九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

随筆紹介 「歩くこと」  文科系

2017年08月07日 19時24分18秒 | 文芸作品
 歩くこと  M・Aさんの作品です


 このところ体調不良が続いて点滴をしたり、医者通いばかりだった。
 そんな時、耳鼻科受診で安定剤をもらい、悩みがあれば聞いてあげますと声をかけられた。もちろん、ストレスがありすぎるのだが、それら一つずつ家の事情を話してどうするのだと思ってお礼を言って辞したが、少し救われたようだ。

 いよいよ心療内科を受診かなとも考えたが、もうこれ以上医者通いはしたくない。その時にふと前々から同人に歩くことを勧められていたことを思い出し、こうなったらダメ元でやってみようと一念発起。初めは十五分くらい近辺を歩き、今は一時間歩いても大丈夫になった。昼間はむりなので、夜にダイエット目標の夫と隣の緑区まで足を延ばし始めた。

 まだせいぜい二週間くらいなのだが、私には効果が出て来ているようなのである。長年貯めた家のごみの片付けは疲れるが、無理をしなければそれまでのまるで廃人のような自分をみることがなくなっている。暑いときなので今が正念場だが、不思議と歩くことが苦痛ではなくなっている。
 ところが、せっかく歩くことが救いになって爽快感さえもてるようになってきた頃、一気にし過ぎたのか、前から痛んでいた背中と腰に突然痛みが起こった。整形外科を受診して歩きたいのだがと相談すると、精密検査の結果が出てからにしなさいとのこと。今はコルセット着用ながらも、また歩けるようになれたらと思う。この先何があるのやら……。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北朝鮮⑤お笑いバージョン 1970

2017年08月06日 23時31分19秒 | Weblog
それにしても独裁者の心理学という分野に触れることが出来ただけでも実りが多かった。ワタシは勿論のことsicaさんも今頃軽い目眩で頭痛薬のお世話になっていることだと思う。お大事に。

さて、核の使用は70年余無い。だから、独裁者正恩もそんなことは理解している。使用すれば自殺行為間違いないのだから、自殺の前に考えるだろう。核は使わない。
独裁者の心理学のどの辺りにこんなことが書かれているのか知らないが、これが独裁者の心理学らしい。

おそらく名だたる心理学者も軽い脳震盪を起こすだろうが、お大事に。

これでも正恩に見せたら何て言うかね。
んじゃ試しに一発いくか?ナメるなよ、かなw

問題は、東アジアで一番危険な指導者の下に核があるということなんだけどね。

そして、アメリカ軍産複合体の皆さんが使う使うと煽るそうです。
この辺りはダチョウ倶楽部の押すなよ押すなよに合い通じるものを感じますね。
複合体の皆さんお疲れです。

そして、正恩さん。国民の大多数に食料もロクに与えず世界中で違法に集めた金を核とミサイル開発に注ぎ込みとうとう親子三代悲願の核ミサイルの開発に成功したけど、日本の一部ではこんな扱いだからね♪
痛風がキツいらしいけどやけ酒飲みすぎないように。
試しに撃つなら大陸の方向でお願いね。
こっちに撃っても、何で最悪の可能性を想定出来なかったんだよ馬鹿野郎の泥仕合だけで終わるから。
とりあえずそんな感じでヨロシクな
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハリルジャパン(104)トップリーグでも抜け出た柴﨑岳  文科系

2017年08月06日 22時06分38秒 | スポーツ
 以下は、「サッカーダイジェスト」記事の抜粋。スペイン1部に上がった柴﨑岳が、親善ゲームだが早くも唯一の得点をして、唯一「違いを作った」選手と呼ばれた。スペインで有名な「マルカ」紙などにおいて。


『 決勝点を決め、ヘタフェに“今季初勝利”をもたらす

(前略)  
 ジローナとの親善試合で先発出場を飾ったヘタフェの日本人MFは、キックオフ直後からエンジン全開。4-2-3-1のボランチに入り、酷暑の下で精力的に動き回り、中盤を広範囲にカバーした。78分には相手の19歳DFバンボ・ディアビがもたつくところに猛然とプレスを仕掛けてボールを奪取。そのまま持ち込んでGKのニアサイドを豪快に破り、これが決勝点となった(85分に交代)。
 
