路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【HUNTER・09.17】:裏金問題と向き合えない高市早苗氏の「政治とカネ」

2024-09-22 08:05:20 | 【政治とカネ・政党交付金・政治資金・議員歳費・賄賂・後援会名による政治資金...

【HUNTER・09.17】:裏金問題と向き合えない高市早苗氏の「政治とカネ」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・09.17】:裏金問題と向き合えない高市早苗氏の「政治とカネ」 

 9月9日、高市早苗経済安保担当相が総裁選への出馬を表明した。「サナエあれば、憂いなし。」というスローガンを背景に高市氏は、「私の究極の使命は、国民の皆様の生命と財産を守り抜く、領土領海領空、資源を守り抜くこと。そして、国家の主権と名誉を守り抜くこと」「国会議員はクリーンであること」と威勢よく語った。

 2021年10月の総裁選では安倍晋三元首相の全面的な支援もあり、岸田文雄首相、河野太郎デジタル相に続いて3位に食い込んだ高市氏。だが、今回の出馬表明は7番目と出遅れた。

                  ◆   ◆   ◆

 「もっと早くにできればよかったのは事実。遅くなったのは推薦人20人がなかなか集められなかったからだ。ある意味、他の候補の出馬会見での主張が聞け、それが生かせたからよしとするしかない」と高市陣営のある議員は話す。

 他の候補とは違い、会見の始めから1時間ぶっ通しで喋り続けた高市氏。だが、裏金議員について質問が及ぶと「自民党の処分はすでに決まっている。(次の選挙での)非公認含めて党内で議論して、調査、決着している。(他の候補者のような)ちゃぶ台返しはいたしません。ひっくり返す行動はとりません」と見直しなしを強調。裏金議員は“不問”とするという姿勢を鮮明にした。

 それもそのはず。高市氏を応援する議員を見ると、問題のある連中が目立つ。「キックバックは文化」ととんでもない“失言”で批判をあびた裏金60万円の鈴木淳司元総務相。裏金2,954万円で党の役職停止処分となった三ツ林裕巳衆議院議員。同じく裏金1,564万円の杉田水脈衆議院議員、560万円の山田宏参議院議員、411万円の西田昌司参議院議員、236万円の佐藤啓参議院議員、188万円の谷川とむ衆議院議員と、安倍派の裏金議員が名を連ねる。裏金議員なくしては推薦人の確保ができなかったということだ。

 高市氏同様に「保守」が売り物の小林鷹之経済安保担当相を支援している議員が次のように話す。

 「小林さんも裏金議員は処分済みという発言でえらく批判された。どうしても安倍派が頼りになるから後退した発言になりますよ。前回、高市支援だった議員が、かなりこちらに来てくれている。そもそも、高市さん自身がお金にクリーンじゃないから、裏金議員をどうこうなんて言えないでしょう」

 確かに、高市氏の「政治とカネ」を巡っては何度も問題になってきた。同氏の政党支部「自民党奈良県第2選挙区支部」(以下、第2選挙区支部)が県選管に提出した2021年分の政治資金収支報告書には、今年6月に奈良県警が恐喝容疑で逮捕した人物の経営する会社から96万円の寄附を受けたとする記載がある。

 それだけではない。2017年10月、同支部は警察庁や防衛省と取引のあった企業から30万円の寄附を、2021年10月には当時国の公共事業を受注していた会社から50万円の献金を受けていた。いずれもマスコミで報じられ、返金を余儀なくされている。

 2021年には、自民党本部から150万円の政治資金を受領しながら同支部の報告書には不記載だったことも判明して修正。さらに同年、同支部が開いた政治資金パーティーで自民党の奈良県山添村支部がパーティー券22万円分を購入していたにもかかわらず、これも不記載となっていたことが分かっている。

 問題は、山添村支部の対応だった。共産党の「赤旗」が山添村支部の問題を報じたとたん、同支部は、購入したパーティー券の金額を22万円から20万円へと報告書を修正したのだ。しかし、同支部は2021年の政治資金収支報告書に22万円と明記してあり、ゆうちょ銀行の送金明細も添付されていた。

 21年の山添村支部の支出総額は63万円あまり。22万円といえば3割以上を占める。書き間違いは考えにくい。どう見ても「22万円」のパーティー券購入が真実だった。自民党奈良県連の関係者がこう話す。

 「山添村支部は、赤旗をはじめとするメディアに追及されたとたん、政治資金収支報告書を修正しました。高市さん側の言い分そのままの内容です。山添村支部の関係者からは『そうせざるを得なかった』と苦しい胸の内を聞いたことがあります。弱いものに責任をとらせるような高市さんに対する批判は地元の奈良県でも少なくない」

山添村支部の問題で高市氏は、神戸学院大学の上脇博之教授から政治資金規正法違反容疑で刑事告発されている。告発状には《高市事務所の主導のもと行われたに違いない》《「山添村支部」が自ら進んで被告発人高市早苗・衆議院議員側を庇って修正したのか、それとも、被告発人高市早苗衆議院議員側からの何らかの圧力を受けたので修正したのか。(中略)弱い立場につけ込んだ暴挙以外の何ものでもないと言わざるを得ない》と厳しい言葉がつづられている。

 高市氏は2008年1月24日の自身のブログに、《1円からの領収書保管》というタイトルで、改正政治資金規正法改正により1円以上の支出について領収書の保管が義務付けられたことについて触れている。《私の事務所も含めて大抵の国会議員の事務所では、数円単位の支出であっても、レシート等に基づいて全て帳簿に記録し、保管していた》とした上で、《政治資金の透明化は必要で、私自身も、常に正確な収支報告をするべく精一杯の努力をしてきたつもりです。もちろん「改正政治資金法」も遵守すべく、スタッフともども対応していきます》と書き込んでいた。だが、山添村支部の問題を見ると、法律遵守どころか弱いものを「悪者」に仕立てて保身を図った可能性さえある。

 世論調査では、石破茂元幹事長、小泉進次郎元環境相らと競う状況の高市氏。だが「政治とカネ」という視点から見ると、とても総理総裁が務まる人物とは思えない。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・政局・2024自民党総裁選挙・政治とカネ】  2024年09月17日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・09.05】:【自民党総裁選】:茂木氏出馬の裏

2024-09-22 08:05:00 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【HUNTER・09.05】:【自民党総裁選】:茂木氏出馬の裏

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・09.05】:【自民党総裁選】:茂木氏出馬の裏 

 自民党で幹事長として岸田文雄首相を支えてきた茂木敏充氏が4日午後、総裁選出馬を表明した。「これまで(の総裁選)なら、本命なのになぁ」と天を仰ぐのは、旧茂木派の議員だ。

自民党本部に掲げられた総裁選のポスターがデザインされた懸垂幕=同党本部で2024年9月2日午後1時15分、平田明浩撮影

                ◆   ◆   ◆

 2021年9月の総裁選で岸田首相は、河野太郎デジタル相が有利とみられる中、1回目の投票で1票差をつけ1位となった。決選投票では河野氏に圧勝。約3年間、首相として政権を担ってきた。茂木氏は、外相、次いで幹事長として麻生太郎副総裁とともに、政権の“ど真ん中”で支えたという実績がある。その茂木氏が、8月14日に岸田首相が次期総裁選への不出馬を記者会見で語ったところから迷走を始める。

 岸田首相は、木原誠二幹事長代理など側近だけに指示をして不出馬表明の原稿を用意。8月15日の終戦記念日前日という絶妙のタイミングで退任の記者会見を開いた。前出の旧茂木派議員はこう話す。

 「茂木さんは、総理が総裁選出馬を断念すると聞いて飛び上がらんばかりに驚いていました。幹事長という立場にありながら、直前まで知らなかったんです。そこから迷走が始まった。麻生さんの耳にはなにかしら情報が入っていたようで、茂木派としては『うちの大将はどうなっているのか』と不信感が芽生えました」

 8月19日、小林鷹之前経済安保相がトップを切って総裁選出馬を表明。石破茂元幹事長、河野太郎デジタル相が後に続いた。これまでの「派閥政治」の力学でいけば、茂木氏が岸田首相の後継として最有力候補だったはず。派閥の長で、幹事長、外相まで経験し、前回の総裁選では岸田首相を押し上げる流れを作ったという申し分ないキャリアだったからだ。しかし、今年1月、岸田首相は安倍派の裏金事件をきっかけに派閥解消を表明。自民党の派閥政治に終止符を打った。岸田首相の総裁選不出馬を受けた茂木氏は、さっそく麻生派を率いる麻生副総理と会談。しかし、その時にはすでに、岸田首相の動向を察知した河野氏が麻生氏に総裁選出馬を打診していた。

 「麻生さんからは『うちには河野がいるから応援はどうかな』と難色を示された。派閥を解消した岸田首相は何もできない。旧茂木派に加え、麻生さんに話をつけて麻生派と旧岸田派に支援をしてもらい、総裁選1回目の投票で勝つつもりだった茂木さんの『俺様構想』は一気にしぼんでしまった」――前出の旧茂木派議員はそう振り返る。

 茂木派の解散前勢力は50人ほど。総裁選への最低限の切符である推薦人20人の確保はごく簡単とみられていた。しかし、茂木氏の目論見はさらに狂う。同じ茂木派に所属していた加藤勝信元官房長官が、出馬に意欲を示したのだ。実現すれば、旧茂木派を挙げての支援は、余計に困難となる。これだけでも痛手なのに、茂木氏の目算はさらに狂う。

 茂木派の源流は、田中角栄元首相が率いた田中派。石破元幹事長は、角栄氏に薫陶を受けた「最後の弟子」を自認する。その石破氏陣営の選対本部長代理に、現在参議院の中枢にいる青木一彦参院議員が就いたのだ。青木氏は、田中派出身で参議院自民党のドンだった故・青木幹雄元官房長官の長男。石破氏の選挙区である鳥取県の隣、島根県が地盤ということもあって今回の支援につながったのだという。青木氏も今年1月に茂木派を離れていた。

 気がつけば、旧茂木派の半分ほどが離反。石破氏と加藤氏、さらには河野氏、小林氏、小泉進次郎元環境相へと支援議員が分れる状況だ。茂木氏は、完全に政局観を失っていたと言うべきだろう。

 致命的なのは、国民的な人気のなさだ。総裁選は、議員票と党員票で争われる。茂木氏は、世論調査の「次期総理は?」に対し、高くても3%、低いと1%にすら満たないほどの不人気ぶり。「自民党の議員、政治家としては一定の支持があるが、首相として必要な国民的な人気がないことを気が付いていなかった。今になって急にSNSで発信したりYouTubeで動画を流しているが、もう遅い」と前出の旧茂木派議員は嘆息する。

 X(旧ツイッター)で見ると、河野氏は250万人を超すフォロワーを擁しており、高市早苗経済安保相が64万人、石破氏が20万人だ。ところが、茂木氏は8万人に過ぎない。また、すでに幹事長を3年近く務めている茂木氏は、岸田首相が打ちだした「党役員連続3期、3年」という規約の規定で、これ以上幹事長の座にはとどまれない。総裁選で負ければ“無役”となる。そこで、次のような観測が流れる。

 「総裁選は、自民党員と国会議員の票の合計で勝者が決まります。安倍晋三、小泉純一郎の両元総理、そして岸田現総理は、総裁選の時点で国民的な人気があったからこそ勝ち抜けた。茂木さんは、岸田総理が退任すれば、今の主流派である岸田派と麻生派、茂木派で構成する3派連合で次の総理・総裁になれると信じ切っていた。しかし、派閥政治が解消されてしまい、どの候補者も独自で推薦人や支援を広げようとしている時に、まだ派閥の論理に執着している。加藤氏が20人を確保して記者会見をするという情報を聞きつけ、なんとかその前に表明したいという思いが焦りを生んでいる。とても総裁選に勝てる見込みはありません。茂木氏は、それでも『派閥で結束』と言う。決選投票になる可能性が高いと見越した茂木さんは、勝ち馬に乗って、外相か財務相の座を射止め、次を狙うというのが本音でしょう。そうでなければ、わざわざ負ける戦をやるわけがない。推薦人20人も渋々というところじゃないですかね」(茂木派に所属していた別の自民党議員)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政局・自由民主党・2024総裁選】  2024年09月05日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・09.03】:自民党総裁選、各陣営の分析は・・・

