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五輪代表がジャマイカ戦で得た画期的組織  文科系

2019年12月30日 12時07分54秒 | スポーツ

  28日に行われたキリンチャレンジカップ2019のUー22代表は、9対0というそのゲーム結果以上にちょっとないほどに大きい財産を得たと思う。以下は、「the page」というサイトに載った『藤江直人/スポーツライター』氏による記事からの抜粋紹介であるが、非常に優れた今後要チェックのライターと僕自身に言い聞かせたものだ。
 このゲームによってここまでは中途半端な指導とこのブログでも再三述べてきた森保監督自身も(11月18日、20日の当ブログ拙稿参照)、得がたい財産を得たはずだ。以下のように、今の世界最先端戦略を選手達自身が話し合って取り入れた事が明らかで、そのことを以下の文章は実に丁寧に追っているのである。

 

 さて、この記事が何よりも目をつけたのはここだ。『28分間で大量5ゴールをもぎ取る日本の猛攻を導いたのは、前線からの連動した激しいプレスだった』。この最初の場面を、こう描き出している。
『「立ち上がりだけでなく、90分間を通してすべて前線から取りに行こうとみんなで言っていた。観ていた方々も楽しかったと思うし、プレーしていた選手自身が一番楽しかった」
 試合後に会心の笑顔を浮かべた、1トップの前田大然(CSマリティモ)のプレスから先制点が生まれた。一度は相手にかわされ、右タッチライン際へパスを出される。あきらめずに方向転換する前田に連動するように、右ウイングバックの長沼洋一(愛媛FC)も猛然と間合いを詰めた直後だった。
 大きなプレッシャーを感じたのか。前田と長沼に挟まれた相手選手がパスミスを犯した。こぼれ球はMF中山雄太(PECズヴォレ)と前田を経由して、相手ゴール前にいたMF安部裕葵(FCバルセロナ)へテンポよくわたる。次の瞬間、相手ディフェンダーがたまらず背後から安部を倒してファウルを献上する。開始わずか5分。中山の直接フリーキックが、ゴール左上を鮮やかに射抜いた。』

 なお、この場面を中山が「安陪が快くキッカーを譲ってくれた」と語っているのが面白い。

 その後の描写は、こうだ。
『 豪快な一撃が呼び水となり、日本のプレスがさらに鋭くなる。マイボールになってもすぐに奪い返される展開に、ジャマイカはシュートを放つどころか、日本のペナルティーエリア内に侵入することもできない。16分にMF旗手怜央(順天堂大)、17分に前田、19分に再び旗手がゴールで続いた』。

 チーム内討論でこういうプレスを先頭に立って主張したのは、バルサの安陪だと語る。
『9月の北中米遠征以来の招集となったU-22代表で、安部は24日から長崎市内で行われてきたトレーニングキャンプを通じて「いまは攻撃のことよりも、守備のことを考えている」と公言してきた。バルセロナで実践されている前線からの激しく、連動した守備を日本へ還元するべく、紅白戦を含めた練習中や選手だけで開催されたミーティングで率先して音頭を取ってきた。
 一人では何もできない。ビジョンを共有して、ピッチ上の全員が同じベクトルを描かなければ、逆に相手にスペースを与える諸刃の剣になりかねない。その意味では狙い通りだったのではないか。こう問われた安部は「別にはまっていないですよ」と、意外な言葉を紡ぎ出した。
「何十回と剥がされていますからね。それでも、あの距離感ならばたとえ一人が剥がされても、次がすぐにアタックできる。ミーティングではどのように守備をするのか、ということよりも、イレギュラーが発生したときや、あるいは上手くいかなかったときの対応の仕方を何度も話し合いました。試合中は上手くいかないことの方がほとんどなので。守備でも攻撃でも、90分間を通せば何十個もミスがありましたけど、11人プラス、スタッフの指示でカバーできたことがすごくよかった」
 ミーティングでは森保一監督から「前半の15分くらいまでは激しくいって、その後はちょっと様子を見てはどうか」と提案された。しかし、11月のU-22コロンビア代表戦でプレッシャーをまともに受け、攻守ともに後塵を拝した苦い経験が、出場した前田や中山の脳裏には色濃く刻まれていた。
「ただ、選手たちのなかではずっと行った方が相手も慌てるし、こういう試合にできるんじゃないかと話していたので。日本にいるとどうしても『ちょっと待って』という感じになるけど、海外は『行けると思ったら行け。それでボールを取れればOK』となるので」
 今夏に松本山雅FCからポルトガルへ新天地を求めた前田が、選手たちの意思を貫き通した舞台裏を明かす。
 くしくも安部が「1試合のなかで10回くらい剥がされたとしても、みんななら守れるはずなので。ならば、どんどん行った方がいい」と今回のキャンプ中にメディアへ明かし、前田や旗手をはじめとする仲間たちと何度もコミュニケーションを密にしてきた戦い方でもあった。』

 

 こういうDFラインを上げた上での前線からのプレスとは、ユルゲン・クロップ流のゲーゲンプレスそのもの、得点、攻撃のためのプレスなのである。その何よりの証拠をもう一つ別の新聞から上げておくと、安部の口からでたこんな言葉があった。

『攻守の素早い切り替えも「奪われた瞬間に前に走るのが大事」との言葉通りに実行』

 この言葉こそまさに、ドイツ語のゲーゲンプレス、英語ではカウンタープレスそのもの。これをやり切った選手らのゲーム前の意思一致をこそ描き出したこのライターは実に慧眼、有能である。日本のライターはすべからく、「プレス」というとすぐに「守備」と連想、理解するのは、もう止めるべきである。

コメント (1)
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