九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

今日のスペインは明日の日本?    らくせき

2013年01月12日 10時05分03秒 | Weblog
今日のスペインのテレビは、
高価な薬が患者に投与できなくなっている、と
医師が告発したというニュースを。
健康保険財政が逼迫した結果だそうです。

このほか、マンションから追い出される人たちなど、
緊縮財政で国民がどんな生活になっているのか?
国債で行き詰まった国の姿を連日報道しています。

まるで明日の日本を見ているようです。
NHKのBSで朝の8時15分くらいから放送しています。
一週間くらいごらんになることをお薦めします。



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ザックジャパン(63) 「本田圭佑、ミランへは行くな」  文科系

2013年01月11日 00時13分24秒 | スポーツ
 本田圭佑を、イタリアのACミランが取ろうとしている。僕が思うに、こんなオファーは決して受けるべきではない。受けたら本田は絶対に長く後悔すると、声を大にして叫びたい。例え万一、本田に右膝半月板の後遺症不安が残っているとしても。
 
 本田が在籍しているチェスカ・モスクワは本田の価値をよく知っている。だから15億円以下では、絶対に彼を手放さないと外に示し続けてきた。僕はそれどころか、本田は香川と同等の価値があると見ている。今なら多分、20億円を下らないはずだ。経済落ち目のイタリア、ミランは、それだけの金など到底出すことはできない。安く買おうとする。そして、高く売ろうとしているのだ。すると、本田がミランにいたら、チェスカ・モスクワと同じことが起こる。つまり、高い値がつくまで本田を外に出さない。

 本田は、自分の価値をしっかりおさえておくべきだ。ドイツで、今をときめく日本人の誰よりも自分が優れているということを。長谷部? 清武、乾? 彼らと並べても、君は日本正真正銘のエースである。これら日本選手の誰にも劣らぬ技術があって、何より彼らよりも何倍も強い。外国人に当たられてもびくともしない日本人など、他にはいないのである。頑強なロシアでエースが張れていることがその証拠だ。一方イタリアでは、長友の年俸は今9000万円。来年には、2億になるとか? 長友がたった2億?? 飛んでもない話だろう。

 落ち目のイタリアへは、行くな。金がないミランは、君で商売がしたいだけなのだ。イタリアの落ち目は、当分続くことも請け合いであるし。行くならば絶対に、プレミアである。走力的スピードがない君には、スペインは向かない。君がチェスカで今より数等伸びる自信があるならば、なおさら特に言いたい。チェスカで時を待てばよい、25億もの値がつく選手になれるのではないか。それに、経済落ち目のイタリアと、プレミアチームをも買収しているロシア。目前の将来性を考えてさえ、チェスカから嫁いでいった方が正当な値がついて希望する所へいけること間違いなしと思う。君がミランへ行ったら、最近よくあるように中国に買われていくのが落ちである。これはミランの商売にはよいけれど、「上り坂の選手」が絶対に取るべき道ではないと思う。
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愚かな谷内正太郎談話  文科系

2013年01月10日 16時06分09秒 | 国内政治・経済・社会問題
 本日の中日新聞に、谷内正太郎・内閣官房参与(元外務次官)から聴き取った話が載っていた。その末尾にこんなくだりがある。
『集団的自衛権については、自らが攻撃された時は他の国に助けてもらう、その国が攻撃された時は「われ関せず」という態度は責任ある大国としてありえない。集団的自衛権は国家の品格、品性に関わる問題だ。米国も、そのような日本の貢献を期待している』

 さて、この谷内氏の理屈にかかわって、本日二つのコメントを書いたばかりなので、転載する。二つのコメントを書いた後に、この記事を読んだのだったが。

 暗黙の当然 ! (文科系) 2013-01-10 08:56:37
 名無しさんへ
 上の文章からすれば、九条は当然こう。

 アメリカは軍事予算でどんどん衰退を速めたと言える。冷戦が終わったときに、こんな声が識者に多かったのに、これを無視したからだ。
「3000億ドル軍事費の半分を経済に回して、日本などの経済力に対抗すべき」

 安倍が今時「防衛力増強」って、アメリカの後を追いかけその軍事予算削減の穴埋めでもするつもりか。としたら、アメリカが衰退してきたスパン以上に、国の衰退をもっと早めるだけだ。今時9条改訂なんて、バカのやること。それはアメリカが証明済みと言える。アフガン戦争でもイラク戦争でもね。ほんとにアメリカはどうするんだろうか。そして安倍はバカやるんだろうか?

 アメリカの意向 (文科系) 2013-01-10 09:08:23
 アメリカの日本への意向はこう。
 ドル体制を守る戦力の片棒を、1500兆円の(老人)資産がある日本に担がせたいだけだ。イラク戦争は、ドル体制を守るためだった。00年11月にフセインが石油決済ドル体制から離脱したからだ。
 なんのことはない。衰えつつあるドル世界体制を守るために、日本の若者が殺されるのだ。それを、こう美化しているだけ。
「同盟国と言いながら、アメリカが攻撃されても銃も撃てない日本!」
 本音を隠して上手い理屈を考え出すのは、ディベートに強いアメリカの常道である。そんなことも分からぬから、安倍をバカというのだ。9条があれば「(出兵せねば)トヨタが輸出できなくなるぞ」など何を言われても、「国民が許さないので、済みませんが(無理です)」と言えるのである。』

 谷内氏は「国家の品格、品性」などと言うが、この場合、馬鹿も休み休み言えと言いたい。相手を見て物を言えということだ。
 嘘の理由で、国連の反対を押し切って有志国だけを募ってイラク戦争を起こした国。そこでたくさんの自国の若者、無数の相手国民を殺した国。後になって大統領が『嘘の理由だとは知らなかった』と語った国。因みに、政府・外務省はイラク戦争に参戦したが、嘘の理由に丸め込まれて莫大な金を浪費したことについて、何か釈明でもあったたっけ?
 こういう国相手にこんな「品格、品性」を語るのは馬の耳に念仏どころでは済まないはずである。今後、嘘の理由で戦争を起こして、そのために日本の若者が殺されるということが起らないという保証が一体どこにあるのか。あなたはそういう保証をどこかで確認できたのか!? 当方が品格をもって接するべきなのは、品格のある相手だろう。これがない相手にこんな態度は、呆れて物が言えない。
 さらに、こんなこともある。相手は、傾きかけた軍事超大国だ。しかもイラク戦争に見るように、ドル体制を守るためなら嘘の戦争も辞さぬ、何でもしようと決めた国だと考えるべきだ。現に、冷戦が終わっても経済に金を回さず軍事力をかえって増強したのは、こういうやり方で行こうと決めたということではないのか。そうでない保証が一体、どこにあるというのか? アメリカがイランをこれだけ敵視する理由も、この国が独自の石油取引所を設けてユーロ決済も可能としたからだったはずである。06年春に騒がれたこの問題はその後どうなったのか。日本は確か、アガザディン油田から撤退させられたようだが?

