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随筆紹介 「壊れる」   文科系

2020年03月04日 04時41分49秒 | 文芸作品

  「壊れる」  H・Sさんの作品です

 友人がA4紙に印刷した面白い言葉を持ってきた。その言葉を紹介する。
 タイトルは「十八歳と八十一歳の違い」だ。
○道路を暴走するのが十八歳、逆走するのが八十一歳
○心がもろいのが十八歳、骨がもろいのが八十一歳
○偏差値が気になるのが十八歳、血糖値が気になるのが八十一歳
○受験戦争を戦っているのが十八歳、アメリカと戦ったのが八十一歳
○恋に溺れるのが十八歳、風呂で溺れるのが八十一歳
○まだ何も知らないのが十八歳、もう何も覚えていないのが八十一歳
○東京オリンピックに出たいのが十八歳、東京オリンピックまで生きたいのが八十一歳
○自分探しの旅をしているのが十八歳、出かけたまま分からなくなって皆が捜しているのが八十一歳
 この言葉を見て思い切り笑えた人は本当に若い証拠です。皆様なら九十から百歳は間違いないと思います。と、言葉が添えられていた。「九十から百歳は間違いない」この意味は健康ですごせますと言っているようだが、この言葉は誰にでも当てはまるものではないと、私は受け留めた。現在八十二歳になる私はこの言葉をきっかけにして、八十一歳当時の自分を振り返った。
 八十歳のおわり頃から、私は頭と体の崩壊が始まっていた。その第一番目は突然人の名前が出てこなくなったことだ。愕然としたのは、金山のビレッジホールで桂文珍の落語口演を聞きに行った時の事だ。舞台にかけられている緞帳(名古屋城と松の木)のデザイン画を描いた有名な名古屋出身の画伯の名前が出てこない。緞帳の右下に(杉)と言う字が織り込まれているのに〈杉山、杉田、杉本〉と、苗字を手繰り寄せて名前に到達したいと試みるのだがうまくいかない。美浜に鉄道会社から美術館を寄贈された絵描さん。能楽堂の緞帳の若松のデザインもこの人だった。この人の周辺の情報ばかりが浮かんでくるのだが、本人の名前にたどり着けない。口演が終り食事をして地下鉄に乗った。地下鉄の中で「杉本健吉」だ。突然、水が噴き出すような感じで名前が出てきた。緞帳を見た時から五時間あまりがたっていた。これを皮切りに看板広告の有名女優の名前が出てこない。この女優が大河ドラマ「八重の桜」の主役だった等の情報はさっと出て来るのに本人の名前が浮かばない。この様な状況は現在も続いている。二番目は同人誌のグループに所属しているので月一回のペースで提出作品を書いて来たがそれが全く書けないのだ。何とか一つの作品を仕上げようと焦るのだが考えがまとまらない。頭が壊れたとがっくり来た。次には体の壊れが目立ってきた。
 九月半ば、台風の後倒れたコスモスを片付けた。いつもと同じ程度の軽い作業だったはずなのに、右足の付け根に激痛が走り、調子よく動いていた足が前に出ない。よろけて歩けないのだ。いきつけのA整形外科病院へ夫の運転で駆けつけた。
「右股関節の炎症です。働きすぎです。関節を休めてやらないと、骨頭壊死で歩けなくなります」と、こわばった表情のA先生からきつい言葉が返って来た。
[いつもの作業量ですよ。無理したわけではありません。脅かしですか?先生」と、返す私。「昨日やっていたことが今日は出来なくなる。それが年を取ることです。とにかく身体を休めてください。痛みは頓服で止まりますが、炎症が治まったわけではありませんから」。大変だー。最低の家事をやってあとは寝るとするかー。約二週間が過ぎた。痛みは嘘のようにとれて、段差のないところは歩けるようになった。
 十二月初め、父の二十五回忌の法事のため郷里の兵庫県加古川市のお寺に行った。父や母がお世話になった人たちにも会えた。お礼も出来た。この状態なら、体の調子も問題はなさそうという感じで帰路についた。電車に乗ろうとJR加古川駅で電車を待つ。人身事故で電車が動かなくなった。復旧するまで一時間、荒風が吹きさらすホームで待った。
 寒かったー……。どうにか帰宅できたが、寝込んでしまった。起きようと焦るのだが体がだるくて立ち上がれない。その上息苦しい。肩で息をするようになっていた。おかしいと、かかりつけのB医院に駆け込んで診察を受けた。「横隔膜と心臓、肺の間に体液が貯まっている」と、高圧利尿剤を呑んで様子を見ることになった。五ミリぐらいの大きさの錠剤だが、ものすごい勢いで身体の中の水三リットルを追い出した。二日目には息苦しさは消えていた。心臓大動脈弁不全も抱えているので薬物療法は現在も続けている。病気に追いかけられるように八十一歳を何とかやり過ごした。昨日まで出来たことが急にできなくなる。昨日まで元気で活動できた体も今日は壊れている。それが八十一歳と気づいた。

○成人の入り口に立っているのが十八歳、人生のトンネルの出口をよろよろさまよい歩くのが八十一歳。
 私の八十一歳はこんな状況だったと前記の自嘲文を書き留めた。

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慰安婦問題、当時の政府関連2通達紹介

2020年03月04日 04時22分04秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 いつもこのブログに定期的に載せてきたものですが、今回も・・。あったものを無かったことにする圧力が強すぎる社会にあって、歴史への反省を込めて・・・。

