Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

サム・ホーソーンものなど,ミステリー2冊

2007-06-18 08:59:05 | 読書
エドワード D.ホック, 木村 二郎訳「 サム・ホーソーンの事件簿 5 創元社文庫 (2007/6)

このシリーズも5冊目.サム・ホーソーンという田舎医者の先生が一見不可能な事件を解決する.12篇プラスおまけだが,このシリーズでもう一冊出すだけの分量があるのか,ちょっと心配.でも本格短編が全部翻訳されれば,シャーロック・ホームズに次ぐ (多分他にもあるとは思うので) 元い,ホームズやブラウン神父みたいな快挙.カバーのイラストがださいと思っていたが,反面カバーを一目見ればこのシリーズとわかるのも事実.継続は力である.

解説を書いている木村仁良(じろう)氏は訳者と同一人物だろうか.

1冊目からときは移り,先生はいまや田舎町の名士である.舞台となったのは1940年で,第二次世界大戦が兆している.3代目看護婦のメリー・ベストはサム先生との関係がいっこうに発展しないまま,従軍看護婦に応募して去る.今回登場した美人獣医のアナベル・クリスティー(A・クリスティー!)とは先生はどうにかなるのかもしれない.日米戦争は今後どう関わってくるのか,これも心配なような楽しみなような.

しかし保安官・看護婦などごく少数の常連を除き,主な登場人物は殺すため,あるいは殺されるために登場する.町長だってこの一冊だけでふたりも死んじゃう!! ミステリはこうでなくちゃ.
不可能犯罪がテーマだとネタ切れになりそうなものだが,手を替え品を替え,他人の二番煎じのトリックもそれなりに納得させてくれる.はじめのふたつ『消えたロードハウスの謎』『田舎道に立つ郵便受けの謎』で思わずひきこまれたが,『園芸道具置場の謎』『幽霊が出るテラスの謎』『黄色い壁紙の謎』なども秀作.

しばしば枚数のわりに登場人物多数.みんな当然ながらカタカナの名前なので混乱する.

これにひきかえ短編のネタで長編をものする我が国の作品の嘆かわしいこと.
と言うわけで,もう一冊のハードカバー
北村 薫「ニッポン硬貨の謎」東京創元社 (2005/6)

図書館で借りたが,自分で買わなくて良かった.肝心のストーリーはまったく陳腐.H・Mといい,この作家といい,売れるとくだらない作品でも出版せざるを得なくなるのかな.
注釈その他いろいろと凝りまくっているところとか,かっての女子大生と落語家のパターンを踏襲した女子大生とクイーンとのやりとりなど,楽しめたといえば楽しめたけれど...

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