 谷内氏のこの言葉が、確信犯的悪漢相手の「おつきあいポーズ」であることを期待したい。
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世界から日本、9条を見る  文科系

2013年01月09日 09時34分47秒 | 国内政治・経済・社会問題
 安倍政権が生まれた原動力が、今の日本の主として経済沈滞にあることは明らかだ。よって、この沈滞をどう見るかでまた、安倍政権(的政策、雰囲気)が続くかどうかの見通しも全く違ってくる。9条派は今、旧左翼の沈没などだけを中心に日本の近い将来を見るべきでは全くなく、今こそ世界経済とか世界政治とかに目を向けるべき時だと思う。そうすると、安倍政権を見る目も全く違ってくるはずだ。

 最近、NHK出版新書の2冊の本を拾い読みした。一方は「ケインズはこう言った 迷走日本を古典で斬る」。昨年8月に出版されたこの本の著者・立命館大学教授は、米ブルッキングス研究所客員研究員や通産省大臣官房企画室主任研究官を経てきた人だ。こういう人が書いたこの本を要約するとこんな内容になるから、驚くのである。
 今、ケインズの目で日本経済を見ると、資本主義経済の安楽死へ導くような経済学を書くだろう。マルクスが、資本主義の制度的矛盾を揚棄すべきだと語ったように。
 もう一方のNHK出版新書は「なぜ日本経済が21世紀をリードするのか ポスト『資本主義』世界の構図」。こちらは昨年2月に出て、著者は、アメリカの大学二つに学び、国連食糧農業機関にも勤めていた方で、こんな内容の本だ。資本主義とはこのように不安定なものであり、その病理は根深い。サブプライムバブルはこのようにして必然的に起こったものであって、そもそも「資本主義は永遠なのか」。これは最終章の題名であり、その副題が「ポスト資本主義の世界経済と日本」となっている。ちなみにこの著者は、日本政治にはきわめて辛口だ。
『2010年に誕生した『減税日本』と『大阪維新の会』の二つの新党の勢力が伸長すれば、政治の混迷は深まるばかりだということも、あまりにも明白です』(「はじめに」から)
『この、現在の日本の政治的、経済的混迷の根っこにあるのは、政策処方についても、政治制度や官僚制度の改革についても、浅薄な自由主義思想が幅をきかせていることによります』(「あとがきに代えて」)
 なお、この著者がこの本で使っている「自由主義思想」とは、従来でいう「経済学」という「科学」のことだがと語られている。よってこの本がマルクスやケインズを名指したその教えをちりばめていることも必然だ。ただし、この著者が、マルクス、ケインズ二人の本質を見る目は前者の立命館大学教授とは全く違っている。この点がまた、世界の将来を見ていくという興味から、僕にはとても面白かった。

 こんな2冊の本が去年相次いでNHKから出ているという時点に、何か隔世の感を感じるのである。これも多分、政権交代の好遺産の一つなのだろう。文教族が多い自民党森派の天下がずっと続いていたら、NHK統制に抜かりはなかったはずだからだ。

 さて、こんな状況で安部成長路線に持続可能性などあるはずがないではないか。日銀に貨幣を増やさせ、公共投資で景気刺激をして、2%のインフレ目標を達成するなどという古臭い弥縫策で、今の世界が抱えた問題に立ち向かえるわけがないのである。上記著書前者ならこう言うだろう。
「これで『非自発的雇用者』が減っていくなら、大賛成してやるがね?」
 「非自発的雇用」とは、著者の作った言葉であって、この書の焦点的概念だ。2000時間働いても200万円を切る、時給1000未満の労働者たちのことだと述べている。
 後者も安倍「成長」路線について例えば、こう語るだろう。
「ドル体制が崩壊するのだよ。日本が持っている1兆ドルの処理に困るはずだが。また、1ドルなんて間もなく50円の価値もなくなるはずだが、対米貿易はどうするの? そうでなくとも、エネルギー問題こそ目前の世界が避けて通れぬものだよね?」
 安倍のこんな策はせいぜい持って2年。その間に公的累積赤字がまた100兆円も増えるのが関の山だろう。そうでなければそもそもどうして、「資本主義が終わるか」とか何とかなどなどと学者たちが論じ始める必要があるのか。それも、世界を見てきたはずの学者たちが天下の公共放送NHKからなのである。彼らこそ正しいことは、以下のいくつかの世界情勢を揚げただけでも明らかである。アメリカの財政の崖やイラン制裁に反対してきた人物の国防長官就任。ヨーロッパの、出口が見えない失業者数。ブリックス諸国も中国を筆頭として、同じ問題を抱え始めているのである。
 僕は今後このブログでも、こういう目で安倍政権を見て、エントリーを続けていきたいと決意している。経済的に持たない政権など、5年も持つはずがないではないか。かといって、安倍がヒトラーになるほどには、世界の民主主義が弱いとは言えないはずである。同盟国、アメリカも音を立てて変わっていくだろうから。
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ザックジャパン(62) 内田篤人、ブンデス・ベスト11

2013年01月08日 05時31分56秒 | スポーツ
ザックジャパン(62) 内田篤人がブンデスリーグ・ベスト11

 ワールドサッカーキングの記事ですが、快挙を知らせていました。長谷部誠が優勝した年にキッカー紙のベスト11になったことがあり、ドルトムントのエース・香川の快挙はさらに有名だがそれに次ぐもので、快挙だと思う。

