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初のトランプ本、内容紹介   文科系

2018年09月07日 11時39分32秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 本日もう一つの別記事もそうだが、アメリカ大統領ドナルド・トランプの勝手気まま、理不尽が、世界を大騒ぎさせている。唯一肯定的関心を示している朝鮮対策でさえ、「ノーベル賞狙い」と、僕は観てきたほどだ。そういう彼流のポピュリズム選挙対策ということなのだが、とにかくこれだけは言える。彼の動向が見えていなければ、日本の政治経済の目の前の先行きさえ分からないと。
 アメリカでベストセラーになった最初のトランプ本「炎と怒り」をこの4月にここで内容紹介した。4月8~16日の間に6回連載で。その最終回分を、ここに改めて再掲したい。興味のあられる方は、右欄外の「バックナンバー、年月」クリックから入って、4月の連載記事をお読み願えれば嬉しい。



【 トランプという人間(12)「炎と怒り」の総集編⑥  文科系  2018年04月18日 | 書評・番組・映画・演劇・美術展・講演など

 今回を、この本の内容紹介最終回とする。以下は、この書評第4回目「この本の輪郭」とも重複する部分もあるが、要するに粗筋、概要、結論ということだ。

①大統領としてのトランプは、こんな事をやった。
・地球温暖化対策の枠組みから抜けた。
・エルサレムを首都と認定し、シリアを爆撃し(この4月で2回目である)、サウジの皇太子交代(宮廷革命?)にも関わってきたようだ。
・メキシコとの国境に壁を築き、移民に対して厳しい施策を採るようになった。
・ロシア疑惑によって、コミーFBI長官を解任し、モラー特別検察官とも厳しい関係になっている。
・続々と閣僚、政権幹部が辞めていった。

②これらを推し進めたトランプは、こういう人物である。
・知識、思考力がないことについて、いろんな発言が漏れ出ている。「能なしだ」(ティラーソン国務長官)。「間抜けである」(財務長官と首席補佐官)。「はっきりいって馬鹿」(経済担当補佐官)。「うすのろ」(国家安全保障担当補佐官)。
・その代わりに目立ちたがりで、「他人から愛されたい」ということ第1の人柄である。マスコミの威力を信じ、これが大好き人間でもある。
・対人手法は、お世辞か恫喝。格上とか商売相手には前者で、言うことを聞かない者には後者で対する。大金持ちの父親の事業を継いだ後、そういう手法だけで世を渡って来られたということだろう。
・反エスタブリッシュメントという看板は嘘で、マスコミと高位の軍人、有名会社CEOが大好きである。よって、閣僚にもそういう人々がどんどん入ってきた。

③本人に思考らしい思考も、判断力もないわけだから、政権を支えていたのは次の3者である。スティーブ・バノン他ボストンティーパーティーなど超右翼のネット人間。共和党中央のごく一部。そして娘イヴァンカ夫妻(夫の名前と併せて、ジャーバンカと作者は呼んでいる)である。トランプへの影響力という意味でのこの3者の力関係は、30代と若いジャーバンカにどんどん傾いて行き、前2者の顔、バノンもプリーバス首席補佐官も1年も経たないうちに辞めていった。つまり、トランプ政権とは、「アットホーム」政権、家族第一政権と言える。なお、二人の息子もロシア疑惑に関わる場面があり、アメリカではこれも話題になっている。

④よって、期せずして棚から落ちてきて、何の準備もないままに発足した政権の今までは、言わば支離滅裂。選挙中から「アメリカファースト、外には手を広げない」という右翼ナショナリズムが戦略枠組みだったのだが、エルサレム首都宣言によってアラブの蜂の巣をつつくし、発足3か月でシリア爆撃も敢行した。ロシア疑惑でコミーFBI長官を解任して、大変な顰蹙も買っている。閣僚幹部はどんどん辞めていく。「馬鹿をさせないために側にいる」位置が嫌になるいう書き方である。

⑤こうして、この政権の今後は4年持つまいというもの。ロシア疑惑が大統領弾劾につながるか、「職務能力喪失大統領」として憲法修正25条によって排除されるか、やっとこさ4年任期満了かの3分の1ずつの可能性ありと、バノンは観ている。