2024-09-22 08:04:50 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【HUNTER・09.03】:自民党総裁選、各陣営の分析は・・・

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・09.03】:自民党総裁選、各陣営の分析は・・・ 

 熱を帯びる自民党の総裁選に、小林鷹之前経済安保相、石破茂元幹事長、河野太郎デジタル相が出馬を表明。小泉進次郎元環境相、高市早苗経済安保相、林芳正官房長官、茂木敏充幹事長も20人とされる推薦人確保にメドが立っている模様だ。

 加藤勝信元官房長官、上川陽子外相は推薦人確保まであと一歩。斎藤健経産相、野田聖子元総務相、青山繫晴参議院議員は苦戦という構図になっている。

 ※:自民党 次の総裁にふさわしいのは誰? NHK世論調査 | NHK | 自民党総裁選

               ◆   ◆   ◆

 「総裁選は、少なくとも7人、多ければ10人で争われる。いずれにしても過去の自民党総裁選でここまで乱立することはなかった。派閥解散のおかげだ」と自民党幹部は感慨深げだ。

 総裁選は、国会議員票と党員票で争われる。党員票は全国に47ある自民党の都道府県連1つに3票、割り振られる。国会議員は一人1票。1回目の投票で過半数を獲得すれば当選が決まる。しかし、過去最多ともいわれる候補者数なので、票が割れる可能性が大きく決選投票になる見込みだ。

 自民党や永田町で最も総裁に近いとされているのが抜群の知名度、発信力を誇る小泉氏で、次に名前があがるのが石破氏。世論調査の「次の総理」では、常にトップ争いで国民的な人気が高い。

 党員票では小泉氏と石破氏が強いという見方が大半。どの候補者も推薦人が20人いるので、それぞれが少なくとも20票の議員票をとれることになる。1回目の投票で過半数の獲得は難しい計算だ。

 小泉氏を支援するある議員の分析はこうだ。

 「小泉さんが党員票で4割をとれば、1回目の投票で過半数がとれるかもしれません。しかし、そうはうまくいかないでしょう。小泉さんといえども獲得できるのは3割程度で、石破さんは2割を超えるくらいか。残り5割を5人以上の候補が奪い合うような構図になると思います。ただ石破さんが党員票で伸び悩めば、他の候補者にもチャンスがある」。

 石破氏支援の別の議員も同様の見方だ。

 「うちは国会議員から人気がないので議員票はそう期待できません。党員票でどこまでとれるか、小泉さんに迫り、上回れるかですね。なんとか、党員票で2位に食い込めれば、決選投票に持ち込めるというのが本音です」

 河野氏を支援する麻生派の議員は、「小泉さんが党員票ではトップでしょう。党員票で石破さんが意外に伸びず2位が混戦になると、うちにもチャンスが生まれる。麻生派としてある程度まとまっているので、議員票はかたい。小泉さんと争えるんじゃないか」と情勢を分析する。

 高市陣営の議員は、次のように話し、保守層の票に期待感を示す。

 「うちは保守層から圧倒的に人気があるが限られている。小泉さんや石破さんのような幅広い人気はない。それなら、小泉さんが党員票で圧倒的に引き離して、2位以下にそう大きな差がつかない展開になることを願いたい。保守派の議員票は見込め、女性票もあるので、そこでなんとか2位になれないかと考えている」

 小林氏の応援団に名前を連ねる議員は、少し元気がない。

 「最初に出馬会見し、一気に知名度がアップした。小林さんの記者会見に24人の国会議員が参加したように、議員票は思った以上に獲得できる。しかし、小泉さんや石破さんらと比較すると、党員票がまったくダメ。地元の千葉県連にもお願いしているが、3票中1票取れればいいところだ。1回目で党員票を積み上げ議員票で2位になれないかと思っている」

 1回目の投票は小泉氏が1位、2位候補の筆頭が石破氏という見方がほとんどだ。河野氏や高市氏、小林氏らの本音は「1回目の投票で石破氏に勝って2位になり、決選投票に」ということなのだ。つまり、小泉氏の“不動”のトップは変わりないということ。父親である小泉純一郎元首相は5年にも渡る長期政権で人気を博した。総裁選には初めての出馬となる小泉氏にとって怖いのが、スキャンダルだ。ある自民党幹部が次のように語る。

 「小泉さんは、週刊誌で何度も女性問題がとりあげられた。若さゆえ、女とカネのスキャンダルがあちこちから聞こえてくる。一方で、長く注目されてきた石破さんは人気も高く、何度も総裁選を経験している。スキャンダルが出る心配はなさそうで、よほどの失言でもない限り支持がマイナスになることはない。小泉スキャンダルが総裁選の最中に爆発すれば、展開は一気に変わる」

 清新なイメージだった小林氏は、出馬会見の直後、自身の政党支部「千葉県第2選挙区支部」の政治資金収支報告書に問題があることが指摘され、さっそく修正に追い込まれた。小泉氏は小林氏とは比べ物にならないほどの人気者。同様の問題があったら、痛手は小林氏以上に大きくなる。

 「小泉さんに問題があれば、他の候補の何倍、何十倍も大げさに取り上げられ、マスコミで叩かれる。女性やカネ絡みのスキャンダルとなれば、よけいにだ」(前出・小泉陣営の議員)

 総裁選まであと1か月を切った。トップ小泉氏、2位候補の筆頭は石破氏、続く河野氏、高市氏、小林氏という構図がこのまま維持されるのかどうか。アッと驚く逆転がないとは言えない。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政局・自由民主党・2024総裁選】  2024年09月03日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・08.29】:石破氏「最後の戦い」の行方

2024-09-22 08:04:40 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【HUNTER・08.29】:石破氏「最後の戦い」の行方

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・08.29】:石破氏「最後の戦い」の行方 

 国民的人気が高い石破茂元幹事長が、地元の鳥取県八頭町にある和多理神社で、自民党総裁選に出馬することを表明した。「次の総理」の世論調査で、毎回トップの支持を集めている石破氏。ある意味「本命」の立候補者だ。

 ※:自民党 次の総裁にふさわしいのは誰? NHK世論調査 | NHK | 自民党総裁選

                   ◆   ◆   ◆

 「38年間の政治生活の集大成として、これが最後の戦いとして、原点に戻って、全身全霊で皆様にご支持を求めたい。この地を選びましたのは、今から40年前、私が、自民党の公認もまったく見通せない時に、1軒ずつ、お願いをしてまわった土地。国民の皆様、ひとりひとりと向き合う、それが私の政治生活の原点」と述べた。

 そして、裏金事件を念頭にしたのか「総裁選に臨むにあたり、ルールを守る政治でありたい。政治家のための政治ではなく、国民のため。ルールを守る、それは、政治のためのカネ。カネが必要であるならば、きちんと節度を持って集めなきゃいけません。限りない透明性を持って、国民に向けて公開をいたしてまいります。改正された政治資金規正法を守るのは当然であり、透明性を深めるための努力を最大限にいたしてまいります。カネのために政治をするのではない」

 「(次期選挙での)公認は選対で論議すべきだ」とこれまで主流派だった安倍派をターゲットにすえたように語った石破氏。岸田首相はすでに、安倍派などの裏金議員の次期選挙での「党公認」を事実上決めている。石破氏は、これに明確にNOを突き付けた形だ。

 石破氏の意見はまっとうだが、これを聞いた旧安倍派の議員はこう憤る。

 「裏金議員はすでに処分が決まっている。総裁選で勝てば、公認するかどうかわからないという。石破氏は、最大派閥だった安倍派にケンカを売っているんだろう。大体、本当に(推薦人)20人が集まっているのか?」

 旧石破派は2021年12月に派閥を解消して、グループとなった。派閥の中核だった伊藤達也元金融担当相や山下貴司元法相は茂木派へ、田村憲久元厚労相は岸田派へ鞍替え。そこへ、かつて石破派の一員だった斎藤健農相も総裁選を目指すと表明しているのだ。かつては石破氏に近かった自民党のある議員がこう話す。

 「斎藤さんは世論調査の『次の総理』では名前すらあがりません。それが、出馬の意向というのは誰かが斎藤さんをけしかけているからです。石破さんに出てほしくない人が仕掛けている。それに、石破さんのグループは現在8人とされる。うち2~3人が斎藤さんについている。残りは5人ほどでしょう。もともと10人にも満たないグループで、石破さんと斎藤さんに割れていたら、とてもじゃないが人数は集まりませんよ」

 2012年の総裁選では、第1回目の投票でトップの199票(地方票165票、国会議員票34票)を獲得した石破氏。しかし、過半数には足りず、安倍晋三元首相との国会議員だけの決選投票で敗れた。

 2021年、岸田首相が勝利した総裁選では、河野太郎デジタル相を小泉進次郎元環境相とともに支援。国民的人気の高い「小石河連合」という作戦が功を奏して、河野氏は第1回目の投票で岸田首相を上回った。しかし、決選投票で敗退している。

 「石破さんは最後の総裁選と明言している。本音は、小石河連合の小泉氏と河野氏には『今回だけは俺の支援にまわってくれ』と言いたいところなんですよ、石破さんは。しかし、それを直接石破さんは言わないし、裏で根回しできる側近もいない。ゆえに、小石河連合の3人ともが出馬するという事態になっている。石破さんの人望のなさが如実に出ている」(前出の自民党議員)

 10年ほど前、石破氏が安倍元首相と並び自民党の覇権を争っていた時のことだ。石破氏がある若手議員を見込んで、グループのメンバーを通じて会食に誘ったという。当時のことを知る国会議員が、次のように振り返る。

 「石破さんは自分の派閥に入れたいと、若手議員に声をかけた。居酒屋の会合では話が弾み、若手議員も『とてもためになる』と喜んでいた。だが、お開きになろうかという時でした。『みんな、割り勘でいこう』と石破さん。若手議員も興ざめてしまい、その後は呼んでも来なくなった。その後、安倍派の有力者が石破さんの割り勘発言を聞きつけ、若手議員に接近して派閥に取り込んだ。こういう細かさがダメなんです、人がついてこない」

 一時は、菅義偉元首相と武田良太元総務相が石破氏擁立で動いたが「話し合いにすらならず」決裂。その後、小林鷹之衆議院議員が出馬表明し、小泉氏と河野氏もタイミングを計っている状況だ。

 「総裁選が注目されているのは小林の若さ、勢いがあるからだ。今回の総裁選はおそらく世代交代がキーワード。世論調査で人気が高い石破さんだが若い3人に党員票を根こそぎもっていかれる可能性が高い。石破さんが第1回目で過半数をとれずに決選投票まで持ち込んでも、麻生派、岸田派、茂木派の主流派がウラで集まれば石破さんに勝てる見込みはない。出馬という選択をするよりも、小石河連合をもとに誰かの支援に回ったほうがよかったのではないか」(前出の旧安部派議員)

 「安倍派切り」で最後の賭けに出た石破氏の戦略は吉と出るか、それとも?