『 内田がブンデスHPの2012年ベスト11に「シャルケにおける縁の下の力持ち」
2013.01.04 15:17
提供:ワールドサッカーキング

 ブンデスリーガの英語版公式HPが2012年のベストイレブンを発表して、シャルケの日本代表DF内田篤人が日本人選手で唯一選出された。

 同HPでは、内田を「シャルケのサイドで、縁の下の力持ちの1人」と紹介。リーグ首位を走るバイエルン勢がユップ・ハインケス監督を含め9人占める中、ドルトムントのドイツ代表DFマッツ・フンメルス、ポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキの2選手とともに、ベストイレブンに選出された。

 ベストイレブンは以下のとおり。
GK
マヌエル・ノイアー(バイエルン/ドイツ)
DF
内田篤人(シャルケ/日本)
ダンテ(バイエルン/ブラジル)
マッツ・フンメルス(ドルトムント/ドイツ)
ダヴィド・アラバ(バイエルン/オーストリア)
MF
バスティアン・シュヴァインシュタイガー(バイエルン/ドイツ)
トニ・クロース(バイエルン/ドイツ)
トーマス・ミュラー(バイエルン/ドイツ)
フランク・リベリー(バイエルン/フランス)
FW
マリオ・マンジュキッチ(バイエルン/クロアチア)
ロベルト・レヴァンドフスキ(ドルトムント/ポーランド)
監督
ユップ・ハインケス(バイエルン/ドイツ 』

 それにしても、今年は首位を走る世界的チーム・バイエルンミュンヘンの選手、監督が9人の他は、ドイツ2連覇のドルトムントから2人で、あとは内田だけ。言ってみるならば、シャルケ最高の選手ということでもあるわけだ。世界2位のドイツ代表や、フランスの顔リベリーなど各国代表がずらり。もはや押しも押されもせぬ世界的名選手だね。リーグの公式HPでのことだから、なお凄いことをしでかしたと思う。「縁の下の力持ち」って、フットボールでは最高の褒め言葉じゃないだろうか。見てる人は見てるという褒め言葉だよね。香川に次ぐ世界的日本選手という評価だろう。香川、本田、内田、長谷部、長友に、岡崎や吉田、細貝、清武の評価もどんどん上がっているようだし、国内には遠藤、前田、今野もいて、ザックジャパンはますます絶好調! 
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「従米か愛国か」(5)  文科系

2013年01月07日 12時50分35秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
7 今後の日本に関わって

①孫崎享の提言

『アメリカに潰された政治家たち』の終章は『本当の「戦後」が終わるとき』となっている。そして、その最後のセクション4ページちょっとが『民意が変われば政治が変わる』と題されているから、これが孫崎の今の日本国際政治への望みなのだろう。以下は、そこから抜粋する。最初に言っておけば、外務省の国際情報局長を経て防衛大学教授だった人がこういう考えを持っているというのは、ちょっと嬉しいことと感じたものだ。

『 私は1日も早く、1人でも多くの日本人が、アメリカに対する幻想を捨て、対米従属のくびきから逃れてほしい願っています 』
『 自主路線の政治家は再び現れるのでしょうか。いま、政治家に求められる条件とは以下のようなものだと思います。
 第一に、修羅場から逃げないことです。失うことを恐れないこと。今、政界を見渡して、「すべてを失ってもいいから勝負してやろうじゃないか」という政治家はいません。
 第二に、若い候補であることです。国民は古い政治家を見放しています。これは時代の流れです。若い世代の支持を獲得できる政治家が出てこない限り、風は吹きません。
 第三に、政策的に国民が求めている「原発再稼働反対」「消費増税反対」「TPP反対」を断固やる、という姿勢です。
 以上の条件を踏まえた上で、実現しないという前提であえて申し上げれば、小沢新党が森ゆうこ議員あたりを首相候補に掲げれば、国民的な風が吹く可能性があります。彼女はそれらの条件をすべて備えているからです 』

 読んでいるうちに、孫崎享が鳩山や小沢のブレインの1人のよう感じられないだろうか。

②僕の総体的感想──「アメリカは案外もろいのではないか」

 孫崎は、アメリカの日本への基本戦略をこう述べている。
『 前章で述べたとおり、「在日米軍基地の削減」と「対中関係で先行すること」はアメリカの”虎の尾”です。これで怒らないはずがないのです 』
 この虎の尾2本の本質を、この根強さとか永続可能性とかを、そもそもどう捉えたらよいのだろうか。こんなものが一体なぜ、小沢への執拗な抹殺行動へと繋がるのか。普通に考えれば、産軍政複合体が、仮想敵国設定とかそれに向けての経済大国日本の軍事化とかを図って、その自己増殖を遂げていくことがこの虎の尾の動機だと見られよう。が僕は、それだけとはどうしても思えないのである。
 そもそもこれでは、冷戦後のアメリカの指導者たちが、こう考えていたことと合理的に合わないのである。「冷戦体制が終わった今、他国の軍事力などで怖いものはもう存在しない。本当に怖いのは、日本の(今は多分中国の)経済力である。これからは軍事産業から民需経済に変えるべきである」。そう、軍事力だけが強くても、経済が衰えたらその軍事力さえ維持できないのだ。当時そう語った一人が、ポール・ケネディ、「大国の興亡」。アメリカはなぜ民需に変わらなかったのか。この矛盾にこそ僕は、アメリカの不可思議、不条理を見る。経済力に武力で対抗したら、戦争ばかりしていなければならぬことになるのだし、経済の軍事化はやがて経済自身の停滞を呼ばずにはおかないだろう。今時、こんな政権、戦略に永続性があるわけはないだろうと言いたい。そして、この不条理をどうやったら説明できるかということに、僕は腐心してきた。そして、こんな結論に達した。
 アメリカの伝統的ワスプなどのエスタブリッシュメントが、その一方は産軍複合体へ、他の一方は現物経済より手っ取り早いファンドによる金転がしに走っただけなのだと。
 そこにさらに、こんなことも加わるのではないか。「アメリカ西部流マチズモ」。象徴的例示で言えば、全米ライフル協会。その精神がアメリカ議会を席巻しているようなものではないか。いくら銃による悲劇が起こっても、銃への愛着が捨てられない。あげくは「学校自体も銃で武装せよ。要員はわれわれが派遣する」などと言い出す。こういう一種の選民思想と相まって、「アメリカ西部流マチズモ」を他国にひけらかして、相手を押さえつけたような気になる優越感が手放せないのではないか。それだけエスタブリッシュメント2、3,4世が退廃しているのではないかと思いふけっていたものだ。

