路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

《社説②》:子どもの社会的養育 本人の声尊重する体制を

2022-02-19 02:05:50 | 【子供の社会的養育・離婚後の共同親権・児童福祉法・養護施設、里親・ヤングケアラー

《社説②》:子どもの社会的養育 本人の声尊重する体制を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:子どもの社会的養育 本人の声尊重する体制を 

 さまざまな事情を抱え、家庭で暮らせない子どもたちがいる。保護するための「社会的養育」を手厚くするきっかけにしたい。

 厚生労働省の専門家会議が制度改正を求める提言をまとめた。

 どのような暮らしを望むのか、本人の意見を聞くことを児童相談所などに義務付ける。保護の対象から外れる18歳以降の自立を支える施策も強化する。 

 社会的養育を受けるのは、親がいなかったり、虐待を受けていたりする子どもだ。児相の判断で児童養護施設や里親家庭で暮らすことになれば、生活は一変する。

 現行の制度でも、なぜ保護が必要か説明し、本人の意見を聞くよう指針で定められているが、十分には機能していない。 

 「1日だけ、と言われたのに長くなった」「自分の人生なのに、知らないところで物事が決められた」という訴えが少なくない。

 虐待が理由で保護したケースでは、「家に帰りたくない」という子どもの声を尊重せずに対応した結果、虐待により命が失われた例がある。 

 国連は、子どもが自らの意見を表明する権利が日本では十分保障されていないと指摘してきた。児童福祉法を改正して、この権利を明確にすることが欠かせない。

 実効性をどう高めるかも大きな課題だ。

 虐待を受けてきた子どもは大人を信頼できず、本音を明かさないことがある。障害がある子や幼児の気持ちをくみ取るには、経験豊富な専門スタッフが必要だ。 

 子どもの声を児相などにきちんと伝える「代弁者」の養成に取り組んでいる自治体もある。

 こうした例を参考に都道府県が体制を整えられるよう、国は支援しなければならない。

 18歳以降の独り立ちをどう支えるかも、かねて懸案となってきた。周囲の支えを得られずに就職や進学で行き詰まることがある。

 専門家会議は、現状では22歳までとなっている自立援助事業の年齢制限を撤廃するよう提言した。自立できるようになるまで養護施設や里親家庭で暮らせる。

 子どもにとって最善の利益は何かを考え、社会で育ちを支える。実現に向けた、きめ細かな取り組みが求められている。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月19日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:年齢制限の撤廃 つながり保てる支援を

2022-02-07 09:31:20 | 【子供の社会的養育・離婚後の共同親権・児童福祉法・養護施設、里親・ヤングケアラー

《社説②》:年齢制限の撤廃 つながり保てる支援を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:年齢制限の撤廃 つながり保てる支援を 

 児童養護施設や里親家庭で暮らす若者が自立支援を受けられる年齢の制限が撤廃される方向になった。

 原則18歳、最長でも22歳までに自立が求められていたが、施設や自治体が自立可能と判断するまでとなる。政府が開会中の国会に児童福祉法の改定案を提出する方針だ。

 虐待や貧困といった理由で保護された若者たちだ。施設などを離れた後、頼りにできる大人がいなかったり、不遇な生い立ちから投げやりになったりして、困窮や孤独に陥りやすいとされる。

 切れ目のない支援の実現が、かねて課題だった。年齢制限撤廃は大きな一歩だ。どう見守り、支えていくか。具体的な体制づくりを進めねばならない。

 施設などで育った社会的養護の経験者「ケアリーバー」の実態について、厚生労働省が昨年、調査結果を公表している。

 回答者の2割が収入より支出が多い生活をし、過去1年間に医療機関を受診できなかった人も2割いた。2割近くが自立後もサポートがなかった。

 国の自立支援事業でサポートに取り組む「支援コーディネーター」は、全国73の児童相談所設置自治体の3割で未配置だった。

 自立のための支援が行き届かない実態が浮き彫りになっている。さらに深刻なのは、施設や里親とケアリーバーとのつながりが切れていることだ。

 調査は2015年4月~20年3月に中学卒業以降で施設などを離れた2万人余を対象としたが、連絡先不明が多く、半数近くに案内すら届いていない。より厳しい状況に置かれている恐れがある。

 支援の対象には、施設などで暮らしている若者とともにケアリーバーも含めていくべきだ。政府と各自治体が連携しながら、当事者を掘り起こし、継続的に実態を把握する必要がある。

 政府は、就労や生活支援の制度に関する助言や、施設などを離れた後のサポートも強化していく方針を示している。

 支援の現場では、一人一人と丁寧に向き合い、つながりを保てる関係を築く姿勢が求められる。人材の確保や育成が重要だ。

 埼玉県では、施設の若者やケアリーバーの居場所づくりに当事者たちが関わっている。利用者の相談に乗り、生活保護など公的援助の橋渡しも務めているという。

 境遇や苦悩に共感し合える空間があれば、孤立を防ぎ、前を向くきっかけになる。当事者の声や経験を積極的に生かしたい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2022年02月04日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:[ヤングケアラー14%] 深刻な実態直視せねば/12.18

2021-12-21 07:02:35 | 【子供の社会的養育・離婚後の共同親権・児童福祉法・養護施設、里親・ヤングケアラー

【社説】:[ヤングケアラー14%] 深刻な実態直視せねば/12.18

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:[ヤングケアラー14%] 深刻な実態直視せねば/12.18 

 大人に代わって日常的に家事や家族の世話を担う子ども「ヤングケアラー」の足元の一端が明らかになった。

 糸満市が県内で初めて児童生徒を対象に行った実態調査で、「家族を世話している」と答えた小中学生の割合が、7人に1人に当たる14・3%に上った。

 国が4月に公表した調査では中学生が5・7%、高校生が4・1%だった。市の調査は全国の2倍を超える高い割合で、深刻な状況である。

 ヤングケアラーの問題点は、家のことに時間を取られ、子どもが子どもらしい生活を送れないことだ。勉強の時間が十分取れず学業や進学に影響したり、遊びの時間が取れず同世代の中で孤立したりすることがある。重い責任を担い、ストレスを抱えてしまう場合も少なくない。

 苦しんでいる子どもがいても、家庭内の問題として隠れ、外からは見えにくい。実態を知る手がかりとして、今回の調査の意義は大きい。

 重要なのは調査をこれからどう支援につなげるかだ。教育、福祉分野が連携するなど、行政が横断的に支援体制を構築する必要がある。

 調査では、家族の世話をする児童生徒のうち、悩みを相談したことが「ない」と答えた子が84・1%と大多数を占めた。

 「親を悪者にしたくない」「同情されたくない」「家族だから当たり前」などさまざまな理由で、困っていても声を上げられないのかもしれない。誰に訴えていいのか分からないことも考えられる。

 待つのではなく、SOSを出せない子どもに積極的に手を伸ばす、アウトリーチ型の支援が求められる。

■    ■

 ヤングケアラーの問題は、「子どもの貧困」と切り離せない。

 県の子どもの貧困率は25%で、全国13・5%の約2倍。他府県より深刻な状況であることが共通する。

 例えば、経済的に困窮していれば、自己負担を伴う介護などのサービスを使えないだろう。

 県の母子世帯の出現率は全国平均の約2倍。ひとり親の場合、仕事する親の代わりに、家事やきょうだいの世話をする頻度は必然的に高くなるだろう。

 子どもの貧困問題は、国や県の調査で割合が明らかになることによって、深刻さが社会で共有され、官民の支援が広がっていった。

 ヤングケアラーも同様に、認識を共有することが課題解決の第一歩となる。

■    ■

 ヤングケラーという言葉自体、まだ浸透しているとはいえない。

 市は今回、意味を理解した上で回答してもらおうと、ケアラーの具体例をイラストで示した資料を学校に送付するなど、周知にも努めた。

 「私はヤングケアラーなんだ」と分かれば、支援につながりやすい。

 県は11月から教師向けの実態調査を始め、来年度は児童生徒を対象にした調査を行う。苦しんでいる幼い介護者たちを一人も取り残さないよう、丁寧な調査を行ってほしい。

 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年12月18日  08:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:児童養護施設 自立につながる支援をしたい

