塔晶夫名義の「虚無への供物」には,はぐらかされたような気分になったが,後半が追加されたのを通読したときは圧倒された.「虚無への供物」は日本のミステリの最高傑作だ.たしかに「無人島に持って行く本」候補である.しかし中井英夫の長編はこれひとつで,あとは短編集ばかり.短編はどれもかっこいいのだが,面白いかといわれると,あまり面白くない.背伸びをして面白いふりをしないといけないように思えたりもした.
この「名なしの森」河出書房新社1985初版を古本で.この短編集が意外に面白かった.こちらが歳を取って嗜好が変わったせいだろうか.もっともなかには初出がオール読物とか小説現代とかいうのもあり,ぼくレベルで書いてくれたせいだろうか.
この「名なしの森」河出書房新社1985初版を古本で.この短編集が意外に面白かった.こちらが歳を取って嗜好が変わったせいだろうか.もっともなかには初出がオール読物とか小説現代とかいうのもあり,ぼくレベルで書いてくれたせいだろうか.