国家基幹統計とは、その推移などから国家や地方公共団体が明日の国民生活政策を考える国民生活の基礎資料。これが改竄されたり、誤っていたりしたら、国家が国民生活改善を図る道を誤ることにもなるもの。今回は、二重加算などGDPを大きく見せることになる建設業の受注額かさ上げ改竄だったが、これに内閣自身が関わっていなかったのかどうか。2018年の勤労統計改竄では、中江元哉・安倍首相秘書官が関わったことが国会でも明らかになっているのである。このようにして・・・、
この勤労統計改竄問題すべてについて、中江秘書官が常に報告を受け、18年度だけを補正してかさ上げ修正されるよう提案までしていた事が厚労省メールなどから明らかになったのである。
この問題を国会で取り上げたのが、立憲民主党の長妻昭議員。これに対して安倍首相から今では有名になったヤジが飛んだ。「だからどうなんだってんだ」 と。そこで、長妻議員と首相とのこんなやり取りになったのである。
「ギリシャも統計の問題が発端で経済危機が起こった。統計の問題を甘くみないほうがいい。扱いによっては国家の危機になりかねない、そういう認識はあるか」
「いま、長妻議員がですね、国家の危機かどうか(と訊いた)。私が国家ですよ。総理大臣が国家の危機という、重大な発言を求めているわけでありますから、まず説明するのが当然のことではないでしょうか」
さて、安倍首相は質問の意味が何も分かっていない事ありありである。「国家統計の改竄が国家の危機になりうる」と問われているのに、その意味が分からないからこそ「総理大臣が国家の危機という」などと捲し立てたわけなのだ。もっとも自分が命じて改竄させたのなら、総理大臣が危機を作ったと言えるのかも知れないが。
今回の国交省による建設業受注高かさ上げは、果たして、首相官邸は絡んでいなかったのか? 徹底解明を求めたい。
安倍首相がこのように言葉の使い方を過ったり、余分なことを長々と答えたりするのは、焦点反らしのほかに、言語力不足、語彙不足で相手の言い分が理解できないことも多いからなのだろう。野球の野村克也にしても、サッカーの中村憲剛にしても、その道で人を導けるような先達は皆優れた言語力を有していて、必要なことは短く的確に語るもの。安倍首相には、総理の器は大きすぎて、彼が座ればスカスカ、そこを打っても本来的に正しい音など出てくるわけがないのだと観てきた。