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前統合幕僚長・河野克俊氏が対中先制防衛論  文科系

2021年12月08日 02時46分53秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 今日は12月8日、あの太平洋戦争真珠湾の日である。対する今の日本には急遽、勃然と「軍事費をGDPの2%に」、「中国相手には先制的防衛戦争策を」などの声が起こっている。最近のその典型としてデイリー新潮サイトで表記の物を読んだから、要約してみたい。日本防衛に責任ある制服組最高位の立場だったお方が、こんなテーマで語ったのである。この文章に付いた題名もおどろおどろしいような・・・。
『「中国は確実に台湾に侵攻する」前統合幕僚長が警鐘、沖縄の海が戦場と化す?』

 まず、文中の中見出しすべてを順に紹介しておこう。
・自由主義陣営を挑発し続ける習近平国家主席
・世界で最もキナ臭い地域
・台湾侵攻はいつ起こるか
・脅威は6年以内
・米国も中国抑止の新たな手段を構築中
・台湾侵攻がおこってしまう条件
・自国民を虐殺した過去
・果たすべき責任
・目前に迫った危機

 どうだろう。「他国が攻めてこないように国防が必要」という戸締まり論が、「中国が6年以内に確実に攻めてくるから備えを」にまで進み、さらには最近流行のこんな論議に結びつけて行く。
「他国の攻撃で日本国民の安全が脅かされる場合に限っては、戦術的な敵地への先制攻撃を認める必要がある」
「『目前に迫った危機」であることを自覚し、決意をもって来たるべき日に備えなければならない」

 ところで、「6年以内」などと述べたのは米の一司令官に過ぎない。対するに、バイデンはその対中姿勢に関わってつい最近改めて、こう述べたばかりだ。
「『一つの中国』という(国連と)米の伝統政策は、これを認める」
「台湾の独立は促してはいない」
 ただこの時のバイデンも一言、こう警告はしていた。
「一方的な現状の変更や平和と安定を損なう試みには強く反対する」

 台湾が一国内の分裂政府であるという国際原則は、米でさえ認めるというように、国連を中心とした多国間主義国際社会にはやはり厳然と堅持されているのである。ただ、長く続いたこういう一国二政府状態をどう解決していくのかは、どの国にとっても難しい問題となるはずだ。ただし、この原則を中国が語るたびに、最近ではこれに対して「6年以内に進軍、侵攻」と河野氏らは決めつけることになるわけだ。その上で彼は、この問題を、「沖縄の島々・・・を取り巻く美しい海が一触即発の状態にある」と、日本国土の問題だと語ってみせるのである。


 中国が台湾に侵攻したら、中国への台湾得意分野・半導体輸出製品がすぐに止まるなど、世界貿易・経済は大混乱、長期にわたる停滞をおこす。アメリカとよりもはるかに大きい相互輸出入がある日中も取り返しの付かない歴史的なダメージを負うことになる。ましてやいったん始まった米中戦争は、核戦争にさえ発展しかねない世界の危機をはらんでいる。それも度外視するのでなければ、対中先制攻撃的防衛策などは出てくるわけもないものだろう。先制的な一撃で中国の核基地を全部叩けるという方向を目指していくことになる。どこまでもどこまでも・・・こんな論議は「中国が地球を破壊しようとしているから、それに対する地球防衛が必要だ」という「戸締まり論」(実は「相手」と同じ地球破壊論だ)を語る(悪)夢想家のものと観るのが相応しい。
 
 対する中国はと観れば、2015年国連総会で習近平がこういう提案をしている。
【 ①10年間で10億ドル(約1200億円)規模の「(国連)平和発展基金」を創設
②『中国が国連の新しい平和維持活動(PKO)即応体制に加わり、常駐の警察部隊と8000人規模の待機部隊の立ち上げを主導する』
③今後5年間でアフリカ連合に総額1億ドルの無償軍事支援を行い、アフリカの常備軍と危機対処部隊の設立を支持する。】

 国防を国連(常駐)軍でやっていこうという方向を含むこの提案には、当時の世界が驚いたものだった。ボイス・オブ・アメリカによる高評価も含めて。こういう中国の論議は日本では全く聞こえてこずに、河野氏や高市早苗氏の上記のような夢想的「対中先制防衛論」だけが政界席巻というのは、極めて異常だと思う。河野氏は制服組のトップ、高市氏は自民党政調会長だ。

コメント (1)
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