 そのハイパフォーマンスを全国紙『AS』が絶賛。「ガク・シバサキはすでにヘタフェにおいて重要なプレーヤーだ。前半はジローナ、後半はヘタフェのペースで進んだゲームで、ゲーム唯一のゴールを挙げるなど継続的に質の高いプレーを披露した。とりわけボールタッチの質が素晴らしい。そして彼は気温38度の中でも最後まで走り続けたのだ」と書き綴り、「ガクは明らかな違いになっていた」という一文で締めた。
 
 ジローナがある地元カタルーニャの『Diary of Girona』紙は、おらがチームの試合内容を一刀両断。「ひどいピッチ状態と高温のため、見るべきものが少ないゲームだったが、後半の(ジローナの)低調ぶりは目も当てられない」とした。そして失点シーンについては、「ガクはじつに巧妙にディアビの財布をかすめ取ったんだ。そして(GKの)イライソスを難なく破った」と伝えた。「財布を盗む」は慣用句で、「穴を突いた」「ミスを見逃さなかった」という意味合いだ。
 
 老舗スポーツ紙『MARCA』は「後半のヘタフェで目立っていたのは怪我から戻った(CBの)ファン・カラと、ガク・シバサキである。とくにヘタフェの中盤におけるガクの存在は大きく、ひときわ異彩を放っていた。そして決勝点を挙げ、ヘタフェにプレーシーズン初勝利をプレゼントした」と報じている。(中略)
 リーガ・エスパニョーラは開幕まであと2週間。ヘタフェは8月20日、アステレィック・ビルバオの本拠地サン・マメスで第1節を戦う。』


 スペイン紙は柴﨑のボールタッチを褒めているが、彼の特徴は他の何よりも「サッカー選手最広に近い視野とそれに基づく高度な戦術眼」。僕が日本人外国籍選手として、中田ヒデ、岡崎慎司に次いで期待するのが、こういう柴﨑。頭が良い選手は、新チームに行っても事前によく研究していて即戦力になるもの。柴﨑は早くもその特徴を全開させているのだと思う。どうせ、2部にいた去年から、1部の研究怠りなしだったはずなのだ。そのことを、柴﨑は新チーム移籍時に、こんな形で表現していた。
「僕がヘタフェを選んだ最大の理由は、2部で1部的な戦い方をしていた唯一のチームだから」
 彼が選んだ1部チームはつまり、戦い方が彼のお眼鏡に適っていたチームなのである。だからこそ、親善試合でも得点を挙げ、その1点でチームを今期初勝利に導くことができたのだ。本当に凄い選手である。

 なお、この柴﨑のことが普通の検索ではなかなか出て来なくなった。野球・相撲にアメリカ・スポーツと連携しているごとき日本スポーツマスコミの計画的陰謀なのである。単純に言って、サッカー人気を上げたくないのだ。一部にしか人気がない相撲のことは、これでもかと広げまくるのが、これと対照的に思われるのである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

5日「北朝鮮」のあり得ない前提   文科系

2017年08月06日 15時32分21秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 昨日の「北朝鮮」論議は、ちょっと物を考える大人の常識で考えてみて、あり得ない前提に基づいた話だと言いたい。

 北朝鮮ミサイル使用論議ではいつも、ここがあり得ない前提だとずっと語ってきた。
『日本や韓国始め東アジアの国々は北朝鮮の核(使用)の恐怖に襲われる』
『北朝鮮のミサイル核開発がここまで来てしまった以上、日本や韓国も今までとは違う安全保障が求められる可能性が出てくることも否定出来ない。つまりは、核開発になる。』

 北が核を先ず使ったら、首領様は自殺するようなものだと、僕はずっと述べてきた。
 今でさえ自分の命が狙われていると十分すぎる自覚もおありだ。「(北が日本に落としても、アメリカが報復してくれるとは限らないので)即時核報復がないかも知れぬとして、日本には落としうる」というのがこのエントリーの「新味」なのだが、どこに落としても「遅かれ速かれの100%自殺が早まるだけ」という自覚は無いはずがない。アメリカの遙か彼方・クェート侵略のフセイン、「化学兵器使用」のアサド、「9・11のビンラディン」も懸命に研究してきたことだろうし。そしてまた、彼の自殺とは、朝鮮民族にとって末代までも重要な一族郎党に連なる大虐殺までも連想されるはずなのである。あたかも、ルーマニアの独裁者、チャウシェスクのように。