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政局・自由民主党・2024総裁選】  2024年08月29日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・08.26】:【自民党総裁選】:小林鷹之氏「新たな自民党」の足を引っ張る応援団の顔ぶれ

2024-09-22 08:04:30 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【HUNTER・08.26】:【自民党総裁選】:小林鷹之氏「新たな自民党」の足を引っ張る応援団の顔ぶれ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・08.26】:【自民党総裁選】:小林鷹之氏「新たな自民党」の足を引っ張る応援団の顔ぶれ 

 9月27日に投開票が行われる自民党の総裁選。トップバッターで出馬を表明したのは当選4回、49歳という小林鷹之前経済安保相だった。若さに注目が集まり、会見には、150人ほどの報道関係者が詰めかけた。清新さが売りのはずの小林氏だが、同席した24人の国会議員は、グレーというしかない顔ぶれ。期待感に水を差す格好となっている。

 ※:自民党 次の総裁にふさわしいのは誰? NHK世論調査 | NHK | 自民党総裁選

 ■応援団主力は旧安部派

 メンバーは、一覧表のとおりだ。小林支援の中心となったのは福田達夫元総務会長と大野敬太郎衆議院議員。旧二階派に所属していた小林氏だが、支援する24人中、旧安倍派が福田氏を筆頭に11人を占めた。旧二階派で同席したのはわずか4人。麻生派、旧岸田派、旧森山派の議員も名を連ねたが、旧安部派の人数が突出している。

 出席していたある議員に話を聞くと「福田氏が小林氏擁立に熱心だったので安倍派が多くなった。裏金事件の影響で、安倍派からは出せない。若手の時代を象徴し、世代交代をするには小林氏が最も適任だ」と自信ありげに語る。

 小林氏は1時間にわたる記者会見で「当選4回、40代、 普通のサラリーマン家庭で育った私が、派閥に関係なく、この場に立っている。自民党が本気で変わろうとする象徴」、「全ての党員、 国民の皆様にお約束します。新たな自民党に生まれ変わる」と自らの若さ、新鮮さを強調した。

 だが、上掲の一覧表を見ればわかるように、福田氏をはじめ安倍派の裏金議員は6人も並ぶ。宗清皇一衆議院議員は1,408万円、和田義明衆議院議員は990万円もの裏金をため込んでいた。

 別の議員によれば「安倍派では他にも小林さんを応援するという議員がいます。しかし、たいてい裏金事件でキズがついているので、ある程度安倍派からは人数を絞り込み、派閥横断的な態勢でやっている」と話す。しかし、6人も裏金議員が並び、うち何人かは推薦人にもなる見込みといい、まったく裏金事件の反省がないのは明らか。グレー議員らの支援を受ける小林氏本人も、記者会見でさっそく馬脚を現した。

 「(裏金事件の)再調査という話もありますが、本件については、実態が正直よく分からない」

 「(捜査は)権限を持っている検察当局が調べ、今回は不起訴という処分になっている。検察のような権限を持たない自由民主党が調査をするのは限界がある」

 「(安倍派の裏金議員の処分で)要職など外れた方もいますが、国民の皆様の一定の理解が、得られたら、適材適所の人事を行うべき」

 実態がわからないと小林氏は言うが、すでに安倍派の会計責任者、松本淳一郎被告の刑事事件の裁判は開かれている。松本被告は容疑を認め、禁固3年が求刑されており、不十分ながら概要は解明されている。

 派として、一度はキックバックをやめると決定していたが、「安倍派のある幹部が再開を求めた」と法廷で松本被告は述べており、この点は未解明のまま。自民党として裁判が確定した時点で、松本被告に真相を聞けば済む話なのだ。

 また、小林氏は裏金議員を党幹部などに起用すべきとも語っており、これは最大の支援を受けている旧安倍派や裏金議員への「忖度」としか思えない。

 ■問題議員がゾロゾロ

 旧統一教会と関係があった議員が13人もいることも見逃せない。ハンターでは、久留米家庭教会で開催された「南福岡教区孝情奉献礼式」の動画を独自に入手、自民党と旧統一教会の深い関係を報じた。2021年10月の衆議院選挙では、岩田和親衆議院議員を応援していたということで、幹部が「佐賀1区、鳥栖の方々が関わっていたが、原口一博さんの立憲が勝ってしまった。133 票差だった。非常に僅差でありました。鳥栖のメンバーに、岩田さんを応援という流れを作れなかったんですね。そこが私の責任。鳥栖のメンバー130人くらいは獲得できた」などと発言。岩田氏と旧統一教会の関係を物語るエピソードだった(既報)。

 中曽根康隆衆議院議員は、昨年11月に大炎上した自民党和歌山県連のセクシーダンスショーに参加していたことで、青年局長代理を辞任。鈴木英敬衆議院議員は、かつて暴力団関連企業から寄附を受け取っていたことで、大きな問題になった。

 スキャンダルのデパートともいわれるのが鬼木誠衆議院議員。旧統一教会のパーティに参加料まで支払って出席。今年7月には、地元福岡2区内で開催されたイベントで、防衛副大臣という立場を利用して、防衛省・自衛隊から提供された南極の氷を配っていたことが「赤旗」の報道で明らかになっている。公職選挙法が、選挙区内で金銭や物品などを配布、寄付することを禁じているのは言うまでもない。

 また、2021年の衆議院選挙では、人気アニメ「鬼滅の刃」のデザインと酷似した選挙ポスターを作成。著作権者からの許可を得ておらず、鬼木氏はポスターの撤去を余儀なくされた。

 小泉進次郎元環境相の出馬が決定的な状況で「若さ」や「世代交代」に注目が集まる総裁選。だが、小林氏の支援者には、裏金問題や旧統一教会絡みのスキャンダルを抱えた議員がズラリと並ぶ。ある国会議員にその点を指摘すると、キズ者の集まり? 確かに裏金や旧統一教会などと関係がある議員は多いのは事実だ」と苦虫を噛み潰したような表情になった。

 小林氏は自民党を変える前に支援する議員のメンツを変えるべきではないのか?

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政局・自由民主党・2024総裁選】  2024年08月26日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・08.19】:総裁選でキングメーカーになるのは・・・

2024-09-22 08:04:20 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【HUNTER・08.19】:総裁選でキングメーカーになるのは・・・

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・08.19】:総裁選でキングメーカーになるのは・・・ 

 8月14日、岸田文雄首相が突然記者会見を開き、9月に予定されている自民党総裁選への不出馬を表明した。「その日、朝9時過ぎに官邸に入った岸田さんは、側近の木原誠二幹事長代理を呼び不出馬を伝えたそうです。その後、林芳正官房長官や党三役らに相次いで連絡。『総裁選に出馬してほしい』という声もあったが、岸田さんは『決断したので』と取り合わなかった」と自民党の大臣経験者が舞台裏を語る。

                 ◆   ◆   ◆

 8月はじめ、旧岸田派の数人の議員が岸田首相のもとを訪ねた。早い時期の総裁選出馬表明を求めるためだった。事情を知る旧岸田派の同僚議員がこう振り返る。

 「総理が、ひょっとしたら総裁選に出馬しないのではないかと危惧する話が出ていた。そこで、派閥は解散しても総理をしっかり支えると、数人で伝えに行ったのです。総理は嬉しそうだったといいますが、はっきりした態度は示さず『現状ある課題を一つひとつやっていく』という話にとどまったそうです。それでも続投しかないと思っていたので、不出馬は信じられません」

 しかし、岸田首相の「続投」は極めて厳しい状況だった。最近行われたメディアの世論調査では、必ず岸田首相の「続投」についての問いがあった。

 朝日新聞の7月の世論調査では「続けてほしくない」が74%。JNN(TBS)の世論調査では「交代した方がいい」が70%と「退陣」を望む声が大きな割合を占めていた。

 「党内では、岸田さんが続けることはまずないという感じでした。理由は簡単。岸田さんでは選挙に勝てませんから」(旧二階派の国会議員)

 来年夏には参議院選挙を控え、衆議院も残す任期が1年ちょっと。来年は東京都議選、斎藤元彦知事で話題の兵庫県知事選など大型選挙が控える。2021年、首相だった菅義偉氏の総裁選出馬断念は、「菅氏では選挙は勝てない」という声に抗しかねた結果だった。

 菅氏の後を受けて首相になった岸田氏は、2021年10月に解散総選挙を断行。自民党は単独過半数を維持した。今回は、岸田首相自身が選挙の顔になれないとNOを突き付けられた格好だ。

 一方で、岸田首相の不出馬表明を評価する声もある。「菅さんの時は不出馬表明が9月に入ってから。総裁選の日程は決まっていたが、党内では『菅おろし』の声が日増しに高まっていた。岸田さんの場合は、総裁選の日程がまだ決まっていないお盆の真っただ中での不出馬表明。ある意味、今後の権力維持、キングメーカーに君臨できる道を残したといえる。早めに退任を表明したことで総裁選がグッと盛り上がることは間違いなく、そこは岸田さんの決断として評価できる」(前出の大臣経験者)

 岸田首相は、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長の主流派に支えられ総裁の座に就いた。勝利した総裁選での公約は、党役員の任期を1期1年の連続3期、3年としたことだ。麻生氏は副総裁を退任するしかない。

「 麻生さんにはポストがなくなる。唯一残るのが、麻生派の会長という肩書だけ。キングメーカーとしては終えんを迎えつつあるんじゃないか」(旧安倍派の議員)

 すでに岸田派は解散しているが、解散した他の派閥とは異なるという見方がある。

 「岸田総理に加えて、岸田派のプリンスだった林芳正官房長官が権力の中枢にいる。草刈り場になりつつある安倍派や二階派などよりはずっと結束が固い。林氏が将来の総裁候補であることは誰もが認めるところ。さらに上川陽子外相もいる。人材は豊富だ。岸田さんが麻生さんに代わってキングメーカーになる可能性がある」(旧岸田派議員)

 総裁選の構図は、主流派である岸田・麻生・茂木の3人と、菅・二階らの非主流派がしのぎを削ることになりそうな展開だ。非主流派は、国民的な人気が高い石破茂元幹事長や小泉進次郎元環境相の擁立を模索する。主流派は「派閥政治」が続いていれば茂木氏となるはずだったが、メディアの世論調査では「次の総理」としての期待度は1%ほど。選挙の顔として不適格なのは、衆目の一致するところだ。

 そこで注目されるのが河野太郎デジタル相だという。河野氏は前回の総裁選で岸田首相に敗れて2位だった。しかし1回目の投票で、党員票は岸田首相を上回りトップ。前出の大臣経験者はこう解説する。

 「小泉が出馬となれば、河野らの年代を飛び越えて一気に世代交代となる。すると河野にはチャンスがなくなる。茂木さんは、茂木派でも人気がなく、世論調査でも数字が伸びない。河野は、世論調査で石破、小泉に次ぐ3位につけ、知名度も人気も十分だ。岸田内閣の閣僚の一員で、麻生派でもある河野を主流派が担ぐ態勢にもっていけば、岸田総理も麻生さんも納得だ。茂木さんも財務相などで処遇すればとりあえず丸く収まる。岸田さんはキングメーカーとして新たな地位を築ける」

 岸田首相は記者会見で何度も「自民党は変わらなければならない」、「自民党が変わったということを示すというのが第一歩だ」と繰り返し「変わる」ことを強調した。だが裏では、キングメーカーとして君臨したいという魂胆が透けて見える。果たして今回の総裁選でキングメーカーになるのは岸田氏か菅氏か、あるいは麻生氏か?

