Sixteen Tones

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銀座で一番小さな書店

2024-09-21 09:32:02 | 読書

森岡督行 「銀座で一番小さな書店」小学館 (文庫 2024/9)

 

出版社による紹介*****

一冊の本しか売らない書店が銀座にオープン
「一冊の本だけを売る」をコンセプトに、国内はもとより海外からも大きな注目を集めている「森岡書店」。

前作『荒野の古本屋』で書かれた東京・茅場町の古書店時代を経て、舞台は銀座へ進出。

新しいことに取り組みたいと考えた著者の中で芽生えていたのは、前代未聞の構想だった。

「あと五年、十年したら、自分はどうしているのだろう。人間の寿命を考えても、あとどれくらい仕事ができるのだろう。調べたかぎり『一冊の本を売る書店』というアイデアは他にない。やってみようか、いや、やってみよう」(本文より)。

こうして、「一冊の本を売る」という型破りな書店の実現に向けて舵が切られることとなった。計画はさまざま難航するものの、導かれるようにして銀座の近代建築ビルと出合い、2015年、わずか5坪の書店のオープンを果たす。

インバウンドに沸く銀座の街、その後のコロナ禍、坂本龍一氏との出会い、ニューヨークでのソール・ライター財団との仕事……。目まぐるしい変化の中で模索しながら歩を進めてきた書店主の9年に渡る奮闘が軽快な筆致で綴られて行く

解説は日本初のタウン誌として知られる「銀座百点」編集長の田辺夕子さん
*****

 

「一冊の本を売る」と聞いて,1冊百万円くらいの本専門の書店かと思ってしまった.そうではなく,もっぱら/ひたすら 同じ本だけを売るということ.書店では本にまつわるイベントを開催.売る本は1週間 ? 周期で替わる.この本の出版は著者が主導しているらしい.
カバースラスト (山口洋佑) のスキンヘッドの男性が店主の森本氏.本書は全部で 15 本からなるエッセイ集 (のようなもの) だが,「頭髪問題」の項では (はっきり言って仕舞えば) 禿頭問題を扱っている.

この 15 本の内容はなかなか多岐に渡っている.
例えば,「FRONT の謎」は学術論文みたいな構成.FRONT は東方社から刊行された戦時中の日本軍の対外宣伝誌.日本軍の機密事項に関わる兵器が数多く掲載されていたり,東方社の社員には共産党員がいたり,が「謎」である.ちなみに著者は社外誌・宣伝誌に長く携わっていたそうだ.

現在,タウン誌「銀座百点」に「盛岡写真探偵団」なる連載が掲載されていて愛読している,本書の「幻の写真家がのこしたもの」と,本書の田辺夕子による解説「探偵が生まれた日」はともに,連載が対象といている無名の写真家 伊藤昊を探偵するという内容.

最後の「銀座から『あてのない旅へ』」前半は銀座のレトロなビルのガイドとして役に立ちそう.書店が入っている鈴木ビルを始め,奥野ビル,ヨネイビル,教文館,和光,泰明小学校... でもいちばん古いのは意外にも 1925 竣工の銀座松屋の松屋通り側だそうだ.

随所に1ページを占める著者によるイラストが挿入されている.ぼくの好みの画風ではないが,「『許す』とは何か」の坂本龍一の似顔絵は,うまい !


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