 定めた目的の実現には恐ろしく強くとも、人間の目的そのものを深くは考えられないとは、アメリカ生まれのプラグマティズム哲学の本質。今のアメリカは退廃し、かつばらばらになっていて、案外もろいと思わざるをえない。
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「従米か愛国か」(4)  文科系

2013年01月06日 00時20分22秒 | Weblog
6 小沢一郎の”油断”

①新政権発足直前の問題発言からたった7日で秘書の逮捕
 
 以下は、孫崎の「アメリカに潰された政治家たち」からの抜粋を中心として進むが、事の起こりは民主党新政権09年9月発足前の小沢の発言であったと言う。夏の総選挙を控えた2月24日、強気になっていた小沢は奈良県でこんなことを記者団に語ったのだ。
『 「米国もこの時代に前線に部隊を置いておく意味はあまりない。・・・極東におけるプレゼンスは第七艦隊で十分だ。あとは日本が自らの安全保障と極東での役割をしっかり担っていくことで話がつくと思う」・・・・この発言を、朝日、読売、毎日など新聞各紙は一斉に報じます。(中略 ここに、共同通信のアメリカ関係者の反発発言が細かく紹介されている)・・・発言から1か月も経っていない09年3月3日、小沢一郎の資金管理団体「陸山会」の会計責任者で公設秘書も務める大久保規と、西松建設社長の國澤幹雄ほかが、政治資金規正法違反で逮捕される事件が起きたのである。』
 僕は、こういうことが書ける所に、この著者のアンテナの鋭さを見たいと思う。「この発言は危ないぞ」という認識力が情報部門責任者を務めてきた人らしいと。ちなみに、僕がいままでも紹介してきた孫崎の持論「アメリカの虎の尾2本」のうちの一方を、小沢の発言が踏んだということになるのである。発言と秘書逮捕との間隔も、孫崎が言うように「発言から1か月も経っていない」どころか、たった7日目のことではないか。それも政権交代が噂された超微妙な時期の、次期首相を噂された人物の発言とその秘書逮捕となのである。

 さて今振り返れば、この発言と秘書逮捕によって民主党初代小沢内閣の目が消えたわけである。日本政界にとっては、新政権の話題性も相まって戦後ちょっとないような大変な出来事だったと言えるのではないか。問題の疑惑というのがまた、3年以上も前の話だ。まるで、彼のアラを見つけ出し、取っておいて、このときとばかりに告発すると、まるで首相の目をなくするための「予防拘禁」のようなものに見えないか。挙げ句の果てが、今日現在までずるずると小沢を引っ張り続けるなどあらゆる手を尽くしても、有罪にできなかったと言うおまけまでついた話である。米CIA得意の手法の一つなのであろうか。

②反撃に出た小沢
 
 孫崎はこう語り継いでいく。
『 ここから小沢はアメリカに対して真っ向から反撃に出ます 』
 この反撃部分は全文抜粋しておく。外務省最高の情報責任者であった孫崎が「アメリカの2本の虎の尾」と見てきたものを相次いで踏み越えていこうとした小沢が、今の僕には痛快この上なく見えるからだ。
『 鳩山と小沢は、政権発足とともに「東アジア共同体構想」を打ち出します。対米従属から脱却し、成長著しい東アジアに外交の軸足を移すことを堂々と宣言したのです。さらに、小沢は同年12月、民主党議員143名と一般参加者483名という大訪中団を引き連れて、中国の胡錦濤主席を訪問。宮内庁に働きかけて習近平副主席と天皇陛下の会見もセッティングしました。
 鳩山首相については次項で述べますが、沖縄の米軍基地を「最低でも県外」に移設することを宣言し、実行に移そうとします。
 しかし、前章で述べたとおり、「在日米軍基地の削減」と「対中関係で先行すること」はアメリカの”虎の尾”です。これで怒らないはずがないのです 』

③僕の感想

 僕の感想を少々。小沢は合理的なだけに考えすぎて、敵を見誤ったのだと思う。戦後半世紀の冷戦体制が終わってもこれまでの軍事力以上のものを世界に持ち続けているというアメリカの不条理な意図をば、普通の人間の判断力で解釈しすぎたと。僕にはそう思えて仕方ないのである。他方それに加えて、こんな気もする。
 田中角栄はアメリカ、ニクソン大統領にぎりぎり先駆けて日中国交回復をなしたことへの報復としてロッキード事件の憂き目を見た。彼の電撃的な日中国交回復とは、その寸前にこの動きを察知したキッシンジャー国務長官が他国政治家と同席の場所でものすごい呪いの言葉を発して罵倒したもの。このことは、いまやもう有名な話だ。小沢一郎は、師匠角栄のロッキード裁判を全部傍聴したたったひとりの国会議員である。そこで僕はこんな推察もする。小沢が若いころ、すでにこんな決意をしていたのではないかと。いつか力をつけて、日中友好をもっと進めて見せよう。それまではすべて我慢だ。そして47歳で自民党幹事長になった。「まだまだ早い」。50歳を超えた1993年にベストセラーになった「日本改造計画」を世に出しても、まったくアメリカの意向に沿う内容だけだった。そして、新政権確実となって、かつ冷戦後20年近くなったという勇み足から、アメリカの世界戦略をば常識的に判断しすぎたのではなかったか。さらに加えて、日本の検察がここまでアメリカに抱き込まれているとは、内部の者以外には決して分かることではなかったはずだ。孫崎も書いているように『西松建設事件・陸山会事件を担当した佐久間達哉・東京地検特捜部長(当時)も同様に、在米日本大使館の一等書記官として勤務しています』という事実があったとしても。
(続く)
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               夜明けのNHKに ジャンダルク現る    只今

2013年01月05日 16時33分18秒 | Weblog
             7月までこの国のメディア(特にテレビ)は、
       問題になるような報道は自主規制することを暗黙の了解事項としている。
           そうした中で 1月5日(土)朝4時54分のNHKラジオは
                 次のように報じた。