 そしてまた、戦後70有余年の世界史で誰も核を落としたことがないという知識も、この独裁者首領様は十分過ぎるほどにお持ちのはずだ。それが何故かぐらいは、多少の馬鹿でも自殺決意の前ほどには考えてみることだろう。こういうのが自殺の時の独裁者にこそ一種切実な現実的思考というものであると愚考する。独裁者の国のことは、独裁者の心理学が重要になるが、それも完全に欠如している議論ということだ。

 そういう事情すべてを含めて、現代国際政治史 独裁者の心理学などが欠如した、純軍事的な微かな可能性の思いつきだけを前提にした、有り難い論議にしか過ぎないと読みました。
コメント (22)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北朝鮮④ 1970

2017年08月05日 01時57分10秒 | Weblog
ICBM火星14号が成功。これでアメリカ本土ほぼ全域が北朝鮮ミサイルの射程に入った。
というわけで、徐々に洒落にならなくなってきた今後を考えたい。


国同士の安全保障はトップ同士の信頼関係或いは人間関係があるかないかで大きく変わる。東西冷戦時代に米ソの決定的な衝突が無かったのもホワイトハウスとクレムリンにホットラインが合ったことに他ならない。
さて、北朝鮮とアメリカはどうか?
そこまでは無いわなw
ましてやトランプと正恩に信頼関係があるとは思えない。そもそも自国から出ない正恩なんで、プーチンや習近平との信頼関係も全く不明。
結局今のところ信頼関係や人間関係による宥和は無いものと考えることが自然になる。
火星14には当然小型核弾頭の搭載が可能。北朝鮮の目的は核開発を国際社会に認めさせ核抑止による自国の安全保障を確立することになるのだろう。
しかし、当然世の中そんなに甘くはない。

大昔から現代に至るまで国同士の戦争の大部分は隣国同士の争いから始まる。だから今回の場合で言えばアメリカと北朝鮮は国境を接しているわけでは無いから衝突の可能性は限りなく低い。こういう見方はある。
しかし、一方で常に謎に包まれた政策の北朝鮮が国際社会からの警告を無視し続け遂にICBMの開発と核搭載能力の実現にこぎつけた。この次になにをするのか?さっぱり分からない。もしかすると更に攻撃的な動きに移行するのではないか?という見方もある。
どちらの見方も肯定も否定も出来ない。

又、一連の動向で最も割りを食ってるのは中国という見方もある。果たして中国はここまで北朝鮮のミサイル開発が短期間に飛躍的な成果をみせることを予見出来ていたのだろうかという見方である。
北朝鮮は中国にとっては重要な役割を果たしている。アメリカの同盟韓国との間にワンクッション置けるのと、北朝鮮に暴走させそれを中国が抑えるという形でアメリカや韓国、日本に対して一定の緊張を与えることが可能になる。
しかし、今回のICBMは中国にとっても諸刃の剣になる。中国全土も当然射程圏に入ったから。こうなると従来とはかなり状況が変わる。
当然今までのような圧力を正恩に掛けられるかは不明になる。

