前統合幕僚長・河野克俊氏がデイリー新潮サイトに書いたこういう題名の記事内容を8日のここに紹介した。
『「中国は確実に台湾に侵攻する」前統合幕僚長が警鐘、沖縄の海が戦場と化す?』
この記事には、こんな表現も含まれている。今の日本で流行り始めた「対中先制的防衛論議」である。
「他国の攻撃で日本国民の安全が脅かされる場合に限っては、戦術的な敵地への先制攻撃を認める必要がある」
「『目前に迫った危機」であることを自覚し、決意をもって来たるべき日に備えなければならない」
「沖縄の島々・・・を取り巻く美しい海が一触即発の状態にある」
退役軍人が政府政策よりも厳しい「チキンレース論」「戦争瀬戸際政策」を語っているわけだが、こんなことがそもそも許されるのか。文民統制という言葉があるのだから現役時代にゆるされないのは当然だろうし。ちなみに、この論の根拠になっている論拠、米側の「6年以内に中国が台湾に侵攻する」という見通しもまた、米の一司令官が語ったものに過ぎないのである。それどころか、大統領バイデンは対中外交原則に関して従来方針通り相変わらず、こう述べているのである。
「『一つの中国』という(国連と)米の伝統政策は、これを認める」
「台湾の独立は促してはいない」
ただこの時のバイデンも一言、こう警告はしていた。
「一方的な現状の変更や平和と安定を損なう試みには強く反対する」
軍人がしゃしゃり出て政府より先鋭な戦争論議をし始めるって、歴史上碌な事が無かったはずだ。しかもその論拠が、米国一軍人の戦争瀬戸際政策・チキンレース発言にすぎぬとあっては、米日ともに文民統制国家における軍人は黙っておれと言うしかない。