●「福島原発は事故直後から、一日400トンほどのペースで館屋に地下水が流入し、汚染水となって増え続けています。
  こうした汚染水は、現場の放射線量を押し上げる要因となっています。
   この対策のため東京電力は、ストロンチュウムなど62種類の放射性物質を取り除く設備を設け
   昨年の9月には運転開始出来る予定でありましたが、
   放射性廃棄物を保管する容器の強度不足が判明し、
   運転開始時期は見通せない状況にあります」
         ※このこと、どの新聞・テレビも報じていません。大事ではないのでしょうか。


 ●大方の関心は4号機に向けられていますが、2号機の温度が上昇しているようです。
  12月23日までは80℃台で移行してましたが、26日には170℃まで上昇。
  1月4日現在も下がらず。
  東電は、「計器の故障かと思われます」。
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カナダのピアソン首相に学ぶ  文科系

2013年01月05日 14時29分30秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 阿修羅掲示板に今格好な記事があった。カナダのピアソン元首相を称えたものだ。カナダは、アメリカの隣にあって、最も長くこれとつきあってきた国。終戦直後の1948年に就任して10年も務めた外相時代から、アメリカ外交のすべてに最も長く苦しんできた政治指導者でもある。国連議長も務めて国連中心の平和外交を希求した人だからこそ、アメリカの世界戦略にも苦しんだはずだ。ちょうど、実は嘘の理由で始まったイラク戦争への賛否と参戦を迫られて、世界主要国の指導者すべてが悩まされたように。また、こういう人物に20年も前に目を付けた孫崎享。没主体でスノッブな出世主義者ばかりと思われる日本官僚としては、希有な人物なのだろう。


『「『カナダの教訓』米国との関係で、世界で最も苦労しているのはカナダである。:孫崎 享氏」 (晴耕雨読) 
http://www.asyura2.com/12/senkyo142/msg/293.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 1 月 04 日 18:06:01: igsppGRN/E9PQ
https://twitter.com/magosaki_ukeru

『カナダの教訓』は20年前に書いた本。

私は2012年8月『戦後史の正体』を書いた。
占領期以降、日本社会のなかに“自主派”の首相を引きずりおろし、“対米追随派”にすげかえるためのシステムが埋めこまれている。
ではその中、日本はどう生きていけばよいか。
石橋湛山の言葉にヒント。
終戦直後、膨れ上るGHQの駐留経費を削減の石橋蔵相は、すぐに公職追放。
その時の彼の言葉。
「後に続く大蔵大臣が、俺と同じ様な態度をとることだな。また追放になるかもしれない、まあ、それを二、三年続ければ、GHQ当局もいつかは反省」

米国は本気ならいつでも日本の政権を潰せる。
しかしその次に成立するのも、基本的には日本の民意を反映した政権。
次の政権と首相がまたがんばればいい。
自分を選んでくれた国民のために。
それを現実に実行したのが、カナダの首相達。

まずカナダのピアソン首相が米国内で北爆反対の演説をして、翌日、ジョンソン大統領に 文字どおりつるしあげ。
カナダは自国の一〇倍以上の国力をもつ米国の隣に位置。
当然米国から非常に強い圧力。
しかしカナダはピアソンの退任後も、歴代の首相達が“米国に対し、毅然と物をいわなければならない”という伝統、二〇〇三年 “国連安全保障理事会での承認がない”とイラク戦争への参加を最後まで拒否。
国民も七割がその決断を支持。

私が1992年『カナダの教訓』を書いたのはカナダ外務省局長の助言。
彼は「日本は米国の関係で苦労している。しかし、米国との関係で、世界で最も苦労しているのはカナダである。日本がこの歴史を学べばきっと役立つ」と助言。

私は歴史家ではない。
カナダの地域研究家でもない。
私がカナダを学んだのは、ひとえに、日本の行く末、日本として行うべき外交を考える参考として、である。

何故カナダがイラク戦争に参戦しなかったか、学ぶ価値がある。』

 日本にも「ピアソン」が出てきて欲しいと、今思わずにはいられない。
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「従米か愛国か」(3) 文科系

2013年01月05日 09時04分20秒 | 国内政治・経済・社会問題
5 対米自主派の消滅

①歴代首相のこと

 孫崎享「戦後史の正体」は端的に言えば、歴代首相を従米と自主派に分けて見せる作業と言って良い。同「アメリカに潰された政治家たち」は、題名の通りに潰された自主派を描き、併せて「戦後最大の対米追随政権」として野田内閣を描くことで終わっている。こういう書の中から僕は、自分の最大関心事項「冷戦以降」90年代からの米世界戦略転換をここまで読み込んできたと言える。
 さて、このアメリカ半世紀ぶりのこれほど不自然な世界戦略転換は、日本政財官マスコミ界などとも軋みを起こして、当然これを引きずり回すことになっていく。首相で言えば以降は、たった4人の自主派(側面)が出たというのがその軋みに当たるのだろう。クリントンと1対1を含めて何時間も『対等以上の態度で交渉』と書かれた宮沢喜一。『「日米同盟」よりも「多角的安全保障」を重視』したがゆえに『つぶすための工作』を仕掛けられたと、細川護煕。この細川は、佐川急便の借入金返済疑惑で辞任したのだった。ついで、福田康夫への表現はちょっと長くて、複雑なものだ。こんなふうに。なお彼の辞任も急すぎて何か不可解なものだったことは、僕もよく覚えている。
『福田康夫首相時代、米国はアフガニスタン戦争への自衛隊ヘリコプターの派遣を強行に要求しました。さらにその後、破綻することが確実な金融機関への巨額な融資を求めました。福田首相は辞任することによって、この要求を拒否したようです』
 この金融機関とはリーマンショック後のファニーメイのことなのであって、認めていれば数兆円の金をどぶに捨てることになっていたはずだと、孫崎は書いている。
 そして最後の自主派が、言わずと知れた普天間の鳩山由紀夫だが、これ以外、特に小泉前後からはもう、「従米」のオンパレードとされている。小渕、森、小泉、安倍、麻生、菅、野田。

②官僚

 細川、福田、鳩山らの上記のように不思議な辞任には当然アメリカが関わっていよう。なんせ、90年代以降にCIAが扱う仕事の4割が国際経済問題なのであって、当時のその最大ターゲットが、以上に見てきたように日本だったのであるからだ。
 さて、政治家の次には、日本政治のシンクタンクと孫崎も呼ぶ官僚が狙われることになったということだ。強面の元駐日大使アマコストが90年代半ばにこう語っていると、孫崎は書く。
『「政治環境から見て、これまでより規制緩和がしやすくなったのに、現実の前進はまことに微々たるものである。その理由を求めるのはむずかしくない。最も巧妙かつ執拗な抵抗は、他ならぬ官僚機構によるものである。日本の経済と政治を牛耳ることを許している規制緩和制度を抜本的に変えようという動機は、官僚側にはほとんどない」』
 ここに1998年官僚制度の牙城大蔵省で有名な「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」が摘発され、官僚たたきの声がかってなく激しくなっていった。
『わずかに残っていたシンクタンクとしての官僚機構を崩壊させられた日本からは、国家戦略を考える組織が完全に消滅してしまったのです』

③マスコミ

 こういう官僚から日々レクチャーを受けているに等しいマスコミ政治記者などの自主派も、落日を迎えることになった。孫崎は自分自身の中央公論との関わりを一例に取って、これを説明するのだ。
『私は2003年、「中央公論」5月号に「『情報小国』脱出の道筋」と題した評論を書き、間接的な形でイラク戦争を批判しました』
『私は中公新書『日本外交 現場からの証言』で山本七平賞をいただいてから、中央公論社から毎年2~3本の論評を掲載しますといわれていたのです。しかし2003年5月の間接的な批判ですら受け入れられなかったのでしょう。このあと中央公論から論評の依頼はなくなりました』
 「アメリカに潰された政治家たち」に3人の座談会が収められていて、そのうちのひとり高橋洋一は、こう語っている。大蔵官僚出身で、内閣参事官(総理補佐官補)をやった人物だ。
『政治家の対米追従路線の中で、霞ヶ関ではアメリカのいうことを聞く官僚グループが出世していく。彼らは自分たちの立場、利権を守るために、アメリカは何もいっていないのに「アメリカの意向」を持ち出す。とくに財政や金融に限っていうと、そうしたケースが非常に多い。霞ヶ関では財務省のポチができるとそれが増殖する。メディアもポチになって、ポチ体制が確立すればその中から出世する確率が高くなる。そうするとさらにポチ集団が膨らんでいくという構図です』

 なんのことはない。従米派増殖は出世が動機なのだ。そして、在任期間が長かった首相、吉田茂、池田勇人、小泉などを見ると、アメリカの支持がその最大要件であったように、アメリカこそ今の日本の権力者たちを作っていると、孫崎は述べているのである。

(続く)
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              「忌々しいジャップ野郎どもめ」について         只今

2013年01月04日 10時52分46秒 | Weblog
  文科系さんの「従米か愛国か」に付するコメントに、にんじん氏が「ジャップ」発言を紹介していましたが、
  これはテレビ朝日の「モーニングバード・玉川総研」(大晦日)にあった発言と承知し、横入りする失礼をお許し下さい。

  日米間の問題を、孫崎享氏と宮家邦彦氏(日米安全保障条約課長等をへて安倍内閣の官邸連絡調整官)に玉川が聞くという内容でした。

【玉川】このメモは日中国交正常化の一ヶ月前の1972年8月31日、キッシンジャーが喋った「極秘会話覚書」と名付けられたメモです。
    この中に「忌々しいジャップ野郎どもめ。対中国国交正常化でおいしいところを持っていきゃがって」とあります。
 
【玉川】宮家さん、首傾げておられますが… 
【宮家】あれは30枚ある電報のうち最初の1ページにあるもので、あの部分だけ取りだして問題にするのは間違ってます。

【玉川】孫崎さん、キッシンジャーはジャップというほど怒ったわけですが、これは何に繋がりましたか?
【孫崎】ロッキード事件です。
【玉川】あぁ、ロッキード事件は、石油の権益をめぐってのことと言われていましたが‥
【孫崎】キッシンジャー、ニクソンにとって米中国交回復はものすごく重要だった。
    だから田中角栄に対して相当、圧力をかけたんですね、止めろと。しかし意に介せず国交回復をしてしまった。
    米中国交回復は1978年まで待たなきゃならなかったんですね。
【玉川】これが今も、ヘリテージ財団リポートの9つの提言という形で続いている。
    「日本及び同盟国の安全保障に必要なだけの防衛費の増額を求める」
    「安倍氏に対して歴史修正主義を強硬に推進しないことを、個人的に相談する」等々。
【宮家】ヘリポート財団は共和党寄りですよ、今は民主党政権です。
        

 ☆以上がジャツプ発言の部分ですが、宮家氏は終始、嘲笑いの表情も、それは余裕のなさを示していたともいえ、
  「敗北主義」とか「自虐史観」との発語は何を意味しているか、判る人には判るといった討議でした。
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「従米か愛国か」(2) 文科系

2013年01月04日 03時17分27秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
3 冷戦直後、日本こそアメリカの最大脅威だった

 このことについて孫崎は以下のような象徴的例などを挙げていく。今から見れば、当時の日本経済力は恐ろしく強かったということであろう。
 一つは、ニューヨークのロックフェラーセンタービルが89年に三菱地所に買収されたこと。そして、コロンビア・ピクチャーズがソニーに買収されたこと。当時のコロンビアは米国文化の華である映画会社において、ロックフェラーセンターと同様に名門中の名門であった。また米国産業の中心である自動車と鉄工業も日本に追い抜かれていたのだと、孫崎は解説を加えていく。

 併せて、孫崎のこの書にはこんな1991年の世論調査結果が記載されている。シカゴ外交評議会の「米国にとっての死活的脅威は何か」という以下四項目の選択調査である。「日本の経済力」、「中国の大国化」、「ソ連の軍事力」、「欧州の経済力」。この四つの順位が、一般人では多い方からこの通りで、60,40,33,30%となっているが、指導者層はちょっと違って、こうである。63,16,20,42%。つまり指導者層内部では、こんな結論になったと言えるのだ。これからのアメリカ、怖いのは他国の軍事力などではなく、その経済力の方がよほど怖い、と。軍事スパイ機関のはずのCIAが、以降経済スパイ機関の様相を強めていく背景はこんな所に求められると、孫崎は述べている。
 さて、こういう情勢認識からこそ、冷戦後の本音の方針が出てくるのである。

