以下のシリーズ①がここのアクセス・ベストテンの1位にずっと上がっているところから、その②も再掲しておきたい。ハルノートなどと言う、真珠湾出撃開始の後に届いた文章自身を、太平洋戦争の原因のように扱う愚かな論やコメントもあることだし。
【 再度「太平洋戦争の大嘘」という大嘘(2) 文科系 2018年04月02日 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
拙稿の「太平洋戦争史」が気になる人々が多いようだ。藤井厳喜さんとやらの「日本人が知らない、太平洋戦争の大嘘」という本の広告がこのブログに再三掲載されてくる。調べてみたら、安倍首相のブレーンの1人のようで、国会議員選挙に2度も出て2度とも落ちているお人。政治学者とあるが、政治学よりもどうも保守政治家になりたいお方らしい。それも、安倍周辺の政治家。加えてこの御本、無料で配布しているとあった。どこかから金が出ているのだろう。
さて、この本の概要が宣伝文句に書いてあって、その事を一つ一つ批判してきたその2回目である。『 』内は、その本の宣伝文句。
・『日本は終戦まで、アメリカに何度も何度も和平提案を送っていた。それを完全に無視し続けた上での原爆投下…瀕死の日本に、どうしてそこまでする必要があったのか?「原爆が正義だ」という狂気のデタラメを生み出した世界の力関係とは?』
日本がアメリカに和平打診をしたかどうかなどは、ここでは大した問題ではない。現に、敗勢著しくなってもポツダム宣言を受けなかったという世界史的事実があるのだから。天皇が宣言受諾を認めなかったという経過もある。この全面降伏勧告を受けなかったことが、原爆投下という惨劇に繋がったという事の方こそ、日本国民も世界も周知の事実である。
・『日本人が戦争に踏み切るきっかけとなった「ハル・ノート」。なぜ、そんな重要な内容を私たち日本人は教えられないのか?アメリカ大物議員すらも「国民への裏切り」だと絶句した、その内容とは?』
ハルノートが『日本人が戦争に踏み切るきっかけとなった』というのが、大嘘である。大嘘というよりも、「ハルノートに怒り心頭! 開戦やむなし」とは、当時の日本側が戦意高揚のための宣伝に使っただけのこと。
この文書は、開戦原因として『そんな重要な内容』なのではない。ハルノートが駐米日本大使に渡されたのが、12月8日の開戦直前の11月26日。外務省がこれを全文翻訳して日本政府各方面に配布したのは、28日である。日本は既に、開戦準備を密かにすっかり終えてしまって、真珠湾目指して機動部隊が出撃した後の出来事である。戦争原因については、それ以前にこういう経過があった。満州事変・国連脱退から、中国南下侵略を続けた日本に、国連、アメリカが再三の警告と、鉄鋼、石油禁輸などの「制裁措置」を与えてきた。「国際不法行為」と「強制・制裁措置」とのエスカレートと言えば、今の北朝鮮とアメリカ、国連との関係のようなもの。「石油禁輸も含めて」、ここまでの日本がほぼ全面的に悪かったから起こったことなのだ。いきなりポーランドに進撃して非難されたドイツとの、兄弟国だけのことはある。
以上の太平洋戦争の原因論争と、これについての右流ねじ曲げ論批判とは、このブログには無数にあるが、最も最近のものでは以下のエントリーを是非参照されたい。本年1月29日「太平洋戦争、右流ねじ曲げ理論に」。】
【 再度「太平洋戦争の大嘘」という大嘘(2) 文科系 2018年04月02日 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
拙稿の「太平洋戦争史」が気になる人々が多いようだ。藤井厳喜さんとやらの「日本人が知らない、太平洋戦争の大嘘」という本の広告がこのブログに再三掲載されてくる。調べてみたら、安倍首相のブレーンの1人のようで、国会議員選挙に2度も出て2度とも落ちているお人。政治学者とあるが、政治学よりもどうも保守政治家になりたいお方らしい。それも、安倍周辺の政治家。加えてこの御本、無料で配布しているとあった。どこかから金が出ているのだろう。
さて、この本の概要が宣伝文句に書いてあって、その事を一つ一つ批判してきたその2回目である。『 』内は、その本の宣伝文句。
・『日本は終戦まで、アメリカに何度も何度も和平提案を送っていた。それを完全に無視し続けた上での原爆投下…瀕死の日本に、どうしてそこまでする必要があったのか?「原爆が正義だ」という狂気のデタラメを生み出した世界の力関係とは?』
日本がアメリカに和平打診をしたかどうかなどは、ここでは大した問題ではない。現に、敗勢著しくなってもポツダム宣言を受けなかったという世界史的事実があるのだから。天皇が宣言受諾を認めなかったという経過もある。この全面降伏勧告を受けなかったことが、原爆投下という惨劇に繋がったという事の方こそ、日本国民も世界も周知の事実である。
・『日本人が戦争に踏み切るきっかけとなった「ハル・ノート」。なぜ、そんな重要な内容を私たち日本人は教えられないのか?アメリカ大物議員すらも「国民への裏切り」だと絶句した、その内容とは?』
ハルノートが『日本人が戦争に踏み切るきっかけとなった』というのが、大嘘である。大嘘というよりも、「ハルノートに怒り心頭! 開戦やむなし」とは、当時の日本側が戦意高揚のための宣伝に使っただけのこと。
この文書は、開戦原因として『そんな重要な内容』なのではない。ハルノートが駐米日本大使に渡されたのが、12月8日の開戦直前の11月26日。外務省がこれを全文翻訳して日本政府各方面に配布したのは、28日である。日本は既に、開戦準備を密かにすっかり終えてしまって、真珠湾目指して機動部隊が出撃した後の出来事である。戦争原因については、それ以前にこういう経過があった。満州事変・国連脱退から、中国南下侵略を続けた日本に、国連、アメリカが再三の警告と、鉄鋼、石油禁輸などの「制裁措置」を与えてきた。「国際不法行為」と「強制・制裁措置」とのエスカレートと言えば、今の北朝鮮とアメリカ、国連との関係のようなもの。「石油禁輸も含めて」、ここまでの日本がほぼ全面的に悪かったから起こったことなのだ。いきなりポーランドに進撃して非難されたドイツとの、兄弟国だけのことはある。
以上の太平洋戦争の原因論争と、これについての右流ねじ曲げ論批判とは、このブログには無数にあるが、最も最近のものでは以下のエントリーを是非参照されたい。本年1月29日「太平洋戦争、右流ねじ曲げ理論に」。】