2021-05-24 05:03:40 | 【子供の社会的養育・離婚後の共同親権・児童福祉法・養護施設、里親・ヤングケアラー

【社説②】:児童養護施設 自立につながる支援をしたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:児童養護施設 自立につながる支援をしたい

 生い立ちによる不利益が長く続くのは理不尽である。親元で暮らせなかった若者たちの自立を支援することが重要だ。 

 厚生労働省は、児童養護施設や里親家庭などで育った若者を対象とした初めての全国実態調査の結果を発表した。

 20歳前後の約3000人が回答した。まだ在学中の2割強を除くと、最終学歴は、高校が64%で最も多く、中学校の15%が続いた。専門学校・短大は11%、大学は2%にとどまっている。

 文部科学省によると、全体での高校への進学率は99%に近く、高等教育機関に進む人も8割以上に達している。政府は、教育機会に大きな格差が生じていることを深刻に受け止めねばならない。

 施設などで過ごすのは、虐待や貧困といった理由で親元を離れざるを得なかった子供が大半だ。

 児童福祉法は原則として、保護対象を18歳までとしているため、その後は自立が求められることになる。22歳まで施設で暮らせる仕組みもあるが、多くは高校卒業を機に施設を出ているという。

 国は、退所者が進学した場合に、家賃や生活費を貸し付ける制度を設けている。だが、返済の負担を心配して活用せず、進学をあきらめる例もある。給付型の奨学金を充実させるなど、経済的な支援を強化する必要がある。

 周囲に大学などに進む人が少ないため、進路に様々な選択肢があることを入所者が実感しにくい面もあるという。退所者で進学した人が少ないにしても、その経験を聞く機会を作ってはどうか。

 今回の調査では、施設を出た後に、不安定な生活を強いられる若者の姿が浮き彫りになった。

 現在の暮らしぶりについて、5人に1人が月々の収支が赤字だと答えた。過去1年間に医療機関に行けなかったという人は2割に上り、このうちの7割近くが、お金がかかることを理由に挙げている。見過ごせない事態である。

 親などから、金銭面の援助や生活上の助言が受けられない人も多い。施設の職員や里親家庭に対する調査では、退所者らとの交流は年に1回もないと答えた人が3割に上っている。

 福岡県は、民間団体と連携し、退所者に家計管理や料理を教えている。居場所作りに加え、履歴書作成や面接の指導といった就労支援にも取り組んでいるという。

 国と自治体、NPOなど幅広い関係者が協力して相談体制を充実させ、退所者の暮らしの安定につなげてもらいたい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月23日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:ヤングケアラー 孤立させぬ支援を早く

2021-05-23 07:33:44 | 【子供の社会的養育・離婚後の共同親権・児童福祉法・養護施設、里親・ヤングケアラー

【社説①】:ヤングケアラー 孤立させぬ支援を早く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:ヤングケアラー 孤立させぬ支援を早く 

 大人が担うような家族の世話や介護を続ける子どもたち。「ヤングケアラー」と呼ばれ、政府の調査からは「お手伝い」を超えた過度な負担が見えてきた。孤立させぬよう社会全体で支援したい。
 
 ヤングケアラーは、病気の親や幼い弟妹、高齢者の世話や家事、日本語が話せない外国人家族らの通訳などをしている。
 家庭内の家事や世話の手伝いはこれまでもあったし、当たり前とも認識されてきた。しかし、それらが過度な負担となって勉強時間が削られたり部活動をやめたり、ましてや進路に支障をきたすようになれば放置はできない。
 政府が中学二年と高校二年などを対象に実施したヤングケアラーに関する初の実態調査では、「世話をしている家族がいる」中学生は約十七人に一人、高校生は約二十四人に一人いた。
 平日一日に世話などに費やす時間は、中学生で平均四時間、七時間以上も11・6%に上った。高校生は平均三・八時間で、七時間以上は10・7%だった。
 世話に追われると学校の欠席や遅刻が増え、勉強に充てる時間も減りがちになる。親などの介護のために進学を断念することになりかねない。友達と接する時間も減り、孤立の心配も出てくる。
 少子高齢化や地域のつながりの希薄化、貧困の拡大などが、子どもたちの負担を増やす要因にもなっているのだろう。
 問題は、子どもたち本人も周囲の大人も、過度な負担の実態を理解しにくいことである。子どもたちは「世話は当たり前」と思いがちだ。調査では生徒全体の八割が「ヤングケアラーという言葉を聞いたことがない」と答えた。
 世話をしている家族がいる中高生の五〜六割が、自らの世話について相談した経験がない。世話が大変な時ほど平静を装い、周囲に相談しない、との指摘もある。
 家庭の問題にどこまで関与すべきか、教職員は迷うことだろう。福祉関係者は介護を受ける側に関心が向き、世話をする子どもにまでは気が回りにくいのかもしれない。
 政府や自治体はまず、実態把握を迅速に進めるべきだ。対象に大学生も含めたり、地域ごとに把握することも必要だ。
 同時に、埋もれがちな子どもたちの悩みに耳を傾ける相談体制を整備するとともに、学校と福祉行政との連携を緊密にして、学習サポートと福祉サービス両面から支援の手を差し伸べるなど、孤立させないための知恵を絞りたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月22日  08:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【政府】:ヤングケアラーに家事支援 きょう公表 相談体制整備

2021-05-17 05:00:10 | 【子供の社会的養育・離婚後の共同親権・児童福祉法・養護施設、里親・ヤングケアラー

【政府】:ヤングケアラーに家事支援 きょう公表 相談体制整備

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府】:ヤングケアラーに家事支援 きょう公表 相談体制整備

家族の介護や世話を担う子ども「ヤングケアラー」の支援策を検討してきた厚生労働、文部科学両省の共同プロジェクトチーム(PT)がまとめた報告書の全容が判明した。17日に公表する。幼いきょうだいの見守りや家事に追われる子どもがいる家庭への家事支援サービスなどの新制度や、子どもが利用しやすいオンラインでの相談体制の整備などを盛り込んだ。(3面に「なるほドリワイド」)

 国がヤングケアラーの支援策をまとめるのは初めて。両省は報告書に盛り込んだ施策を、政府が今夏にも示す経済財政運営の指針「骨太の方針」に反映させ、早期に実施したい考えだ。

 ※この記事は有料記事です。「ご登録日から1カ月間は99円」 いますぐ登録して、続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社会 【話題・政策・厚労省・ヤングケアラー】  2021年05月17日  05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ヤングケアラー~幼き介護】:国が初のヤングケアラー支援策 家事代行やオンライン相談など

2021-05-17 05:00:00 | 【子供の社会的養育・離婚後の共同親権・児童福祉法・養護施設、里親・ヤングケアラー

【ヤングケアラー~幼き介護】:国が初のヤングケアラー支援策 家事代行やオンライン相談など

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ヤングケアラー~幼き介護】:国が初のヤングケアラー支援策 家事代行やオンライン相談など

 家族の介護や世話を担う子ども「ヤングケアラー」の支援策を検討してきた厚生労働、文部科学両省の共同プロジェクトチーム(PT)がまとめた報告書の全容が判明した。17日に公表する。幼いきょうだいの見守りや家事に追われる子どもがいる家庭への家事支援サービスなどの新制度や、子どもが利用しやすいオンラインでの相談体制の整備などを盛り込んだ。

 

               写真はイメージ=ゲッティ

 国がヤングケアラーの支援策をまとめるのは初めて。両省は報告書に盛り込んだ施策を、政府が今夏にも示す経済財政運営の指針「骨太の方針」に反映させ、早期に実施したい考えだ。 

 政府が4月に公表した中高生への実態調査では、世話をする対象の家族は「きょうだい」が最も多かった。親に代わってきょうだいの世話や家事を担う子どもの負担が明らかになったものの、介護保険や障害福祉など既存の公的サービスだけでは負担軽減につながりにくいため、家庭の所得や環境を踏まえ、家事支援サービスを提供する制度の創設を検討する。

 実態調査やPTによる元ヤングケアラーへのヒアリングなどから、子ども自らがSOSを出す困難さも明らかになった。子どもにとって、役所などの公的機関や専門家への相談は心理的ハードルが高い。このためSNS(ネット交流サービス)を利用した相談や、オンラインでの当事者の集いなどを推進する。こうした活動を行う民間の支援団体と自治体の連携に補助金を出すことなどを想定しており、民間の力も活用して相談体制の充実を図る。

 「家族の世話は当然だ」と考え、負担の重さを自覚していない子どもも多い。ヤングケアラーの早期発見に向け、ケアマネジャーや相談支援専門員、医療ソーシャルワーカー、スクールソーシャルワーカーといった各分野の専門職への研修など、人材養成の強化も施策の柱とした。さらに介護、福祉、医療、教育など多機関の情報共有のノウハウを盛り込んだマニュアルを策定して連携を促進し、スムーズな支援につなげる。

きょうだいケアを含むヤングケアラーの10類型=日本ケアラー連盟による

 関係者によると、専門職の積極的な関わりを促すため、診療報酬改定も視野に入れる。山本博司副厚労相は4月26日のPT会合で「報酬を適切に評価していくことが重要」と言及した。

 例えば精神疾患のある親が通う病院のソーシャルワーカーが、子どもがヤングケアラーである可能性があるとして家庭を相談窓口や福祉サービスにつないだ場合、診療報酬の対象とすることなどを想定。2022年度の診療報酬改定に向け、検討を進める。【山田奈緒、三上健太郎】

 ◆PT報告書の主なポイント

・自治体による独自の実態調査を推進

・介護、福祉、医療、教育など各分野の専門職に研修を実施。多機関連携の支援マニュアルを策定

・SNSなどを活用した相談体制の整備

・幼いきょうだいのケアを担う子どもがいる家庭への家事支援サービスを検討

・2022~24年度をヤングケアラー認知度向上の集中取り組み期間とし、中高生の認知度5割を目指す

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社会 【話題・特集・ヤングケアラー】  2021年05月17日  05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【なるほドリ・ワイド】:世話・介護担うヤングケアラー=回答・山田奈緒、三上健太郎

2021-05-17 02:03:10 | 【子供の社会的養育・離婚後の共同親権・児童福祉法・養護施設、里親・ヤングケアラー

【なるほドリ・ワイド】:世話・介護担うヤングケアラー=回答・山田奈緒、三上健太郎

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【なるほドリ・ワイド】:世話・介護担うヤングケアラー=回答・山田奈緒、三上健太郎

 家族(かぞく)の世話や介護(かいご)を担う子ども「ヤングケアラー」に注目が集まっています。数年前から徐々に浸透(しんとう)してきた言葉です。

 

 

 政府が初めて中高生に対する実態調査(じったいちょうさ)を行い、その結果を4月に公表したこともあり、多くのメディアにこの言葉が登場しました。政府は17日に支援策(しえんさく)を発表します。ヤングケアラーとはどのような子どもたちなのでしょうか。

 ※この記事は有料記事です。「ご登録日から1カ月間は99円」 いますぐ登録して、続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【なるほドリ・ワイド】  2021年05月17日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【筆洗】:こんな子どもたちを例として挙げていた。病気の親に代わって、…

2021-05-05 07:39:50 | 【子供の社会的養育・離婚後の共同親権・児童福祉法・養護施設、里親・ヤングケアラー

【筆洗】:こんな子どもたちを例として挙げていた。病気の親に代わって、…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:こんな子どもたちを例として挙げていた。病気の親に代わって、…

 こんな子どもたちを例として挙げていた。病気の親に代わって、料理、洗濯、掃除など家事をしている。幼いきょうだいの面倒を見ている。働いて家計を助けている。病気の家族の身の回りの世話をしている…▼美談にも聞こえるか。けなげでたくましい子どもを思い浮かべる人もいるだろう。けれどもこの子たちのことを心配しなければなるまい。厚労省が示している「ヤングケアラー」の実例である▼親の病気などが原因で大人が担うべき家事や家族の世話を日常的に行っている子どもたちのことである。調査によると、「家族の世話をしている」と答えた中学生は全体の5・7%、高校生は4・1%。おおむねクラスに一人か二人いる計算と聞けば少なくないと感じられるだろう▼親には手を合わせたくなるほどありがたい子どもたちだろう。だが、家族を思うあまり、遅刻や欠席を重ね、学業や進路にも影響が出やすい。勉強や部活どころではなくなり、学校で孤立する危険もある。なにより、子どもらしい時間が消える▼表面化しにくいことも問題という。子どもたちは家族の世話を当然と考え、相談もあまりしないと聞く▼「ヤングケアラー」をケアするのは社会しかない。相談はもちろん、家族ごと支援する方法を考えたい。「美談」に頼ってはなるまい。こどもの日である。どの子にも子どもらしい一日があることを。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2021年05月05日  07:40:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:ヤングケアラー調査 行政の垣根越え支援を

2021-04-16 05:10:55 | 【子供の社会的養育・離婚後の共同親権・児童福祉法・養護施設、里親・ヤングケアラー

【社説】:ヤングケアラー調査 行政の垣根越え支援を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:ヤングケアラー調査 行政の垣根越え支援を 

 大人に代わり、きょうだいや家族の世話をする18歳未満の子ども「ヤングケアラー」について、初の全国実態調査の結果が発表された。中学生の約17人に1人、高校生の約24人に1人の割合で、家庭内でケアの役割を担っていることが分かった。

 家族や介護の内情が外から見えにくいこともあり、これまでヤングケアラーの実態をほとんど把握できていない課題があった。今回の実態調査を皮切りに、行政の垣根を越えた支援の構築へと一歩を踏み出したい。沖縄県における実態調査も急務だ。
 ヤングケアラーは、障がいや病気のある家族に代わって家事や幼いきょうだいの世話を担ったり、介護が必要な家族の介助をしたりするなど、本来であれば大人が担う役割や責任を引き受けている子どもたちのことだ。
 介護制度や行政の福祉サービス、支援機関などの知識が乏しいまま若い世代が家族内のケアを余儀なくされ、誰にも知られず責任を抱え込んでしまう。負担が重くなり学業に支障を来せば、進路、就職の制限など将来にわたって可能性を狭めることになる。
 今回の初の調査により、中高生の約20人に1人がヤングケアラーということが分かった。学級に1人以上は家族を世話する学生がいる計算で、決して少ない数ではない。
 アンケートには「睡眠時間も削られる」「誰かに相談する余裕なんてない」など切実な声が寄せられている。世話をする頻度は半数弱が「ほぼ毎日」と回答し、家族の世話について6割超は誰にも相談したことがないとした。家庭内の悩みを打ち明けることができず、孤立している実態が浮き彫りとなった。
 自身の時間を犠牲にし、家族の介護や家事に追われる子どもの存在に周囲がいち早く気付き、適切な福祉サービスや教育の機会を保障する支援につなぐ体制が必要だ。そのためには、ケアを担う子どもたちが話しやすい環境を整え、SOSを受け止める理解ある大人がいることを周知していくことが重要になる。
 英国では1980年代からヤングケアラーの研究が始まり、法を整備して支援事業を進めてきた。だが、日本では、介護は家庭の責任として「自助」に押し込める風潮が強く、社会的な問題として認識が深まってこなかった。
 だが、少子高齢化や核家族化など世帯の人数が減る傾向にあり、若い世代が両親や祖父母の世話をしなければならない状況はますます進んでいく。ヤングケアラーの存在を、これ以上見過ごしておくことはできない。
 教職員の研修、各学校に配置するソーシャルワーカーの拡充など、教育現場と福祉の連携を強化した支援策が必要になる。何より介護を家族で抱え込む風潮を改め、手厚い公助を確立することが、子どもたちの将来の可能性を守ることにつながる。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年04月16日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:ヤングケアラー 学びと生活の支援が急務

2021-04-15 02:05:50 | 【子供の社会的養育・離婚後の共同親権・児童福祉法・養護施設、里親・ヤングケアラー

《社説①》:ヤングケアラー 学びと生活の支援が急務

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:ヤングケアラー 学びと生活の支援が急務

 大人に代わって家族の介護や世話をする子ども「ヤングケアラー」について、国による初の全国調査の結果が公表された。

 対象となった公立中学2年生で5・7%、公立の全日制高校2年生で4・1%が家族の世話をしていた。平日は平均4時間をケアに費やし、勉強や自分のための時間が取れない。孤立しやすい傾向も浮かび上がった。

 研究機関や自治体の調査で指摘されてきた問題だが、国の調査で裏付けられた。

 だが、回収率は約1割にとどまり、実態を十分反映していない可能性もある。小学生のヤングケアラーは対象外だ。更なる調査が必要だろう。

 ヤングケアラーのうち、きょうだいを世話しているのは、中2で約6割、高2で4割強だった。これまでの自治体などの調査では集計対象から外れていたが、父母や祖父母を介護しているという回答より多い。

 幼いきょうだいの食事を作ったり、保育所の送り迎えをしたりしている。手伝いではなく、親に代わり「育児」を担っているようであれば負担は大きい。

 誰にも相談したことがない生徒は、それぞれ6割を超えた。相談した人も、相手は他の家族や友人など身近な人がほとんどだ。公的な福祉窓口の利用は少ない。

 こうした生徒の存在を把握するうえで、学校も役割を果たせる。必要な支援につなげられるよう、行政の福祉部門との連携を強めたい。スクールソーシャルワーカーの増員も必要だろう。

 家族全体の状況への目配りも欠かせない。親が福祉や介護のサービスを十分に活用していない場合もある。保護者によるネグレクト(育児放棄)が原因なら、児童相談所の関与が求められる。

 全国で初めての支援条例を制定した埼玉県は、経験者の若者を招いて、教師や生徒・保護者向けの講演会を開いている。ヤングケアラーの問題に対する意識を高めるための取り組みとして、参考にしてほしい。

 家族で支え合うこと自体は大切だ。だが、過重な負担が子どもの将来を閉ざすようなことがあってはならない。政府は支援計画を早急に策定すべきだ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年04月15日  02:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説】:ヤングケアラー 実態把握し支援策急げ

2020-11-30 06:01:55 | 【子供の社会的養育・離婚後の共同親権・児童福祉法・養護施設、里親・ヤングケアラー

【社説】:ヤングケアラー 実態把握し支援策急げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:ヤングケアラー 実態把握し支援策急げ

 肩代わりし、年齢や心身の成長に見合わない重い負担を負っている事例も見えてきた。子どもの学業や進路に悪影響を及ぼす問題である。現状を調べ、相談できる環境や負担軽減につながる支援策を講じてほしい。
 日本ケアラー連盟によると、ヤングケアラーとは慢性的な病気や障がいのある親、高齢の祖父母、幼いきょうだいなどの世話をする18歳未満の子を指す。社会的な認知度は低く、子どもは家族の障がいや病気について相談することに引け目を感じることも多いため、表に出にくい。
 国より先に自治体が調査に乗り出している。埼玉県が県内の高校2年生全員を対象にした調査によると、幼いきょうだいの世話を除き、介護に携わる生徒が1969人おり、4・1%を占めた。女子が約6割となる。ケアをしている相手は祖父母・曾祖父母が36%、母24%の順で、理由は「病気」が28%、「高齢による衰弱」20%、「身体障がい」15%だった。
 学校生活への影響(複数回答)は「なし」が41%となった一方で、19%が「孤独を感じる」、17%が「ストレスを感じている」と心身に悪影響を与えていることが分かった。さらに10%が「勉強時間が十分に取れない」と回答し、「睡眠不足」8%、「学校を休みがち」2%と深刻さをうかがわせる回答もあった。
 調査ではケアを始めた時期が中学生からで、頻度は毎日、食事の用意などの家事や見守り、外出補助が多かった。
 こうした実態は埼玉県だけではないだろう。大阪でも公立高校生を対象にした調査で20人に1人が家族を介護し、そのうち3割が毎日介護に携わっているという結果が出ている。
 しかし「介護は家族が支えて当たり前」という風潮が存在を隠してきたと言われる。岡山市が、難病で介護サービスが必要な父親に対し、同居する高校2年の娘の介護で補うよう求め、抗議を受けて撤回した。福祉の担当者でさえ存在が認識されていないのではないか。
 教育現場では生徒の様子に目配りをし、医療機関や介護現場は子どもの問題に注意し、利用できる行政サービスを伝えるなど手を差し伸べてほしい。
 この問題は家庭だけで介護を担うのは限界があることを示す。介護は社会全体で支えるとの前提が必要だ。ヤングケアラーは高齢化や核家族化に伴い増えているとみられる。法的に位置付け支援をする英国の事例なども研究し、支援の仕組みをつくりたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年11月30日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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