国家間の戦争の大部分は隣国同士と書いたが、中国と北朝鮮との軍事衝突の可能性も否定出来ない状況が生まれている。

そして、核問題。
このまま北朝鮮の核が既成事実になった場合、日本や韓国始め東アジアの国々は北朝鮮の核の恐怖に襲われる。核抑止とは、こっちは使うつもりは無いがお前が撃ったら間違いなく倍返しだからなという暗黙の論理で成立する。しかし、それだけでは核抑止にはならない。そこにもうひとつ信憑性の話が加わる。
例えばアメリカが北朝鮮に、もしそっちがロサンゼルスに核を落としたらこっちは平壌に核を落とす。この威嚇は信憑性が高い。だが、もしそっちが東京に核を落としたらこっちは平壌に核を落とす。この威嚇はどうか?日本はアメリカの同盟国だから東京に核が落ちた場合、同盟国を守るというアメリカの信頼性に傷は付くが、直接の被害は無いので果たして信憑性のある威嚇になるかというと必ずしもそうではない。
そうなるとこの場合は厳密に言うと核抑止にはならないことになる。
度々日本はアメリカの核の傘下でという話になるが、実際の信憑性はあまり高いとは言えない話だったのよw
しかし、北朝鮮のミサイル核開発がここまで来てしまった以上、日本や韓国も今までとは違う安全保障が求められる可能性が出てくることも否定出来ない。
つまりは、核開発になる。

核による恐怖の均衡が国同士の戦争を回避する有効な手段と考えられるならば、その可能性も否定出来ない環境が北朝鮮によって整いつつある。


コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「国連憲章の武力行使」討論を終えて   文科系

2017年08月04日 06時32分04秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
1970さんとのちょっと長い論争が、8月2日のエントリーと、ここに書かれたコメント応酬でひとまず終わった。ここまでの論議に関わる拙エントリーを改めてご紹介すると、以下のようになる。ほぼそれぞれにコメント応酬もついている。これを読むと、次のようなことが分かるだろうと愚考している。
 一つは国連憲章。その主権国家の権利、主権侵害、それに関わって、禁止されている武力威嚇、行使などなど。および、これらの事項に重大違反を重ねてきたアメリカ流の口実。ただしこれに関わっては、これを支える国連法的規定などどこにもないのだから国連法違反であって、国連憲章のどんな言葉にも引っかからない屁理屈に過ぎぬと、僕は見ている。屁理屈から「関連死含め50万人の死者」(イラク戦争)とか、「死者47万人、負傷者190万人、難民311万人」(シリア内乱)とか・・・?
 ということも含めて、色々勉強させられたけど、楽しい討論であった。誰にも覚えがおありでしょうが、モヤモヤしていた問題で頭の中がすっきりするって、久しぶりにそんな気持ちを味わった。
 いつものように根気強く付き合って下さった1970さんにも、感謝したい。


シリア政権、国連加盟国の権利  2017年07月30日 | 歴史・戦争責任・戦争体験など)
 
シリア論争、僕なりのまとめ 2017年07月29日

おかしな言葉の数々から  2017年07月31日

70さん、「国際法」を論じている  2017年08月01日

「他国への武力介入」、討論のまとめ  2017年08月02日


 これらに興味を持たれた方々が多かったせいか、ここのところ連日アクセスが200前後になる日も多かった。ちなみに、最も多い日は292。読んで下さった方々、有り難うございました。
 徳川幕府によって戦国時代が終わり、300年の平和が到来し、その平和の中で発達した国内経済を土台にして明治維新、近代化日本がアジア諸国で唯一可能になったというのは一つの有力な日本近代史説だと思う。書評をしてきた「サピエンス全史」にも、統一国家というものが世界から戦争やこれに準ずるような暴力を決定的に少なくしたと書かれている。統一国家の法律、警察、裁判などの結果なのである。こうしたことから考えるに、世界平和はやはり、国連強化によってしか成し遂げられないのだろう。

 アメリカは、ケネディ大統領の六一年国連総会演説の一節を今回またご紹介して結びとしたい。
『戦争にとって代わる唯一の方法は国連を発展させることです。……国連はこのあと発展し、われわれの時代の課題に応えることになるかもしれないし、あるいは、影響力も実力も尊敬も失い、風と共に消えるかもしれない。だが、もし国連を死なせることになったら──その活力を弱め、力をそぎ落とすことになったら──われわれ自身の未来から一切の希望を奪うに等しいのであります』
 ケネディ大統領がダラスで射殺されたのは、この演説の2年後のこと。その後のアメリカの動向を見ると、産軍複合体勢力がやったこととしか、僕には思えないのである。 

コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評「サピエンス全史」(3)続、現代の平和   文科系

2017年08月04日 06時05分36秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
河出書房新社、ユヴァル・ノア・ハラリ著「サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 上下」の書評、内容紹介を続ける。終わりということにはなっていないが、今回はこれで終わっていく積もりです。


