僕がこの一ヶ月ほどここで言い続けてきたことの核心の一つが、9日中日新聞夕刊5面の経済欄に載った。その表題が表記のもので、金融に「もっと現物経済に長期投資をしなくてはいけない」と呼びかけるという趣旨のものであって、興味深かった。ここの皆さんに是非ご一読を訴えたい。さわりの部分を抜粋すると、
『ところが、いまや世界人口は70億人を超え、地球規模でエネルギーはじめ食料や水そして工業原材料の供給不足が今後ますます大きな問題となりつつある。資源開発にしても代替エネルギーにしても、長期的に資金を寝かす投資が問われる。
さてさて、息の長い投資に耐えられる資金となると、世界はどれだけ用意できるだろうか。そういった本格的な長期投資を展開できるプレーヤーたちは、いま地球上でどれだけいようか。
金融の時代ということで、30年余りに及び世界は資金を右から左へ動かす資金運用へと傾斜していった。しかし、今後10年、30年と人類の将来を考えた場合、5年、10年と資金を寝かさざるを得ない投資が絶対的に必要となる』
そう、資金が資本にならなくって短期の資金運用に回されるだけなら、失業者は増えるばかりだし、やがて必要なものが馬鹿高い時代になっていくということだろう。
論理的に上に関連して、同じく9日朝刊にEU関係でこういう記事があった。至極当然のことと思うが、どうだろうか。
『(欧州委員会が導入を提案した新税については、)ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領は、財政難の国への支援に必要な財源として、2014年導入を目指す。
EU27カ国全域で株式や債券の取引に幅広く課税すれば、年570億ユーロ(約6兆円)の歳入が見込まれるという』
この新税は、資金運用プレーヤーの利益に課税して、彼らにやられたギリシャやスペイン、イタリアの支援費用に当てるというもの。英国が大反対なのだそうだ。ロンドンの金融市場・シティーから金融取引が逃げていくと恐れるのである。どんな長期投資よりも儲かっているものなのだから、世界で一斉に課税すれば良いではないか。その方が絶対にヒューマンなことである。