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新自由主義経済に、日米自己批判が始まる   文科系

2020年03月29日 20時30分37秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

  今、グローバル経済(学)は破綻した。この四〇年ほど世界を席巻してきた新自由主義経済に対して、世界で重大過ぎる根本的な反省が巻き起こっているからである。まず、去年の八月二〇日夕刊に 小さな記事だったが、分かる人には分かる重大な出来事が報じられた。「株主最優先を米経済界転換」、こう見出しされたこの中日新聞記事の書き出しはこうなっている。
『米主要企業の経営者団体「ビジネス・ラウンド・テーブル」は一九日、株主の利益を最優先する従来の方針を見直し、従業員や顧客、地域社会など全ての利害関係者の利益を尊重する新たな行動指針を発表した。これまで米経済界は「株主利益の最大化」を標榜してきたが、大きな転換点となる』

 こういう反省が真摯なものか否か、実行などする気もない何かの世界政経戦略的な策略なのかどうかなどは置いておいて、次は、一二月三日の米政治週刊誌「ニューズウイーク日本版」が組んだ特集「宗旨変えしたノーベル賞学者」。二人の世界的経済学者らの反省を載せているが、その内容を紹介してみよう。まず、アベノミクスの論客とも言えるポール・クルーグマンは、こう反省しているのだそうだ。
『アメリカの製造業を支えてきた中間層が経済・社会的な大変動に見舞われることに気付かなかった。中国との競争でアメリカの労働者が被る深刻な痛手を過小評価していた』  
 他の全米経済ジャーナリストらもこぞって、経済学者らの過去の議論をこう批判しているとも、この記事には紹介してあった。
『多くの経済学者が福祉を犠牲にし、効率性を最優先して「高賃金の雇用を切り捨て、低コストの技術産業に未来を託した」というのだ』
 という「反省」から、このニューズウイーク論文の末尾まとめはこういうものになっている。こちらは、もう一人のノーベル賞経済学者、ジョセフ・スティグリッツが九〇年代から指摘し続けてきたグローバリゼーション反省、批判をまとめた文章でもあるようだ。
『最大の負け組はやはり、アメリカの労働者だ。経済学者はかって、好況下では労働者は自分たちの賃金を引き上げる力を持つと考えていた。だが最近の見方はちょっと違う。多国籍企業が全世界を自らの縄張りに収めて四半世紀がたち、グローバル化した資本は国内に縛られたままの労働者よりも優位に立った。』

 さて、ここで思い起こす事がある。先進国がどこも、労働者が軒並み貧しくなって、国も家計も赤字だらけとなったことへの反省は、日本の誠実な経済学者達にはもうとっくに起こっていた。中谷巌(三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長、多摩大学名誉学長、一橋大学名誉教授)とか水野和夫(三菱UFJモルガン・スタンレー証券、法政大学教授)らがその代表者と言える。中谷が「中産階級をどんどん没落させたのが、新自由主義経済最大の誤りだった」と反省したのだし、水野はこう述べている。「先進国にもう長い間金融バブル経済しかないというのは、既に資本主義の寿命が尽きて弊害しかなくなったということだ」。それでさて、英米日などの政府は、どういう理論でもって今後の経済運営を行っていけるのか。世界経済のこのような惨状について、日本の主流経済学者であった人々の声も、今是非聴きたい。曲学阿世でなければの話だが。アメリカは「GAFA時価総額バブル」で、日本は「官製バブル」の「経済」?

 その下では、貧困小国化・日本。五〇歳まで一度の結婚もできない低所得男性が四人に一人になって、ここ百三十年なかったほどに出生数も減っているのである。
 日中や産油国への飴と鞭を加え続けざるを得ないアメリカ。もしアメリカから日中や産油国の資金が逃げ出したら、米GAFAバブルなど即沈没だからである。
  なお、南欧とか中南米諸国は日本より遙かに先に貧困に陥っている。これも、世界各国で何度も何度も打ち続けられてきた通貨危機など、世界金融が成し遂げた荒技の歴史的結末と言える。


「供給側を重視した経済」への反省から、国際経済を民のサイドで立て直すのは、国連の出番というしかない。ちょうど、資本主義草創期の無制限の労働時間に対して八時間労働が実現してきた時代のように。日中政府は、国連にますます背を向けて行くだけのアメリカへの投資などは引き上げて、その圧力でもって、新自由主義金融本意経済のアメリカに金融規制を迫るべきなのだ。

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