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米経済学者の反省が深刻  文科系

2019年12月01日 04時45分00秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 米政経週刊誌ニューズウイークの日本版最新号に、表記の内容の記事が載っていた。その題名は「宗旨変えしたノーベル賞学者」とあり、その代表としてまずはポール・クルーグマンの最近の反省の言葉をあげているが、とにかくこの記事内容の要点を要約しよう。ちなみに、このクルーグマンは、日本のアベノミクスなどの金融・経済・財政政策にも随分密接に関わってきたお方である。

 クルーグマンは現在、こう反省しているのだそうだ。
『アメリカの製造業を支えてきた中間層が経済・社会的な大変動に見舞われることに気付かなかった。中国との競争でアメリカの労働者が被る深刻な痛手を過小評価していた、というのだ』

他の経済ジャーナリストなども今は、経済学者らの過去理論を批判しているのだそうだ。
『多くの経済学者が福祉を犠牲にし、効率性を最優先して「高賃金の雇用を切り捨て、低コストの技術産業に未来を託した」というのだ』

という反省から、この論文の末尾まとめはこういうものになっている。こちらは、もう一人のノーベル賞経済学者・ジョセフ・スティグリッツが90年代から指摘し続けてきたグローバリゼーション批判なのだそうだ。なお、このブログにはスティグリッツ関連のエントリーは多くあるので、以下のようにしてお読みいただける。当ブログ右上欄外の検索欄に彼の名前を入れて、その右の「ウエブ」欄を「このブログ内で」と換えて、🔍印をクリックする。
『最大の負け組はやはり、アメリカの労働者だ。経済学者はかって、好況下では労働者は自分たちの賃金を引き上げる力を持つと考えていた。だが最近の見方はちょっと違う。多国籍企業が全世界を自らの縄張りに収めて四半世紀がたち、グローバル化した資本は国内に縛られたままの労働者よりも優位に立った。
 主流派の経済学者たちがこれほど急に左寄りになったことに驚いているのは当の経済学者たちだ。多くは前述の格差問題に関する会議でこのことに気付かされた。来年の米大統領選挙では、経済学者達の支持は中道のジョー・バイデン前副大統領よりもエリザベス・ウォーレン上院議員やバーニー・サンダース上院議員などの革新系候補に流れているとの声も参加者からは聞かれた』

 この記事に内容としてちょうど呼応するあるニュースが、最近の当ブログに紹介してある。半世紀ぶりのようなビッグニュースであって、8月21日のエントリー『英米流経済、歴史的敗北宣言??』である。まず、その書き出し部分を抜き出してみる。
『 どうやら、数十年続いた英米流経済に世紀の歴史的敗北宣言が出されたようだ。本当にこの様に正すかどうかは今後を観なければ何も信用出来ぬが、少なくとも内外に向けてのポーズとしては。小さな記事だが、20日夕刊に標記の内容と分かる人には分かる出来事が、報じられている。今になってなぜと考えてみたが、その意図も以下のように既に明白。この大事な記事の見出しは、
「株主最優先を米経済界転換」?? 
 この中日新聞記事の書き出しはこうだ。
「米主要企業の経営者団体「ビジネス・ラウンドテーブル」は19日、株主の利益を最優先する従来の方針を見直し、従業員や顧客、地域社会など全ての利害関係者の利益を尊重する新たな行動指針を発表した。これまで米経済界は「株主利益の最大化」を標榜してきたが、大きな転換点となる」 』


 こうして、株主資本主義が誤っていたと、米経営者からも米経済学者からも反省表明がなされていることになる。日本でも安倍政権が、クルーグマンのインフレ・ターゲット論(「2%目標」論)をいつまで延ばしても実現できないので、いつの間にか放棄したことによって、アベノミクスの誤りをなし崩しに認めざるを得なくなった。が、この政権は、なんの反省表明もだしていない。

 中国など、一定技術がある中進国への工場移転。豊かな金融先進国においては99・9%と0・01%とさえ言われる、凄まじい格差。この格差の底辺は、就職氷河世代など日本病と言われるほどにアメリカよりも日本の方が遙かに早く、深刻になっていたのである。それを現日本政権は、通貨をどんどん刷るという財政ファイナンス・株バブルと為替操作とによって「経済は上向き」などとごまかしてきただけで、口先反省の声さえ聞かれないのである。国民一人当たり購買力平価GDPはもう世界4位から31位まで落ちてしまって内需は乏しいのに、この大量緩和の出口に待っている円売りから一体どう逃れるつもりなのだろう。その時には、現在政府が頼りにしている1500兆円の個人資産などは、ドル化に走るに違いないのである。アメリカがずっと、これを狙って来たのだから。
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川崎・横浜戦を観た  文科系

2019年12月01日 04時40分07秒 | スポーツ
 この戦いと地上波放映があるということとを知ったときから、非常に楽しみにしていた。2位FC東京の結果しだいで横浜の優勝が決まるゲームだという以上に、今のJリーグで評判の世界的戦術の先端、横浜の戦いをこの目で確かめたかったからだ。結果は見事、横浜の4対1。それも、先制して追加得点から、1点挽回されたらまた離してみせるという、横綱相撲だった。ゲーム自身は到底こんな得点差になるようなものではなくって、極めて高度な戦いであって、以下はそんなゲームの「恐るべしポステコグルー」という、その次第。

 組織的な潰しも繋ぎも常に、相手との相対的なもの。相手の潰しが上手ければこちらの繋ぎが下手に見えるのだし、こちらの繋ぎが上手く見えても相手の潰しが下手なだけかも知れないのである。が、川崎は、このいずれもJリーグ1、2と他が認めるチームだからこそ横浜の力がわかるという、絶好の相手なのだ。

 横浜の最大の長所は、ワンタッチ主体の繋ぎが上手いことと観た。組織的な潰しが上手いはずの川崎をワンタッチ・パス中心で見事に抜いていくのである。これはワンタッチパスの技術もさりながら、サイドなどにスペースを見つけてフォローに走る習慣や、これを早め早めにちゃんと観ているパサーの確かな視野に磨きをかけて来たということだろう。
 他方、その組織的潰しの方も、なによりもこれが目立った。相手ゴール前での組織的潰しが上手いこと。これが「高い位置で相手ボールを奪える組織作りこそ、ゲーム中絶好の得点チャンスの作り方」という、いわゆるゲーゲンプレス得点法そのものである。

 ポステコグルー横浜は、しばらくその王座が続くのではないか。このチームが、旧ゲーゲンプレスの欠点、失点の多さを今のリバプールのように正す事ができれば、さらに強くなっていくはずだ。また、戦術的にこれだけ優れたチームが現れることは、それだけ日本の世界的水準を高めてくれることでもあって、川崎の鬼木、東京の長谷川、広島の城福ら日本人監督の力も伸ばしてくれるに違いないのである。
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