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政局・自民党・岸田文雄首相が突然記者会見・9月に予定されている自民党総裁選への不出馬を表明】  2024年08月19日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・08.16】:情勢混沌、派閥なき自民党総裁選の行方

2024-09-22 08:04:10 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【HUNTER・08.16】:情勢混沌、派閥なき自民党総裁選の行方

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・08.16】:情勢混沌、派閥なき自民党総裁選の行方 

 「お盆が明ければ一気に党内政局だ」と話していた自民党国会議員の話が、数日早く現実のものとなった。

 8月14日、岸田文雄首相が記者会見を開き「次の総裁選挙には出馬しない」と任期いっぱいで首相の座を降りることを表明。永田町では、首相が解散総選挙を先延ばしにするという『公約』で党内をまとめ、続投するとの見方も出ていたために、衝撃が走った。

                    ◆   ◆   ◆

 これまで総裁選といえば、派閥の論理ですべてが決まってきた。しかし、裏金事件をきっかけにして岸田首相が派閥を解散。岸田首相は14日の会見で「政治とカネの問題を巡っては、派閥を解消し、パーティー券購入の上限を引き下げ、強い思いを持って決断をした」と語った。その言葉通り、派閥の数がものをいう総裁選びは、岸田首相が最後となった。次の総裁は、派閥に頼らない初の自民党トップになる。

 来年7月には参議院選挙を迎え、来年10月には衆議院も任期満了。夏には東京都議選も控えており、総裁選後は選挙一色となることが予想される。

 「選挙の顔になる総理総裁でなければ意味がない。派閥もなくなり、選挙に勝てる人気投票になる可能性が高い」とどの議員も異口同音にそう話す。

 大手メディアが毎月実施している世論調査では、必ず「次の総理は誰?」という項目がある。今年に入って半年ほどのメディアの「次の総理は誰?」という数字をまとめた一覧表が出回っており、常に1位をキープしているのが石破茂元幹事長だ。共同通信の7月の調査では29.1%という高い数字をたたき出した石破氏。総裁選出馬に前向きとみられている。

 石破氏に近いX議員は、「何度も総裁選に出馬し、あと一歩のところまで迫った石破さんは、ある意味最も総裁選を知る人物。勝負に出ることはほぼ間違いない」と打ち明ける。

 石破氏は、総裁選に合わせるように「保守政治家 わが政策、わが天命」(講談社)を出版。総裁選前の著作出版といえば、安倍晋三元首相が「美しい国へ」(文藝春秋)を出し、2006年の総裁選で勝利したことが記憶に新しい。

 岸田首相も、2021年の総裁選前、政権構想を打ち出した「岸田ビジョン 分断から協調へ」を上梓している。

 「石破さんは、さまざまな計算をしながら総裁選を戦おうとしている。推薦人20人の確保が危惧されているが、世論調査の人気トップであり、必ず集まると信じている。派閥政治が終わりとなり、まさに石破さんに風が吹いている」(前出のX議員)

 前述の一覧表で、ナンバー2の座をキープしているのが小泉純一郎元首相の次男、小泉進次郎元環境相だ。だが、石破氏との比較になれば10%近く引き離されている。これまで「小石河」と呼ばれ、石破氏、河野太郎デジタル相らと歩調を合わせてきた進次郎氏だが、別の自民党議員が同氏の近況について次のように語る。

 「これまで、小泉といえば飲み会には来ないことで有名。家に帰って子どもの世話が定番でした。携帯電話にもよほどでないと応答しない。番号すら教えないという徹底ぶり。それが最近は、飲み会にも顔を出すようになった。総裁選への覚悟が決まったような感じです」

 一方、河野氏は2021年の総裁選で岸田首相に次いで2位となった実績がある。メディアの調査では、石破氏と小泉氏に次いで3位、約8%の支持がある。河野氏に近い議員はこう話す。

 「河野さんは側近に、石破さんや小泉さんの動向を探らせている。前回は圧勝ムードだったが、土壇場で、まさに派閥の論理で岸田総理に負けた。派閥の壁がいかに厚いかを感じている。本当に出るかどうか、ぎりぎりまで考えるだろう」

                     ◆   ◆   ◆

 この3人をバックアップするとみられるのが、岸田政権下では非主流派となっていた菅義偉元首相だ。これまで派閥を作らなかった菅氏にとっても、今回の総裁選はキングメーカーとして君臨するための絶好の舞台となる。

 「菅さんはなんとか岸田総理に一泡吹かせたいと裏で動いている。ただ、派閥を仕切ったことがないので、菅グループの議員といえども、あまり抑えが効かないのは事実。小泉さんも河野さんも出ると言って譲らず、推薦人も20人確保できるメドが立った場合どうするのか。どちらも人気が高く地方の党員投票でかなりとれるのでそれなりに自信があるはずだが、共倒れの危険性もある。その時、2人が菅さんの言うことを聞いて一本化できるのか。それとも、今回だけ石破さんを支援して次を狙うのか。菅さんの調整にかかっている」(前出のX議員)

 この3人に迫るのが、高市早苗安全保障担当相と上川陽子外相という2人の女性。高市氏は前回の総裁選で、最大派閥を率いていた安倍元首相の支援もあって3位に浮上した実績がある。

 「安倍先生が亡くなってからは、安倍派のメンバーで高市さんと動く人はほとんどいない。裏金事件もあってみんな控え気味。小泉さんが出るなら、純一郎元首相は安倍派だったのでそちらの支持に回ることになるでしょう。裏金事件の影響もあり、若い議員も多くいますから一枚岩にはとてもなれずに、バラバラですよ。ただ女性ということで、自民党が最も変わったぞとアピールできるのは高市さん。一気に支持が流れることもある」(旧安倍派の議員)

 上川氏は、岸田首相のお眼鏡にかなって外相に抜擢されたが、同じ旧岸田派には出番を待っている林芳正官房長官もいる。実際に出馬するかどうか微妙だ。メディアで名前が出ている小林鷹之前経済安全保障担当相や加藤勝信元官房長官は期待度1%に届くか届かないかという数字。派閥の倫理なら最右翼とみられる茂木敏充幹事長も、1%ほどしか支持がない。

 「誰がなってもすぐに解散総選挙でしょう。選挙の顔として有力なのは、世論調査で上位に来ている石破か小泉、河野の3人のうちの誰か。もしくは、女性ということで高市か上川あたり。茂木、加藤や小林に至っては1%も支持がないのでダメでしょう」(自民党関係者)。

 派閥なき自民党の総裁選の行方は混とんとしている。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政 【政局・自民党・岸田文雄首相が突然記者会見・9月に予定されている自民党総裁選への不出馬を表明】  2024年08月16日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・09.06】:県民裏切る茶番劇|鹿児島県警記者会見、報道側が質問を事前提出|問われる疑惑追及の本気度

2024-09-22 08:03:20 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・09.13】:県民裏切る茶番劇|鹿児島県警記者会見、報道側が質問を事前提出|問われる疑惑追及の本気度

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・09.13】:県民裏切る茶番劇|鹿児島県警記者会見、報道側が質問を事前提出|問われる疑惑追及の本気度 

 とんだ茶番である。演じているのは鹿児島県警と地元メディア。指摘されている野川明輝本部長の隠ぺい疑惑も組織的な不当捜査も、なかったことにするための共同作業が続いている。

 県警が定例会見を開く際、事前に報道各社に質問を提出させ、“シナリオ”に沿ったやり取りを行っていることが分かった。

                   ◇   ◇   ◇

 下は、今月2日に開かれた鹿児島県警の定例会見を前に、参加予定の報道機関側に配られた、県警側作成にかかる「9月2日の定例記者会見における出席社(者)及び質問事項」と記されたの文書。ハンターが独自に入手した。(*黒塗りはハンター編集部)

 参加者の欄には、会見に出席する会社と記者の苗字、「県警察が提供する話題以外の質問」として、次のように各社の質問が列挙されている。

【再発防止策関連】
① 共同通信→警務部長
再発防止策の具体的な進捗状況、スケジュール(改革推進委員会や改革推進研究会を含む。)また、対策のうち、何を実行したのか明らかにしてほしい。

➁ KYT → 警務部長
ア 8月中に開催した改革推進委員会の構成メンバーとその内容(改革推進研究会を含む。)
イ 再発防止策公表後にあった「県民からの意見」の主な内容ごとの件数
ウ 再発防止策の全職員への指示は済んだか。職員から質問や意見はあったか。

➂ ⅯBC → 警務部長
総務警察委員会から再発防止策について、「外部の目が入っていない。その進捗を県民が確認できない。」との指摘があった後の改善内容を教えてほしい。修正点として反映したものがあれば指摘と修正をセットで示してほしい。

④ 読売新聞 → 警務部長
・総務警察委員会から外部有識者の招聘に係る意見が多かった。有識者の常時招聘は考えているのか。
・各所属における教養の実施状況
・改革推進委員会と改革推進研究会は仮称と言ったが、その正式名称

⑤ NHK → 警務部長
・再発防止策の実現に向けて、県警が感じている課題とその対策
・策定の過程で、発表基準に満たない新たな不祥事は、あるのか。あるとすれば何件か。概要も含めて可能な限り教えてほしい。

⑥ 西日本新聞 → 本部長
一連の非違事案を受け、県議会を含め内外から様々な声があったと思うが、これらの声を本部長としてどのように受け止め、再発防止策をより実行性のある取組として、深化させるつもりなのか教えてほしい。

【枕崎事案】
① 南日本新聞 → 警務部長
枕崎署長と首席監察官のやりとりについて開示請求したが、電話受発書を含め記録は残されていないことが分かりました。
ア やりとりの記録全部が文書で残されていないと解釈して、差し支えないか。差し支えがあるのであれば、根拠となる文書は存在するということか。存在するなら、どのような文書か。なぜ、開示請求で特定されなかったのか。
イ 文書が存在しない場合、枕崎署長は署員に「捜査中止」を口頭のみで伝え、記録は残さなかったことになるが、その行為は業務上、適正なのか。

② 朝日新聞 → 本部長
盗撮事件公判(8月21日)の本部長の受け止めを教えてほしい。

【霧島事案】
朝日新聞 → 本部長
生活安全部長が霧島署長時代に対処した署員によるストーカー事案に関し、本部への連絡が遅くなったことについて、「部下への適切な指示や進捗状況の確認かなかった。」と会見された。枕崎事案に関し、本部長は同様の対応で処分を受けたが、この件で、生活安全部長を改めて処分しないのか。

 詳しい解説は無用だろう。事件の隠ぺいや不当捜査の疑いが出ている県警を追及するはずの報道各社が、質疑の相手である県警側の求めに応じ、事前に質問事項を渡していたというのだ。開いた口が塞がらない。

 相次ぐ不祥事で県民の信頼を失った県警は先月、お手盛り調査に基づく「再発防止策」を発表した。当然ながらこれを評価する声は少ない。

 再発防止策の責任者である野川明輝本部長には、「警察一家」によるいくつもの性犯罪を隠ぺいするよう指示した疑いがかけられている。しかし、警察庁は特別監察を実施する前に同氏を“シロ”と断定。隠ぺい指示はなく、一連の疑惑を北海道のジャーナリスト・小笠原淳氏に公益通報した本田尚志元生活安全部長の行為を、情報漏洩による国家公務員法違反と決めつけた。その「歪められた前提」に立った再発防止策に意味がないことに、おそらく県民の多くは気付いているはずだ。

 県医師会の男性職員による強制性交事件をはじめ、霧島署員による2件のストーカー事件、枕崎署員による盗撮事件などで、本部長や幹部警察官によるもみ消しや隠ぺいが図られた疑いが出ているが、県警側はいずれの問題についても合理的な説明ができていない。それぞれの事件について県警は、所轄署内部や本部との「連絡ミス」「勘違い」などといった言葉でごまかすのが精一杯。現役警官やOBからも「あり得ない」と突き放される状況となっている。県民は、本当のことを知りたいはず。県警の嘘や隠ぺいを追及し、真相を暴くのが報道に課せられた使命だろうが、逃げ道を準備させることになる「質問の事前提出」に応じているというのだから話にならない。

 鹿児島県警の記者会見はネット上で公表されておらず、県民は新聞記事やテレビのニュースで流される内容を信じるしかないのが実情だ。県警の闇を暴くための会見が、県警側のシナリオに沿った形で進められていることなど、県民は知るよしもない。かく言う記者も、幹事社が行う代表質問以外の事項まで事前提出させている都道府県警のケースなど寡聞にして知らない。

 関係者の話によれば、鹿児島県警への質問事項提出期限は2週間前。記者クラブ加盟社以外は会見から排除されるしきたりだという。クラブ加盟社であっても、質問は事前届出が必須。それを怠れば、回答を拒まれるケースもあったという。権力側による情報統制の一環であり、これに唯々諾々と従う地元メディアの気が知れない。どこを向いて仕事しているのか?