「部族社会時代の名残がある時代には、戦争は善(悪ではなかったという程度ではない)だった」という文章を紹介した。今は防衛戦争を除いては、良くて「必要悪」になっていると、コメントで書いた。だからこそ、こう言えるのであるとさえ(これは僕が)書いた。
 防衛戦争でもないのに国民が熱狂したイラク戦争などは、太平洋戦争同様国民が欺されたから起こったというものだと。

 さて、今書いたことがこの時代の真実であるかどうか? もし真実だとすれば人間の未来は、戦争が地上から無くなるか、政権とマスコミが国民を欺し続けられるか、このどちらかだということになるが・・・。


 さて、この歴史学者の本「サピエンス全史」には、こういう歴史的知識が溢れている。暴力,戦争についてのそれを、さらに続けて紹介してみたい。
『ほとんどの人は、自分がいかに平和な時代に生きているかを実感していない。1000年前から生きている人間は一人もいないので、かって世界が今よりはるかに暴力的であったことは、あっさり忘れられてしまう』

『世界のほとんどの地域で人々は、近隣の部族が真夜中に自分たちの村を包囲して、村人を一人残らず惨殺するのではないかとおびえることなく眠りに就いている』

『生徒が教師から鞭打たれることはないし、子供たちは、親が支払いに窮したとしても、奴隷として売られる心配をする必要はない。また女性たちも、夫が妻を殴ったり、家からでないよう強要したりすることは、法律によって禁じられているのを承知している。こうした安心感が、世界各地でますます現実のものとなっている。
 暴力の減少は主に、国家の台頭のおかげだ。いつの時代も、暴力の大部分は家族やコミュニティ間の限られた範囲で起こる不和の結果だった。すでに見たとおり、地域コミュニティ以上に大きな政治組織を知らない初期の農民たちは、横行する暴力に苦しんだ。権力が分散していた中世ヨーロッパの王国では、人口10万人当たり、毎年20~40人が殺害されていた。王国や帝国は力を増すにつれて、コミュニティに対する統制を強めたため、暴力の水準は低下した。そして、国家と市場が全権を握り、コミュニティが消滅したこの数十年に、暴力の発生率は一段と下落している。現在の殺人の世界平均は、人口10万人当たり年間わずか9人で、こうした殺人の多くは、ソマリアやコロンビアのような弱小国で起こっている。中央集権化されたヨーロッパ諸国では、年間の殺人発生率は人口10万人当たり1人だ。』

『1945年以降、国家内部の暴力が減少しているのか増加しているのかについては、見解が分かれるかもしれない。だが、国家間の武力紛争がかってないほどまで減少していることは、誰も否定できない。最も明白な例はおそらく、ヨーロッパの諸帝国の崩壊だろう。歴史を振り返れば、帝国はつねに反乱を厳しく弾圧してきた。やがて末期を迎えると、落日の帝国は、全力で生き残りを図り、血みどろの戦いに陥る。・・・だが1945年以降、帝国の大半は平和的な早期撤退を選択してきた。そうした国々の崩壊過程は、比較的すみやかで、平穏で、秩序立ったものになった』
 こうしてあげられている例が、二つある。一つは大英帝国で、1945年に世界の四分の一を支配していたが、これらをほとんど平和裏に明け渡したと述べられる。もう一つの例がソ連と東欧圏諸国で、こんな表現になっている。
『これほど強大な帝国が、これほど短期間に、かつ平穏に姿を消した例は、これまで一つもない。・・・・ゴルバチョフがセルビア指導部、あるいはアルジェリアでのフランスのような行動を取っていたらどうなっていたかと考えると、背筋が寒くなる』
 この共産圏諸国の崩壊においても、もちろん例外はちゃんと見つめられている。セルビアとルーマニア政権が武力による「反乱」鎮圧を図ったと。

