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新聞の片隅に載ったニュースから(74)    大西五郎

2013年02月04日 10時01分56秒 | Weblog
新聞の片隅に載ったニュースから(74)

  王様の言いなりに 体罰問題で入試中止
鳥越俊太郎 ニュースの匠(2013. 2. 2 毎日新聞)

 私は直感的に「裸の王様」というアンデルセンの童話を思い起こしました。
 大阪・桜宮高校で起きた体罰と生徒の自殺、そしてその後、橋下徹・大阪市長が入試中止を声高に叫んで実行させたこと。この一連の経過を見ていて、私はやはりこれは「裸の王様」だな、と思ったのです。
 改めてその童話のあらすじを書いておきます。
 新しい服が好きな王様の元に、ふたり組の詐欺師が布織り職人という触れ込みでやってきます。彼らは、ばかには見えない布地を織ることができるという。王様には当然布地は見えません。しかし、家来の手前「見えない」とは言えない。褒めるしかない。家来も褒めるしかない。結局、王様は見えない衣装を着てパレードに臨みみますが、見物人もばかと思われたくないので褒めそやす。そんな中で小さな子供の一人が「あ、王様は裸だ」と叫びました……というのがアンデルセンの鋭い寓意を含んだ童話の核心部分です。
 さて、今回の桜宮高校の入試中止事件。きっかけとなったバスケットボール部顧問による自殺した主将生徒への激しい体罰は、報道を見る限り、これは体罰の域を超え暴力行為ですね。
 体罰については指導のあり方の問題としてきっちりと議論をし、改善すべきところは改めなければなりません。
 橋下市長は当初、体罰一般は否定しないという趣旨の発言をしていましたが、一転、「入試中止」という極端な発言に変わりました。発言がブレるというのは原発問題や先日の太陽の党との合併問題などを見ていて、橋下市長の傾向ではあります。が、今回はブレたことが問題ではありません。体罰問題と入試の問題はどう考えてもつながりません。論理的に飛躍があります。
 橋下市長は「学校の伝統や空気を一新させる」ために体育科とスポーツ健康科学科の入試を中止させるのだと主張していますが、これは常識的に見て無理がある理屈です。入試をやめれば体罰問題が解決するなんてことはありません。
 橋下市長の入試中止措置に真っ向から反論したのは桜宮高校の在校生たちだけでした。
 「全く納得できません」
 裸の王様に大人は言いなりになっただけでした。

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 橋下氏の発言のブレはこの小論集でも指摘したところですが、彼はまともな論理での批判は聞く耳持ちませんので、このような比喩を用いた批判が有効かと思います。それにしても、鳥越さんが指摘されたように、大阪市教育委員会は大阪市における教育の在り方を決めるという自らの使命を放棄して「王様」の前にひれ伏したのは情けないことですね。公選制から首長の指名制に教育委員会法を変更したことの根本的弊害が現れたのだと云えます。
                                       大西 五郎
コメント (13)
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