【社説②】:レジ袋有料1年 使い捨て文化を捨てる
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:レジ袋有料1年 使い捨て文化を捨てる
プラスチック製レジ袋の有料化が全国の小売店に義務付けられてから、一年が過ぎた。
レジ袋などプラスチックごみの削減が必要なのは、その多くが陸から海へと流れ込み、えさと間違えてのみ込んでしまった海の生き物たちに深刻な害をなすだけでなく、人体への影響も心配されているからだ。
レジ袋の辞退率は、有料化前の約三割から七割強にまで増えた。 ただし、それでプラごみが大幅に削減されるかというと、そうはならない。例えば環境省が二〇一六年度、全国十地点の海岸で実施した漂着ごみの調査では、レジ袋を含むポリ袋の割合は容積比でわずか0・3%。ペットボトルなど飲料用ボトルの12・7%に比べて、かなり低かった。
国内で排出されるプラごみは年間九百万トンに上るが、レジ袋が占める割合は2%にすぎない。約半数を占めるのは、容器包装類。レジ袋削減は、いわば「入り口」で、海や生き物を守るためには、使い捨てのプラ包装類全般をなくしていく必要がある。
そのためのキーワードが「リユース(再使用)」と「リフィル(詰め替え)」。すなわち、中身を詰め替えながら繰り返し使える容器の普及である。
例えば米テラサイクル社が考案した「ループ」というリユースとリフィル、そしてカップシェアリング(共有)のサービスが五月、大手スーパー・イオンの首都圏の一部店舗で始まった。
売り場に並ぶのは、ステンレスの容器に入った食料品や、ガラス瓶に詰めたシャンプーなどの日用品。商品を購入した消費者が中身を使ったあとの容器を売り場に返すと、容器代が返却される。
使用済みの容器は回収、洗浄し、メーカーで中身を詰めて再び売り場の商品棚に戻される。
すでに自前のボトルやカップでコーヒーを買う習慣も広がりつつあるが、スターバックスはこの秋、回収式のリユースカップでドリンクを提供するシェアリングサービスを、東京・丸の内エリアで試みる。
あえて環境問題の文脈でなくとも、いいだろう。「便利でおしゃれで安価」なリユース文化が新たなライフスタイルとして定着すれば、結果としてプラごみは大きく減ることになる。大事な「次の一手」である。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年07月28日 08:09:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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