九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

「立憲主義憲法の神髄」を揺るがせる動き  文科系

2013年01月20日 15時17分20秒 | 国内政治・経済・社会問題
 表題のカッコ付きの表現は、本日の中日新聞に載った名古屋大学教授・愛敬浩二氏のものである(7面の「中日新聞を読んで」)。改憲問題のおそらく最大のポイントだと思うから、改めて力説したい。
 近代憲法とはそもそもその根本的内容から言っても、成立の歴史から言っても、単純な「国、国民のお約束」といった曖昧なものではない。単にそれだけのものならば、原始時代の一部族にさえ存在したであろう。近代憲法は封建的国家から近代市民が主権者に座るべく大変な血を流して勝ち取ってきたものであって、国民が、暴走すると害が大きい為政者に基本的人権などを守らせるために負わせた約束なのであった。日本も例外ではなく、明治憲法成立まででさえ多くの血が流れたのであって、現憲法も明治憲法ゆえに流れたとも言える何千万という人々の血から生まれた、その果ての産物だとも言える。愛敬氏が現憲法99条を「立憲主義憲法の神髄」と述べるのもそういうことだ。
 彼は、こう書いている。
『日本国憲法が憲法尊重擁護義務を負わせているのは「天皇又は摂政および国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」である(99条)。国民が含まれていないことに重大な意味がある。国民は憲法を尊重・擁護する「義務」を負わない。しかし、政府、議会、公務員に対して「憲法を尊重し、擁護せよ」と要求する「権利」を持つ。憲法99条はこの考え方を自覚的に表明しているのであり、この考え方こそ「権力への懐疑」を根本精神とする立憲主義憲法の神髄であると私は考える』

 憲法とは単なる国民のお約束なのか、「権力への懐疑」を歴史の痛苦として学んだ庶民が権力にさせた誓いの制度なのか。大変な違いではないか。国の主権者が誰なのか、そして、「公僕」がその強大な権力を乱用するとどういう悲劇が起こったか。そういう経験、教訓が詰まった人類の大英知だと思うのだが、どうだろう。フクシマでさえ、そういう教訓を教えてくれる。国会事故調が「規制する側が、規制される側の虜になったところから起こったもの」と断言したのは、権力の乱用そのものと言えるだろう。フクシマの後の日本に肝要と分かったのは、「国民のお約束」なのではなくって「権力が国民にした約束」だろう。

 さて、愛敬氏は、自民党憲法改正草案102条の1項はこうなっていると教えてくれる。
『全て国民は、この憲法を尊重しなければならない』
 そして最後にこんな結びも教えてくれている。
『安倍政権の下で改憲問題を論ずるのであれば、「9条」の大切さだけではなく、「99条」の意義もあらためて確認しておく必要がある』
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ザックジャパン(66) 香川、日本スポーツマスコミの偏り  文科系

2013年01月20日 07時45分34秒 | スポーツ
 日本のスポーツマスコミはゆがんでいると、力説したい。でなければ、香川への世界的注目、評価と日本におけるその扱いの小ささとのギャップが説明できないのである。

 香川は、一競技だけでオリンピックに匹敵できる世界的人気を持つフットボールの世界第2位の国で、リーグMVPを取った選手だ。その選手が今、世界5大チームの世界一決定戦の顔になるか否かという局面を迎えている。言ってみれば、メッシかクリスティアーノロナウド並の選手になり得るかどうかの峠にさしかかっているのだ。香川がユナイテッドの顔になるかどうかとは、そういうことを意味する。それにしては、日本でのこの扱いの小ささはどういうことだろうか。これは、ヨーロッパだけでなく、中心選手がヨーロッパで活躍している南米、アフリカの庶民にとっても大ニュースになっているはずなのに。

 その背景は多分こういうことだ。日本の新聞マスコミと、そのテレビ系列が、野球界の利益関係者である事。そこと一定の距離を置く男子フットボールのニュースは、マスコミの関心事から意識的に外しているという事。彼らにとってはむしろ、アメリカスポーツ文化との接点の方が多いという事などなどであろう。意識して、フットボール情報を野球界の商売敵と扱うところがあるのだと確信している。アメリカ系のネット運営でも、同じ事があるとやはり感じている。
 ただし、フットサルと女子サッカーには、かれらも親近感を示しているらしい。読売ベレーザが結構強く、フットサルでカズを売り出している等々を見ると。昔のベルディを中心にサッカー界の読売人脈だけは「売り」なのである。いつも言うように、カズがゴンより大きい扱いであるのがその証拠である。フットボール選手としての数字実績は、ゴンの方が遙かに大きいのに。
 
 以上の事の実感的証明は省略するが、テレビやネットを見ていて、そう思う事がとても多いとだけは申し上げておく。

 以上につき、このことは言っておきたい。数十年単位で見るとアメリカスポーツ文化は廃れていくと。通貨危機などであの国はもう世界から嫌われている。つまり、あの国の独特な主要スポーツをあえてこれから取り入れていくという国は少ないだろう。逆に、あの国で人気のないフットボールは、世界戦などとの関係であの国でもどんどん人気が出て行くだろう。それは日本も同じであろう。世界の(スポーツ)民主主義にあらがっても勝てぬということである。日本の青少年も、周囲がちょっと賢ければ、将来性のあるスポーツにどんどん流れていくはずだ。スポーツの国際化ということである。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ザックジャパン(65) 明日・試練、香川とチーム  文科系

