【疑惑】:兵庫県警、神戸地検の動きに注目 世の中、お縄にしなきゃいけない連中ばかり
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【疑惑】:兵庫県警、神戸地検の動きに注目 世の中、お縄にしなきゃいけない連中ばかり
誰が見てもゴマカシが歴然だった斎藤兵庫県知事の疑惑で、ようやく、捜査当局が動き出したが、大学教授らの告発を受けたもの。アリバイ的な動きなのかが注目されるが、それにしても、世の中にはびこるワルの多さに改めて愕然だ。
兵庫県庁で取材に応じる斎藤元彦知事(C)共同通信社
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ついに捜査が動きはじめた。7日、兵庫県警と神戸地検は、昨年11月の兵庫県知事選をめぐって「公職選挙法違反」の疑いで刑事告発されていたPR会社を家宅捜索した。
この「公選法違反」疑惑は、選挙直後から取り沙汰されていたが、捜査の動きが表面化したのは初めてだ。
捜査は、知事選で再選された斎藤元彦知事が、PR会社に選挙運動の報酬を支払った疑いがあるとして、昨年12月、神戸学院大の上脇博之教授と元東京地検検事の郷原信郎弁護士が刑事告発していたことを受けて行われた。
斎藤とPR会社社長は「買収」と「被買収」で刑事告発されている。
告発状によると、PR会社社長は、知事選に関するSNS上の広報戦略の立案業務などを斎藤側から受注し、斎藤側は報酬として71万5000円を支払ったという。
公選法は、車上運動員などの例外を除き、運動員に報酬を支払うことを禁じている。
そもそも、疑惑が表沙汰になった発端は、知事選投開票日(11月17日)の3日後、PR会社「merchu(メルチュ)」の折田楓社長が、投稿サイト「note」に、<私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました>(現在は削除)と書いたことだった。<食べる暇も寝る暇もない程でした>とも記していた。
実際、選挙期間中、折田社長は斎藤と行動を共にしていた。
もし、PR会社に支払われた71万5000円が、「広報全般」の活動に対する報酬だったとしたら、「買収」となる可能性が高い。71万5000円の支払いは、斎藤も認めている。
◆捜査の焦点は、71万5000円が「対価」だったか
本当にボランティアだったのか(メルチュの折田社長㊧=折田氏のnoteから)
公選法違反の疑いが浮上した後、折田社長はメディアの前から姿を消し、メルチュのオフィスも、もぬけの殻となっている。この先、捜査はどう進むのか。斎藤は立件されるのか。焦点は、支払われた71万5000円が、選挙運動に対する「対価」にあたるのかどうかだ。
斎藤は、支払ったのは公選法で認められたポスター制作費などだったと説明し、きのうも「公選法に違反することはしていないとの認識に変わりはない」と記者団に語っている。折田社長の「広報活動」は、すべてボランティアとして個人で行われたもの、という言い分である。
しかし、はたしてこの主張が通用するのかどうか。
告発した郷原信郎弁護士はこう言う。
「強制捜査が行われたということは、犯罪の嫌疑が十分にあるということでしょう。告発状が受理されるのも早かった。年末年始を挟んで、告発から2カ月後の強制捜査にも違和感はありません」
元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士はこう話す。
「まず、問われるのは、折田社長が『選挙運動員』だったのかどうかです。特定の候補者を当選させるために活動するのが、選挙運動員です。選挙運動員には、車上運動員などの例外を除き、報酬を払うことは禁じられています。一方、例えばポスター業者は、どの候補者のポスターも“仕事”として制作するので、選挙運動員には該当せず、報酬を受け取れます。折田社長の活動が、斎藤知事を当選させるための活動だったのかどうかがポイントです。検察は、折田社長が『note』に書いた内容やメールの中身も精査しているはずです」
ふざけているのは、当事者の斎藤が、疑惑を払拭するための説明責任を一切、果たしていないことだ。代理人弁護士に任せきりにしている。
捜査陣からは「この事件はハードルが高い」などと弱気な声も出ているそうだが、なにがあったのか、徹底的に解明すべきだ。
◆石丸陣営は疑惑の「キャンセル料」
斎藤がまさかの「逆転再選」を果たした知事選は、SNSが大きな武器になったこともあって「SNS選挙」などと、もてはやされた。
しかし、もしPR会社に違法なカネを払って「SNS対策」をしてもらっていたとしたら、あの選挙は、いったいなんだったのかという話だ。
偶然なのかどうか、昨年の東京都知事選で落選した石丸伸二陣営でも、公選法違反の疑いが浮上している。ライブ配信会社に違法なカネを支払っていた疑惑である。
都知事選の投開票日の2日前、石丸陣営は文京区内のホールで集会を予定し、都内の業者に有償でライブ配信を依頼したという。
しかし、開催2日前になって、陣営内で、有償での配信業務は「公選法」に抵触する恐れがあるとの指摘があり、配信会社にキャンセルしたいと連絡したという。有償だと「買収」に当たる可能性が高いからだ。
そのうえで、配信業者にはボランティアとして「無償」で配信業務をしてもらったという。配信業者のライブ配信は、さすがプロだけあって、画質も良く、アップや引きを切り替えるカメラワークも秀逸だったという。有権者のなかには、あの配信を視聴して投票を決めた人もいたのではないか。
ただし、キャンセルが直前だったためキャンセル料として、当初見積もりの全額97万7350円を配信業者に支払ったという。
しかし、このやり方は、どう考えてもおかしいのではないか。配信会社からしたらキャンセル料だろうが、ボランティア名目だろうが、同じ仕事をして、同じ金額がもらえれば、なにも変わらないからだ。さすがに問題発覚後、石丸伸二前安芸高田市長も「公選法に違反する恐れがあると思う」と認めざるを得なかった。
まさか「キャンセル料」を法の抜け穴に使ったのか。仮に、石丸陣営と配信業者が「公選法に抵触しないように、キャンセル料の形にしましょう」と話し合っていたとしたら許されないことだ。
◆裏金議員も全員、立件がスジ
それにしても、世の中、お縄にしなきゃいけないような連中ばかりである。
自民党の裏金議員も、本来なら一人残らず立件してもおかしくなかった。80人以上が、組織的、意識的に裏金をつくっていたのに、立件されたのは、たったの3人だけである。なぜ、2728万円も裏金をつくっていた萩生田光一元政調会長が無罪放免なのか。どうして、1542万円の裏金を手にしていた世耕弘成元経産相がおとがめナシなのか。
しかも、2人とも反省もなく「それでも政治にカネは必要だ」と開き直っているのだから、国民をバカにするにも程があるというものだ。
安倍派と同じように裏金をつくっていた自民党の東京都連も処罰されていない。ほかの地方組織の裏金もウヤムヤのままだ。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「この10年、どんな悪事を働いても見つからなければいい、見つかっても逮捕されなければいい、という空気が日本の政界に広がったように感じます。やはり、アベ政治の影響でしょう。“やった者勝ち”という空気が蔓延してしまった。裏金議員も『派閥の指示に従っただけだ』と、裏金づくりが悪いことだという認識さえ薄い状況です。心配なのは、マジメに生きるのは損、正直者はバカを見る、という空気が強まると、社会全体が順法精神を失ってしまうことです。庶民は、物価高で生活が苦しいだけに、リーダーが不正ばかりしていると、いつか爆発しますよ」
これ以上、ワルをはびこらせてはいけない。
元稿:日刊ゲンダイDIGITAL 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・誰が見てもゴマカシが歴然だった斎藤兵庫県知事の疑惑】 2025年02月08日 17:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。