 なお、何度も言うようにこの本の執筆視点は、バノンの視点と言える。全22章の内4つの題名に彼の名がある上に、プロローグとエピローグとがそれぞれ「エイルズとバノン」、「バノンとトランプ」となっているし、そもそも内容的に「バノンの視点」である。ちなみにこのバノンは今、次期の大統領選挙に共和党から出馬しようという意向とも書いてあった。
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大手マスコミ、そろそろ日米政権離れを!  文科系

2018年09月07日 01時03分03秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 アメリカが酷いことになっている。トランプが、この国をめちゃくちゃにしている。そういう大統領を選ぶまでに落ちぶれたアメリカ、アメリカ国民は今や断末魔への境に立っていると言うべきではないか。
 
 いったんテルアビブからエルサレムにイスラエル大使館を移した数少ない国・パラグァイがテルアビブに大使館を戻すことに決めたと言う。すると、これに怒ったイスラエルがパラグァイ大使館閉鎖と大使召還という報復措置を執ったのだそうだ。この件について新聞もこう書いている。
『国際社会は、パレスチナ自治政府が将来の独立国家の首都と位置付ける東エルサレムをイスラエルが占領しているとみなし、日本を含む各国はテルアビブに大使館を置く。だが、イスラエル寄りの姿勢が顕著なトランプ米政権は五月に大使館をエルサレムに移転。中米グアテマラとパラグアイが米国の後に続いた』(6日中日新聞)
 つまり、こういうことだ。トランプの国際取り決めを無視した無理押しに従った数少ない国の一つが、改めて対米反旗を掲げ直したというのである。

 かと思えば、同じ6日にこんなニュースもワシントンから流れ出ている。見出しが『政権高官 匿名記事 NYタイムズ掲載』『「トランプ氏は道徳観念ない」』。
 記事内容の焦点は、匿名の政府高官が『「トランプ氏の振る舞いに「道徳観念がないことが問題の根本にある」と批判した』というもの。これをこの高官の名前も把握しているとして、ニューヨーク・タイムズが論説記事を載せたのだから、大問題に発展しているわけだ。
 トランプ曰く「対処しなければならない。前代未聞だ」。サンダース報道官曰く「このひきょう者に辞任を要求する」。が、さて、この匿名高官の名前、いつ頃分かるのだろうか? 

 かと思えば、またまたトランプ政権内幕の告発本が出た。それも著者は、著名な大物記者ボブ・ウッドワード氏。ウオーターゲート事件の内幕報道でニクソン大統領を辞任にまで追い込んだお人である。よって、もはや、米政局を既にこう見るべきではないか。アメリカのエスタブリッシュメント態勢も既にトランプを見限っていると。ちなみに、この書にある政府高官発言にしてからがこんな調子なのだから。
『まるで五、六年生程度の理解力しかない』(マティス国防長官)
『何を説得しようとしても無駄。私たちは狂った街にいる』(ケリー首席補佐官)

 
 さて、国家累積赤字がGDPの4倍で、それでも年60兆円もの軍事費を使っているアメリカである(2016年度で、6,110億ドル。国民一人当たり1,886ドルなのだ)。不安定労働者、相対的貧困者の群れがやり場のない声をトランプ当選に集めたとも言われている。これを世界を無視した自分勝手な保護主義ごり押しで「解決」しようというのが、トランプのやりかた。相手国の保護主義仕返しにあうのが必至で、そうなったらアメリカがどうなるのかという計算、理性も働かないと見える。中長期的に見れば世界的に有効需要がどんどん減っていき、リーマン・ショックがもたらした恐慌状態がますます深刻になると、こう見るのが1929年世界大恐慌などの歴史の教訓ではないか。

 日本マスコミもそろそろ、日米政権をありのままに描く時代が来たと見るべきではないか。トランプをば、プーチン、習近平よりも遙かにアホな人間として。ついでに、こんな人間と「ドナルド・シンゾウ」と呼び合って喜んできた嘘つきかつ強権的な首相をも厳しく弾劾すべき時代が来たのだとも。つまり、従来に比べて困難が増えすぎている国の選挙では、馬鹿馬鹿しいような政権も生まれることがあるのだと。こんな嘘つき首相と定期会食を重ねて喜んでいるような社長を頂いているマスコミには信が置けないと、当たり前の常識をも併せて、改めて進呈したい。政府報道などはもう記者クラブよろしく、アクセス記事で高官発言を垂れ流すだけ。政権について時間をかけた調査報道が一体どこに見られるというのか。記者クラブ報道ばかりというのはもう、大本営発表も同じではないか。2%目標など分かりきった失政への批判がどこにも見られないのだし。
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