2013年01月19日 13時58分14秒 | スポーツ
 香川のマンチェスターユナイテッドは明日、4位トッテナムとアウェイで対戦する。先回は確かマンチェスターがホームで、1点差負けのはずだ。若手有数の世界的名監督を得たこの相手は、よい選手も揃いプレミア優勝戦線に割って入るかというチームになった。監督アンドレ・ビラスポアスはモウリーニョのアシスタント生活(7年?)から独立してすぐに、33歳にしてヨーロッパリーグ杯を制した実績を有する。二人ともポルトガル人であって、初めてヨーロッパを制したのがFCポルトというのさえも、同じ出自だ。

 新チームが発足した本年度当初のマンチェスターは、得点力を上げるために失点の多さに目をつぶってきたチーム。それがここに来て無失点ゲームをどんどん増やしている。俄然、守備も締めてきたのであろう。これらすべて、スペイン両強豪などと闘うチャンピオンズリーグに仕上がりを合わせてきたのは明らかである。その一方の雄、リアルマドリードと当たるのが2月13日。トッテナム戦は新チーム・テストの絶好機になるだろう。おまけにこのビラスポアスのフットボール観は、師匠であるモウリーニョよりもバルセロナ時代のグァルディオラと肝胆相照らしあう仲と知られているのである。

 明日のゲーム、そして、2月13日のゲームが楽しみで仕方ない。聞くところでは、トットナムのFWアデバイヨールが代表戦のため残念ながら欠場だが、マンチェスターの方はほぼベストメンバーがそろうらしい。だからこそ、香川が先発して活躍するか否か、彼の目前の将来を占う前半戦最高の正念場が訪れたと言える。先発か否かについては、イングランドマスコミの論調も二手に分かれたらしい。が、僕はトップ下先発と観る。他の2列目2人はルーニーと、見違えるように守備にも励むようになったウェルベックを予想する。ボランチの一方には、クレバリーが必ず入る。新人香川をここまでメインで使い続けてきたのには、監督ファギーの頭の中に香川を主戦として欠かせない完成図柄、「速くボールを奪って、繋いでいくチーム」があるからであって、今それを放棄して旧形に戻す理由が見当たらないからである。だからこそ、ここで香川が活躍したら、2月のマドリッド戦までがさらに待ち遠しくて仕方なくなるというもの!

 もの凄いプレッシャーがかかる正念場! 日本代表でさえゲームの軽重は大きい。外国で格上と闘う時に、使われる選手であるかどうか。スペインフットボールを思い切り取り入れているトッテナムに、ホーム敗戦の雪辱ができるか否か。それも、新たに取り入れた「繋ぐサッカー」で、「繋ぐトットナム」に対抗できるか否か。小さくて軽い香川が相手の標的になるのは明らかであって、それを凌駕する道は「香川に、よいパスが早めに来るかどうか」で決まる。ここまでのこのチームはその点がだめだったのだが、明日それが改善されているかどうか。「ドルトムンドのエース」、香川の勇姿をチームでもって再現して欲しい。それなくしてはレアルマドリッドにも勝てないはずだというほどの決意でもって。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新聞の片隅に載ったニュースから(71)    大西五郎

2013年01月19日 10時22分44秒 | Weblog
新聞の片隅に載ったニュースから(71)

 「憲法だけは変えよう」石原代表、首相に呼びかけ(2013.1.18 朝日新聞)

 日本維新の会の石原慎太郎代表は17日、党国会議員団役員会であいさつし、昨年9月の自民党総裁選前に安倍晋三首相と会食した際、「とにかく憲法だけは変えよう」と呼びかけていたことを明らかにした。また、石原氏は「今年は正念場。参院選を相当、力を入れてやると日本も大きく変わる。年内にも(憲法改正)のつもりでやろう」と述べ、参院選で自民党とあわせて憲法改正を発議できる3分の2の議席確保を目指すことに意欲を見せた。
 (この記事は、日本維新の会の橋下代表代行が国会議員の歳費、定数、政党交付金をいずれも3割カットする法案を28日召集の通常国会に提出する意向を表明したという記事と併せて「旗振り役は勇ましく」という皮肉なタイトルの囲み記事となっていたものから抜き出しました。)

□□――――――――――――――――――――――――――――――――――――――□□

 自称「暴走老人」の執念を示した話ですが、夏の参院選挙で自民党と日本維新の会で3分の2以上の議席を獲得して「今年中に憲法改正をやろう」と言っていますが、そう易々と問屋が卸さないでしょう。
 安倍首相は自民党の総裁選では憲法改正と集団的自衛権を行使可能にすることを主張しましたが、総裁に当選し、首相に就任してからは表立って憲法改正の主張を強めていません。
 首相になった直後の昨年12月26日と27日にメディア恒例の内閣支持率などを問う世論調査が行われましたが、読売新聞の65%を筆頭に、日経と中日(共同通信調査)が62%、朝日59%、
産経55%、毎日52%の支持率でした。朝日と毎日は憲法改正の賛否についても調査しましたが、朝日新聞の調査では「憲法改正に賛成」が32%しかなく、「改正反対」が53%と多数でした。毎日新聞の調査でも「改正賛成」は36%、「反対」52%でした。つまり国民の過半数は憲法を改正して国防軍を持つことに反対しているのです。
 これらの調査の結果からは、先の衆院選で自民党に投票した人の中にも「憲法改正には反対だ」という人が含まれていることを示しています。参院選で自民党が「憲法改正」の政策を掲げて強く主張した場合には、これまで自民党を支持してきた人の中にも自民党への投票を躊躇する人も出てくることも予想されます。
 このため、「安倍首相は参議院選では憲法改正を争点とすることを避け(爪を隠し)、参議院選で多数を獲得したら憲法改正を前面に打ち出してくる(爪を剥き出す)構えだ」と各メディアが観測しています。
 石原慎太郎氏は中国を「シナ」と呼び、尖閣諸島の領有権問題で中国の艦船や航空機が領海や領空に近付いたら軍事的対抗手段で対峙しろと主張していますが、日本が諸外国と再び戦火を交えることのないようにという戦後の反省から生み出した憲法九条があったからこそ、アジアの国々をはじめ世界から「日本は戦争をしない国」と認められていることを、石原氏はもう一度噛み締めて欲しいと思います。

                                       大西 五郎
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「集団的自衛権」いよいよ  文科系

2013年01月18日 14時29分55秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 本日の新聞にこの論議開始と書いてあった。それも急いでとのこと。中日新聞では2面左下隅に小さく、こうあった。「集団的自衛権の行使容認 『訪米前に検討を』首相」

 拙稿「愚かな谷内正太郎談話 2013-01-10 16:06:09」でこう書いた者としては、そこの中心点について注目せざるを得ない。「嘘の理由で開戦した実績を持つ国の戦争に日本が巻き込まれるか否か、およびその程度は」。下手をすれば、嘘理由で始まった戦争で日本の若者たちが命を失うという馬鹿馬鹿しい事が起こるからである。

 この中日記事にはこう書いてあった。
【 第一次安倍内閣で設置した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使)は①公海上で攻撃を受けた米艦船の防御②米国を狙った弾道ミサイルの迎撃③国連平和維持活動(PKO)での他国部隊に対する「駆け付け警護④他国部隊への後方支援の拡大─ の四類型で行使を認める報告書をまとめた。しかし後継の福田内閣に提出され、行使容認は実現しなかった。】
 自分の問題意識からして最も注目した問題がこれだ。④の「他国部隊」が③の規定を含むかどうか。つまり、④もPKOのことなのかどうか。そこで、報告書本文に当たってみたが、この部分はこうなっていた。
【 第2部4類型の安全保障問題のそれぞれに関する懇談会の意見
 1.公海における米艦の防護
 2.米国に向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃
 3.国際的な平和活動における武器使用
 4同じ国連PKO等に参加している他国の活動に対する後方支援 】

 これだと、中日の内容と少しちがうが、ちょっと安心したかな。「愚かな谷内正太郎談話」拙稿末尾に書いたように、こうである事を祈りたい。
「谷内氏のこの言葉が、確信犯的悪漢相手の「おつきあいポーズ」であることを期待したい。」

 そこにも書いたが、嘘の理由で戦争を始める国に荷担するのは、道義もへったくれも端から問題にならないことであって、谷内氏が語ったような「国家の品格、品性」などは独りよがりの愚かな理屈にすぎなくなるからである。
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

フットボール世界の将来が占えるような  文科系

2013年01月18日 11時53分37秒 | スポーツ
 世界のスポーツ界で最も多くお金が流れるフットボール界は、世界経済の縮図。困窮している世界経済の近未来までを覗けるというようなものだ。二日にわたって二人の世界的名監督のことを見てきたが、グァルディオラのバイエルンミュンヘン就任を巡って有名監督のコメントが相次いでいて、それがまたとても興味深い。今日は、日本代表監督ザックと、アーセナル監督ベンゲルのコメントをご紹介してみたい。いずれも、スポーツナビにあったゴールコムの記事である。

【 ザッケローニ、グアルディオラ氏のバイエルン行きに「賢い選択
 Goal.com 2013年1月18日 6:15

日本代表を率いるアルベルト・ザッケローニ監督が、イタリア『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のインタビューに応じた。その中で、ジョゼップ・グアルディオラ氏のバイエルン・ミュンヘン行きなどについて触れている。

バイエルンは16日、来シーズンから前バルセロナ監督のグアルディオラ氏がチームを率いると発表した。ザッケローニ監督は、グアルディオラ氏が正しい判断をしたと感じており、次のように述べている。
「グアルディオラがバイエルンのオファーを受けたのは賢い選択だ。野心的なクラブで、若手育成にも力を注いでいる。それに、プレミアリーグに比べるとストレスも小さい。1年の休養の後でリスタートをするには理想的だ」

また、その他の指導者にも触れている。レアル・マドリーを指揮するジョゼ・モウリーニョ監督の去就も注目だ。
「彼は引っ張りだこだろう。ただ、彼の給料を払えるクラブとなると、プレミアしかない。ロシアとアラブだけと言うべきかもね。もしベンチが空いているなら、マンチェスター・シティが最も魅力を感じていると思う」

ボルシア・ドルトムントのユルゲン・クロップ監督を招へいする噂のあるマドリーについては、次期指揮官にパリ・サンジェルマンのカルロ・アンチェロッティ監督をプッシュしている。
「私はアンチェロッティにマドリー行きの可能性があると思う。会長(フロレンティーノ・ペレス)との良好な関係も後押しするのではないだろうか」】


【 ヴェンゲル、グアルディオラのバイエルン行きに「驚いた」
Goal.com 2013年1月18日 10:00

アーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督は、バイエルン・ミュンヘンの新監督に就任するというジョゼップ・グアルディオラ氏の決断に驚かされたと認めている。

グアルディオラ氏は、来シーズンよりユップ・ハインケス監督の後任としてバイエルンを率いることになる。ヴェンゲル監督は、将来的にプレミアリーグで指揮を執ることについて、グアルディオラ氏から尋ねられていたと明らかにしている。
記者会見でヴェンゲル監督は、「彼からは何度か尋ねられていたし、イングランドに来たいと言っていたよ。だから彼がドイツ行きを選んだことに少し驚いたね」と述べている。
「だが率直に言って、バイエルンは魅力的なクラブだ。ドイツは魅力的なリーグで組織力がある。彼の決断は支持できる。未来のフットボールは、間違いなくドイツが中心となるからね」】

