OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

シカゴ系メロームード

2007-10-16 17:06:45 | Weblog

今日も仕事で腹の探り合いが続き、油断がなりません。

そこで和み系のビアノトリオを聴いてみました――

Dodo's Back ! / Dodo Marmarosa (Argo / Cadet)

今やすっかりジャズピアノトリオの人気定番となったアルバムですが、日本では1970年代にひっそりと発売され、ジワジワと愛聴されていった……、と思います。確か廉価盤だったような……。

とはいえ、その内容は一聴、忽ち虜になる素晴らしさで、特に全篇から滲み出る哀愁というか、泣き濡れた心情吐露と寂寥感にグッと引込まれてしまうのです。

選曲も地味ながら、実に琴線にふれまくりの素晴らしさ♪ 本当にシブイですねぇ~。

録音は1961年5月9~10日のシカゴ、メンバーはドド・マーマローサ(p)、リチャード・エバンス(b)、マーシャル・トンプソン(ds) となっています――

A-1 Mellow Mood
A-2 Cottage For Sale
A-3 April Played The Fiddle
A-4 Everything Happens To Me
A-5 On Green Dolphin Street
B-1 Why Do I Love You ?
B-2 I Thought About You
B-3 Me And My Shadow
B-4 Tracy's Blues
B-5 You Call It Madness

まずA面ド頭の「Mellow Mood」で泣いてしまいます。曲はドド・マーマローサのオリジナルで、ミディアムテンポでマイナー調のメロディが優雅な雰囲気で奏でられいく、その節々に抑えた「泣き」が滲んでいるのですから、心底、シビレます。

また続く「Cottage For Sale」も、ちょいと地味なスタンダード曲なんですが、スローテンポでじっくりと変奏されていくオリジナルメロディの妙♪ これも忍び泣きの名演だと思います。

そして3曲目の「April Played The Fiddle」こそ、ジャズの魔力が秘められた演奏で、割と速いテンポながら、ジンワリと効いてくる「泣き」のフレーズが、本当にたまらない名演♪

もう、この三連発で虜になってしまうのに、続けてお馴染みの人気曲「Everything Happens To Me」が演奏されるのですから、完全降伏! やや硬質なドド・マーマローサのピアノタッチが、ここではある種の寂寥感を際立たせているようです。

B面では「I Thought About You」が和みの名演ですが、シンプルなハードバップの「Tracy's Blues」も素晴らしいと思います。

ちなみにドド・マーマローサはビバップ時代に頭角を現し、そのハキハキしたノリと華麗なテクニックに支えられた演奏は、バド・パウエルとアル・ヘイグを繋ぐような立場みたいでしたが、残念ながら1950年代は悪いクスリの所為で第一線から消えています。

で、ようやくカムバックしたのが、タイトルどおりにこのアルバムというわけですが、1940年代とは明らかに違う雰囲気になっているのが味わい深いところです。

実は私は、このアルバムでドド・マーマローサの虜になり、残された演奏をいろいろと聴いてみたのですが、これ以前の録音は純正ビバップというエキセントリックなところが強く出た、ちょっと取っ付きにくいものでした。

しかし、それはそれなりに凄い演奏なんですよっ! むしろドド・マーマローサの真髄は1940年代にあるのかもしれません。

そしてまたまた残念なことに、ドド・マーマローサはこのアルバムを吹き込んで以降、消息が不明になったようです。う~ん、これだけの実力を持ったビアにストが安定して活動出来ないところに、本場の厳しさやジャズの魔力があるんでしょうか……。

また私有盤はレーベルが「Argo」なのにジャケットは「Cadet」という、妙なブツになっています。これは会社そのものが同系列なので、それほど問題にはならないかもしれませんし、中古で買ったので店側の事情があったのかもしれません。

ということで、聴くほどに味わい深い作品です。ドラムスとベースの共演者2人は、モダンジャズばかりではなく、地元シカゴではR&Bから映画音楽まで幅広く活躍していた実力者ですから、ここでのサポートも堅実で、気持ちが良いほどでした。

そういえば全篇に漂う雰囲気はシカゴソウルのような、ある種の都会的な湿りっ気が魅力になっているようです。

う~ん、味わい深いです。

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