 こうして、どこの国でも右の方々が陥りやすい「社会ダーウィニズム」思想(無意識のそれも含めて)は、こういうものであると断定できるはずだ。世界史を知らず、今の世界でも自国(周辺)しか観ることができないという、そういう条件の下でしか生まれないものと。社会ダーウィニズムとは、こういう考え方、感じ方、思想を指している。
「動物は争うもの。人間も動物だから、争うもの。その人間の国家も同じことで、だから結局、戦争は無くならない。動物も人間も人間国家も、そういう争いに勝つべく己を進化させたもののみが生き残っていく」
 この思想が誤りであるとは、学問の常識になっている。
 今の世界各国に溢れているいわゆる「ポピュリズム」には、この社会ダーウィニズム思想、感覚を持った人々がとても多いように思われる。今のこの「ポピュリズム」隆盛は、新自由主義グローバリゼーションの産物なのだと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評「サピエンス全史」(2) 平和な歴史的現代   文科系

2017年08月03日 10時26分55秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 河出書房新社、ユヴァル・ノア・ハラリ著、「サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 上下」の書評、内容紹介を続ける。いつものように、僕のエントリーで『 』が付いた言葉は全て、対象文章の引用であることを示す。


『暴力の減少は主に、国家の台頭のおかげだ。いつの時代も、暴力の大部分は家族やコミュニティ間の限られた範囲で起こる不和の結果だった。すでに見たとおり、地域コミュニティ以上に大きな政治組織を知らない初期の農民たちは、横行する暴力に苦しんだ。権力が分散していた中世ヨーロッパの王国では、人口10万人当たり、毎年20~40人が殺害されていた。王国や帝国は力を増すにつれて、コミュニティに対する統制を強めたため、暴力の水準は低下した。そして、国家と市場が全権を握り、コミュニティが消滅したこの数十年に、暴力の発生率は一段と下落している』

『これらの諸帝国の後を受けた独立国家は、戦争には驚くほど無関心だった。ごく少数の例外を除けば、世界の国々は1945年以降、征服・併合を目的として他国へ侵攻することはなくなった。こうした征服劇は、はるか昔から、政治史においては日常茶飯事だった』

『1945年以降、国家内部の暴力が減少しているのか増加しているのかについては、見解が分かれるかもしれない。だが、国家間の武力紛争がかってないほどまで減少していることは、誰も否定できない』

 最後に、こういう現代の現象を学者達はうんざりするほど多くの論文で説明してきたとして、4つの原因を挙げている。
①核兵器によって超大国間の戦争が無くなったこと。
②人的資源とか技術的ノウハウとか銀行とか、現代の富が複雑化して、戦争で得られる利益が減少したこと。
③戦争は採算が合わなくなった一方で、平和が他国からの経済的利益を生むようになったこと。
④そして最後が、グローバルな政治文化が生まれたこと。以上である。

 今回の最後に、こんな文章も上げておく意味は大きいだろう。
『2000年には、戦争で31万人が亡くなり、暴力犯罪によって52万人が命を落とした。犠牲者が1人出るたびに、一つの世界が破壊され、家庭が台無しになり、友人や親族が一生消えない傷を負う。とはいえ、巨視的な視点に立てば、この83万人という犠牲者は、2000年に死亡した5600万人のわずか1・48%を占めるにすぎない。その年に自動車事故で126万人が亡くなり、81万5000人が自殺した』

もう一つ、こんな文章もいろいろ考えさせられて、興味深いかも知れない。
『(これこれの部族は)アマゾンの密林の奥地に暮らす先住民で、軍隊も警察も監獄も持たない。人類学の研究によれば、これらの部族では男性の4分の1から半分が、財産や女性や名誉をめぐる暴力的ないさかいによって、早晩命を落とすという』

 なお、もちろん、以上これら全ての文章に、学者は学者らしく出典文献が掲げてあることは言うまでもない。


(もう1回続きます)
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

書評「サピエンス全史」(1)野心的人類史  文科系

2017年08月02日 13時08分19秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 例によって、要約付きの書評をしていくが、なんせこの本は題名が示すとおりハードカバー2冊合計500ページを優に超えてびっしりという大部なもの。ほぼ全部読み終わったが、人類史をその通りの順を追って紹介してみても仕方ないので、この本の特徴とか、目立った章の要約とかをやっていく。その第1回目として、この本の概要と特徴。