4 アメリカの本音シフトと陽動作戦

こうして、冷戦後のアメリカには、軍事力を半減したその力を経済に回し日本に対抗せよという意見も多かったということだ。が、結局は軍事力を維持増強し、世界の覇者となる道を選んだと、孫崎は述べていく。ちなみに孫崎は、当時検討されていたもう一方の別の道として、マクナマラ元国防長官のこんな上院予算委員会発言を紹介している。
『ソ連の脅威が減少したいま、3000億ドルの国防予算は半分に減らせる。この資金は経済の再構築に回せる』

 さて、軍事力維持強化の道を選んだとすると、経済的脅威・日本にはどう対していったのか。アメリカの片棒を担がせ、そこに金も使わせることによって日本経済を発展させないようにするという道なのである。「ならず者国家」と呼ばれたイラク、イラン、北朝鮮などと戦うべく、応分の負担をせよということなのであった。最初の例がこれ、91年に始まった湾岸戦争で日本が130億ドル負担してもなお「あまりにも遅すぎ、少なすぎ。人も血も、出せ」というようなものだ。この道は次いで、イラク戦争への協力、参戦へと繋がっていく。
 この後の20年、日本が先進国では唯一名目経済成長率がゼロとなった原因がここにあったのかと、僕などは改めて振り返っていた次第だ。

 なお、90年当時の日本の経済力をアメリカにとってこれほどの脅威と捉えていれば、今の中国はアメリカにとってもう怖くて堪らないはずだ。軍事増強の根拠として最大限に利用しつつあるのだろう。そしてその論理が、日本にも押しつけられることになる。日中間に波風が立つわけだ。アジア友好外交を進めた民主党政権や、新政権発足直後の小沢訪中団が憎まれたわけもここにあったのだろう。膨大な相対的貧困家庭数を抱えて、何とも不条理なアメリカだななどと、腹立ちを伴って思わざるを得ないのである。(続く)
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新聞の片隅に載ったニュースから(70)     大西五郎

2013年01月03日 18時55分27秒 | Weblog
新聞の片隅に載ったニュースから(70)

 「学校武装論」に米大統領懐疑的 年内の銃規制意欲(2013.1.1 中日新聞)

 【ワシントン=竹内洋一】オバマ米大統領は三十日、NBCテレビのインタビューで、東部コネチカット州の小学校での銃乱射事件を受け、有力ロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」が提唱した全学校への武装警備員配置について「より多くの銃を学校に配備することが唯一の解決策ではない」と懐疑的な見方を示した。
 大統領は、殺傷力の高い攻撃用銃器の販売禁止や銃購入者の身許調査厳格化への支持を重ねて表明。銃規制強化について「二期目の一年目に実現したい」と延べ、二〇一三年中の関連法案成立に意欲を示した。
 大統領は事件後、再発防止に向けた具体策を一三年一月中にまとめ、議会に示す方針を表明。バイデン副大統領をトップとする作業チームが具体案の検討に着手している。

□□――――――――――――――――――――――――――――――――――――――□□

 アメリカではしばしば銃の乱射事件が起こりますが、昨年末の12月14日にコネチカット州ニュータウンの小学校で起きた事件は児童20人が犠牲となった(他に教員など6人死亡)だけに全米に大きなショックを与え、前々から問題となっていた銃規制の意見が高まっているそうです。そうした中でのオバマ大統領の規制強化の見解表明でした、
 アメリカ開拓時代には銃で家族と財産を守ったという伝統があり、アメリカ合衆国憲法には「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない。」という条項があります。これについては、民兵を組織するための州の権利であって、個人に銃所持を認めたものではないという学説もありますが、連邦最高裁判所は2008年7月に「この条項は個人の武装を認めたもの」とする判決を示しました。
 それでも事件が起こる度に規制を要求する立法運動が起こりましたが、銃器の普及活動を行なっている全米ライフル協会などのロビー活動で規制がなかなか実現しませんでした。
 これらのニュースが伝えられた中で、私が一番ビックリしたのは、全米ライフル協会のラビエール副会長が21日にワシントンで記者会見し「銃を持った悪人を止められるのは、銃を持った善人だ。全米の学校に武装警備員を配置するようにすべきだ。」と語ったというニュースです。私だけでなく、大抵の日本人はビックリし、違和感を持ったのではないでしょうか。
 現代は法の整備も進み、いかに人間性に基づいた社会関係を築くかが問われています。それをアメリカで言えば西部劇時代の論理で、日本で言えば刀を持った武士が刀の威力で自分の言い分を通そうとした時代の論理で、自分の家族や国の安全を守るのだと唱えても、紛争の根本的解決に至るのは難しいでしょう。この論理は日本で憲法9条の改正を唱えている人たちの論理でもあります。安倍首相や石原日本維新の会代表(前東京都知事)の云っていることはこういうことだといえます。勇ましい言動で人々を煽るのではなく、冷静に考えてほしいです。
アメリカでは事件後これまで銃規制に強力に反対してきた民主党の保守派議員が相次いで規制賛成に“転向”し、世論調査でも銃規制に賛成の回答が54%にのぼったということです。
                                       大西 五郎
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「従米か愛国か」(1) 文科系  (題を変えました)

2013年01月03日 16時26分45秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など


1 前置き
 このブログをやり出してから7年間ずっと、一つの疑問があった。近年の世界情勢認識において誰が考えても最大の問題のはずだが、50年ぶりの冷戦終結後もアメリカの軍事力はなぜ減っていかなかったのかという問いだ。なんせ、リーマンショク以降も、世界の恐慌状態やますます深刻になる貧困層対策を尻目に、冷戦時以上の軍事充実ぶりである。世界の不幸の大本のひとつと述べても良いのではないか。これは日本にとっても最大の政治情勢問題なのであって、ここの正しい認識を抜きにしては日本のどんな政治・経済、社会問題も何一つ正確には分析できないという性格を有していると考えていた。そこへ格好の著者の好著が出て来たから、去年すぐに買って、読み始めていた。孫崎享の「戦後史の正体」と「アメリカに潰された政治家たち」である。前者は昨年8月、後者は9月の第一版第一刷発行である。悪書を読むのは人生最大の浪費と言うが、この著者と著作が僕の問題意識から言ってその正反対のものではないかと、まず示しておきたい。
 
