイ歌とコーラス、そして演奏が当時の雰囲気を今に伝える仕上がりじゃ~ないでしょうか (^^♪
ですから、岸ユキが持ち前の明るさで不謹慎なムードを中和させんと奮闘(?)するあたりが逆に破天荒な印象を強調させてしまうというプロデュースが実に痛快!
そして、その反動的な仕上がりになっているが作詞:とみた・せいご&作編曲:キダ・タローが提供のB面曲「あなたのことだけ」でして、こちらは正統派GS歌謡と申しましょうか、ミディアムテンポのマイナーメロディで湿っぽい歌詞の世界が演じられますから、岸ユキの力んだ泣き節を入れた歌いっぷりが、これまた大正解 (^^♪
琴線に触れまくりのフレーズを弾くエレキギターの音色や木琴を用いた演奏パートも充実していますし、全くB面にしておくには勿体と思うばかりです (^^♪
あぁ~~、本当に昭和40年代の昭和元禄期には、どれだけ素敵なレコードが作られていたのかっ!?
その当時、多感な少年期を過ごしていたサイケおやじにしても、それゆえに全貌に接する事が叶わなかった悔しさが年月を重ねる毎に強くなってしまうのは無慈悲な現実ではありますが、せめて……、それを後追いのエネルギーに変換しつつ、これからもですねっ!
ということで、健康的なイメージだった岸ユキが、ここまで時代の風潮に染まったレコードを出してしまうという、その融通性は「昭和元禄」なればこその「許し」がキーポイントなのでしょうか?
現代はジャンル別極分化が進み、なかなかファジーなものが許されない状況だと感じておりますので、もう少し、懐の深い嗜好品が提供されん事を願っているのでした (^^;