 オクスフォードで博士号を取った40歳のイスラエル人俊秀の歴史学者が書いた世界的ベストセラー本だが、何よりも先ずこの本の野心的表題に相応しい猛烈な博識と、鋭い分析力を感じさせられた。中世史、軍事史が専門とのことだが、ネット検索にも秀でていて、古今東西の歴史書を深く読みあさってきた人と感じた。ジャレド・ダイアモンドが推薦文を書いているが、このピューリッツァー賞学者のベストセラー「銃、病原菌、鉄」や「文明崩壊」(当ブログにこの書の書評、部分要約がある。06年7月8、19、21日などに)にも匹敵する守備範囲の広い著作だとも感じさせられた。両者ともが、一般読者向けの学術書をものにして、その専門が非常な広範囲わたっている人類学者の風貌というものを成功裏に示すことができていると思う。

 まず全体が4部構成で、「認知革命」、「農業革命」、「人類の統一」、「科学革命」。このそれぞれが、4、4、5、7章と全20章の著作になっている。
「認知革命」では、ノーム・チョムスキーが現生人類の言語世界から発見した世界人類共通文法がその土台として踏まえられているのは自明だろう。そこに、多くのホモ族の中で現生人類だけが生き残り、現世界の支配者になってきた基礎を見る著作なのである。
 「農業革命」は言わずと知れた、奴隷制と世界4大文明との誕生への最強の土台になっていくものである。
 第3部「人類の統一」が、正にこの作者の真骨頂。ある帝国が先ず貨幣、次いでイデオロギー、宗教を「その全体を繋げていく」基礎としてなり立ってきたと、読者を説得していくのである。貨幣の下りは実にユニークで、中村桂子JT生命誌研究館館長がここを褒めていた。ただし、ここで使われている「虚構」という概念だが、はっきり言って誤訳だと思う。この書の中でこれほどの大事な概念をこう訳した訳者の見識が僕には疑わしい。哲学学徒の端くれである僕には、そうとしか読めなかった。
 第4部は、「新大陸発見」という500年前程からを扱っているのだが、ここで語られている思考の構造はこういうものである。近代をリードした科学研究は自立して深化したものではなく、帝国の政治的力と資源・経済とに支えられてこそ発展してきたものだ、と。

 さて、これら4部を概観してこんな表現を当てた部分が、この著作の最も短い概要、特徴なのである。
『さらに時をさかのぼって、認知革命以降の七万年ほどの激動の時代に、世界はより暮らしやすい場所になったのだろうか?・・・・もしそうでなければ、農耕や都市、書記、貨幣制度、帝国、科学、産業などの発達には、いったいどのような意味があったのだろう?』(下巻の214ページ)


 日本近代史の偏った断片しか知らずに世界、日本の未来を語れるとするかのごとき日本右翼の方々の必読の書だと強調したい。その事は例えば、20世紀後半からの人類は特に思い知るべきと語っている、こんな言葉に示されている。
『ほとんどの人は、自分がいかに平和な時代に生きているかを実感していない』
『現代は史上初めて、平和を愛するエリート層が世界を治める時代だ。政治家も、実業家も、知識人も、芸術家も、戦争は悪であり、回避できると心底信じている』
 と語るこの書の現代部分をこそ、次回には要約してみたい。こんな自明な知識でさえ、人類数百年を見なければ分からないということなのである。げに、正しい政治論には人類史知識が不可欠かと、そういうことだろう。第4部「科学革命」全7章のなかの第18章「国家と市場経済がもたらした世界平和」という部分である。

(続く)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「他国への武力介入」、討論のまとめ  文科系

2017年08月02日 12時22分23秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
『「シリア論争」、僕なりのまとめ』『シリア政権、国連加盟国の権利』等のエントリーを巡る1970さんとの論争を、最も大きな対立点を僕として確認して一先ず終わりたいと思います。僕なりのまとめということです。

①有志国による他国家への武力介入を認めるか否か。なお、これは武力介入のことなのだから、一般的な主権の侵害というものではなく、革命の輸出と述べた方が良いと僕は思う。「この過ちは許せないから政権を倒すまでやる」というのは、そういうことだろうと。

