![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/a1/22c99f2ee54a28ba677ac6a69aa73bf3.jpg)
筒井康隆「世界はゴ冗談」新潮社 (2015/5) の巻末に「附・ウクライナ幻想」。ありていにいえば,短編集のおまけエッセイというところ.1972 年のロシア旅行の際に,こどもの頃読んだ「勇士イリヤ」(文・小熊秀雄,絵・謝花凡太郎) の舞台となった,旧ウラジミール公国・キエフ周辺に案内してもらったことが中心である.著者はイリヤへの思い言いれが深く,後に手塚治虫に挿画を依頼して「イリヤ・ムウロメツ」を講談社から出版した (1989 文庫入り) が,あまり売れなかったらしい.
エッセイの大半はイリヤのストーリーだが,初出は「文学界」2014年11月号で,ロシアのクリミア編入への直後である.イントロにもアウトロにも年号などの記述はないから,ぼーっと読んでいると今年書かれた文章かと錯覚し,著者はプーチンに随分好意的だなと思ってしまいそう.
キエフ (じゃなくてキーウか !) はロシア文化発祥の地のひとつである.16トンがキエフという地名を認識したのは,ムソルグスキー「展覧会の絵」の「キエフの大門」で,であった.後期高齢者にはかって歌声喫茶でロシア民謡を斉唱したことを苦い思い出とする人もいるらしい.でも,ウクライナ民謡をロシア民謡と思い込んでいる場合もありそう.ネットによればこの歌もその例.
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます