■別れのサンバ c/w 歩きつづけて / 長谷川きよし (フィリップス)
好きな歌や演奏をレコードやCD等々で聴く場合と生ライプで接する時では、その印象が大きく異なる現実は、今更述べるまでもないとは思いますが、少なくともサイケおやじが邂逅した長谷川きよしという天才から受けた衝撃は、生半可なものではありませんでした。
ご存じのとおり、長谷川きよしは全盲というハンデがありながら、透き通った声質による絶品のボーカルと卓越したギターテクニックで聞かせる独自の世界を持ち、しかもそのほとんどを自作自演か個人的主張の強いプロデュースによって構築しているのですから、どんなに言葉を尽くしても、語りつくせるものではありません。
そして正直に告白すれば、サイケおやじは最初にラジオで「別れのサンバ」という、とても素敵な歌謡ボサノバが好きになり、次にテレビに登場した長谷川きよし本人が、とても視力を失っているとは思えないほどのパフォーマンスを披露してくれた事により、感動とか驚愕とか、そんな月並な表現以上のインパクトに襲われました。
つまり、もっと直截的に言えば、目が見えないのに、なんでこんなに凄いギターで歌えるのかっ!
心底、失礼でも、なんでもない、まさに感服!
それが昭和44(1969)年末頃の話ですから、以来既に40年からの時間が過ぎていながら、それは少しも薄れることがありません。
速攻で「別れのサンバ」のシングル盤をゲットしたのは言うまでもありませんが、イメージ的には和製ホセ・フェリシアーノという路線で売られていた長谷川きよしも、その本質にはシャンソンやボサノバはもちろん、所謂ワールドミュージックの領域を歌謡曲に活かしたものという印象です。
その意味でB面の「歩きつづけて」が、実にお洒落で気分はロンリーな歌謡フォークである事も、充分に納得させられてしまいますねぇ~~♪
ということで、とにかく「別れのサンバ」のギターパートだけでも、実演に接すると驚かざるをえません。本音を言えば、レコードでのギターはセッションミュージシャンがやっていたのかもしれませんし、サイケおやじも思い込んでいたんですが、ライプでは本人が、さらに凄いギターワークを披露してくれるんですから、存在感は圧倒的でしょう。
長谷川きよし、本当に凄いです!