 これらの記事から、僕はこんな事を夢想していた。第一はこのこと。バブル以降の世界恐慌状態で、大金を要するフットボール界が音を立てて激変している。金のかかる大衆文化は経済の変化に遅れて激変していくが、スペインとイタリアが落ちていくのだろうか。また、今は皆がプレミア世界一と見ているが、近くドイツがイングランドを抜くのかなとも。そのイングランドの苦悩が、ベンゲルのこの言葉に表れていると見た。
「だが率直に言って、バイエルンは魅力的なクラブだ。ドイツは魅力的なリーグで組織力がある。彼の決断は支持できる。未来のフットボールは、間違いなくドイツが中心となるからね」
 アラブとロシアの石油資本に買われて台頭してきたイングランド2大クラブの狭間で、金のやりくりに苦しんできたベンゲル。ザックが上でこう述べている言葉も、ベンゲルのこの悩みを傍証するものであろう。『ただ、彼(モウリーニョ)の給料を払えるクラブとなると、プレミアしかない。ロシアとアラブだけと言うべきかもね』。

 こんな事をいろいろ考えていたら、何となく哀しくなってきた。
「例えば石油成金が、その国民に金を分けない、使わない分をこんな所で道楽して、それをその該当国民も含めて世界の民衆が人生の慰めにしている。僕もその中の一人に入るのだが」
 ただこの反面、こういうこともあるから面白いと、自らを慰めるのである。昨日の拙稿の一部であるが。
「スペイン人がドイツサッカー象徴チームの監督なんて、今時の国際経済問題とは全くの逆転、痛快な事でもある。失業率30%近く、若者の半分が失業中というスペインの誇りと叫んだら、眉をひそめる向きもおありだろうか。」
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グァルディオラが、バイエルン・ミュンヘン監督就任!  文科系

2013年01月17日 10時45分47秒 | スポーツ
 スポーツナビに時事通信の記事として、こんなニュースが載った。昨日の拙稿のなかのグァルディオラに関わるものだ。とうとう決まったらしい。

【 グアルディオラ氏、バイエルンへ=来季から3年契約―独サッカー
時事通信 2013年1月17日 1:42
【ロンドン時事】サッカーのドイツ1部リーグ、バイエルン・ミュンヘンは16日、昨季までスペイン1部リーグのバルセロナを率いたジョゼップ・グアルディオラ氏(41)が来季から監督となり、2016年までの3年契約で合意したと公式サイトで発表した。ユップ・ハインケス監督は今季限りで契約を満了し、退任する。
 グアルディオラ氏は08年にバルセロナの監督に就任し、1年目のシーズンに国内リーグとカップ、欧州チャンピオンズリーグ(CL)の3冠を達成。昨季限りで退任するまでの4シーズンで、国内外通算14のタイトルをもたらした。今季はどのチームも指揮せず、休養している。
 グアルディオラ氏の指導力への評価は高く、イングランド・プレミアリーグのチェルシー、マンチェスター・シティーなど、他の強豪クラブも獲得に関心があるとされていた。 】

 バイエルンミュンヘンはドイツリーグの「ニューヨークヤンキース」であり、スペイン2強やマンチェスターユナイテッドと並んで、現世界5大クラブに間違いなく入るチームと言えよう。これで、来年のドイツリーグ、ヨーロッパチャンピオンズリーグが俄然面白くなってきた。ドイツではクロップの新興ドルトムントとの闘いが、チャンピオンズリーグではドルトムントを加えた5強の争いが。スペイン人がドイツサッカー象徴チームの監督なんて、今時の国際経済問題とは全くの逆転、痛快な事でもある。失業率30%近く、若者の半分が失業中というスペインの誇りと叫んだら、眉をひそめる向きもおありだろうか。
 そしてもう一つ、世界のファン注目の成り行きが残った。不世出の名監督ファーガソン(今年72歳になる)引退後の後継者が誰になるかという問題だ。専門家たちは「ご本人のプロポーズもあるしして、モウリーニョに決まったも同然」と語ると思う。が、僕には簡単にそうなるとは思えない。最近の彼にはイングランドスポーツに残存している「フェアプレー」、「ジェントルマン」に欠けるところがあるし、戦術にも面白みがないからだ。マンチェスターユナイテッドの最近の方向性からいってグァルディオラなら的確と言えたが、彼の目が消えたとすると案外モウリーニョ以外を当たる事もあると思う。例えば、香川の師匠、ドルトムントのクロップ辺りを。なんせ今ドイツこそ世界水準の優秀な監督が最も多く育っている国と思うし、その筆頭が彼なのである。また、ファーガソンの後釜というのは、今の世界のサッカー監督たちにとって最大の名誉とも思われるからだ。モウリーニョがここに座りたいと望み続けてきたというのは、そういうことなのであろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

モウリーニョとグァルディオラ  文科系

2013年01月16日 10時52分50秒 | スポーツ
 今世界フットボールファンの誰もが注目する二人の名監督が世を騒がせている。浪人中の前バルセロナ監督グァルディオラに、ドイツ・バイエルンミュンヘン監督就任の噂が流れた。イングランドのチェルシーとかイタリアチームへの噂は眉唾だったが、こちらならば信憑性が高いと僕は思った。そして、スペインはレアル・マドリッドの監督モウリーニョがまたしてもこう語ったのである。「将来はイングランドへ行きたい」と。その理由としてあげたのが、こういうことだった。
「イングランドでは、フットボールへの本当の情熱を感じることができる。クラブへの情熱だけではなく、フットボールに対する情熱を感じられる。最初から最後まで、私はそれを愛していた」