 

【 慰安婦問題、当時の関連2通達紹介  文科系2014年09月22日

 以下二つは「日本軍の慰安所政策について」(2003年発表)という論文の中に、著者の永井 和(京都大学文学研究科教授)が紹介されていたものです。一つは、1937年12月21日付で在上海日本総領事館警察署から発された「皇軍将兵慰安婦女渡来ニツキ便宜供与方依頼ノ件」。今ひとつは、この文書を受けて1938年3月4日に出された陸軍省副官発で、北支那方面軍及中支派遣軍参謀長宛通牒、陸支密第745号「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」です。後者には、前に永井氏の説明をそのまま付けておきました。日付や文書名、誰が誰に出したかも、この説明の中に書いてあるからです。

『 皇軍将兵慰安婦女渡来ニツキ便宜供与方依頼ノ件
 本件ニ関シ前線各地ニ於ケル皇軍ノ進展ニ伴ヒ之カ将兵ノ慰安方ニ付関係諸機関ニ於テ考究中処頃日来当館陸軍武官室憲兵隊合議ノ結果施設ノ一端トシテ前線各地ニ軍慰安所(事実上ノ貸座敷)ヲ左記要領ニ依リ設置スルコトトナレリ
        記
領事館
 (イ)営業願出者ニ対スル許否ノ決定
 (ロ)慰安婦女ノ身許及斯業ニ対スル一般契約手続
 (ハ)渡航上ニ関スル便宜供与
 (ニ)営業主並婦女ノ身元其他ニ関シ関係諸官署間ノ照会並回答
 (ホ)着滬ト同時ニ当地ニ滞在セシメサルヲ原則トシテ許否決定ノ上直チニ憲兵隊ニ引継クモトス
憲兵隊
 (イ)領事館ヨリ引継ヲ受ケタル営業主並婦女ノ就業地輸送手続
 (ロ)営業者並稼業婦女ニ対スル保護取締
武官室
 (イ)就業場所及家屋等ノ準備
 (ロ)一般保険並検黴ニ関スル件
 
右要領ニヨリ施設ヲ急キ居ル処既ニ稼業婦女(酌婦)募集ノ為本邦内地並ニ朝鮮方面ニ旅行中ノモノアリ今後モ同様要務ニテ旅行スルモノアル筈ナルカ之等ノモノニ対シテハ当館発給ノ身分証明書中ニ事由ヲ記入シ本人ニ携帯セシメ居ルニ付乗船其他ニ付便宜供与方御取計相成度尚着滬後直ニ就業地ニ赴ク関係上募集者抱主又ハ其ノ代理者等ニハ夫々斯業ニ必要ナル書類(左記雛形)ヲ交付シ予メ書類ノ完備方指示シ置キタルモ整備ヲ缺クモノ多カルヘキヲ予想サルルト共ニ着滬後煩雑ナル手続ヲ繰返スコトナキ様致度ニ付一応携帯書類御査閲ノ上御援助相煩度此段御依頼ス
(中略)
昭和十二年十二月二十一日
         在上海日本総領事館警察署 』


本報告では、1996年末に新たに発掘された警察資料を用いて、この「従軍慰安婦論争」で、その解釈が争点のひとつとなった陸軍の一文書、すなわち陸軍省副官発北支那方面軍及中支派遣軍参謀長宛通牒、陸支密第745号「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」(1938年3月4日付-以後副官通牒と略す)の意味を再検討する。
 まず問題の文書全文を以下に引用する(引用にあたっては、原史料に忠実であることを心がけたが、漢字は通行の字体を用いた)。

 支那事変地ニ於ケル慰安所設置ノ為内地ニ於テ之カ従業婦等ヲ募集スルニ当リ、故サラニ軍部諒解等ノ名儀ヲ利用シ為ニ軍ノ威信ヲ傷ツケ且ツ一般民ノ誤解ヲ招ク虞アルモノ或ハ従軍記者、慰問者等ヲ介シテ不統制ニ募集シ社会問題ヲ惹起スル虞アルモノ或ハ募集ニ任スル者ノ人選適切ヲ欠キ為ニ募集ノ方法、誘拐ニ類シ警察当局ニ検挙取調ヲ受クルモノアル等注意ヲ要スルモノ少ナカラサルニ就テハ将来是等ノ募集等ニ当リテハ派遣軍ニ於イテ統制シ之ニ任スル人物ノ選定ヲ周到適切ニシ其実地ニ当リテハ関係地方ノ憲兵及警察当局トノ連携ヲ密ニシ次テ軍ノ威信保持上並ニ社会問題上遺漏ナキ様配慮相成度依命通牒ス』


 さて、これを皆さんはどう読まれるでしょうか。なお、この文書関係の北支関連国内分募集人員については、ある女衒業者の取り調べ資料から16~30歳で3000名とありました。内地ではこうだったという公的資料の一部です。最初に日本各地の警察から、この個々の募集行動(事件)への疑惑が持ち上がって来て、それがこの文書の発端になったという所が、大きな意味を持つように僕は読みました。】

コメント (1)
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