19日の夕刊をよく読むと、標記両国のこんな情報が分かる。「米独それぞれの国民の命の差」である。両国のコロナウイルス罹患者と死者の数が、全く別の二つの記事から読み取れるのである。
「ドイツの感染者は18日時点で1万人を超え、死者は前日から倍増し26人になった」とあり、アメリカについてはこうだ。
「米紙ニューヨークタイムズは18日、米国の感染者が八千人を突破したと伝えた。うち死者は143人」
どうだろう、よく似た数の感染者のうちで死者の比率が、ドイツ0.26%に対して、アメリカ1.8%になる。つまり、コロナ罹患者のうち死ぬ人が、アメリカはドイツよりも7倍多いということだ。この数値だけならば、いろんな解釈があり得るかも知れぬ。が、この数値を考えるにあたって、皆保険制度が全く実現できないアメリカという事実を思い出さざるを得ない。貧乏人の福祉保険。普通の人は民間保険。ここから、ちょっと貧乏でどんな保険にも入れていない人が、この中間層没落の先進国にはどんどんふえているのだ。これらの人々は、アメリカの超高額医療・医院には、なかなか通院できない。コロナに罹ったかも知れぬと思っても無保険ゆえに数十万円になるなどというこの国の高額医療費は覚悟できないでいるうちにこの病気特有の高齢者死亡率の多さで死んでしまうと、そういう現実を思うのである。
さて、民主主義的政治とはなんぞや。国民を同じように大切にするということであろう。そして、人々にとって最も大切なものとは、まず命である。よって、命の軽重こそ、ある国の民主主義の尺度と言いたい。アメリカは先進国中で命がとても軽い国で、民主主義度がとても低い国と言える。民主主義国アメリカというのは、大きな嘘偽りである。
世界全体で見れば、コロナ罹患者に対する死者数は18日正午現在で約4%。これだけ高い死者比率を特に上に引っ張っている国はイランとイタリア。いずれも死者の比率が1割近くになる。この両国については、何か特殊事情があるとしか思えなかった。それは何なのだろう。民主主義の世界的成長を願う立場から、この両国の死者比率の多さについてはその理由を是非知りたいものだ。