②これについて「大義」があるなら認めると70さんは述べられた。なお、こういう「国連法からすれば違法だが、『正統性』があればよい」という論議がアメリカなどいくつかの国や国際法学者の一部にあるのも確かである。この春のシリア空軍基地に対する米軍ミサイル攻撃で、こう述べた学者もいた。「化学兵器使用は許さぬという正統性」という形で。

③僕は国連法ではそういう「大義」は認めていないと述べた。この問題では、国連法にあるのは「内政問題不干渉原則」だけだと。国内問題に他国が武力干渉する時は他の国も巻き込まれて、国際的平和破壊に繋がると述べてきたし、「大義」の規定があいまいだから法ではない、とも。シリアへの米ミサイル攻撃にも、スウェーデン、インドネシア、ボリビアなど、こういう立場を表明した国も多い。


 僕としてはこの討論をここで終わりたいと考えます。以上を文章に残すことは、今後に向けてそれなりに有意義なことだと、僕は考えています。
コメント (16)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

70さん、「国際法」を論じている  文科系

2017年08月01日 13時41分57秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 70さん

 昨日の拙エントリーのA~Eは、貴方のここまでのご応答への問題提起であった。次に、貴方も述べられている通りで、貴方がこのエントリーに応えられたコメントは、その「一部」に応えた段階。よって今回は、その一部に関する限りで僕が応答させていただく。以下手短に書いて、この「一部」の続きを待つことにする。

① 先ず、貴コメントのほとんどを占める『イスラエル』の下り。僕は昨日のエントリーまで、これをこういう文脈で書いている。 
・任意の有志が行う革命の輸出、他国への武力介入は、国連法では禁じられている。僕はそう国連法を解していると、ずっと述べてきた。
・この点に関わって貴方は、国連法外の武力介入にも「正当性」がありうるという考え方を提起された。こういう文脈で。
『「違法であるが、正当である」なんてのが法的な標準的評価になってるならば』
・このように、この(有志による他国への武力介入の)正当性という概念、考え方は是か非か、これを認めるか否かこそが、貴方と僕の間の最大の論争点になってきた。なお、ここで言っておくがここまでの論議が国連法の解釈(か改変かの)問題なのであるから、これがどちらになろうが日米ロ中など万国に適用されるなどというのは大前提。当然過ぎる話である。
・という事を全て踏まえて僕は、イスラエルに触れたのである。たまたまあそこではイスラエル、サウジ、シリアを例に挙げたが、これがロ中が行った正当性ある?侵略例であっても僕として全く構わないわけだ。

・こうして①の結論。そういう国連法に準ずるような意味での「正当性」一般、貴方の言葉で言えば「(違法だが)法的な標準的評価」なるものをめぐって、今までと同様に今後も貴方と討論していくことになるだろう。

② さて、ここまでの①の論点が、貴コメントが次に提起した「安保理機能不全」解釈を左右するキー概念になる。
『安保理が機能不全と書いただけで・・・・・何処か1つの国が反対すればご破算になるシステムを採っている時点で機能不全になるのは分かりきったことなんで』
 こういう貴方の解釈は当然、革命の輸出、武力介入を国連法化すべきとなるし、現行国連法だけが法でありそれ以外の「正当性」等存在させてはならないという立場なら、こうなる。これは「機能不全」などではなくって、現行国連法にもあるとおりに、あくまでも国内問題、内政不干渉原則が存在するだけであると。
 
③「国連を出ていけ・・」問題。
 国連法外の例外的正当性を認めろと行動してきたアメリカは、国連法違反続きだから出て行けと誰が言っても出て行かぬはずだと、僕は語ったのである。これは同じく旧ソ連、ロシア、中国などが行う他国への武力介入に対しても、僕は同じように語るだろう。もちろん、今時ヒトラーや東條じゃあるまいし、これらも出ていくわけはないよということなのだが。つまり、国連法の解釈に関わった非難なのだから、全ての国対象に語っているということは、ここでも自明な、大前提である。


 以上、誤読が誤読を生んで、訳の分からん話になる前に、これまでの話の整理をしたつもりだ。さて、以上の経過認識を共有されるか否か。まず、この回答を待たせていただく。それが是であるならば、その上で改めて早速A~Eにお答え願いたい。


コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする