■いいのかな / ザ・ワイルド・ワンズ (東芝)
全てにおいてドン詰まりの時、意表を突く事も大切だとは思いますが、それがあまりにもトンデモ系の場合は所謂ネタにしかならないのは、言うまでもないでしょう。
例えば本日ご紹介のシングル盤A面曲「いいのかな」は、湘南サウンドを標榜して人気を集めたGSのワイルド・ワンズが昭和45(1970)年夏に出した、ジャケットどおりのコミックソング!
もちろんすっかり煮詰まっていたグループとしての方向性、そして落目のGSブームからの新展開を模索したひとつの試みであったわけですが……。
やっぱり、このジャケ写のメンバーの表情は如何にコミックソングでも、それまでのバンドイメージからは大きくズレ過ぎでしょう。
ちなみに気になる歌の中身なんですが、モテない青春期を送っている男子学生、たぶん高校生と思われますが、ある朝突然に絶対的な二枚目に変身したことで、学校でも街中でも、とにかくモテモテな日常に困惑するという、曲タイトルどおりに、いいのかなぁ~~♪
と軽~~く、悩んでしまう心情吐露!?
しかも曲調が往年のパラダイスキングあたりがやりそうな、ホワイトドゥーワップ風のオールディズ仕立なんですから、ワイルド・ワンズのメンバー各々が担当する短いソロパートも含めて、和製ポップスのリバイバルも視野に入れた好企画???
まあ、そういう楽しみ方もOKでしょう。
もしかしたら、大瀧詠一ファンが泣いて喜びそうな気さえします。
でもねぇ………。
これはやっぱりキワモノであって、それでもラジオの深夜放送では局地的に小ヒットはしていましたが、ここまでやる必要が果たしてワイルド・ワンズにあったのか???
というほど、本日の拙稿には「?」を記する他は無い気持が、リアルタイムからサイケおやじの胸中に蟠っているのです。
ところが、それでもこのシングル盤をゲットさせられてしまったのは、そのキワモノ性の憎めなさであって、実は中古で発見した時には捨値の10枚五百円みたいなエサ箱であった事から、員数合わせで欲しくも無いブツも買わされたほどです。
ちなみにその時になって、ようやく曲のクレジットを確認してみると、作詞がフォークル出身の北山修、作曲が加瀬邦彦という、これはなかなか当時最先端のソングライターコンビであった事が、リアルタイムを経験された皆様にはご理解願えるかと思います。
結局、ワイルド・ワンズは常に新しかったのかもしれませんねぇ。
ということで、本日は相当に失礼な事も書いてしまいましたが、表層的な事象の奥底にある進歩性が時代に受け入れなくとも、「やってしまった……」と一概には決めつけられない!?
そんな風に思うばかりです。
現在の混迷する社会状況の中にあっては、この「いいのかなぁ~~♪」というオトボケでキャッチーなコーラスメロディは、案外と相応しいですよ♪♪~♪