 孫崎享はこういう人物だ。43年生まれで外務省に入省し、ウズベキスタンやイランの大使を歴任し、国際情報局長から、最後は防衛大学教授を務めていた。日本最高レベルの情報掌握者であって、かつ冷戦直後の93~96年にウズベキ大使を務めていたとなれば、冷戦後のアメリカ、その恥部などを最もよく知っている人物と言えるだろう。そういう人物が退職後の晩年に近くなって反米物を書くとすれば、これは一読の価値ありというものである。この2冊の本をしばらく紹介していきたい。

2 冷戦後の米最大課題二つ
 はじめに、冷戦後のアメリカと、その対日政策の始まりの部分を見てみる。以下『 』は、僕のエントリーでいつものように著作の抜粋だ。「戦後史の正体」第6章「冷戦終結と米国の変容」からとったものである。

 孫崎はこの章の書き出し近くで、こんな文章を引用している。後のアメリカ統合参謀本部議長コリン・パウエルが、議長就任の前年1988年春にソ連のゴルバチョフから打ち明けられた話なのである。
『「1988年春、ゴルバチョフは私に『将来私は冷戦を終わらせるつもりだ。あなたは新しい敵を探さなければならない』と述べた。『信じられない。しかし彼は本気だ』私は口にこそ出さなかったがこう思ったものである」(中略)
 米軍がこれまで維持してきた膨大な兵士や兵器は不要になります。ソ連を仮想敵国として作られてきた軍事戦略も意味のないものになります』
『こうした状況のなかで米国が考えるべきことは次のふたつです。ひとつは「ソ連が崩壊したあとも、われわれは強大な軍事力を維持する必要があるだろうか。もし維持しようとした場合、国民の支持が得られるだろうか」という問題です。もうひとつは「日本の経済力にどうやって対抗するか」という問題です』

 終戦直後の日本の戦後方向を、アメリカ、占領軍が途中から転換させ始めたというのは有名な話である。足腰立たぬように押さえつける方向から、冷戦に対して活用していこうと。そのためにこそ、天皇を中心とした戦前からの種々の体質なども、一定温存し始めたのであった。これは、戦後史の定説になっているはずだ。その時以来の、日本の方向転換が冷戦終結によってなされ始めたと、そういうことなのである。どんなふうにして?  (続く)
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随筆 ギターを弾く幸せ  文科系

2013年01月01日 13時36分52秒 | 文芸作品
 随筆 ギターを弾く幸せ  文科系

 こんな随筆を今までにもう何回書いて来たろうか。今ももう2時間近く弾いていたが、去年もまたギター演奏に、文字通り明け暮れてきた。この2ヶ月もこんなふうに。
 ギター界では不朽の名曲、ソルの「モーツアルト”魔笛”の主題による変奏曲」にこの10月25日から過去3度目の挑戦をしてきた。僕の場合、この5つあるバリエーションのうち第1と第4が過去どうしても上手くいかなかった。前者では速いスラー部分が重すぎかつ不均等を直せなかったし、後者は高音旋律に呼応したように弾く低音伴奏のばらつきがなくならない。いずれも左指の力が抜けないのだが、僕の永年の欠陥に起因したものである。ただ、前回「魔笛」をやったのは09年の9月であって、今回71歳というこの歳になってもなんとか上達できるのだとよく分かった。この難曲がなんというか、人前で弾けるかという感じになってきたのである。嬉しかった。

 さて、過ぎた1年はこんな曲をやってきた。
 まず1月12日から、イタリアの名画「ひまわり」の主題歌。編曲が難しすぎて僕の手に余り3年前に中途半端に終わっていた曲への再挑戦だった。今回もこれを2ヶ月粘ったが、まだ「一応弾ける」とも言えないだろう。3月13日からはビセンテ・ゴメスの「悲しみの礼拝堂」で、4月16日からはメルツの「ロマンス」。6月9日から、日本の作曲家による「”さくら”の主題による変奏曲」で、7月14日からはバッハのチェロ組曲第1番のプレリュードをギター用に編曲したもの。編曲者は、デュアルテというイギリスのギター作曲家である。そして、10月25日からが、上に見たようにソルの「モーツアルト”魔笛”の主題による変奏曲」。
 僕は9年前先生についた昔から、2人の作曲家の練習曲集以外には何かの教本を上げるというやり方は一切取っていない。自分の好きな曲だけをその都度選び、暗譜して弾き込むという進み方をしてきた。「ひまわり」や「魔笛」のように手に余った曲なら、暗譜したその状況を苦心して維持していき、以降も何度か挑戦する。好きな曲をいったん苦労して覚えたのに忘れるというのがもったいないとも考えてきたのである。

 ギターは、誰に聴いても「癒される音だ」というようだ。そして、僕もよくやることだが旅行や公園にも持って行ける手軽さだし、大音声のオーケストラ楽器が生まれるずっと前の昔からある室内用楽器だから、夜弾いても近所迷惑にはならない。そして何よりも、ピアノと同じように旋律をいろんな和音で装飾・伴奏しながら一人で弾ける数少ない楽器なのである。これがこの楽器がこれほどに楽しめる最大の理由だろう。普通とは逆に、旋律を低音にして高音の伴奏を付けた曲があったり。伴奏の和音修飾も、アルペジオでやったり普通の重和音でやったり。このように、一曲の旋律の情感に合わせていろんな伴奏がある。一つの曲の一つの山場の和音などを、その日その時の気分に合わせていろんな弾き方、弾き分けを楽しんでみることもある。こんなところからなのだろうが、この楽器の弾き手が2派に分かれるから面白い。子どもによくあるように技術がどんどん上がっていくことを楽しむ人と、一つの曲をいろいろと弾き分けてみたりして曲のいろんな表情、楽しみ方を追求する人と。僕は多分、後者なのだと思っている。何せ、同じ曲をどれだけ弾いても飽かないのだから。

 今年もよろしくお願いいたします。
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