 県民は、記者会見における県警と報道各社のやり取りを「ガチンコ」だと信じているはずだ。少なくとも、報道が県警の疑惑を追及している場面が、シナリオに沿った茶番劇だなどと思ってもいないだろう。鹿児島のメディアがやっていることは、読者や視聴者への背信行為。指摘されている野川明輝本部長の隠ぺい疑惑も組織的な不当捜査も、なかったことにするための県警との共同作業だと言わざるを得ない。

 5日、鹿児島県警の広報に確認したところ、会見向けの質問提出はかなり以前からの慣行で、いつから始まったのか分からないという。“質問事項が(県警側に)きて、それに沿った形で会見が進むといういうことで間違いないか?”という問いに対しては「そうですね」。“茶番ですよね”と申し向けたが、「それを言われても困るんですけどね……」と困惑気味の様子だった。自分たちのやっていることが、いかに県民を愚弄するものなのか、まるで分かっていないのだろう。

 「県警の思惑通りにならないよう、頑張っている」という記者たちの声が聞こえてきそうだが、質問の事前提出に応じている以上、そんな言い訳は通用しない。疑惑追及の本気度に疑問符が付いたのは確か。鹿児島のメディアは、ただちに会見質問の事前提出を止めるべきだ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑念・鹿児島県警の不正疑惑・鹿児島県警と地元メディア。地方自治・兵庫県・知事によるパワハラ疑惑】  2024年09月06日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・09.04】:警察のあるべき姿とは?|腐敗組織・鹿児島県警が向き合うべき『警察刷新に関する緊急提言』

2024-09-22 08:03:10 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【HUNTER・09.04】:警察のあるべき姿とは?|腐敗組織・鹿児島県警が向き合うべき『警察刷新に関する緊急提言』

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・09.04】:警察のあるべき姿とは?|腐敗組織・鹿児島県警が向き合うべき『警察刷新に関する緊急提言』 

「警察改革の精神を忘れるな」――数年前に退官した警察幹部OBは、疑惑まみれとなった鹿児島県警が向き合うべきは、警察不祥事の続発を受け2000年に国家公安委員会が設置した「警察刷新会議」の『警察刷新に関する緊急提言』だと指摘する。

 たしかに、提言の《はじめに》で列挙された国内各地の警察組織による不祥事は、いずれも鹿児島県警が隠ぺいを図った事件と同じ構図だった。では、警察OBが「合わせて確認すべき」と勧める提言の《終わりに(結びにかえて)》は、何を訴えているのだろう。

                   ◇   ◇   ◇

 以下に、提言の締めくくりとなる《終わりに(結びにかえて)》を示す。

終わりに(結びにかえて)

提言を終えるに当たって、以下の三つのことを指摘しておきたい。

第一に、一連の不祥事を見るにつけ、国民に顔を向けず、組織の「上」ばかり見ている警察幹部が増えつつあるのではないかとの危惧を抱かずにはいられない。全警察職員は国家と国民に奉仕するとの原点に立ち戻ってほしい困り苦しむ国民を助け、不安を抱く人々に安心を与えることこそ警察の真髄であり、また、警察職員の喜びの源泉でもあるはずである。雨の日も風の日も管内を徒歩でパトロールする「お巡りさん」の優しさと、悪に対峙していささかもひるむことのない「刑事」の強さこそ、国民が警察職員に求めるものであろう。そして、この両者を根っこで支えるものは、国民のために尽くすというひたむきな使命感にほかならないことを今こそ肝に銘じるべきである。

第二に、社会と市民生活の安全の確保は、国民と警察が責任を共有しながら自発的に協同してこそ初めて創出可能なものである。

私たちが提言の中で示した処方箋の中には、警察の人的、物的体制の強化のように国民の側の負担を伴うもの、警察署評議会(仮称)のように能動的に社会にかかわり責任を果たそうとする国民の存在を必要とするものなどが含まれている。

約5年前の阪神・淡路大震災の発生に際して、負傷した家族を振り切り、壊れた自分の家などを打ち捨てて直ちに職場に駆けつけた警察職員が、全国から集まったボランティアと手を携えて、傷つき又は助けを求める市民を救ったことは、私たちの記憶の中に鮮烈な感動を残した。あのときに国民と警察が共有した連帯感こそが今最も求められているものである。

この提言が契機となって、社会と市民生活の安全に国民が果たすべき責任についても議論が深められることを強く期待したい。

第三に、私たちはこの提言において警察が再び国民から信頼を回復するための基本的な処方箋を盛り込んだつもりであるが、こうして議論している間にも、時代の変化とそれに対応する国民の新たな意見、要望が現れており、警察は今後とも、これらを鋭敏に把握した上で、解決策を提示することを求められている。

ここで大切なことは、警察が受け身にならず、自ら改革案を提示できるだけの自発性と意欲を持ち続けることであろう。国民もまた、警察の信頼回復に向けた取組みを監視するとともに、必要な支援を行っていく必要がある。

一旦失われた信頼を回復するには、気の遠くなるような努力が必要とされるが、幹部が率先垂範して困難を克服し、私たちの示した提言に魂を入れるとともに、時代の要請にこたえる新たな改革案を国民の前に提示し、国民に愛され信頼される組織となるため最大限の努力をすることを強く要求する。

最後に、私たちは、今日もなお第一線現場で、多くの警察職員が、国民生活の安全のため、いろいろな困難を乗り越え、黙々と職務に精励していることを信じる。警察の刷新による国民の信頼の回復は、このような第一線現場における努力が一段と広まり、深まることによってはじめて、達成され得るものであることはいうまでもない。そのためには、警察職員が努力をすれば報われ、社会から感謝と尊敬を受け、誇りと使命感を持って仕事ができるような環境を実現させる必要があり、政府は、報償制度の充実その他の待遇改善にも努めるべきであろう。警察職員が誇りと使命感を持ち、一層国民に奉仕する意欲が湧き上がることにより、国民が安心して暮らせる安全な社会が実現されるのである。

 何度読み返しても、鹿児島県警の現状を予見していたかのような記述ばかりだ。例えば、「国民に顔を向けず、組織の「上」ばかり見ている警察幹部」――。野川明輝本部長が警察官の犯罪行為を隠ぺいするよう指示したとすれば、それに黙って従った県警幹部がいたことになる。

 これまで行われた県警の会見や県議会質疑で明らかになったように、別々の署員による2件のストーカー事件発生を許した霧島署の署長だった南茂昭氏には、本部長指揮による“もみ消し”や“隠ぺい”に加担した疑いがある。その南氏は、今年春の異動で警視正に昇進。B級署の署長から一足飛びに県警本部の生活安全部長に就任した。「国民に顔を向けず、組織の「上」ばかり見ている警察幹部」だったとみられてもおかしくない南氏が、本部長の覚えめでたく出世したということだ。

 一方、“組織の上”である野川本部長の言動に危機感を持った本田尚志元生活安全部長の内部通報によって、闇に葬られるはずだった2件のストーカー事件や盗撮事件の真相が白日の下に晒されている。本田氏が“組織の「上」ばかり見ている警察幹部”ではなかったことは確か。彼が『警察刷新に関する緊急提言』の精神を忘れていなかった証左だろう。

               ◇   ◇   ◇

 霧島署員による2件のストーカー事件を巡っては、南氏の登用だけでなく、怪しい人事の動きがまだあった。2件のストーカー事件を矮小化し、事実上のもみ消しにつなげた可能性のある本部人身安全・少年課の障子田穂積元課長は、やはり今年春の異動で栄転。なんと問題の霧島署で署長になっている。

 ちなみに障子田氏は、2003年に鹿児島県警がありもしない選挙違反をでっち上げた「志布志事件」で警部補として捜査に参加。社会問題となった「たたき割り」という違法な取り調べを行い、地域住民を奈落の底に突き落としたブラック警官の一人だった。同事件では、父親や孫の名前に加え「こんな人間に育てた覚えはない」「正直になって下さい」などと記した紙を、力づくで踏ませるという「踏み字」が知られているが、障子田署長は罪のない女性に「私は選挙で焼酎2本とおカネ2万円をもらいました」と嘘の供述を強要し、道路側に向かって絶叫させるという「おらばせ」を行った張本人である。この人物が昇進、栄転を続けているのは、《組織の「上」ばかり見ている》からに他なるまい。

                 ◇   ◇   ◇

 警察刷新会議が提言の「終わりに」で示した《全警察職員は国家と国民に奉仕するとの原点に立ち戻ってほしい困り苦しむ国民を助け、不安を抱く人々に安心を与えることこそ警察の真髄》を読んで、「恥ずかしい」と思っている鹿児島県警の警察官は少なくないはずだ。本部長の保身のため、幹部らが「警察一家」による何件もの性犯罪を隠ぺいしようとしたのは事実。県警は、その過程で泣かされた被害女性たちに改めて正面から向き合い、“国家と国民に奉仕するとの原点”に立ち戻って謝罪や説明を行うべきだろう。

 事実上の事件もみ消しによって、野放しになったブラック警官やその関係者の影におびえる生活が現在も続いている被害者がいる。《困り苦しむ国民を助け、不安を抱く人々に安心を与える》という《警察の神髄》は、少なくとも鹿児島では失われたままなのである。

 《国民のために尽くすというひたむきな使命感》も《警察が受け身にならず、自ら改革案を提示できるだけの自発性と意欲》も、野川氏ら県警幹部には無縁の言葉だ。さらに、幹部が隠ぺいに走った腐敗組織においては、《一旦失われた信頼を回復するには、気の遠くなるような努力が必要とされるが、幹部が率先垂範して困難を克服し、私たちの示した提言に魂を入れる》という処方箋も役に立たないものとなる。鹿児島県警に必要なのは、野川氏ら幹部の非違行為を検証し直し、『警察刷新に関する緊急提言』に沿った改革を行うことではないのだろうか。幕引きを図るために急ごしらえしたお手盛りの再発防止策には、何の意味もない。

 緊急提言は、《はじめに》と《終わりに(結びにかえて)》で問題の概要と目指すべき道を示している。さらに、《問題の所在と刷新の方向性》に始まり《情報公開で国民に開かれた警察》、《苦情を言いやすい警察》、《監察の強化》、《公安委員会の活性化》、《住民からの相談に的確な対応》、《警察職員の責任の自覚》など8つの単元において問題点や改善策が詳細に述べられており、全国のほとんどの幹部警察官は内容をたたき込まれているという。

<中願寺純則>

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑念・鹿児島県警の不正疑惑・鹿児島県警と地元メディア。地方自治・兵庫県・知事によるパワハラ疑惑】  2024年09月04日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・09.18】:現職自衛官が国を提訴|パワハラ通報者特定し「テロ行為」扱い

2024-09-22 08:01:30 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・核兵器・武装・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【HUNTER・09.18】:現職自衛官が国を提訴|パワハラ通報者特定し「テロ行為」扱い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・09.18】:現職自衛官が国を提訴|パワハラ通報者特定し「テロ行為」扱い 

 現職の陸上自衛官が国を訴えた損害賠償請求裁判の口頭弁論が札幌で始まった。原告の自衛官は、所属部隊のパワーハラスメント問題を自衛隊の担当窓口に通報したことで不利益な取り扱いを受けたという。通報は匿名で行なっていたが、その内容が所属部隊に筒抜けとなり、当時の上官から「通報はテロ行為」「ただでは済まさない」などと謝罪を求められたり、不本意な異動を仄めかされたりしたとの主張。被告の国は9月上旬の初弁論でこれらの事実をおおむね認めつつ、損害賠償の金額などについて争う姿勢を見せた。

                ◆   ◆   ◆

 本年6月20日付で札幌地方裁判所へ訴えを起こしたのは、北海道内に勤務する50歳代の男性自衛官。訴状などによると、男性が2022年春まで所属していた道内の部隊では日常的に上官によるパワーハラスメントが行なわれ、複数の同僚が理不尽な指導に畏縮したり心療内科の受診を余儀なくされるなどの深刻な被害に遭っていた。状況を改善する必要があると考えた男性は現在の部隊に異動する前の21年4月、陸上自衛隊のパワハラ相談窓口に匿名で通報。すると窓口は翌月、相談者を特定できる状態で所属部隊に事実確認を行なった。部隊の上官らは「必ず通報者を特定して処罰を加える」「通報というテロ行為をする者は許すわけにいかない」などと公言、男性に“自白”を強要したほか、少なくとも3人の幹部(いずれも1等陸佐)が「威力業務妨害で訴える」「どういうつもりだ」「反逆行為だ」「処分する」「謝罪せよ」などと迫ったという。

