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文科省「汚職」事件へのある論考    文科系

2018年11月21日 15時35分23秒 | 国内政治・経済・社会問題
 文科省が、次官二代続き辞任などで世を大騒ぎさせて来た。その新聞を見る限り辛うじて汚職に引っかかるのかも知れないが、よく読むとある重大な危惧を抱かざるを得なかった。

 先ず「汚職」金額の問題が目に付いた。次官が「62,000円超」で、初等中等教育局長に至っては「2万円」という飲食・タクシー代とあり、いずれも辞任に追い込まれている。これ以上に疑問なのが、これらのニュースソース(垂れ込み元)と思われる谷口というコンサルタントにこの金を使わせた会食場面のことだ。政治家の名で招待されたから、「政治家は利害関係者には該当しない」という認識で出席したと、この次官らが語っている。
 さらに新聞記事などをよく読むと、もう一つ、僕には不思議な点があった。上の二人以上の金額、11万5000円を汚職したという高等教育局長は辞任せず、こんな談話を語っていると報道されていた。
『現在手掛ける大学改革などの政策を挙げ「しっかり推進する事で責任を取りたい」と語った』(22日中日新聞)
 辞任させられた初等中等教育局長と同格で、汚職金額も彼よりずっと多いこの高等教育局長は、何故「大学改革の推進」を許されたのだろうか。

 どうだろう、これほど大騒ぎになる問題だろうか? 政治家の名による招待に応じたという意味で汚職か否かの境界判定が難しい問題とも思われるのだが、どうなのだろうか。これも新聞をよく読むと分かるのだが、彼らは、収賄罪で既に起訴されたある同僚人物に支払いを申し出て、「会費、支払いは不要」と応えられてもいる。重ねて言うが、金額が最も多かった高等教育局長(辞任した初等中等教育局長と同格のはずだ)が辞任せず「大学改革をしっかり推進」と語っている点も、以下に見るように大変気になったものだ。実際の罪よりも、例えば、彼らの思想傾向、日常の姿勢が前川喜平氏に近かったか否かなどということで今回の断罪が成されたのでなければよいのだが。内閣人事局を作って行われ始めた官僚に対する政治優位がこんな形で運用され始めたとしたら、この日本の近い将来は真っ暗闇である。

 ちなみに、財務省・佐川氏の当初の昇進は、「こんな形で運用され始めた」ことの明白な証拠の一つと思われる。そして、今回の文科省処分はこれとは正反対、信賞必罰を嘲笑うがごとき事十二分と、そんな事も訝っていたものだ。

 さて、安倍長期政権によって文部行政がどんどん歪められ始めるのではないか。ちなみに、前川前次官辞任とそれ以降判明してきた出来事とからも同じことを感じていた。文科省が「忖度・財務省」などとは違って、文科次官を筆頭にモリカケ問題で内閣に抵抗していたと。そして、前川氏をやり玉に彼らに対して、内閣が報復的な行動に出ていたことも明らかだった、と。

 以上について、状況証拠をもう一つ挙げてみよう。安倍政権は、歴史修正主義の名が冠されてきたことに示されるように、近現代日本史の書き替えに熱意を燃やし続けてきた。そしてこのことが、文部行政と数々の確執を起こしてきた。さらには、近年の大学など高等教育においては、「軍事研究の是非」を巡る政権と現場との確執も大詰めを迎えているやの感があった。

 「文科行政」の長い歴史には、こういう教訓がある。古くは焚書坑儒、新しいものなら美濃部達吉事件や滝川事件のように、政権が右傾化するときには特に必ず、教育、学問の府と確執を起こしてきたのである。

 今回の文科省辞任問題がそういうものでなければよいのだがと、大変な危惧を抱いている。
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書評 「習近平と米中衝突」①、 その「舞台裏」一端   文科系

2018年11月21日 09時02分26秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 書評 「習近平と米中衝突」 その「舞台裏」の一端


 米中衝突について、日本では米側の情報、言葉しか入ってこない。この衝突舞台が米側情報だけで描かれているということだ。この衝突の実態を「中国からも描いた」格好の本がこの11月10日付で出た。NHK出版新書『習近平と米中衝突 「中華帝国」2021年の野望』(近藤大介・「現代ビジネス」コラムニスト、明治大学講師)である。「中国側からも・・」と括弧を付けた理由は、「中国の内幕」を描いて既に手垢が付いたような憶測断定表現、命題が多すぎるから。つまり、学術的な本とは言えないということだ。が、中国側の言葉がとても多く納めてあって、それが読めるという点で時宜を得た、貴重な書といえる。流石に、元講談社北京副社長という肩書きを持っているだけのことはあると思いながら読んだ。その中のたった一節を今日は紹介してみよう。
 以下は、中国中央銀行総裁に当たる、中国人民銀行行長・易鋼氏がこの4月11日に米中経済衝突について中国側の見方と今後の関連方針を発表した後の、記者団との質疑応答を一連の言葉として、近藤氏がまとめた内容である。

『 「世界ナンバー1とナンバー2の経済大国として、中米間の貿易不均衡問題は、比較的複雑だ。第一に、構造的な問題で、多角的な視点が必要だ。中国はアジアの産業チェーンの末端に位置しており、日本や韓国、台湾から部品を輸入して、中国で完成させた後、アメリカに製品を輸出している。そのためこの問題は、アジア全体を巻き込むことになる。
 第二に、マクロ的問題だ。現在、アメリカの財政赤字は拡大していて、財政赤字が増えるほど、アメリカ社会の格差も広がっていく。そのため、アメリカの貿易格差の問題は、なかなか解決が難しいものなのだ。
 第三に、貿易を見る際には、モノの貿易だけでなく、サービス貿易も見なければならない。中米のサービス貿易における中国側の赤字は急増していて、昨年の赤字額は380億ドルを超えた。そのため、モノとサービスの貿易を合わせると、両国の貿易関係はトントンに近い。
 最後に、アメリカの多国籍企業は中国で多くの製品を売っていて、その利潤は莫大で、これらも考慮すべきだ』(135ページ)

 どうだろう。例えば第二の主張点などは、アメリカの困難への当てこすりに聞こえるし、第一、三の点に関しては「日本も大丈夫かい? ちゃんと自己主張しろよな!」と語っているようにも聞こえる。そして、全体としてのトランプの新貿易政策は、アメリカの強み、良いところはそのままで弱点は帳消しと、それもWTOなど国際慣行を全く無視したやり方と、そういうことなのである。そもそも日本のマスコミがトランプのそんな新施策にほとんど批判も付けずそのまま報道する姿勢こそおかしいと僕も思ってきたからこそ、この報告内容に快哉というわけだ。

 今のアメリカはもう自由主義や民主主義の国ではなくなっているというそこは問わず、中国の不自由や非民主主義だけを問題にしているわけである。従来の国際慣行から言ったら、こんな突然の保護主義への転換自身が大変な暴力的身勝手なのに。
 なお、アメリカはもう民主主義の国ではない。最近の大統領選挙にかかる無制限のような政治資金が、ごく一部の大金持ちの国家になったということを示している。


(②に続く) 
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