昔書いたこの二人の名監督に関する拙稿を、少し長いが再掲したい。


【 モウリーニョとグァルディオラ    文科系 2009年07月22日

 ストイコビッチの監督初体験が失敗に終わりそうな光景を見ながら、サッカー監督というものをいろいろ考えていた。「集団球技はある程度お金があれば、あとは監督次第」と何回かここにも書いてきた。もう少し若い頃までの野村克也や今の落合を見ても、アメリカや日本のバスケットチームなどを見ても。まして、世界でずば抜けて最も人気のあるサッカーの世界なら、なおさらである。なにしろ、老舗チームや国家代表を有名な外国人監督に委ねることなどは日常茶飯事になっているのだから。金のあるグランパスも、ちょっとはサッカー監督の大事さというものを学ぶと良いなどと思う。

 サッカーでは特に誇り高いイギリス人が今、国家代表をイタリア人に任せているし、世界10強クラブにも入るであろうイングランド4強クラブの監督3人までが外国人であって、残りの1人も確かイングランドならぬスコットランド人なのである。外国人3人とはそれぞれ、スペイン、フランス、オランダ人だ。日本野球界でも外国人監督が増えているようだが、読売巨人軍がアメリカから監督を呼ぶなどということが、近く起こりうるだろうかと考えてみていただきたい。

 さて、現在の世界で最も優れたサッカー監督は、5人いると思う。まず、イングランドはマンチェスターユナイテッドのファーガソンと、イングランド代表監督を務めるイタリア人のカペッロ。あまりにも功成り名遂げた感のあるファーガソンと、日本の中田英寿とも縁が深いカペッロのことは省く。
 次いで、同じくイングランドのチェルシーに臨時で雇われて見事に持ち直してみせたオランダ人・ヒディング。韓国をワールドカップ4強にまで上らせたこの名監督は、ロシア代表の現役監督だったかとの二股を見事にやりおおせてしまい、世界を驚かせた。

 さて、この3人に比べれば非常に若いが、既に彼らの名声に近い監督が2人いる。
1人は、イタリアはインテルミラノのモウリーニョだ。ポルトガル人の彼の名が初めて世界に知られたのは、04年にポルトガルのとあるクラブをヨーロッパチャンピオンクラブにしてしまったときのことだった。それからの実績が凄い。直後にイギリスはチェルシーの監督に転出するとすぐに何回かリーグ優勝をして見せた。これには前述のファーガソンも、アーセナルのベンゲルも本当に驚いたはずであって、彼に一目も二目も置いていることは間違いない。そのモウリーニョの現在の野心はこんなところだろう。去年の夏に就任したイタリアはインテルミラノにおいて、ヨーロッパチャンピオンクラブ杯を握ること。今年1年目にして即座にイタリアリーグ優勝を成し遂げながら、ヨーロッパチャンピオンクラブ杯は惜しくもスペインはバルセロナに取られてしまったからである。

 さて、本年度彗星のように世界に出現したのがもう1人の名監督、スペインはFCバルセロナのグァルディオラである。1部リーグでは監督初年度の08~09年シーズンでスペイン杯を得て、先頃ヨーロッパチャンピオン杯をも握って見せたのである。ヨーロッパチャンオン杯決勝の相手は、誰もが連覇を予測した先述のファーガソン・マンチェスターユナイテッドであった。若干38歳、これら全てが監督初年度のことなのだから驚きのほかはない。
 ちなみに、スペインの”読売巨人軍”、レアルマドリードが最近300億円を遙かに超える大型補強に打って出たのは全て、このガァルディオラ対策と言えなくもない。よほどのことをしない限りは、彼のチームを崩せないと見たはずなのだから。前にもここに書いたが「阪神タイガース子飼いの新人監督に日本1、いや世界1を取られたら、そのオフの期間には読売巨人軍が黙っているわけがない」と、そういうことなのである。しかしながら、この超大補強は実を結ぶまい。多分400億円近い金(ドイツはバイエルンミュンヘンのリベリーのマドリード移籍がまだ流動的である)を予定しながら、マドリードの大補強は失敗に終わるであろう。サッカーは組織で戦うものであって、だからこそ監督が最も大切なのだから。
 さてまた、このガルディオラから、グランパスのストイコビッチが学ぶべき点があるので、ここに特記しておこう。ガルディオラは就任早々、花形幹部選手二人を切って捨ててみせた。有名なロナウジーニョと、現在チェルシーで大活躍中のデコである。さらに今年の今も、チーム内得点王(確かリーグ2位)エトーを切ることも発表してしまった。ガルディオラが既に「俺が決めた」と広言している。規律を乱すダビにいつまでも恋々としていたピクシーに見習わせたいものである。
 このガルディオラ、サッカー選手としては野球のキャッチャーに似ていると思う。ボランチという、攻守双方が見える立場の名選手だった。

 ジョゼ・モウリーニョとジョゼップ・グァルディオラ、世界のサッカー界はこれから間もなく、この二人を中心に回り始めるのではないだろうか。 】
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

随筆紹介 「アルバム」   文科系

2013年01月16日 09時48分08秒 | 文芸作品
 また、他の人の随筆紹介です。随筆って、直接天下国家を論ずるわけではないが、その基礎になるような内容、「論」を実感を伴って伝え、教えてくれるもの。いつもそんな気がしています。良い随筆が書ける人でないと良い政治家にもけっしてなれないと思うが、まるで正反対の人ばかりが政治家になっているような。二、三世政治家隆盛なんて、スノッブ過ぎて、反吐が出るばかりだ。