 提訴後初めての口頭弁論が設けられた9月9日午後には、札幌地裁(吉川昌寛裁判長)の法廷で意見陳述に立った男性がこう証言した。

 「陸上自衛隊のパワハラ相談室、防衛省パワハラ相談室、北部方面総監部、陸幕監察室、公益通報窓口へと通報しましたが、高級幹部が関わっているためか、まともに対応してくれない、またはまともな聴き取りもせず加害者側の回答を優先し『そのようなことはなかった』としたのでした」

 組織に揉み消しをはかられた男性がそこで告白を断念せず、国家賠償請求裁判の提起に踏み切ったのは、陸自の性暴力を実名告発した元自衛官・五ノ井里奈さんの事案に通じる深刻さを北海道のパワハラ事案にも感じたためという。男性は、五ノ井さんの告発を機に行なわれた「特別防衛監察」にもパワハラ問題を申告したが、ここでもハラスメントが「なかったこと」にされ、訴訟を起こさざるを得なくなったわけだ。なお原告代理人らによると、この特別防衛監察に寄せられた申し出は414件に留まっている(全隊員数の0.6%)。被害申告が少ない理由を、代理人の佐藤博文弁護士(札幌弁護士会)はこう説明する。

 「申告するとブーメランのように自分に返ってきて、加害者側である上官や上司から『お前、チクったな』と、いっそうのハラスメントや人間関係の悪化を招くことが眼に見えているからです。かような実態をなくさない限り、自衛隊員は声を上げられず、ハラスメントはなくならないのです」

 まさしく、今回の原告男性のケースでも相談窓口が機能せず、通報の事実が加害者側へあっさり漏れてしまった。被告の国は今回、窓口が通報内容を部隊に伝えた経緯については事実と認めたが、それが必ずしも通報者の特定に繋がるわけではないとの理屈で国賠法上の違法を否定。一方、男性が指摘する上官らの暴言や不利益な取り扱いについては多くの事実関係を認め、国賠法上の責任を負うとしている。その上で、原告が提示した損害賠償の金額(220万円)については争う考えを示した。

 被告が自ら加害事実の大部分を認める異例の展開。国側は早期の和解を考えている可能性があるが、原告男性と代理人らは「ならば訴訟になる前に対応すべきだった」「市ヶ谷(本省)は北部方面だけに責任を負わせようとしているのでは」などと指摘し、裁判については「(和解ではなく)判決を得たい」と話している。

 パワハラ被害を受けた自衛官が現職のまま国を訴えた裁判。9月の初弁論の意見陳述を、原告男性は次のように締め括っている。

 「間違ってもこのようなでたらめな違法・不当行為はまともな公務ではありません。真面目に勤務している隊員に失礼です。日々、自衛隊内でのハラスメントのニュースが報道されています。真面目に勤務している隊員が救われ、自衛隊がハラスメントのない職場、何かあったら気軽に相談・通報できる職場になることを願っています」

 次回弁論は11月18日午後、札幌地裁で開かれる。(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【裁判・現職の陸上自衛官が国を訴えた損害賠償請求裁判の口頭弁論】  2024年09月18日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・09.06】:驕りの結果か 維新自体の評価下げるパワハラ知事問題

2024-09-22 07:50:10 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【政界地獄耳・09.06】:驕りの結果か 維新自体の評価下げるパワハラ知事問題

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・09.06】:驕りの結果か 維新自体の評価下げるパワハラ知事問題 

 ★あまりにもお粗末な県政を全国に見せつけた兵庫県知事・斎藤元彦の百条委員会。能面のような表情で言い訳に終始する様は、東大や総務省などのキャリアを吹っ飛ばすインパクトだ。これならAI(人工知能)に知事をやらせたほうが平和だとまで言われているとか。今や全国にパワハラ・おねだり知事として知れ渡った。関西では首都圏よりも報道が過熱。6月30日に告示された河内長野市の市長選では候補者を擁立できなかった。ここは大阪維新の会代表・吉村洋文(大阪府知事)の出身地だが、7月28日に投開票が行われた同市選挙区の大阪府議補選でも同会公認の新人が敗れた。

登庁し、取材に応じる兵庫県の斎藤元彦知事(共同)

 

 ★斎藤は日本維新の会の候補として当選したが「斎藤を連れてきたのは自民党の元経産相・西村康稔(党員資格停止中)だ。当時の自民党幹事長・二階俊博の了解を得て知事候補としてまとめたはずだ」とは維新関係者。関西の維新の強さ、将来のカジノなど関係を維持したい勢力がまとまったのだろう。だが20年続いた前知事・井戸敏三の県政幹部や、県庁内の反井戸陣営が相まみえ、県幹部の動きが複雑だったことは東京の総務省にも届いていたはずだ。その間、維新内も斎藤擁護の吉村と日本維新の会代表・馬場伸幸との間で斎藤の評価が分かれ、維新はこの問題でリードできなかったどころか後れを取った。

 ★維新は慌てて6日の百条委員会後に辞職勧告に踏み込む腹だ。実態は県議会のひょうご県民連合(立憲民主党系)が19日からの県議会に知事の不信任案を提出予定のため、急いだのが顛末(てんまつ)だ。ただ百条委員会での対応でわかるように、斎藤はいまだ自分は悪くないと思っており、腹いせなのか対抗措置なのか議会の解散を言い出す可能性があり「場合によっては衆院選挙とダブルになりかねない」(維新関係者)と頭を抱える。続けて「あとは吉村の説得で辞任でまとめてもらわないと維新自体が関西、いや全国で一層評価を下げかねない」。おごりの結果か。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年09月06日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・09.13】:潰された公益通報|兵庫・斎藤知事と鹿児島・野川県警本部長の大罪|上智大・奥山教授が指摘する共通点と違い

2024-09-22 07:48:00 | 【22年改正公益通報者保護法・組織内部の通報が困難な時、報道機関等外部へ通報可】

【HUNTER・09.13】:潰された公益通報|兵庫・斎藤知事と鹿児島・野川県警本部長の大罪|上智大・奥山教授が指摘する共通点と違い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・09.13】:潰された公益通報|兵庫・斎藤知事と鹿児島・野川県警本部長の大罪|上智大・奥山教授が指摘する共通点と違い 

 兵庫と鹿児島で、悪行を指摘された組織のトップが真相をねじ曲げ、告発者を悪者に仕立てて自らの潔白を主張するという異常な事態が起きた。兵庫では告発者が自殺。鹿児島でも組織の暴走に絶望した通報者が、自らの命を絶とうとした。この国の「公益通報制度」の在り方が問われている。

 ■兵庫 ― 公益通報者が抗議の自殺

 兵庫県は今年4月、斎藤元彦知事のパワハラや「おねだり」といった7件の疑惑を告発した元西播磨県民局長を解任。定年退職を認めず、役職定年で降格させた上、停職3か月の懲戒処分を下した。知事は会見で、「職員の信用失墜、名誉棄損、法的課題がある。被害届、告訴も考えている。内容はウソ八百だ。ありもしない内容だ。県の業務上のダメージで看過できない」と発言。元局長を罵倒した。

 下は、ハンターが入手した元局長作成の告発文書――【齊藤元彦兵庫県知事の違法行為等について(令和6年3月12日現在)】である。(*黒塗りはハンター編集部)

 知事が「ウソ八百」と決めつけた記述内容の大半は、県職員へのアンケート調査や県議会が設置した百条委員会で事実だったことが判明。しかし、真相解明の場となる百条委員会に証人として出席予定だった元局長は、7月に抗議の自殺を遂げていた。

 百条委員会は、元局長が残した陳述書や知事がワインをねだった際の音声データなどを調査対象として採用。県職員のアンケート結果や証言などもあって、知事の「ウソ八百」発言こそが“ウソ八百”であることが証明される展開となっている。

 元局長が報道機関や県の公益通報窓口などに宛てた上掲の文書の記述内容が「公益通報」にあたるものだったことは明らかだ。しかし、斎藤知事は都合の悪い事実を握り潰すために元局長を犯罪者扱いし、自身の後ろ盾となっていた日本維新の会の県議らと組む形で公益通報潰しを図った。悪行を指摘された本人が、権力を濫用して正義の人を抹殺した格好。兵庫県で「公益通報制度」を踏みにじったのは、誰の目にも明らかなとおり斎藤知事である。

 ■鹿児島 ― 警察組織が公益通報潰し

 鹿児島県警を巡る数々の疑惑を白日の下に晒したのも「公益通報」だった。通報者は本田尚志元県警生活安全部長。通報文書は今年3月末、本サイトに寄稿している北海道のジャーナリスト・小笠原淳氏に郵送された。1枚目には「闇をあばいてください。」。郵便物の記述内容は、現職の警察官が犯した3件の違法行為が隠蔽されていることを示すものだった。

 巡回連絡簿から女性の個人情報を不正入手し、悪質なストーカー行為を行なっていた霧島署巡査長によるストーカー事案――。枕崎署員による盗撮事案――。そして幹部警察官による公金詐取事案――。本田氏が具体的に指摘した警官の非違事案はその3件だったが、通報文書にあった「署員によるストーカー事案2件を発生させた霧島署長」という記述が発端となり、新たな隠ぺい疑惑が浮上。別の霧島署員がクリーニング店の女性従業員にストーカー行為を行っていた事件で、被害相談初日の「苦情・相談等事案処理票」や防犯カメラ映像が消されていたことが判明する。

 さらに、県議会総務警察委員会での質疑から、2021年に起きた強制性交事件で、鹿児島中央署に告訴状を提出しようとした被害者の女性を門前払い(*)にしていたことが証明されるなど、波紋が広がり続けている。(*県警は、門前払いを「受け渋り」と説明)

 いずれも、警察組織による証拠隠滅や犯人隠匿の疑いが持たれる事案だが、本田氏の告発がなければ表面化していなかったことは明らか。県警の闇を暴こうとした本田元生活安全部長の行為は、公益通報以外の何ものでもない。

 しかし県警は、今年4月8日に別の内部通報の関係先としてハンターの事務所を家宅捜索した際、業務用パソコンにあった警官による犯罪の隠ぺいを示す告発文書を把握。そこから本田氏を割り出した。その後、県警は野川本部長指揮の下、本田氏が指摘した「隠ぺい」を糊塗するため、5か月も放置していた盗撮事案を先に処理。「公益通報」を否定するための形を整えたのちに、本田氏を情報漏洩の犯人に仕立てて立件している。

 前述した盗撮、2件のストーカー、公金詐取は警察官の犯罪行為であることから「本部長指揮」となったものだ。本田氏が勾留開示請求の法廷で明かしたように、それらの隠ぺいを指示できたのは、野川本部長以外には考えられない。

 その野川本部長を逃がすことで警察組織の体面を保とうとしているのは警察庁だが、「隠ぺい」の真相を闇に葬るため自分を逮捕しに来た県警の元部下たちの姿を目の当たりにして、本田氏が絶望の淵に立たされたことは想像に難くない。

 鹿児島県で「公益通報」の成立を阻止しようとしているのは野川本部長と、野川氏というキャリア警官を庇うため、なりふり構わぬ権力行使に走った警察庁である。

 ■上智大・奥山教授の話

 公益通報制度に詳しく、兵庫県議会の百条委員会でも意見陳述を行った上智大学の奥山俊宏教授は、兵庫と鹿児島で起きている事態について次のように話す。

 兵庫県庁の内部告発と鹿児島県警の内部告発には共通点があります。

 60歳まで勤め上げて、組織の最高幹部へと上り詰めた人が、組織トップの不正を明らかにする文書をジャーナリストに送る内部告発に、この3月に踏み切ったところがその第一。

 ところが、組織の管理者によってそれを把握されてしまい、組織の規律に反したと決めつけられて不利益に扱われ、自殺を図るところにまで追い詰められたところがその第二。

 公益通報者保護法が制定されて20年となる日本ですが、内部告発を自浄に生かすことのできる組織はまだ少なく、社会のためになる内部告発をした人への報復があとを絶たない現状があります。

 ただし、兵庫県と鹿児島県には違いがあります。兵庫県では県議会が地方自治法100条の調査権限を発動して百条委員会を設け、内部告発の内容や違法な報復の経緯について解明しようとしています。おそらくそこからは多くの教訓を得ることができ、制度改正への道筋を見いだすことにつなげられるかもしれず、兵庫県議会の行動は日本全体にとって有意義です。他方、鹿児島県では、そのような動きが見当たりません。

 なぜこのような事態が現代日本で起きるのでしょうか。知る権利の基盤となる公共情報の自由な流通を少しでも豊かにするために、兵庫県と鹿児島県でこの春に起きたことを真剣にとらえ、教訓を学びたいと思います。

 ■問われる公益通報制度の意義

 奥山教授の指摘は正しい。兵庫では、組織の中核にいた元西播磨県民局長が県知事のパワハラや“おねだり”を訴えるため内部告発に踏み切り、鹿児島ではやはり序列2位ともいえる県警生活安全部長を務めた本田氏が、本部長による隠ぺい指示を暴こうとした。二人とも、正義感から組織トップの不正を正そうとして逆に反撃を食らい、公益通報制度を無視した不当な権力行使によって追い詰められたという構図だ。

 また、奥山教授が言う通り、疑惑と向き合う「県議会」の対応は兵庫と鹿児島でまったく違うものになっている。

 兵庫県では県議会が百条委員会で疑惑解明に努めた結果、全議員が知事に辞職を申し入れるという状況になった。しかし、鹿児島県議会では自民党会派が百条委の設置に反対しており、強制力を持った質疑は遠のく一方だ。「公益通報」を否定する県警のシナリオに沿って動いた自民党鹿児島県議団は、“女性の敵”になる道を選んだことになる。野川本部長の指示で隠ぺいや証拠隠滅が行われたとみられる事件の被害者は、すべて女性なのだ。

 もう一つ相違点がある。兵庫県で問題になった前掲の告発文書に出てくる人物や法人はすべて実名表記。だが、告発した元西播磨県民局長は「守秘義務違反」に問われていない。懲戒処分の理由は、「誹謗中傷」ということになっている。他方、本田元生活安全部長を情報漏洩の疑いで逮捕した鹿児島県警は、逮捕理由を、事件化を望まなかったストーカー事件の被害女性の名前を告発文書に記したからだと説明している。兵庫ではたくさんの実名を記して咎められず、鹿児島では一人の名前だけで逮捕――。なんとしても公益通報を否定したい鹿児島県警の思惑に乗った、検察や裁判所の見識も問われるべきである。

 そもそも、内部告発を受け取った側が、個人名を黒塗りにしたり、事案の詳細を伏せるなどした文書やデータを信用するだろうか?少なくとも、ハンターは信憑性を疑ってかかる。正確かつ詳細な告発でなければ、取材や調査の対象にはなるまい。

 「公益通報者保護法」という法律が制定されたのは、内部通報者の行為や告発内容が事実なら、別の法やルールを逸脱する行為であったとても守らなければならないと解されているからだ。告発の内容に捜査情報や個人情報が含まれているという理由だけで告発者を逮捕したり処分したりすれば、法が規定した公益通報制度は成り立たない。

 兵庫ではすでに告発内容の多くが議会で証明されているし、鹿児島でも、本田元生活安全部長の告発文書によって県警の主張にいくつもの疑義が生じている。兵庫と鹿児島の2件の告発が、「公益通報」であることの証左だろう。告発対象となった知事や県警本部長といった組織のトップが、内部通報者を罪に問うようなマネを許してはいけない。(中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑念・鹿児島県警の不正疑惑・鹿児島県警と地元メディア。指摘されている野川明輝本部長の隠ぺい疑惑も組織的な不当捜査も、なかったことにするための共同作業疑惑】  2024年09月13日  15:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・09.12】:斎藤兵庫県知事問題で注目される自民党県議二人の動向

2024-09-22 07:47:50 | 【22年改正公益通報者保護法・組織内部の通報が困難な時、報道機関等外部へ通報可】

【HUNTER・09.12】:斎藤兵庫県知事問題で注目される自民党県議二人の動向

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・09.12】:斎藤兵庫県知事問題で注目される自民党県議二人の動向 

 9日、兵庫県政を揺るがしている県政トップのパワハラやおねだり問題で、日本維新の会と同党県議団は、渦中の斎藤元彦知事に「辞職」を申し入れた。県議会では、12日に維新以外のすべての会派と無所属議員が共同で知事に辞職を申し入れる予定。86人の県議会議員全員が、斎藤氏の退任を要求する形となった。知事が辞職を拒否した場合、不信任案提出が視野に入る状況だが、そこで足並みが揃うかどうかに注目が集まっている。

                ◆   ◆   ◆

 維新は、2021年7月の知事選で自民党とともに斎藤知事を全面支援。選挙期間中、吉村洋文知事が何度も応援に入り当選に導いた。その吉村知事からも辞職を促されたというが、肝心の斎藤知事は動じることなく、「百条委員会に対応し、県政を前に進める」と繰り返すばかりで、まったく相手にしなかった。

 吉村知事のもとで大阪府の財政課長を務め経験がある斎藤知事と維新との結びつきについて、ある維新の兵庫県議は「結びつきは強い。ただそれは兵庫県の維新ではなくて大阪の維新。吉村知事や松井一郎元代表らとの関係だ。吉村知事が本気で乗り出さないと斎藤知事は辞めないだろう」と話していたが、それも空振りになった形だ。

 12日には自民党も斎藤知事に申し入れをする予定だが、斎藤知事の頑なな姿勢は変わらないとみられる。

 今月19日からはじまる兵庫県議会の定例会では、立憲民主党系の「ひょうご県民連合」が不信任決議案を出すことを明言。公明党、共産党なども同調する流れとなっており、焦点は自民党と維新の対応になっていた。

 兵庫県議会の定数86。現在の構成は、自民党37、維新21、公明13、県民連合9、共産党2、無所属4となっており、不信任決議案の可決には4分の3となる65人の賛成が必要だ。

 自民、公明、県民連合、共産に加え無所属も賛成となれば合計で65となり可決される。「うちは同調するつもりだ。しかし、全員が賛成するかどうか微妙なのが正直なところだ」とある自民党県議は打ち明ける。

                   ◆   ◆   ◆

 注目されているのは、斎藤知事に近いとされる内藤兵衛県議と石川憲幸県議の対応だ。斎藤知事の最側近だった片山安孝前副知事は、6月に百条委員会の設置が審議されている際、「私が責任をとって辞職するので、百条委員会はやめてほしい」と自民党県議団に依頼していたことが分かっており、片山氏自身もそれを認めている。

 斎藤知事自身も、9月6日の百条委員会で「内部調査を含めてしっかりやってきました。第三者委員会も設置する。何人かの議員に電話し、『第三者委員会でやらせてもらえれば』と言ったことはある」と発言。百条委回避に動いていたことを認めていた。

 前出の自民党県議によれば、「斎藤知事が電話できるとすれば内藤県議と石川県議でしょう。どちらも議長経験者で県議会の重鎮。影響力もあります。県議に対しても上から目線の斎藤知事ですから、その二人以外の1回生議員なんかに頼み事をするわけがありません」

 2021年の知事選で自民党は当初、井戸敏三前知事のもとで長く副知事として県政を支えた金沢和夫氏の推薦を決めた。しかし、菅義偉首相(当時)の意向を受けた兵庫9区が地盤の西村康稔元経産相が、斎藤知事を強引に押し込んだという。

 「真っ先に賛同したのが内藤県議でした。斎藤知事が就任後、内藤さんの地元によく視察にいっていることでも二人の関係がよくわかる。斎藤知事の首に鈴をつけられるのは内藤さんしかいないと多くの人が思っている。それほど斎藤知事に影響力がある人物だ」(前出の自民党県議)

 内藤氏は、斎藤知事とのツーショットをSNS上にアップするなど関係は深いとみられる。一方、石川氏は6月に百条委員会の設置を審議した県議会で、自民党議員としてただ一人「反対票」を投じた人物。そのせいで、党からは「役職停止」の処分を受けた。なぜ石川氏は造反したのか?

 2023年春、元国家公安委員長の谷公一衆議院議員が会長を務めていた兵庫県森林組合連合会が兵庫県から借りていた9億円の返済が滞っていることが明らかになった。連合会の副会長を務めていたのが石川氏。連合会は、兵庫県治山林道協会に所有するビルの土地を売却。その売却益など2億7千万円を兵庫県に返済し、残りの6億3千万円については債権放棄するというスキームが特定調停でまとまった。

 兵庫県森林組合連合会の「継承」として新たに法人登記されたのは「ひょうご森林林業協同組合連合会」。谷氏と石川氏が会長と副会長が就任していた(現在は辞任)。おまけに、ビルの土地を売却した兵庫県治山林道協会の会長も谷氏。同氏は現在もその職にある。そのあたりのカラクリについて、兵庫県の幹部が声を潜めてこう話す。

「谷と石川は、兵庫県民に6億円を超す巨額の負担をさせた。その二人は会長、副会長時代にそれぞれ報酬を受け取っていました。事件ではないかと県議会でも問題になりましたが、こんな酷い特別調停に同意したのが斎藤知事で、その頃の議長が内藤。ひょうご森林林業協同組合連合会は、今も兵庫県の補助事業を継承しています。石川は、百条委員会に反対した際に『個人として反対』と格好つけてコメントしていましたが、実際は兵庫県から刑事告発などを受けるのが怖くて、斎藤知事へのご機嫌とりで造反したのではないですか」

石川氏のブログには、2021年に斎藤知事を擁立した際、自民党を代表して出馬要請している写真が掲載されている。

                   ◆   ◆   ◆

 9月6日、小泉進次郎元環境相の総裁選出馬会見で「兵庫県知事による公益通報への対応が問題となっているが、小泉氏は総裁になれば内部通報に対して調査・検証など対応できるのか」との質問が出た。斎藤知事の問題が、国政にまで響き始めている証左だ。

 「内藤や石川がもし不信任に同調しない場合、解散総選挙では大きなマイナスになる。早く自民党として斎藤知事を説得し、辞めさせるべきだ。もちろん、斎藤知事を引っ張ってきた西村さんにも責任がある」(兵庫県選出の自民党国会議員)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・地方自治体・兵庫県・前西播磨県民局長W氏が斎藤元彦知事のパワハラ、公職選挙法違反、贈収賄などの疑惑を内部告発した問題】  2024年09月12日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・09.09】:斎藤元彦兵庫県知事に「政治とカネ」の疑惑発覚

2024-09-22 07:47:40 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【HUNTER・09.09】:斎藤元彦兵庫県知事に「政治とカネ」の疑惑発覚

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・09.09】:斎藤元彦兵庫県知事に「政治とカネ」の疑惑発覚 

 パワハラや“おねだり”といった斎藤元彦兵庫県知事の疑惑を巡って設置された兵庫県議会の百条委員会が6日、2度目となる知事本人への尋問を行った。議会や会見で話すたびに世間との認識のズレを露呈させる斎藤氏だが、今度はその選挙資金に関する疑惑が発覚した。

               ◆   ◆   ◆

 昨年11月、兵庫県播磨町の県立考古博物館での会合に参加するため公用車で出かけた知事は、車止めのせいで入口に直接車を付けることができなかったことから、わずか20mだけ歩いたという。斎藤知事の前に百条委で証言した県幹部は、「なんでこんなところに(車止めを)置いているんや!と怒鳴られ頭が真っ白になった」、「激怒ぶりは、すっかり県庁内でも知られるところとなった」などと激しく叱責された経緯を振り返った。

