Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

沖で待つ

2006-03-08 16:10:28 | 読書
こないだの芥川賞受賞作.すでに単行本で出ているが,ぼくは文春で読んだ.

TOTOかINAXのようなメーカーに勤めているらしい同期入社の男性との関係を女子社員の立場で書いている.何人かの審査員によれば,恋愛関係からいちおうは独立した男女関係というのは,いままで小説になっていない,斬新なテーマらしい.でも近頃の学生や,卒業して数年の年代を見ていると,ごくフツウの関係だ.自分が学生だった頃と比べると,ちかごろのひとは異性と自然に,上手につきあっているようだ.

この男の同僚「太っちゃん」と「私」がどちらかが先に死んだらお互いの家に忍び込みパソコンのハードディスクを壊し、中の秘密の記録を消す約束をするというのがストーリー.太っちゃんは別な相手と職場結婚したのだが,この太っちゃんが私をどう思っていたのかはいまいち分からない.でも,女性の観点で記述を統一したところが良いのかもしれない.

太っちゃんが先に死んで幽霊として登場する.しかしミステリ臭・オカルト臭は皆無.ある審査員はハードディスクの中身に引っかけてストーリーをもうひとひねりすべきだと言い,別な審査員はこうした書き方こそ純文学と持ち上げている.

しかし確かにおとなが書いたらしい,安心して読める小説ではあった.
コメント (2)
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reading

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