【 アルバム
                             中野 四平

 何時がんが再発するかわからないので、思いついたときに、身辺の整理をしている。昨日は、天袋の奥にある木箱を取り出した。
 なかに入っているのは、一番古いアルバムである。小学校の入学式の写真から始まっている。大事な写真だけを選ぼうと思い、開いて驚いた。同級生や職場の友だちの半分以上が亡くなっている。それでも、なんとか全部見終わった。なつかしいスナップもある。しかし、とても剥がして新しいアルバムに整理する気にならない。その上、なんだかいやな気分になった。
 ふと、気が付いた。アルバムは、楽しかったり、苦しかった過去は思いださせてくれる。そして、これまでの生き方を示している。けれども、これからの将来について前途を照らしてくれない。また、これからどう生きてゆけばいいのかも、教えてくれない。
 一緒に入っていた入学許可書・入社案内書、それに初任給通知書などは、アルバムと一緒に燃えるゴミとして捨てた。ただ、学校の通信簿だけは残した。いずれこれもおなじ運命をたどるだろうが。
 私が求めているのは、過ぎ去った哀愁ではない。これからの人生をどうすれば有意義に生きることができるかである。残念ながら、アルバムにはそれがない。 】
コメント (11)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

随筆紹介  「孤 老」  文科系

2013年01月15日 00時06分46秒 | 文芸作品
 思うところあって、続々紹介。

【 孤 老 (ころう)
                              柴田 紀子

 「うちにモヤシがあるけど、色が変わってしまったんだわ。食べても大丈夫だろうか」
スーパーで野菜を選んでいると、突然、話かけられた。八十歳に近いだろうか、小柄で、どことなく五代目の故柳家小さんに似ている。以前からの知り合い、とでもいう口ぶり。
 こういう場合、なんて言えばいいのだろう。大丈夫、と言って腹をこわされてもいけない。やめておいた方がいいですよ と言ったほうが無難かな。とっさに、あれこれと考えていた。
「俺は一人暮らしだから、何を買っても余っちゃって困るんだわ」 そうですか……。早く買い物をして帰りたい私は少しずつ歩を進めるが、小さんも、あれこれと話しながらついてくる。そして、私だけじゃ物足りないのか、近くにいた主婦にも話しかけた。今だ。私は、その主婦が相づちを打っている間に雲隠れ。
 スーパーで、お年寄りから話しかけられることが時々ある。駐輪場で、隣に停めた自転車の老女が、身の上話をしていたこともある。楽しそうに話す顔は仏のようだが、名前も知らず、その場限りの他人に、なぜこういう話をするのだろう。
 一人暮らしのお年寄りが多い今、スーパーなど人が集まる所で人と話すことで、世間とつながっていると感じたいのだろうか。齢を重ねてきた柔和な顔の裏に、孤独な日常がちらついている気がした。】
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

随筆紹介「古い人形」  文科系

2013年01月15日 00時04分35秒 | 文芸作品
 またまた、同じ同人の随筆紹介。


【   古い人形
                          北 かおる

「おばあちゃん? バービー人形ほしいの」孫娘から、必死に訴える電話。彼女も五歳になった。そろそろ着せ替え人形に興味を持つころである。買ってもいいけれど、何でもすぐ与えるのもよくない。少しは我慢させないと……。でも、彼女の声が耳に残る。
 そうだ、もしかして、私が子どものころ使っていた人形が、生家にまだあるかも。何でも捨てられないで、取っておく両親だから。車で十分ほどの生家へ走る。
 父が旅立ち、母も老人ホームへ入り、今は空家である。時々、母がホームから外出した時に寄るので、そのままにしてある。私の使っていた部屋へ。押し入れの奥から、ほこりがつまった箱を取り出す。蓋を開けると「あった」思わず声が出た。服は色あせて使えそうもないが、金髪の人形は洗えば大丈夫。
 端布で服を作ってみよう。チクチクと縫う。赤と白のギンガムチェックで、フリルのたくさんついたドレス。もう一つは、レースのカーテンの残り布で、白いふわふわドレス。作っているうちに、私の方が人形遊びをしている気分になってきた。でも、気に入ってくれるかな? 顔も古いし、服もしゃれていない。「違うよ」と、嫌がるかな……。
 次の週末。孫娘のはしゃいだ声と足音が聞こえ、玄関に飛び込んで来た。「おばあちゃん、バービーちゃんある?」靴もぬがずに聞く。手作りを渡す。「わあ、かわいい、うふふ」目を輝かせ、抱っこしながらくるくる回る。忘れられていた人形が蘇った。 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

随筆紹介、もうひとつ

2013年01月14日 21時49分05秒 | 文芸作品
『   工場で爆発
                                  中野 四平

 先日、兵庫県の日本触媒でアクリル酸の製造タンクが爆発した。現場で消火活動中の消防署員一人が死亡、警察官を含む三十人が重軽傷を負った。このうち消防署員の負傷者は、じつに二十三人であることに注目したい。
 このニュースをテレビでみて、アクリル酸がタンク内で重合反応を起こしたに違いないと思った。私は、二十五年間工場でアクリル酸などの重合反応をやってきたからである。
 日本触媒の最大の失敗は、安全管理者が外部の人に対する安全を考えていなかったことである。危険物を大量に取り扱う工場では、火災が起きたら、まず、門の前で工場の責任者が消防隊の入場を停める。そして、消防の指揮者に危険物の性質を説明し、タンクに近づかないように連絡すべきである。それから入場してもらう。それが、鉄則である。
 消防署員は消火を任務としているので、火を見たらすぐ消したがる。今回も、タンクの近くで消防車両が二台炎上していた。これをみると、消防隊員がいかに危険なタンクに接近したかがわかる。
 以前、私の工場で火災が発生した。門の前で、消防署員に、水をかけたらよけい火災が大きくなると注意した。それにもかかわらず、注水しようとしたので、怒った作業員がスパナを投げつけた。これが体に当たり、消防署は激怒した.しかし、よく鋭明して了解してもらった覚えがある。
 もし、門のところで、アクリル酸の説明をしていたら、あんな惨事にはならなかった。そう確信している。』
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ほかの人の随筆紹介  文科系