 これに対し、斎藤知事は頑としてパワハラを認めず、「当時の認識では、(部下が)車止めをのけるのを忘れていたと思った。叱責はやむを得ない」と反論。元西播磨県民局長の内部告発については、「誹謗中傷だ、核心部分では真実ではない」と従前の主張を繰り返した。命を絶った元局長へのあまりに配慮のない知事の主張に、傍聴席からも「えー」という声。「県政を前に進めたい」と開き直った斎藤知事に対し、失笑が漏れた。

 兵庫県知事選は来年7月に予定されている。ハンターで報じたように斎藤知事が前回知事選で当選できたのは、4,000万円を超える巨額の資金が自民党の国会議員から寄附されたからだ(既報)。百条委員会では、自民党が斎藤知事を徹底追及しているため、「斎藤知事が辞職せず粘っても、次の知事選で自民党が応援することはない」(自民党の県議)という状況となっている。

                  ◆   ◆   ◆

 そうした中、斎藤知事の新たな「政治とカネ」の問題が判明した。2021年の知事選で斎藤知事が出した選挙運動費用収支報告書によれば、盛山正仁文科相はじめ自民党の県議や市議に「労務者報酬」として現金が支払われていたのだ。「買収」ともとられかねない“ばらまき”だった。

 選挙運動費用収支報告書から、職業欄に「衆議院議員」「県会議員」「市議会議員」と記された公職者をチェックすると29人に上る現職政治家の名前が浮上(*下の画像参照)。報酬の支払い日は、知事選の告示日である2021年7月1日。盛山氏はブログで「さいとう元彦候補のポスター貼りを頑張っています」と同年7月8日に綴っていたことが分かっており、ポスターを貼った報酬として、29人に対し総額204,300円ものカネを配っていたとみられる。

 また、報酬を受け取っていた神戸市議の動画サイトでは《兵庫県知事選挙 さいとう元彦 候補へ応援演説!弁士 衆議院議員 盛山正仁代議士》と斎藤知事の応援に駆けつけているシーンが残っている。

 盛山氏は、2021年の兵庫県知事選の3か月後、文科相という立場にありながら10月執行の衆議院選挙を前に旧統一教会(現在の世界平和統一家庭連合)の友好団体に対する「推薦確認書」に署名し、大きな問題に――。同氏は国会やメディアで追及されるも、斎藤知事と同じように「記憶にありません」ととぼけ、批判を浴びた。

 斎藤知事の選挙運動費用収支報告書に報酬6,000円と記載されている風早寿郎県議は、共同通信のアンケートに、旧統一教会との接点を認めている人物だ。報酬7,000円の坂上明三西宮市議は、旧統一教会が韓国で開催したイベントに6万円あまりの費用を負担してもらい参加していたことが暴露されている(*発覚後費用を負担)。

 また、斎藤知事の選挙費用として、個人や政党支部から寄附を行っていた渡海紀三朗政調会長、山口壮元環境相、山田賢司衆議院議員、大串正樹衆議院議員らも旧統一教会との関係を認めている。

 地元の後援会があまりに強固なゆえ「最強の国会議員」とひそかに噂される加田裕之参議院議員は、旧統一教会の関係者からパーティー券を買ってもらい、関連団体で挨拶していた。知事選の際には、斎藤知事の陣営に自身の秘書を送り込んでいたことが、選挙運動費用収支報告書の記載内容から分かる。斎藤知事は、旧統一教会とズブズブの議員たちから支援を受け当選したということだ。

 公職選挙法では、選挙区内の有権者にカネを配ることが禁じられている。支出状況からみて、斎藤知事が支払った「労務者報酬」に買収の疑いを持たれるのは言うまでもない。

 その原資の大半は、裏金事件で党員資格停止処分の西村康稔元経産相をはじめとする自民関係者から寄付されたもの。自民党のカネを、自民党内で還流させた格好である。

 ちなみに、2021年の知事選で自民党とタッグを組んで斎藤知事を推薦した日本維新の会の関係では、斎藤知事の選挙運動費用収支報告書に出納責任者として登場する正木克幸氏の名前が確認される。正木氏は、斎藤知事の実家の家業であるケミカルシューズ関連で親しくしている人物だといい、昨年、維新から明石市議選に出馬し当選している。斎藤知事のグレーな「政治とカネ」を、自民党と維新が支えていたことは確かだ。

 内部告発から始まった斎藤知事の疑惑は、底なしと言えるだろう。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・地方自治体・兵庫県・前西播磨県民局長W氏が斎藤元彦知事のパワハラ、公職選挙法違反、贈収賄などの疑惑を内部告発した問題】  2024年09月09日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・08.28】:“どう見てもクロ” ― 斎藤兵庫県知事を待ち受ける百条委質疑

2024-09-22 07:47:30 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【HUNTER・08.28】:“どう見てもクロ” ― 斎藤兵庫県知事を待ち受ける百条委質疑

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・08.28】:“どう見てもクロ” ― 斎藤兵庫県知事を待ち受ける百条委質疑 

 兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどを内部告発され炎上している問題を巡り8月23日、兵庫県議会が設置した「文書問題特別委員会」(百条委員会)で、県職員に実施したアンケート調査の「中間報告」集計結果が公表された。辞職を否定している斎藤氏だが、どう見ても「クロ」だ。

                  ◆   ◆   ◆

 約4,500件の回答の中で「記名」で回答した人が333人おり、うち百条委員会への証言などで「協力する」とした人は231人にものぼった。

 アンケートの対象となったのは、亡くなった元西播磨県民局長が内部告発した7つの内容。その中には、斎藤知事のパワハラなどについて決定的なものが含まれていた。

・《「知事レクの際に気に入らないことがあると机を叩いて激怒する」関連 令和5年4月11日に知事レク(定例記者会見の項目説明)に陪席した際、レク開始早々に知事は「聞いてない」と発言、持っていたペンを机上に放り投げ、場の空気が凍り付きました》

・《神戸市内のフィールドパビリオン候補地(●●●)を視察した際、知事がエレベーターに乗ろうとすると目の前でエレベーターの扉が閉まり、乗り損ねたことに激怒して、エレベーター前にいた県職員に、施設の職員も見ている前で「お前はエレベーターのボタンも押せないのか」と大声で怒鳴りつけた》

 などと、実際に県職員が斎藤知事のパワハラに遭遇した模様が詳細に記されている。

 《目撃、経験等により実際に知っている人から聞いた》《人づてに聞いた》という項目では、

・《公用車で移動中予定時刻に遅れそうになると、公用車の運転員席を蹴ったり、タブレットを投げつけたりすると聞いた。(告発文が報道されて以降、控えているそうだ)》

・《知事が知らなかった行事(部長が対応)がテレビニュースで取り上げられているのを見て激怒したと聞いた。知事は自分がマスコミに取り上げられないと激怒》

・《(斎藤知事が知事室から)お帰りの際はエレベーターを待つ、途中階で止まると叱責されるため、秘書課総出で各フロアにてエレベーターが6階1階となる(知事以外が乗らない)よう奔走している》

・《公用車内で知事が激怒し、前方座席を蹴った》

・《「(俺は)知事やぞ」と言って怒っていたということを、実際にその場にいた人から聞いた》

 アンケート調査が公表された同じ日、百条委員会で証言した県職員は「斎藤知事が片山副知事に、文具を投げつけて怒った」と語ったことを竹内英明県議(ひょうご県民連合)が記者会見で明かした。別の自民党県議は次のように話す。
「パワハラが百条委員会で認められても、斎藤知事は絶対に辞めない。クビをとるには内部告発された2021年の県知事選で県職員に選挙を手伝わせたこと。阪神とオリックスの優勝パレードで県から金融機関に補助金増額をさせてクラウドファンディングに寄付を強要したこと。政治資金パーティーで県職員にパーティー券を売らせたことなどという、刑事事件になるものが立証されないと居座るはずだ」

 つまり、公職選挙法違反、地方公務員法違反、贈収賄、強要罪などが明確にならない限り、来年7月の兵庫県知事選までは続投するというのだ。

 アンケート調査では、公職選挙法違反について、

・《齋藤氏が姫路総合庁舎に選挙演説に来られるので7級以上の職員は参加するよう事前に話がありました。当時、私の上司であった●●●●●●も7級だったので、8時半から9時までの15分程度の時間ではありましたが、出席されました。選挙目前、2021年7月13~15日のいずれかだったと記憶しています》

・《選挙期間中最終日、齋藤知事の選挙カー付近で(県職員幹部と思われる)●●●●●がスーツを着て、齋藤陣営と懇意にしている様子を目撃した。写真も持っている》

・《斎藤候補が姫路総合庁舎に来た際、当時の●●●●●●●●●●●●(県職員とみられる)の指示で、動員がかかり、所長級の幹部が全員、出迎えた》

 と県職員を選挙のために動員していた生々しい経験談が記述されていた。

 また、優勝パレードの寄付のため、補助金をつけてキックバックされるという公金横領、業務上横領に問われかねない内部告発については、

・《優勝パレードへの寄付金が不足しているため、信用金庫等などの中小企業への補助金を増額して、その増額分を寄付してもらうという税金の環流が行われ、寄付金の目標額を達成》

・《パレードを担当した職員から逮捕者が出るときいています》

 と不正を語るものがあった。

 県職員が斎藤知事の政治資金パーティーのパーティー券を販売していたという件については、

・《昨年度に開催された政治資金パーティーに関しては、片山(当時)副知事が、令和4年3月、令和5年3月県の部長級局長級を退職したOB(齋藤知事就任後の退職者)のうち、各部2、3人ずつをピックアップし、各部の関係団体にパーティー券を斡旋するように指示したそうです。全10人強のOBがそれぞれの部の関係団体にパーティー券購入を依頼し、各団体を●●●●●●●●●につないだようです。前述のOBたちは、概ね62、3歳で、そのほとんどが、現在も、県の密接関連公社理事長等役員をしています。そのうち一人から聞きました》

・《政治資金パーティーへの参加を働きかけるよう幹部職員に指示した》

・《(県職員OBの一人が)片山副知事の指示もあり、斉藤元彦後援会の事務局を事実上任される立場にあった》

・《県の中小企業対策の中核を担う公的団体で、県内企業や金融機関に影響力を持つ●●●●●●の幹部が、組織的にパーティー券の斡旋を主導している》

・《片山副知事が発起人になって、知事の政治資金パーティーの案内をしているのは文書で見た》

 と斎藤知事 ― 片山副知事のラインで、県職員やOBがパーティー券の販売で動いていたという疑いが濃厚になってきた。

 選挙の手伝い、動員や優勝パレード、パーティー券については「密室」での指示命令系統とみられ、パワハラなどと違い、表面化しにくい。それでもアンケート調査では、複数の疑惑を示す回答があった。

 パワハラ目撃証言をはじめ、県職員のアンケートや証言はとても重い。これまで斎藤知事は「必要な指導」として認めなかったが、アンケート調査や百条委員会での証言から指導する資格がないことが証明された。辞任を完全否定し、「県職員との信頼を取り戻し、県政を前に進める」などと繰り返し語ってきた斎藤知事だが、県政は「大渋滞」だ。

 8月30日の百条委員会には、斎藤知事本人や側近の県職員が証言する予定となっている。「斎藤知事のせいで、百条委員会という厳しい場に県職員が呼ばれて苦しんでいる。斎藤知事が辞めれば、みんな本当のことを言えるのに」と、心ある県職員は嘆く。

 「刑事的な事件になりそうなものを側近の県職員が正直に答えるかどうかが注目だが、斎藤知事も圧力はきついと感じていることが23日の質疑でも感じる。斎藤知事の証人は1日では終わらない。複数回聞くことになるのではないか。百条委員会での虚偽証言は、刑事告発の対象になる。ここで斎藤知事を崩せれば、捜査機関も動かざるを得ない。自動的にXデーも迫ってくるはずだ」(前出・自民党の県議)

 8月30日が百条委員会の「天王山」になることは間違いない。斎藤知事が「ウソ八百」を語らないことを願うばかりだ。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【疑惑・地方自治体・兵庫県・前西播磨県民局長W氏が斎藤元彦知事のパワハラ、公職選挙法違反、贈収賄などの疑惑を内部告発した問題】  2024年08月28日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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