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ノーベル賞経済学者の「日本への進言」も無駄だったという話  文科系

2019年12月02日 09時22分23秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 昨日のエントリーで、クルーグマンらの根本的自己批判とか、スティグリッツの正論とか、二人のノーベル賞経済学者の自己批判などのことを書いた。ところで、この二人、実は2016年に安倍政権が日本に呼んでご意見拝聴に及んでいたのである。安倍には耳の痛すぎる話がいっぱい出ているが、この拝聴の効果は何も無かったと見える。クルーグマンの言う「インフレターゲット」「財政出動」は、今のクルーグマンの自己反省によれば、「お隣に中国を置いていては何の効果も無かった」のだし。そこで、そのことを書いた旧拙稿を再掲させていただく。


【 政治経済の泥沼化、2学者の意見   文科系 2016年04月09日

 先日安倍政権が呼んだ世界的経済学者たちのことは、消費税値上げ先送り問題中心で騒がれてきた。が、スティグリッツにしてもクルーグマンにしても、そもそもが世界経済のことから説き起こして、その最大問題が何で、これを安倍政権がどうすべきかを語ったはずなのである。二人に共通した認識は、大事な順にこうである。

①世界の総需要不足こそ、世界長年の根本的な最大問題である。
②法人減税もマイナス金利も、投資や雇用などを促すことはない。よって①には全く、あるいはほとんど、寄与しない。
③消費税値上げも内需を冷やすから、反対である。世界経済にも良くない。
④TPPはいかがわしい貿易協定だ(スティグリッツ)。マイナス金利よりもなによりも、今は財政出動で需要拡大を目指すしかないだろう(クルーグマン)。


 なお、安倍政権が「アベノミクス」の基礎理論と観ていたのはクルーグマン理論。そのご本人自身が、三本の矢の失敗を今回初めて認めたとも言える。これは、極めて重要なことであると考える。

 世界総需要がずっと不足しているので国家予算でどんどん軍事をふやしていくという、特にアメリカを(そして近くにはおそらく中国をも)中心としたそんな形の「需要創造」は不健全この上ない。アメリカ国家の累積債務は8000兆円だし(2015年に元米会計検査委員長デイブ・ウオーカーがそう計算、発表した。ただし、政府公表値はこの半分強のはずだ)、年間軍事費が6100億ドルという数字が、この不健全さの何よりの証拠だ。思い切ってどこかで歯止めをかけないと、世界諸国が健全な需要に切り替える事さえも不可能だろう。つまり、あちこちで戦争が起こり始める。米国の戦争政策、「共産主義との戦い」「テロとの戦い」(この異なった二つは、同じ「本質」を持った戦争と呼べるのだろうか)は、すでにその末路と言えるはずだ。

 スティグリッツは国連に期待しているようだけど、クルーグマンの「国家財政出動頼み」も長く続けられる訳はないのである。
 世界の総需要という小さなパイを世界各国の膨大な経済力、供給力で奪い合って、アフリカとか南欧とかの弱い国には失業者が無数、一見強い先進国にも金融勢力に押し切られた不安定雇用者ばかりという今の「豊かな」世界は、ケインズやマルクスなどから観たら地獄とも見えるはずだ。国連で、世界の総需要を増やすよう話し合い、そのために世界が協力し合って行くしかないと思う。丁度、戦争違法化は国連で取り組むしかないように。こういう世界総需要創造の話し合いに向けても、国連の戦争違法化の歴史を今や無視し始めているアメリカが大きな壁になっているのである。
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新自由主義経済敗北宣言と、米中の闘争  文科系

2019年12月02日 08時30分50秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 この40年以上世界を席巻してきたグローバリゼーションの経済学理論、新自由主義経済理論は、株主つまりファンドなど金融の利益を最大化するのが、景気にも人々の幸せにも繋がって良いという理論であった。その理論がどうやら、敗北宣言に至ったようだ。クルーグマンらアメリカ経済学者による自己批判と、米経済団体の「株主利益最大化方針の自己批判」とによって。
 また、それ以前のケインズ学派などの経済学理論から観ても、新自由主義経済理論は供給サイド経済理論として、やがて世界から有効需要がなくなって慢性的に不景気が続くことと、その下で人の(まともな)職業がどんどん無くなっていく事との悪循環に、世界が陥っていくと言われてきた。
 その有効需要の欠如をば、「金融商品の創出、世界に販売」「そのバブル化=やがて破裂・大恐慌」などを繰り返すことによって、延命させてきたに過ぎないと言える。世界各国のお金を食い尽くす通貨危機とか、サブプライム住宅証券組み込み金融商品詐欺などなどとかも含んでのことである。

 そして今はまたまた、アメリカはGAFAバブル(この時価総額がドイツのGDPを抜いているのだそうだ)と、日本の財政ファイナンス付き官製バブル。実体経済はすっかり中国圏に移ってしまったのに、日米ともに高株価・景気は基本、ずっと上向きで来たのだそうだ。エンロン倒産とか、リーマンショックとかを観ても分かるように、今までの株価(時価総額)とか、それを正当化する私的格付け会社の「格付け」とかは、創出されただけの実は幻なのである。

 さて、その幻が、その守備範囲の外にある予想外の中国実体経済急成長に直面して、やっと今「敗北宣言」を出したという構図。それが、クルーグマンらの自己批判や、米経営者団体「ビジネス・ラウンド・テーブル」が最近出した「株主資本主義は誤っていた」宣言なのだろう。ただし、アメリカの今までの行動(国連金融規制の骨抜きや、サボタージュ)から観れば、この敗北宣言はまともには受け取れない。この「敗北宣言」でなんとか時間を稼いでいる間に、中国実体経済の世界的な需給好循環拡張支配を打ち砕こうとしているに違いないのだと考える。つまり、中国実体経済を米金融の傘下に置くという狙いである。この中国実体経済の支配に成功できないなら、「幻の株価主義経済」が近く崩壊してしまうということだ。

 中国の元は日本とは違って賢明にも、アメリカ金融や、そのお仲間・格付け会社の外にある存在だ。「上向き景気」にもかかわらず「2%インフレ・ターゲット」の実現期限を延ばし延ばしにしてさえなお実現できずに、遂にこの目標を放棄してしまった日本。こんな日本の株価だけが妙に高い奇妙な「日本病」から、中国は大いに学んだに違いない。

 ちなみに、以下のような、こんな世界史的事実は、何よりも中国など後進の教訓になったと見ることができる。
 1995年前後までの日本は、国民一人当たり購買力平価GDPが世界4位とか5位。そのちょっと前には、日本がアメリカを買い漁っていた時代もあったのである。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた時代を覚えている方も多いはずだ。ニューヨークど真ん中の著名なビルとかの不動産や、アメリカ文化の象徴・コロンビア映画社だったかまでを日本が買った時代だ。当時のアメリカは、アジアの工場国家群を引き連れて発展していた日本にどう対抗していくかを、喧々ガクガク議論していたのである。ちょうど今、中国との冷戦が始まると言われているように。
 そんな日本の購買力平価一人当たりGDPが去年は31位にまで下がった。なぜこんなに落ちたのか。無能な政治家らが日本を売ったのである。アメリカによる小沢・鳩山引きずり下ろしの実例とかを恐怖しつつ、クルーグマンらの理論に易々と乗せられて。

 以上は世界では既に有名な話であって、中国はそんな日本から徹底的に学んだはずだ。中国は、日本に感謝しなければいけない。愚かな日本の政治家達に。




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