この10月、ザックジャパンはヨーロッパ遠征を敢行し、12日に世界15位のフランスと、16日には12位のブラジルと戦う。ここにきてようやく評論家たちの見方も全面好転し来たり、日本サッカー史上かってないような代表讃辞が寄せられ始めている。それも当然なのであって、現在の日本は世界209か国・地域中(206位にブータンなど4か国が連なっている。そこまでの順位が、毎月入れ替わりつつ、付くゲームなのだ! ワールドカップがオリンピックと同程度に人気というのは、そういうことなのである)で23位だが、この23位も相当に低過ぎる評価だと思う。アジア、アフリカなどは例えば欧州と違って、世界順位は当然低くなる。周囲に強い国がいないから、強国に勝たないと上がらない仕組みなのだから。因みに、今年1月には日本は19位であった。これ以降は日本が最高位であるアジアのチームとしか戦っていないから、基本的に下がるだけだ。
さて、代表先発メンバー、およびこの10月2戦の戦い予想などについて、愚考を記してみたい。
今までの日本代表は、アジアと世界強豪とでは、戦い方を全く変えていた。南アワールドカップ直前に、岡田監督が急遽守備重視の布陣に替えたようなものである。中村俊輔を下ろして阿部勇樹をアンカーにし、ワントップに本田圭佑を置いたあの布陣のようなものだ。今回のザックはこれらとは全く異なって泰然自若、いつもの陣容で真っ向勝負に打って出るだろう。これは、ほとんど全ての識者の予想である。この事態がまず、日本サッカー代表史上かってないことだと言いたい。よって先発はこうなる。
先ず、前田遼一のワントップ。2列目が左から、香川、本田、岡崎。ボランチが、遠藤と長谷部。ディフェンダーが左から、長友、今野、吉田、内田だ。
さて、この陣容の世界仕様で近ごろ急激変化を起こした最大要点として、何よりもこれを僕は指摘したい。日本の最大弱点・守備において、センターバック・吉田麻也がこの間に積んだ、日本人としてはかってない経験だ。ロンドン五輪ベスト4チームのキャプテンを勤めたのだし、また、日本の守備陣では初の世界3大リーグ・チームのレギュラーを確保するにいたった闘いでの成長もある。代表でも、若手の彼が守備体制への指示を後ろから出しまくる姿がくっきりと予想されるのである。なんせサッカー界では、ゲーム中に先輩を呼び捨てにするなど当たり前のことなのだから、吉田の成長がチームにとって素晴らしい効果を生むことになるのだ。このことがどれだけ日本の最大弱点を変えるか、僕は他の何よりもこれが、今から楽しみで仕方ない。
攻撃陣はこの4人を上げたい。現在健闘・苦闘真っ最中の、前田、香川、本田、岡崎だ。それぞれ、いかにして得点するかで正に新たな闘いを演じていて、期待せずにはいられないのである。前田はJリーグ得点順位2位、所属の磐田は久しぶりに強豪復活を感じさせ始めているのだし、香川は自チームよりもジャパンの方がよほどパスが来て、得点もしやすいはずだ。世界5大チームを目指すと広言しているに等しい本田は例によって有言実行の得点量産中だし、岡崎はドイツ上位チームの立派なレギュラーに育ってもなお、あくなきハングリー精神を保ち続けている。この岡崎、得意の飛び出しの迫力にますます磨きがかかり、またスルーパスなども随分上手くなった。
こういうザックジャパンだから、実力は先ず世界18位。今のフランス、ブラジルとなら互角と見て良いのである。因みに、日本はブラジルを強く見過ぎていると、いつも思えてならない。外国、古豪崇拝はもうやめようではないか!
なお、この「ザックジャパンシリーズ」の最近のバックナンバーを記しておきたい。
43 香川真司1,2戦を観て 8月28日掲載、以下同じ
42 日本スポーツ史上最大の偉業 23日
41 香川、開幕先発フル出場 21日
40 五輪男子サッカー総括 11日
39 代表が一皮剥けた! 6月11日
38 「前田遼一と本田圭佑」 9日
37 明日ヨルダン戦、前田遼一に期待 7日
36 攻撃戦略浸透の現状 5日
35 見つかった遠藤の後継者! 5月24日
なんせ僕は去年の7月から44回もこれを続けて来たわけであって、代表のほとんどのことに触れていると思います。「これはどうか?」というような反論なり質問なりがおありでしたら、何なりとコメントして下さい。お願いいたします。なんせ僕はサッカーのことを書くのがここのエネルギー、原動力になっているような者でして。