邦枝完二,小村雪岱 画,真田幸治 編「おせん」幻戯書房 (2021/12).
1933 昭和8年,東京朝日新聞および大阪朝日新聞に59回にわたり連載された 邦枝完二 (1892─1956) による小説「おせん」の全挿画を文と共に掲載.有り体に言えば,咋今の小村雪岱 (1887─1940) 評価に便乗した,小村が主・邦枝が従の出版.ぼくも挿画目当てに購入.
画像中央がこの本の組み方の一例だが,この絵が右のように 2021 年に出版された本のカバーに使われている.
真田幸治の解説の言葉を借りれば,「雪岱調」の特徴は,省略されたシャープな線描,遠近法を無視したパース,大胆な余白,画面全体を引きしめる黒と白のコントラスト,一言で言えば静的ということになる.
邦枝・小村コンビはその後 1934-35 年に読売新聞に「お伝地獄」を連載する.ストーリーから察して,またネットに出ている画像などから,こちらの挿画にはダイナミックな場面が多そうだが,この「おせん」のような形での出版は無理 ?