2013年01月14日 21時27分28秒 | 文芸作品
 久しぶりに、同じ同人の方の随筆を紹介します。

『 シニア
                                  坂口 安子

 夫が町内の役員をやっているので、スポーツ親睦会の催しに私も時々参加させられる。今回はフランス発祥のペタンク(野球ボールぐらいのステンレスの玉を目標に向けて投げ、より近いものから得点する)で、一般の部・シニアなどと区別して成績を競う。
 定員調整のために頼まれて、今回初めて私はシニアの部での参加となった。日頃から運動神経はいい方だと自負している。事実、今まで参加した中でも成績は良かった。内心、シニアで出場することに物足りなさと不満を感じていた。
 やはり六十歳以上のシニア参加の中では、私は最も若い。さっさとお爺ちゃん、お婆ちゃんたちとの試合を片付けて帰りたかった。
 結果はそのとおりになった。ただし惨敗である。一回戦でいとも簡単に、それも大差でお爺ちゃんたちに片付けられてしまったのだ。もう後がない。私は帰るだけである。
 舐めていた。人生の先輩を完全に舐めていた。少しばかり運動神経がよくて若いことに自信と奢りがあった自分が、まったくもって恥ずかしい。
 それにしても、シニアの方々の集中力はすごい。ただ投げるだけでなく、微妙なコントロールを各自がしっかりとやっている。グランドの砂の具合も読んでいる。
 時間にも気持ちにも余裕があるシニア世代は、普段からスポーツに勤しんでいる人が多いのだとか。試合などの勝負となると、みんな凛として勇ましい。恐るペしであった。』
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新聞の片隅に載ったニュースから(番外編Ⅳ)    大西五郎

2013年01月13日 11時55分05秒 | Weblog
新聞の片隅に載ったニュースから(番外編Ⅳ)

  金平茂紀さんのテレビ評 映画「アルマジロ」(2013. 1.12毎日新聞夕刊)

 多くの日本人にとっては、そんなことは過去の話でもう関係ないよ、と思われているかもしれないが、アフガニスタンやイラクでの戦闘はまだ終っていない。アフガニスタン駐留の国際治安支援部隊(ISAF)を構成するデンマーク軍に従軍取材して制作されたドキュメンタリー映画「アルマジロ」をみた。近く劇場公開される。
 従軍取材という形でこれほどまでに戦争の赤裸々な実相に迫ったドキュメンタリーは見たことがない。敵のタリバン兵を圧倒的な武器で掃討していく戦闘作戦に、ヤヌス・メッツ監督らは最前線の兵士と同じ視線でのぞむためハンディーカメラをもって、まさに兵士のようにshoot=シュート(撮影と射撃は英語では同語である)した。密着していた5人の兵士のヘルメットにもカメラが装着されていた。その臨場感は半端ではない。また非戦闘時に基地内でポルノ映画を見て興奮し、戦争ゲームに熱中する若い兵士たちの日常が淡々と撮られている。デンマークではごく普通の「善良な」市民であったようにみえる。だがその彼らは戦場ではいわば「戦争中毒」に陥っていく。(中略)
 実はこのドキュメンタリー、欧米では、フランス、ドイツ、イギリスなど各国のテレビで放送され、特に当事国デンマークにおいては国民的大論争が巻き起こったのだ。わが国デンマークはこの戦争に本当に関与すべきなのかどうか、と。
 アメリカではすぐれたテレビ番組におくられる12年度のエミー賞のドキュメンタリー編集部門賞を獲得した。テレビでこのような作品をきちんと紹介できるのに。と思っていたら、何とこの作品、NHK・BS「世界のドキュメンタリー」で11年10月に2夜にわたってすでに放送されていたのだという。ぜひとも地上波でもアンコール放送してほしいものだ。

□□――――――――――――――――――――――――――――――――――――――□□

 今回は毎週末の毎日新聞夕刊に連載されている「週刊テレビ評」から金平茂紀さんのずばり!直言を紹介します。筆者の金平茂紀さんはTBSの土曜日夕方の「報道特集」のキャスターで、現在TBSの執行役員でもあります。
 わが国でも、ベトナム戦争当時、日本テレビが「ベトナム海兵大隊戦記」というドキュメンタリーを制作し(制作者は牛島純一氏)、3回に分けて放送する予定がありました。第1回の作品にベトナム解放戦線の兵士と疑った住民の首を切り取り、それをぶら下げて歩く米兵の姿など、戦争の残虐な場面が記録されていたため、当時の橋本官房長官から日本テレビに電話があり、予定されていた第1回の再放送と第2回、第3回の放送が中止されるという事件がありましたが、金平さんは「僕らはこの映画を見終わって、戦場という場において、人間がいかに残酷で非人間的な行為を平気で行えてしまうのかを目の前に突きつけられる。また、軍隊の本質として、自らの残虐行為を隠蔽しようとするかも知ってしまう。」「僕らの国では、国防軍創設とか集団的自衛権行使容認をめざすとか勇ましいことを言い散らす人々が政権についたけれど、そういう人たちにぜひともみてほしい作品である。がんばれNHK。」と結んでいました。
                                       大西 五郎
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ザックジャパン(64) 「謙虚なテリア」、細貝萌   文科系

