新聞の片隅に載ったニュースから(54)
日中対立「理性を取り戻せ」中国の知識人ネットで連帯(2012.10.9朝日新聞)
尖閣列島を巡る日中対立を受け、中国の知識人が「中日関係を理性的なものに戻せ」と訴える署名活動をネットで始めた。署名の呼びかけに対して批判的な声が寄せられる一方、民間レベルでの事態打開の動きとして、共感も広がっている。
呼びかけたのは中国の言論や人権状況について発言を続ける女性作家の崔衛平氏(56)。仲間数人と10項目の文言を練り4日から公開した。7日夕の段階で、著名な人権活動家の胡佳氏や法学者の賀衛方氏のほか、医師や報道関係者、学生ら467人が署名した。
呼びかけは、9月の反日デモが暴徒化したことについて「我々は非常に心を痛めている」と批判。文化や経済に影響が及んだことについて「極めて賢明さを欠く」と強調し、中国政府に「民衆が理性的に考え、行動するよう導く責任がある」と注文した。
尖閣諸島の帰属については日本側の説明が「説得力に欠ける」とし、小平氏らが提唱した「争いは棚上げする」という状態に戻すべきだとした。「私たちは日本人が平和再建のために尽くした努力を見てきた。今日の現実に基づいて日本を判断すべきだ」と民族主義をあおる中国側の言論も戒めた。
崔さんのブログには「売国奴」といった批判も相次ぐ。崔さんは「署名してくれたのは、勇気のある人たち。その背後には、今の空気に違和感を感じながら、声を出せないでいるもっと多くの市民がいる」と話す。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
このニュースは毎日新聞も中日新聞も載せていませんので知らない方も多いと思い、紹介しました。なお、朝日新聞朝刊の7面(國際面)に呼びかけ文の要旨が詳しく紹介されています。
それによりますと、呼びかけ文は「自己の目的や利益のために、領土紛争を挑発し、民意をもてあそび、民族主義的感情をあおり立てる集団や党派に警戒し、反対する。」とも述べています。
日本でも、中国領事館の前で車を燃やそうとしたり、ネトウヨ(ネット右翼)がインターネット上で過激な主張を繰り返していますが、行き過ぎた民族主義は危険です。
また、呼びかけ文は「中国と日本の教科書に、両国の真実の近現代史を掲載すべきだ。」とも提案しています。
韓国との間で歴史専門家同士が教科書に共通の歴史認識を盛り込もうと努力した(一部見解の異なる部分が生まれ、完全には一致しませんでしたが)ように、一方的に自国の見方で相手国を非難するだけでなく、事実について研究し、理解しあうことが大切で、適切な提言だと思います。
ただ「釣魚島問題は『争いは棚上げにする』という状態に戻すべきだ」ではいつまで経っても
紛争の種が残りますので、両国が根本的解決に向かって話し合うことが大切ではないでしょうか。
大西 五郎
日中対立「理性を取り戻せ」中国の知識人ネットで連帯(2012.10.9朝日新聞)
尖閣列島を巡る日中対立を受け、中国の知識人が「中日関係を理性的なものに戻せ」と訴える署名活動をネットで始めた。署名の呼びかけに対して批判的な声が寄せられる一方、民間レベルでの事態打開の動きとして、共感も広がっている。
呼びかけたのは中国の言論や人権状況について発言を続ける女性作家の崔衛平氏(56)。仲間数人と10項目の文言を練り4日から公開した。7日夕の段階で、著名な人権活動家の胡佳氏や法学者の賀衛方氏のほか、医師や報道関係者、学生ら467人が署名した。
呼びかけは、9月の反日デモが暴徒化したことについて「我々は非常に心を痛めている」と批判。文化や経済に影響が及んだことについて「極めて賢明さを欠く」と強調し、中国政府に「民衆が理性的に考え、行動するよう導く責任がある」と注文した。
尖閣諸島の帰属については日本側の説明が「説得力に欠ける」とし、小平氏らが提唱した「争いは棚上げする」という状態に戻すべきだとした。「私たちは日本人が平和再建のために尽くした努力を見てきた。今日の現実に基づいて日本を判断すべきだ」と民族主義をあおる中国側の言論も戒めた。
崔さんのブログには「売国奴」といった批判も相次ぐ。崔さんは「署名してくれたのは、勇気のある人たち。その背後には、今の空気に違和感を感じながら、声を出せないでいるもっと多くの市民がいる」と話す。
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このニュースは毎日新聞も中日新聞も載せていませんので知らない方も多いと思い、紹介しました。なお、朝日新聞朝刊の7面(國際面)に呼びかけ文の要旨が詳しく紹介されています。
それによりますと、呼びかけ文は「自己の目的や利益のために、領土紛争を挑発し、民意をもてあそび、民族主義的感情をあおり立てる集団や党派に警戒し、反対する。」とも述べています。
日本でも、中国領事館の前で車を燃やそうとしたり、ネトウヨ(ネット右翼)がインターネット上で過激な主張を繰り返していますが、行き過ぎた民族主義は危険です。
また、呼びかけ文は「中国と日本の教科書に、両国の真実の近現代史を掲載すべきだ。」とも提案しています。
韓国との間で歴史専門家同士が教科書に共通の歴史認識を盛り込もうと努力した(一部見解の異なる部分が生まれ、完全には一致しませんでしたが)ように、一方的に自国の見方で相手国を非難するだけでなく、事実について研究し、理解しあうことが大切で、適切な提言だと思います。
ただ「釣魚島問題は『争いは棚上げにする』という状態に戻すべきだ」ではいつまで経っても
紛争の種が残りますので、両国が根本的解決に向かって話し合うことが大切ではないでしょうか。
大西 五郎