以下のエントリーは古いものの再掲、12年年末の話。今病と闘っているこのブログ創始者の1人、らくせきさんの短歌のこと。彼は、俳句の世界の人とばかり思っていたから、驚いた話なのだ。彼の俳号は遅足という。もう1人の創始者は、すでに亡くなってしまい、僕1人細々と孤塁を守ることになったという次第。
昨日の中日新聞を見ていたら、見覚えのある顔が載っている。それも3センチ四方以上かと思われるカラー写真の顔アップで。大学同級生時代からの友人の顔に違いない。見れば、中日歌壇の年間最優秀賞で、短歌ではたった二首の一方なのだという。毎日曜日の「中日歌壇」に選ばれたすべての歌の中で本年分の最優秀作品というのだが、その歌がまたとても気に入った。長いつきあいの彼だが、俳句をやっていることは知っていても、短歌もやっているとはぜんぜん知らなかったのに。
生れ落ちこの世へひらく掌に雪の香はあり前の世の雪
気に入ったことだらけだが、惹かれたことを順に上げてみたい。
・最初にまず、下二句の語調が気に入った。ここに、一種の品格を感じた。なぜかと考えてすぐに分かったのだが、「の」が三つ並ぶその調子、リズムの中に、「香は」の「は」が効いていると感じ、惹き付けられたようだ。
・次いで、輪廻転生を乗せた掌が白くこの世へひらいていくというこの歌のモチーフ自身に惹かれた。この子のこれからの「生老病死は?」とか、「愛と憎しみは?」とかまでに思いを馳せるのである。手塚治虫の「火の鳥」ではないが、輪廻転生が欲しいと思うかどうかは、人様々だろう。と、こんな事までも考えさせられる歌だと思う。
・動きがあって、意外にダイナミックな歌だとも感じる。「(生れ落ち)この世へひらく掌に」にそれを感じるのだろうが、この情景から思いがこの子の前世の雪にまで飛んでゆくのだから、確かにそうに違いない。記事にあった作者の言葉では「テレビで見たモンゴルの家族が話す輪廻転生」からヒントを得たのだそうだから、モンゴルの雪なのだろう。
おめでとうございます。
生れ落ちこの世へひらく掌に雪の香はあり前の世の雪
気に入ったことだらけだが、惹かれたことを順に上げてみたい。
・最初にまず、下二句の語調が気に入った。ここに、一種の品格を感じた。なぜかと考えてすぐに分かったのだが、「の」が三つ並ぶその調子、リズムの中に、「香は」の「は」が効いていると感じ、惹き付けられたようだ。
・次いで、輪廻転生を乗せた掌が白くこの世へひらいていくというこの歌のモチーフ自身に惹かれた。この子のこれからの「生老病死は?」とか、「愛と憎しみは?」とかまでに思いを馳せるのである。手塚治虫の「火の鳥」ではないが、輪廻転生が欲しいと思うかどうかは、人様々だろう。と、こんな事までも考えさせられる歌だと思う。
・動きがあって、意外にダイナミックな歌だとも感じる。「(生れ落ち)この世へひらく掌に」にそれを感じるのだろうが、この情景から思いがこの子の前世の雪にまで飛んでゆくのだから、確かにそうに違いない。記事にあった作者の言葉では「テレビで見たモンゴルの家族が話す輪廻転生」からヒントを得たのだそうだから、モンゴルの雪なのだろう。
おめでとうございます。
(2012年12月27日 当ブログエントリーの再掲)