2013年01月13日 11時31分19秒 | スポーツ
 スポーツナビにまた良い記事があった。ゴール・コムという所からの転載らしいが、地味な異能選手・細貝のこういう記事はきわめて珍しいし、また「我が意を得たり」とも感じて、転載する。手持ちのいろんなサッカー雑誌などを調べてみたが、細貝の記事は無いと言っても良い。日本代表に定着した選手なのに、これはおかしい。なんか、日本サッカー文化の偏り、水準の低さを表しているんじゃないかという気がしてきた。ドイツで、そこの名門クラブで、これだけ評価され始めた選手なのだと強調したい。

 ドイツ紙が細貝を特集 「彼は極東からの謙虚なテリア」

ドイツ地元紙『Rheinische Post』電子版が、レヴァークーゼンMF細貝萌の特集記事を掲載した。細貝は「冷静、アグレッシブ、ハード。日本人の細貝萌は前半戦においてレヴァークーゼンのチームで勝ち組の一人だ」として紹介されている。
記事は「極東からの謙虚なテリア」と題されている。「テリア」は、かつてはドイツ代表でハードなマンマークを特徴としていたベルティ・フォクツ(現アゼルバイジャン代表監督)のニックネームでもある。

同紙は、まずレヴァークーゼンの冬季キャンプ地について書いている。地元での練習後とは違って、ポルトガルでの合宿地では日本人記者の姿が見られず、細貝にとっては見慣れない光景、とした。
練習後は常に少なくとも20分程、記者の質問に答える細貝は「日本人の記者はいつも多くのことを聞く。でも自分は礼儀正しく対応する。5人に5つの質問があれば、一つ一つ答えていくよ」と述べている。

レヴァークーゼンのヴォルフガング・ホルツホイザーGM(ゼネラルマネジャー)が2011年1月からアウクスブルクへレンタル移籍で送り出していた細貝を夏にクラブに戻すことを明かしたとき、多くの人は細貝を苦言を漏らさないレヴァークーゼンのバックアップ要員としていた。
「夏にレヴァークーゼンが呼び戻したのは、アウクスブルクで見せたプレーの評価の証」と述べる細貝だが、バックアップどころか、DFミハル・カドレツが10月末から長期離脱しているため、左サイドバックとしてレギュラーメンバーになっている。
今シーズンの前半戦、細貝はリーグ戦12試合、ヨーロッパリーグ3試合、DFBポカール2試合に出場している。『Rheinische Post』紙は、細貝は慌てずに、守備を重視しながらカドレツの代役をこなしている、と評価した。
本人は「一番好きなポジションではない。だが、(サシャ・レヴァンドフスキ/サミ・ヒーピア)監督がそこで信頼を寄せるのなら、左サイドバックとしてチームを助けることを試みる」と述べる。『Rheinische Post』は、特にチームメートの助けとなったのは、11月17日のシャルケ戦でマッチアップしたジェフェルソン・ファルファンをアグレッシブかつハードな対応で苛立たせ、結局ゲームから消したとき、とした。

 インタビューの際には通訳がつく細貝だが、サッカー用語はマスターしているようだ。ピッチでも「Weiter, weiter」(「もっと、もっと」)など、彼の口からチームメートを元気づける言葉が聞こえる。本人は「グラウンドで重要な言葉は理解できている」と説明している。
ブンデスリーガで戦うほかの日本人選手とも交流を持つ。特にニュルンベルクの清武弘嗣、ハノーファーの酒井宏樹、シャルケの内田篤人とは仲が良いという。
昨シーズンまでボルシア・ドルトムントにいた香川真司は、プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドに移籍したが、細貝は「自分にとってはヨーロッパのどの国でプレーするかは重要ではない。目指すのは、トップクラブで(定位置を)勝ち取ること」と語る。
細貝は、すでに自分はトップクラブに所属していると考えているようだ。今シーズンは最低でもチームとしてリーグ3位以内に入ることを目指している。同選手は「AFCチャンピオンズリーグを優勝した経験はあるが、欧州チャンピオンズリーグでプレーするのが目標」と意気込みを語った。
同紙は、細貝はチームメートに「ハッチ」と呼ばれている様子も伝えている。レヴァークーゼンでは本職のボランチではなく、サイドバック起用が続く細貝だが、地元での評価が向上しているようだ。
(C)Goal.com 』

 この記事でも「極東からの謙虚なテリア」と述べているように、きわめて異色な選手だと思う。確か、「闘犬」と呼ばれた選手がいたななどと、すぐに思い出していた。全盛期のイタリアACミランで、世紀の移り目から南アワールドカップほどまで一世を風靡した中盤守備専門の名選手ガットゥーゾのことだ。明らかにこの「闘犬」をも意識しているのだろう、こちらは「謙虚なテリア」。細貝が日本人で最も強い当たりを厭わない選手だとは、もう日本代表ファンには知れ渡っていること。あんな細身の、優男なのに。この「闘い」がドイツでも評価されて、レーバークーゼンのレギュラーに定着するなどとは、誰もが予想しなかったこと。ドイツ人はもちろん、日本人でも。このチーム、彼の予想外の活躍もあって現在2位なのだし、とんでも無い選手なのかも知れない。

 細貝萌、日本代表にも定着し、途中出場の常連にもなったが、レギュラーになるのは大変なことだ。本職ボランチの競争相手が、遠藤とキャプテン長谷部なのだから。でも、こういう異能選手はもっともっと日が当たっても良いはずだ。闘いの伝統に乏しい日本では特に。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする